閃きの残照


 念のため、部屋の鍵をかける。
「ヒロイン…」
 自分の中にある愛しさの全てを込めて、ヒロインの背中を抱きしめる。
「……ナギ…」
 愛しい声が自分の名前を呼ぶのが嬉しくて、その唇を何度もついばむ。
「ゃんっ…」
 衣服の隙間から差し込んだ掌で肌を撫でると、ヒロインがくすぐったそうに身をよじった。
「…今、抱いて確かめたい。いいか?」
 朝、自分が調理した記憶も、半年前に結婚した記憶も欠落してしまっているナギ。
 ヒロインの耳元で、真剣な声で囁く。
 今は、朝食の片付けが終わったばかりの昼間。
 仲間のみんなは、それぞれに仕事をしている時間。
 こんな時間から肌を重ねるのは……けれど…。
「…うん」
 ナギは、そっと頷くヒロインの身体を抱え上げて、ベッドに運んだ。
「相変わらず軽りぃな…」
 樽に入っていたヒロインを医務室まで連れていった出会いがナギの脳裏をよぎる。
「ナギってば…同じこと言ってる…」
「?」
「結婚式の後と…」
「そっか…忘れちまって悪りぃ……」
 自分の知らない自分を語るヒロイン。
 過去の自分に嫉妬するというのも変な話だが、ナギの中に芽生えた想いは、その表現が一番近い気がする。
 ナギはさっさと自分の衣服を脱ぎ棄てて、ベッドの上に乗った。
 ヒロインがナギを見て、頬を染める。
「どうした?」
「だって…こんな明るい中で裸のナギを見たのって……は、初めてかも……」
 恥ずかしそうにするヒロインが可愛くて、ナギは染まった頬に唇を寄せた。
 柔らかな肌が唇に触れる感触に、ドクリと自分の雄の部分が反応するのを自覚する。
 ヒロインの頬に宿った火照りを広げるように、首筋へとキスを移動させながら、まだ脱がせていない服の中へ差し込んだ掌で、ウエストのラインを撫で、指を巡らせ る。
「ぅん…」
 微かにヒロインが白い喉をのけぞらせて、吐息を漏らす。
 その甘美な光景に、再びナギの身体の芯が熱を持つ。
 ウエストから差し込んだ両手で、ヒロインの服を一気に頭の上まで押し上げ、キスを重ねてヒロインの舌を吸いながら、掌と指で身体の線を何度も撫でる。
「ふ……ぁ……」
 時折、微かな反応が肌の上を滑る指に伝わってくる。
 そっと唇を離したナギが、潤んだ瞳で見上げるヒロインに微笑んだ。
「わかった…」
「? え? 何?」
「お前のイイとこ…」
「え? あっ…あぁぁっん」
 見つけたポイントを、ナギが痕がつくほど強く吸うと、ヒロインがビクリと反応して甘い声を漏らす。
「あとは、ココと…」
「あんっ、や、ナギっ…」
 ヒロインが更に反応してひどく色のある声を発する。
「ココも…」
「はぅんっ……」
 白い胸が目の前で反り返り、ナギの雄茎が理性を揺さぶる。
「ヒロイン…」
 胸のふくらみを口に含んだナギの手が、ヒロインの下衣を押し下げながら進んで、大腿から臀部を撫でる。
「あぁぁん…ナギ……」
 熱を持ったヒロインの腕が、ナギの頭を抱えるように応えてくる。
 大腿を撫でていた指先に温かな愛水が触れ、指を埋め込むとクチュクチュとナギを誘う音が部屋に響く。
「いいか?…」
 身体を起こしたナギが、ヒロインを求めて熱くなった雄の頭で大腿の合わせ目を撫でた。
 最も、今更ダメだと言われても止めようがない状態ではあったのだが。
「うん…ナギ……好き……」
 愛欲の籠ったヒロインの囁きに、ナギの雄が襞をかき分け、入口を押し広げて入り込む。
「あんっ。大き…ぃっ…」
 途端にきつく締めつけられたナギが、息を詰めた。
「ヒロイン…愛してる…」
 屈んで耳元に囁き、腰を進めて根元まで埋め込む。
「はっ…あぁ……ナギ…っ」
 嬌声と雄に伝わる刺激を糧に、情欲が理性を溶かしていく。
「ヒロインっ、…ダメだ、手加減できねぇ…」
 余裕を無くした囁きとともに、部屋に強く求め合う音が響いた。


ヒロインの髪を手で梳いていたいたナギが、身体を起こしてシャツを着る。
「ナギ?」
「そろそろ飯を作らねぇとな、間に合わなくなる…まだ寝てていいぞ。手加減できなくて悪かったな…」
「ううん、大丈夫。私も手伝う」
 ヒロインの肌に残る自分がつけた痕を見下ろして、ナギは苦笑した。
「手伝うのはいいが…それ、隠してこいよ? 昼までに時間ねぇから、先に行ってるぞ…」
 ナギとしては、正直、頭を冷やす時間も欲しい。
「…うん」
 少し、淋しげに答えたヒロインに魅かれて、ナギはつい、手をのばして栗色の髪を撫でた。
「だから、誘うんじゃねーよ。続きはまた夜な…」
 大きく息をついて、気持ちを切り替えると、ナギは厨房へ向かった。


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