人紐遊び
食事を終えた後で、ヒロインとシンは甲板で潮風にあたりながら、話していた。
早々に月が沈んでしまった夜空は、満天の星。
「九連環?」
「はい。シンさん知っていますか?」
「チャイニーズリングのことだな。紀元前からあると言われる歴史の古い知恵の輪だ」
「おじいちゃんが得意だったんです。すごく速くて…」
「その割には、お前、その知恵の輪、時間かかっていたな…」
「だって…得意だったのはおじいちゃんで、私はそんなに得意では…」
ヒロインが、手のひらに握っている『謎の鍵』を見つめた。
「これ…船長が言ったみたいに消えちゃうのかな…」
「どうだか。意外と、お前が持っていれば消えないような気がするがな…」
「え?」
たしか、一つ一つのパーツが象徴している人物は、シンとナギとソウシだったはずだから…。
「そうか。船の悪戯か…」
何故、リュウガの手を経て姿を消したものが今頃顕れてヒロインの手に渡ったのか…。
船が波をかきわける音が、いたずらの笑い声のようにも聞こえる。
「俺は、この船が好きだ……」
星空を見上げたシンが小さくぽつりと呟くのが聞こえて、ヒロインはシンの横顔を見上げた。
「シンさんはどのくらいこの船に乗っているんですか?」
少し目を輝かせて訪ねてきたヒロインを、シンは振り返って苦笑する。
「…一級航海士の資格を取って、卒業して……ずっとだな」
「?」
「ばか。そのくらい自分で計算しろ」
シンがヒロインに影を落とす。
「月もない星空だ。…スルか?」
囁いてそっと触れるだけのキスをして、ヒロインを覗う。
「えっ…えと……」
眼を泳がせるヒロインを、シンが横抱きにかかえた。
「シンさんっ、あのっ…」
「今、その気になっただろ」
シンが、にやりとヒロインを見下ろした。
「あ、あの…」
船尾の隅、ロープが沢山置かれている中に、ヒロインが半裸の状態で座り込んでいる。
「知恵の輪には、金属製や木製のものと紐製のものがあるのを知っているか?」
シンが愉しそうに縄の束を手にして、ヒロインを見下ろした。
「ほら、手を出せ。大丈夫だ。痛くしない」
シンがヒロインの右手首にロープをくくり付け、1メートル以上のゆとりをもって左手首に結ぶ。
自らの左手首にも別のロープをくくり付け、両手を左右に広げられるだけのゆとりを持って、切り取った。
ヒロインの両手を括るロープに、シンの左手首へつながるロープを通し、器用に自分の右手首に括りつける。
「原理は簡単な知恵の輪と一緒だ。切らずに、解かずに、抜け出してみろ」
抜け出せと言っておきながら、ヒロインの首筋にシンの息と舌が這う。
「ちゃんと抜け出せたら、外してやる」
抜け出すも何も、深くキスされて、ヒロインは思考が覚束なくなる。
「どうした? ちゃんと抜け出すまで俺はやめないぞ」
シンの指先が胸の上をすべり、ロープが肌を撫でる。敏感な突起がこすられて、ヒロインはのけぞり甘い声を漏らした。
意地悪な指先が、腕をなぞり、うなじを撫で、ヒロインの脇をロープが移動する。
身体を持ち上げられ、シンに抱きかかえられた足の上をロープが絡んでいく。
「ほら、ちゃんと考えて動け。逆に絡まるぞ」
シンは楽しそうにクククと笑い声を洩らしながら、ヒロインの足に絡んだロープを外す。
「…そ、んな……ぜんぜん……わからない、ですけど………」
シンが悪戯のように触れたり撫でたりする刺激に振り回されているヒロインには、自分のロープがどうなっているのか、シンのロープがどこにあるのか、想像もつかない。
「…仕方ないな。ほら」
ヒロインから離れたシンが、手を広げる。
いつのまにか、ヒロインはシンのロープの内側に入り込み、2本のロープは背中に回っていた。
「え?」
「うまく動けよ」
ニヤリと笑ったシンが、ヒロインの足を捕らえ、内股や足の付け根を擽る。
「やんっ…」
逃れようと身をよじると、肌の上を再びロープが這いまわる。
蜜口をなぞり始めた指から逃れようと身体を動かすと、シンが嗤った。
「ばか。そのロープを持っていくな」
自分の動きに引っ張られたロープが肌ではなく蜜襞を撫で動く。
「あうぅっ……」
思わず、切ない声が漏れた。
「指よりこの方がいいか? 自分でやってるあたりが、特にエロいな」
シンが顔を覗き込む。
「ちがっ…」
「ほら…」
確かに、ヒロインの秘部を刺激しているのは、ヒロイン自身につながれているロープの方だった。
「自力で足をあげて抜け出せ」
相変わらず、シンは愉しそうに眺めている。
ようやくロープの輪から逃れたヒロインを、シンが抱きしめた。
「よくやったな」
気づけば、二人のロープはどこも交わらず、別々になっている。
「約束だ。外して、ご褒美をやるよ」
ロープの結び目を解いたシンが、優しくヒロインに身を沈めた。
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