伝達の方法



「シンさ……っん。やぁぁつ…、あぁん……」
 何度も高みへ連れて行かれて濡れきった甘い声をあげるヒロインの腕を捕えて、シンが囁いた。
「まだだ。まだ半分も伝えてない」
「っ…あっ、変になっちゃ……っや……」
 どれだけ好きか、思い知らせると宣言したシンは、より激しくなる一方で、ヒロインは乱れに乱されていく。
 一度、迸りが注がれた後も、シンはヒロインの中から抜くことはなく、愛撫とキスを繰り返し、いつの間にか硬さを取り戻して責め立てはじめていた。
 多くの刺激を受けて敏感になったヒロインの身体は、シンが動くたびに小さな痙攣を繰り返す。
「んっ…だめぇ……っっっ」
 大きく仰け反って、ぐったりとなったヒロイン。その腰を抱えたシンが、深く貫いて注ぎ込む。
「ヒロイン…」
 すっかり意識を飛ばしてしまったヒロインの頬や額に張り付いた髪を指先で除けて、シンはキスを落とした。
 そっと、優しくかき抱いて、苦笑する。
「…まだ俺は足りないんだがな……」
 自分の中に渦巻く愛しさは、とても言葉にできるようなものではなくて、どんなに抱いても伝え切れる気がしない。
 埋め込んだままの分身を抜いて、ヒロインを抱え直す。
 相手がヒロインならば、シンはたぶん、一日中でも飽くことなく抱いていられる気がする。
 ついばむような小さなキスを、額に、瞼に、頬に、そっと降らせながら、どうしようもなく愛しい存在を抱きしめる。
「どうしたら、全ておまえに伝わるんだろうな……」
 力尽きて眠るヒロインに、シンはそっと語りかけた。
「愛してる、じゃ足りない。ありがとう、じゃ伝わらない。この俺が自分で持て余すほどなんだぞ?」
 ぐったりと反応のないヒロインの肩を撫で、手を取って指を絡める。
「…俺の身体に収まりきらないものが、俺より小さなお前に収まるはずもないか……」
 くすっ、と笑って、深く唇を吸う。
「ん……」
 微かに声を漏らしたヒロインが、情事の名残が強く残る瞳でシンを見て瞬きをした。
「やっと気がついたか」
 シンがぼんやりしているヒロインに、笑いかける。
「呆けているなら、また抱くぞ」
 シンの言葉に、ヒロインが、うっとりと微笑む。
「シンさん、大好きです」
 それだけで、なだめようとしていたシンの中の雄が、ひどくざわめく。
「…わかってる」
 自分は、おそらくもっと好きだ、と応えるに足る言葉が見つからなくて、シンは首筋へ、身体へ、キスで応える。
 やたらと甘く反応する声は、何よりも想いが伝わっている気にさせる。
 言葉にできない想いは、この身体に刻みこんで焼きつけてしまいたい、という衝動。
 再びヒロインの中へ身を沈めたシンが、最初の時よりは幾分優しく、喘ぐ唇にキスを繰り返した。
 言葉じゃ足りない。
 けれど、抱いても足りない。
 微かな意識の中で、ヒロインはそんな言葉を聞いたような気がしていた。


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