魔物達の宴
魔の海では、不思議な事が起きる…。
「みんなの仮装、面白かったな…。ソウシ先生なんて、本物そっくりだったし…。本物かぁ…私も魔法が使えたら…」
ヒロインは、楽しかった宴を思い出しつつ、眠りに落ちていった。
ふと気付くと、ヒロインは部屋に一人だった。
「シンさん?」
静まり返った部屋。
静まり返った廊下。
星空の広がる甲板に出ると、誰も居ない。
「あれ?」
食堂を覗くと、グラスを傾けている人影があった。
「船長?」
「ヒロインか…まあ、来い」
「?」
リュウガが手招きする。
「こんな時間にどうした?」
「それが…シンさんが居なくて…」
「ほう?…それでどうした?」
リュウガの両腕が、ヒロインの腰を背後から抱きとめるように抱える。
「船長?」
「……」
リュウガの息が耳にかかり、片腕が腹を撫でて胸にたどり着く。
「ちょ…やっ、船長っ…」
腰に回された腕を除けようとしたヒロインが、両手に力を込めるが、リュウガはびくともしない。
背後から首筋に吸いつくようなキスが落とされる。
服の上から、まさぐるように胸を撫でられて、ヒロインの身体が強張った。
「やっ…」
今まで意識していなかった男を、力の差で思い知らされて、ヒロインの身体に恐怖が湧きあがった。
「いやっ…」
リュウガの手が、服の中に滑り込む。
「んっ……」
ビクリ、と反応したヒロインの耳に、シンの声が聞こえた気がした。
「馬鹿が。俺以外に触られて感じているんじゃない」
「え?」
船長からシンの声した、と思う。驚いて振り返ったヒロインに、リュウガの腰にまわされていた手が、ゆるんだ。
首筋に吸いついていたリュウガが、訝しげに顔をあげた。
「なんだ?」
服の中に入り込んだ手も動きを止める。
ヒロインは必死でリュウガの腕から逃れると、食堂から逃げ出して、部屋に駆け込んだ。リュウガが追ってくることはなかったが。
「シンさん?」
相変わらず、部屋には誰も居ない。
先ほど、リュウガに全く抵抗できなかった恐怖が、足先から浸透してくる気がした。といっても、シンの声がしたから、あれが本当にリュウガだったのかわからない。
一人で部屋にいるのは、怖い。しばらく待っていても、シンが部屋に戻ってくる様子もない。
「うーんと…ナギさんに聞いてみよう…」
こんな時に、シンの次に頼りになるのはナギ。もう一度廊下に出たヒロインの視界に、黒い影。
「シンさん? え?」
髑髏の仮面が、ヒロインの肩を掴んで身体を押し倒した。
「ぅぅぅううううぅぅぅぅ」
ヒロインに覆いかぶさる、低く、唸るような声。
「トワくん?」
肩を掴む手が、ヒロインの衣服を強引に左右に引き、縫い目の解れる音がした。
「トワくん、やめてっ」
白い肩が顕わになる。
馬乗りになったトワが、片手でヒロインを抑えつけ、もう片手に大鎌を持って振りかざした瞬間、何かがそのトワを突き飛ばす。
「え? ……」
何が何だかわからないまま、身を起こしたヒロインは近くにあったナギの部屋に逃げ込んだ。
「ナギさんっ、廊下で、トワくんが、変なんですっ」
暗いナギの部屋で、影が動く。
「ナギさん?」
ナギのベッドで、ムクリと起き上がった影に、ヒロインは後ずさった。
「ヒロインか?」
ナギの声が、その影から聞こえる。
「え? ナギさん?」
「おまえ…首から血が出てるじゃねーか」
影が近づいてきて、ヒロインはへたり込んだ。
「本当に、ナギさんなんですか?」
「何、言ってる?」
「……だって、ナギさん……犬……にしか見えない」
ふっと、笑う気配がして、温かな舌が、首を優しく舐めた。
「ナギさん?」
「…犬じゃねーよ」
ふわふわとした毛が、首や肩をくすぐる。
