甘いキス
「おいっ」
食事も、その片付けも終えて、お風呂に入ろうとしていたヒロインを、シンが背後から呼びとめた。
「はい。なんでしょう?」
振り返ると、突然シンの指がヒロインの顎を捕えて、キスが降ってくる。
何の前触れもなく重ねた唇から侵入してきたシンの舌先に、ビクリ、と肩をすくめたヒロインが、シンの胸を押しのけて、逃れた。
押しのけられたシンが、目を眇める。
「どういうつもりだ?」
「え…あ…と、その、突然だったので、つい…」
「ほう?」
笑っているのは口だけのシンが、もう一度、ヒロインの顎に人差し指をあてて、上向かせる。
「なら、次は大丈夫だな?」
ゆっくりと、深く重ねた唇。
歯列をなぞった舌がヒロインの舌を絡め捕る。
再び、ヒロインが、ビクッと、全身を強張らせた。
その反応は、恋人の甘い刺激に対するものとは異なるもの。
拒み、避けようとする反応に、シンがヒロインの肩を掴んで唇を離す。
「どういうことだ?」
「へ? あの…えーと…」
自分でも、不自然だという自覚があったのか、ヒロインが瞳を泳がせる。
「説明してもらおうか?」
冷たい視線に見下されて、ヒロインが背筋にうすら寒いものを感じた。
「なに…を、説明すればいいでしょうか?」
「とぼけるな。お前が、俺とキスしたくない理由を、俺が納得するように説明してみせろ」
抑え込んだ囁きは、怒りすら含まれている。
「えぇっ、シンさんとキスしたくないなんて、思ってませんっ」
ヒロインが、驚いたようにシンを見上げた。
「なら、どう説明する?」
再び、シンがキスをしようとする。
その気配だけで、ヒロインが身構えた。
「…………」
触れるか触れないかのギリギリの場所で、シンが止まる。
間近に迫った目が、怒りを孕んでいる。
「昼間、ナギにキスでもされたか? それとも、相手はドクターか?」
「ほへ?」
あまりに予想外の言葉を囁かれて、ヒロインはきょとんと、シンを見返した。
「………」
キスに、あまりに変な反応をするから。
身をすくめるような反応をされて、何か、シンに後ろめたさを覚えるようなことが、キスに関してあったのではないかと…昼間、不慮の事故とか何かのはずみで、ナギかソウシとキスをするようなことになったのではないか、と…一瞬、シンを捕らえた考え。
けれども目の前の間抜けな表情から、自分の脳裏をよぎった考えが違う、と悟ったシンが、溜息をつく。
ヒロインに関して、時折、冷静な判断を損なう自覚は、一応、シンにもある。
「…口をあけて、舌を出せ」
「え? あ…その……」
途端に、怪しさ倍増のヒロイン。
「……いつまでも、俺に隠しておけると思うのか?」
「す…すみません…」
「きちんと話せ」
「はい…」
ヒロインが、しゅん…とうな垂れた。
「まったく…どうやったら、転んでこんな傷になるまで舌を噛むんだ?」
「しゅひはへむ…」
転んだ拍子に舌を噛んだというヒロインは、傍目にも確認できる切れた痕を舌に残していた。
「まだ痛むんだな?」
「はひ……」
真相を知ったシンは、苦笑しつつ、ヒロインのおでこを弾いた。
「った…」
「俺に隠しごとをするんじゃない」
「…ごめんなさい……」
今更ながら、ソウシがシンに伝えるべきだと言っていたことをヒロインは思いだす。
舌を絡めるようなキスは、痛くてできない…と、自覚したのは、シンにキスされてから。
俯いて肩を落としたヒロインの首筋に、シンが唇を寄せた。
「え? え? え??」
戸惑うヒロインをベッドに押し倒し、器用なシンの手が、衣服を奪っていく。
「俺に隠しごとをした罰だ」
衣服を奪いながら身体を滑り下りていくキス。
下着まで奪い取られたヒロインが恥ずかしがるのを完全に無視して、足を捕らえ、押し開く。
「あっ…やっっ……」
「今日は、こっちの口でキスの相手をしてもらおうか?」
指先で奥へさらに開いて露わにした秘口を、ペロリとシンの舌が撫でる。
「ひぁっ…」
シンは肩の上にヒロインの膝を乗せ、腰を捕えて身体を起こした。
「やあぁっん……」
両足を持ち上げられ逆立ちの状態になったヒロインの秘口の中を、シンの舌が弄り、吸う。歯列をなぞるような動きで、襞をなぞる。
「あん……ぅ……」
普段であればキスをしながら髪の中に差し込んだ指で頭を撫でるように、秘口を押し広げている指先が、小さな芽の部分や周辺を刺激する。
「んっ……あっ……あんっ…」
「こっちの口は、ずいぶんと涎が多いな……」
「やん……」
次第に潤んで蜜を溢れさせる秘口を、音を立ててシンが吸った。
「あぁぁっ……」
「ほら、こんなに濡れてるぞ」
意地悪な笑みを浮かべながら、舌で内部を嬲り始める。
「まずは、キスだけでイカせてやる…」
再び秘口を塞がれて、強く吸われ、ヒロインは甘い声をあげた。
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