口止め料
時刻は、深夜になっていた。
「シンさん、やっぱり熱まだあります?」
「バカなこと言ってるんじゃない。俺より、お前の方が熱いぞ」
重ねた肌の暖かさに思わず聞いたヒロインが、赤面した。
「こんなに赤くなって、そんなに気持ちいいか?」
胸の突起を抓まれてヒロインが仰け反る。
「まあ、口止め料だから、もっともっと気持よくしてやらないとな」
言葉とは裏腹に、意地の悪い笑みを浮かべているシン。
「口止めって…そんな、いりませんから…っんあっ……はぅ」
「いや。この口は、いつ、うっかりしゃべるか分からないからな」
シンの指先が、唇を妖しくなぞる。
「それって……どっちかといえば…お仕置きなんじゃ……んっ」
「ああ、そういう言い方もあったな」
唇が合わさって、ヒロインは言葉も吐息も封じられる。
さっきまで唇を撫でていた指先が、蜜口の襞を撫で始め、ヒロインの肌が更に熱を帯びる。
「さて、どうして欲しい?」
ようやく自由を取り戻したヒロイン唇は、ぼうっとして言葉を紡ぐ余裕すら無くしてしまっていた。
「ん? キスがいいのか?」
シンの舌が、ペロリと唇を舐め、耳元に移動する。
「ここも舐められるの好きだろ?」
耳に息がかかって、唇から吐息が漏れた。
「ここを吸われるのも、好きだよな」
首筋に紅く跡が残る。
あちこち刺激しながら移動していたシンの舌が、秘襞を舐めた。
「こっちの口の方が、モノ欲しそうにしてるな」
深く口づけて、指先で隣の小さな突起を抑える。
「んぁあぁぁぁぁぁっ」
それまで漏れていたヒロインの吐息の音色が、明らかに変わり、その変化にシンの分身がより熱を帯びた。
「お前も俺を舐めてみるか?」
欲情に潤んだヒロインを眺めて、クスと嗤ったシンは、「まあ、いいか」と呟いて、ヒロインの腰を抱える。
自分の上に後ろ向きで座らせるように穿つと、のけぞったヒロインを背後から抱きとめてベッドの端に座って耳に口をよせ、囁く。
「お前、昼間、ハヤテに横抱きされただろ? ほら、隣のハヤテが眠れなくなるくらいの、いい声あげてみろよ」
「えっ? あっ…あっ」
穿ったまま、一切動かさずに、指先だけがヒロインの身体を弄って刺激していく。胸の二つの小さな突起を指でつまんで転がしたり引っ張ったりと、楽器を弾いてでもいるかのように。
いっぱいに入ったまま、動かないシンの分身を、ヒロインの秘襞が切なげに収縮して誘いはじめる。
「そんなに俺を締め付けて、どうして欲しいんだ? もっといい声聞かせろ」
刺激を求めて自然に揺れ出すヒロインの腰を押さえつけ、指先が今度は小さな芯芽を撫でまわし、押しつぶし、摘んで転がそうとする。
「やぁんっ、やぁ……シンさんの、いじわるぅ…ぅんっ、んはっ…」
高くなったヒロインの声に、満足気な笑みを浮かべたシンは、ようやく律動を始める。
焦らされていたヒロインが甘く高い嬌声をあげながら、登りつめていった。
やたらとエロい声が聞こえてくる。
「なんだよー。また、ヒロインか? あれ?」
見渡して、娼館だと思った。
そそる声が漏れてきて、身体が熱を孕む。
「俺も…って、女はどこにいるんだ?」
声は聞こえてくるけれど、広い娼館のどこを歩きまわっても、娼婦が見当たらない。
いや、客も見当たらない。
開けた扉の先で、船長が女を抱いていた。
「船長っ」
「おう、ハヤテか。お前も混じるか?」
まるで、酒を勧めるくらいな気安い誘いで、船長が笑った。
一人の女が、ハヤテに背中を向けて、船長にまたがり、首に腕をまわしている。
裸の背中がくねるような、なまめかしい動きが、船長のモノに感じまくっているんだろうな、と思わせる。
確かに、エロい声はそいつが発している。
「混じるって…女、そいつしかいねーじゃん…」
「ガキが。女は1人いれば充分だろ?」
船長のうしろにいつの間にか立っていたシンが、ハヤテを見下したように嗤って、女の顎をもち、口づけた。
「…んっ…シンさん……」
顔はみえないが、今の声って…。ドクンと、ハヤテの雄が反応する。
「い…いいのか?」
方法を知らないわけじゃない。ならず者がそういうことをしている場に踏み込んだこともある。……ただ、一人の女に男が何人もなんて…唾棄すべきことだと思っているけど…。
「…あぁっ……もっと……」
シンや船長だけじゃ足りないと、本人から誘われるのなら、そういうのも…。
はっと、起き上がったハヤテが、辺りを見渡した。
「っんだよ。夢かよ」
いろいろと驚いた。ありえないけど。揺らいだ。悔しいけど。夢で助かった。
隣の部屋から夢の続きのように洩れ聞こえてくる声に、すっかり反応している身体が熱くなる。下手に、さっき夢の中でその気になったから尚更。
「やべぇ……最悪…」
少し苦しげに、ハヤテは熱を持った自身を握りしめた。
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