我侭な渇望
「散々心配かけさせやがって…よかった…」
賞金稼ぎに連れ去られ、無事に助け出されてシリウス号に戻る途中のボートの上で、二人だけになったヒロインは、シンにきつく抱き締められた。
「今回は、ファジーに感謝だな」
呟いたシンに、ヒロインが頷く。
「ところで、おまえ、本当に何もされてないだろうな?」
抱きしめたまま、足舟の床にヒロインを押しつけて、シンがキスをする。そして衣服の隙間から、手を滑り込ませた。
昼さがりの海は明るく輝き、真上から太陽が照らしている。
「シ、シンさんっ。やだっ、大丈夫でしたから、やめてください」
肌の上を滑るシンの手。ヒロインは、なんとかその手を押しとどめようとする。
「触って確認するだけだ。大人しくしてないと、転覆するぞ?」
「だって…」
「寝ている間に襲われなかったと、お前は本当に言い切れるか?」
「そ…れは……」
「確かめてやる」
服の中に入り込んだシンの指先が、胸の突起を摘まんだ。
「やんっ…」
ひとしきり、胸を弄った手が、腹から下へ滑る。割目をなぞって、内側へ指を差し入れる。
「っ…ぁんっ……」
「なんでこんなに濡れてる?」
「ひゃあっん……だって、シンさんが…」
シンが、ククッと笑って、手を服の隙間から抜いた。濡れた指先を、見せつけるようにペロリと舐める。
「お前の味だ。大丈夫だったようだな」
ヒロインの顔を覗き込んだ。
「どうした? せっかく止めてやったのに、いつまでもそんなエロい顔で寝転がっていると、本当にこのまま襲うぞ」
「っ…」
耳まで真っ赤になったヒロインが、身を起こす。
「……どっちにしろ、夜まで待てる保証は無いが…」
そう言うシンの手が、やたらと誘う様にヒロインの唇を撫で、耳元をくすぐった。
夕方、薄暗くなってきた船内で、そろそろナギの手伝いに行こうとして甲板に出ると、物陰からすっと伸ばされた腕に、抱きすくめられた。
ふわり、と馴染みの匂いがして、一瞬強張らせた緊張をヒロインが解く。
「シンさん…?」
ヒロインの顎に手を添えたシンが、黙ったまま唇を重ねて、舌を絡める。
こんな風にキスされるのは、今日、船に戻ってから既に三度目だった。
流石にヒロインも、しきりにシンが言葉以外で自分を誘っていることに気づく。
「あの……ナギさんのお手伝いにいかないと…」
言った途端に、先ほどよりもより深く濃厚なキスが落ちてきて、ヒロインは思わずシンの身体に縋りつく。
「っ、シンさんっ」
「なんだ?」
行動では散々誘ってくるのに、やけに冷静な声が応えた。
「……もしかして、からかっています?」
「まだ伝わらないか?」
冷静な声というよりは、何かを抑え込んでいるような声だとヒロインが気づく。
「だって…こんなとこじゃ…」
「部屋まで運んでやるから、俺が望んでる言葉を言え」
「え、でも、ナギさんの…」
今度は最後まで言う前に唇を塞がれ、言葉を奪われた。
「他の男の名前なんか、言わなくていい」
度重なる、強く求める意図の含まれたキスに、恋愛感情だけが引きずられていく。
まさに、細胞の一つ一つが、喜んで応えようとするかのような震えが、ヒロインの胸に渦巻く。
「シンさん……」
「なんだ?」
ヒロインを見つめ返した目が、今、欲しいのだと語っていた。
夕食前でやることがあるとか、まだ夕方だとか、そんなことはすべて関係なく。我儘な渇望。
こんな求められ方をしたらどうすればいいのか、ヒロインには考えもつかない。
シンしか知らないのに、こんな求められかた、初めてなのだ。
「私、どうすればいいですか?」
「どうしても嫌なら、逃げればいい。嫌じゃないなら、おとなしくしてろ」
「じゃあ、おとなしくしてます…」
答えた途端に、腕を引かれてシンの部屋に連れ込まれる。
いつになく、ひどく性急に煽られ、衣服を脱ぎ去る前にシンに穿たれる身体。
「ふっはぁ、んっ、んくっ…」
激しく奥を求められて、ヒロインの呼吸が乱れる。
「くっ……」
切なげな呻きと一緒にシンの精が注がれたように感じたのに、ヒロインの蜜口を塞いでいる栓は元気なままで、すぐに動きを再開する。
「あっ…ああっ…」
けれど、先程までとは一転して、シンの手や舌が、ヒロインを高みへ連れて行くような刺激を休みなく与えてくる。
蜜口に穿たれている栓が、ゆっくりと出入りを繰り返すたびに、粘液を掻き混ぜて泡立てるような音が耳に届いてくる。
ズチュン、クチュン、ズチュン、と時々、粘液が飛び散るような感覚を、つながっている周囲に覚えて、ヒロインは恥ずかしさのあまりに顔を覆った。
「おとなしくしているんだろ? 顔を隠すんじゃない」
少し掠れたシンの声が、耳元に響く。
「あぁ、はぁ、はぁ…、はぁ…」
ヒロインの呼吸に合わせるように、ズチュ、クチュ、ズチュという音が速度を増していく。
「あっ、あぁ、シンさんっ、やっ、やぁっ」
貫かれた部分から背中を駆け上がってくる衝動に、ヒロインが大きくのけぞって嬌声をあげた。
「まだだ。まだ足りない」
ヒロインの身体を持ち上げたシンが、穿った部分をそのままに、ヒロインの身体を回転させて後ろから抱き締める。
「はぅんっ、やぁ、シンさん、変に、なっちゃ……」
後ろから伸びたシンの手が胸の敏感な部分をひどく刺激する中、穿たれたシンの分身も出入りを繰り返し続ける。
「な、なんで…、こんなに………」
「ずっと我慢していたのに、一回で足りるわけがないだろう」
シンの飽くことのない攻めに、おぼろげな意識の中で、この次にこういう誘われ方をしたら逃げよう、と微かに思うヒロインだった。
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