温かな舌が、首筋から、露出した肩に移動し、ふわふわした肉球が縫い目のほつれた服を下へ押し下げた。
「…え?」
優しい舌が、突然、胸の突起を舐めはじめる。
「ナ…っ…ひぅんっ…」
獣の息遣いと、肩にチクリと触れた爪の痛みに、ヒロインは自分にのしかかっている獣を見上げた。
金色の毛並みの狼。
「きゃあっ…」
逃げようとしたヒロインの服に狼の爪が引っ掛かり、服が裂ける。
「やぁっ…」
獣の荒い息が、耳元へ、首筋へ、服が避けて露わになった胸へ、そして腰にかかる。食べられてしまう、と思うのに、身動きができない。
と、その時、バンっと扉が開いた。
狼が、何もない扉に向かって低い唸り声をあげる。
目の前に開けた逃げ道へ、ヒロインは裂けた上着を抱え寄せて走り出た。
誰も居ない廊下。
シンとヒロインの部屋は、扉が開いたままで、誰も居ない。
ただ一つ、明かりのついている扉を見つけ、ヒロインは引き寄せられるようにその扉へ向かった。
「どうぞ」
ノックに答えた優しい声に、ほっとして明かりのついた医務室の扉をあける。
「ヒロインちゃん? どうしたの?」
宴で見た、フランケン仮装のままのソウシが、心配げに切り裂かれた服を抱えて立つヒロインを見た。
「それが…ナギさんが犬…狼で。トワくんが変で、シンさんがいなくて…」
くすり、と笑ったソウシが、毛布をヒロインの肩にかけ、ベッドに座るように促す。
「ヒロインちゃん、言ってることがめちゃくちゃだよ? まずは、落ち着いて?」
温かな毛布に包まれて、わけのわからない恐怖が再び足先から蘇ってくる。
かすかに震えはじめたヒロインを見下ろしたソウシが、そっと、毛布ごと震える体を抱きしめた。
「大丈夫だよ。何も怖くないよ」
「ソウシ先生……」
髪に冷たい息がかかる。
「…今度はドクター相手になにする気だ?」
不意に、また心の声が聞こえた。シンを探して見上げたヒロインの唇が、冷たく柔らかいもので塞がれる。
冷たく湿った、けれどもやわらかい舌が、歯列をなぞる。
毛布の内側に入ってきたソウシの手も、氷のように冷たく、ギクリとヒロインは身をこわばらせた。
「逃がさないよ?」
唇を離したソウシが、妖しく微笑む。
捕えられた手首に、ビリビリと痺れがはしって、あげかけた悲鳴は、再びソウシの唇に塞がれた。
「静かにね? あまり騒ぐと、手加減できなくなっちゃうよ? 私と同じ身体にしてあげるからね? そうしたらもう、何も怖くなくなる…だから、おとなしくしてね」
冷たい掌が、裸の胸を包み込む。
「…んっ…くひぃっ」
ビリビリとしびれる刺激が次第に強さを増して、視界が霞み始めたところで、銃声が聞こえた。
「銃なんて、通用しないよ?」
入口を振りむいたソウシが、ヒロインから手を放して笑う。
「そういう時は、さっさと逃げろと言ってるだろう。お前、誰に身体を許してるっ」
誰も居ない空間から、再びシンの声が降ってきた。
「無理だよ、今、自力では動けないよね? ほら、身体がしびれていて、話すことも難しいでしょ?」
くすくすと、ソウシが笑う。
そのとき、窓を割って、包帯の塊が、医務室に入ってきた。
「動けねーんだ? ラッキー」
包帯の隙間からハヤテの声がして、ヒロインの身体が引っ張られる。
痺れる身体は、窓から包帯の塊に抱きとめられた。
「あ…アアエさ…」
痺れの残る舌で、話そうとするが、言葉にならない。
ヒロインの身体を抱きあげた包帯だらけのハヤテが、言葉にならない声に腕の中を見下ろす。
胸まで露わにして、身体を預け、涙で潤んだ瞳で見上げる煽情的な姿。
「何? 誘ってんの?」
「ひあうっ…」
違うと言いたいのに、口から洩れた声は、まるであえぎ声のようで、ヒロイン自身がギクリとした。
「ふーん。なんかもう、みんなにヤられてズタボロって感じだけど。その首、船長だろ?肩の歯型はナギ兄だろうし…。まだ足りないわけ? ヒロインって、エロっ」
「ひあ……」
相変わらず、違うという言葉が、甘く誘う声になってしまう。
自由にならない身体が、甲板の上に置かれる。
「ま、頼まれたら、仕方ねーよな?」
包帯を巻いた手が、まだ無事だった下着を引きずり降ろした。
「あぁぁっ」
必死に発した抗議の言葉も、舌がしびれて、嬌声のようになってしまう。
硬い棒のようなものが、内股の間に触れて、自由にならない視線を必死に動かす。
のしかかっている包帯の隙間から、枯れ木のように乾いて硬い肌が見えた。
声はハヤテだけれど、目の前に映るのは、乾燥した死体のような肌。容赦なく、その何本かの指が、股の奥へと入り込んでくる。
「ひゃあぁぁぁぁっ」
悲鳴にならない声をあげた時、ヒロインにかぶさっていた身体が、一気に船縁まで吹っ飛んでいった。
「まったく…何かあったら、俺のところに来るように言っておいただろう? お前には、おしおきが必要だな」
怒ったような声が、頭上から響く。声はすれども姿の確認ができない。
「ひんはん?」
シンさん、と発したつもりが、全然別の言葉になってしまう。
返事はなく、姿も見えなかったが、暖かく柔らかいものが、そっと唇をふさいだ。
見えない唇が、首に移動し、肩にも優しく口づける。
「ふっ……んっ……」
胸のふくらみを、見えない温かなぬくもりが撫で、突起を優しく転がす。
「んっ……はぁ……」
見えないけど、確認できないけど、シンのぬくもりだと思えた。
今、自分に触れているのがシンだと思っただけで、それまで身体にあった恐怖が、解かされて悦びに塗り替えられていく。
「ふっ…ひんはんっ……」
何もない空間に一生懸命伸ばしたヒロインの腕が、温かな身体を見つける。
内股に移動したぬくもりが、優しく蜜を誘い出し、ヒロインの身体がかすかにしなった。
「ヒロイン…」
シンの囁き声が耳元で聞こえ、密で潤った花弁を押し開いて、雄が入り込む。
「ふっ…はあっ…」
最初は、様子を窺うようだった雄の動きが、次第に大胆さを増していく。
「んっ…ふっ…」
世界がぐるぐると回りだした。
「やっと起きたか」
開いた目に映ったのは、自分を妖しい瞳で覗きこむシンの顔。
「シンさん? えっ?」
ベッドにくくりつけられた腕と、全裸の自分。そして、たぶん、体内にあるシンの分身。
「おしおきだ」
既に硬くなっている乳首を指先で弾かれ、ヒロインの喉から勝手に甘い声が漏れた。
「おしおきって…?」
「どんな夢を見た?」
「夢?」
「他の奴の名前ばかり呼んでたな? どういうことだ? この淫乱」
ヒロインの中で、固く熱を持ったシンが責め立てるように動き始める。
「うんっ…はっ、あんっ…やっ……」
接した秘部から洩れるクチュクチュと掻き回させる音と感覚が、既にかなり長い時間刺激を受けていたのだとヒロインに悟らせる。
「んっ…シンさ…待って…」
「ダメだ。俺に抱かれて、他の奴の夢を見ていただろう?」
「ちがっ…」
確かに、他の仲間か魔物かわからないものが夢に出てきたが、そんな夢を見たのはたぶん、シンが刺激してきたからのような気がした。
「忘れろ。俺以外の夢を見るな」
激しく何度も最奥を責められ、休みなくあちこちを刺激されて、ヒロインの思考が白濁していく。
「もう…シンさ……んっ」
切なげなヒロインの声を発した唇を塞いだシンが、細い腰を強く抱え込み、欲情を注ぎ込む。
「ヒロイン…」
優しく名前を呼ぶ声を聞きながら、ヒロインは、今度は幸せな夢に堕ちていった。
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