登場人物紹介


この話の主要登場人物は、3人です。つまり、「神様」と「修行中の巫子」と「巫子」。
ただ、作者の感性が巫子という言葉ではイメージにあわないと判断したため、
斎主(いつきぬし)という言葉を使用しています。宮司のようなものだと思っていてください。



 夜見 
よみ
神社に住みついている神様。といっても、やたら人間的。和御魂的。
次期斎主の教育係も兼ねている存在。
でも、神様だからいろいろと神通力を持っている。二重人格っぽいのは、その神通力のせい?
弓月夜見と同一人物です。

弓月夜見
ゆみつくよみ
夜見の本性。というか、神様の部分。荒御魂的。こわいです。はい。いろんな意味で。
夜見くんもそうですが、日々の月を読むのが役割です。
暦の神様って感じですかね。でも、月の影響を強く受ける方です。
夜見くんと同一人物なんですよ。

 真樹 
まさき
次期斎主。つまり、後継ぎ息子です。
毎日、お供物を夜見くんに届けて、ついでにいろいろ学習するのが、後継者のお仕事です。
なにやら、スゴイ能力もっていそうです。

 信志 
しんじ
現在斎主。真樹の父上様です。
夜見くんを見ることができる年齢は過ぎてしまっていますが、若い頃の修行の成果か、気配だけで神様の居場所を察知します。
当然のことながら、「後継者時代」は、夜見くんにいろいろ教えてもらいました。

 桂夜 
けいや
真樹くんの息子。信志さんの孫。最終話でちょっと出てくる予定。


伝承は、時に真実を語る。
人々の心を、強く捉えた言葉は、後世に生き残る。
数百年の時代を超えて生き延びた言葉は、伝え残した人々の魂を宿らせ、人々を惹きつける。
そんな不思議な力を、言霊と呼んで人々は畏れた。
どんなに時の権力者が消したくても、消せなかった名前。
言霊の力で生き残った、伝承の名前。
古事記や日本書紀に印された神々の名前の多くが、
それを伝え守った人々の魂を受け継いでいる。
おそらくその重みゆえに、消すことのできなかった事実。
改竄に耐えた言霊。
生き残った言葉達は、抗えずに、たやすく消されてしまった伝承が数多く存在することを伝える。

天照大神。
太陽に遣えた女性。
ひのみこ…日の巫女……陽の皇女。
日の恵みをもたらす彼女は、決して殺戮を行わない。
機嫌を損ねると、自分から隠れてしまうほどに、流血を嫌う。

月読命。
月に遣えた男性。
つきのみこ…月の巫子……陰の皇子。
彼は、殺戮を行って多くの種を入手し、人々に作物を与える。
そして、夜空に浮かぶ光で時を教えることによって、実りと大漁をもたらす。

もう一人は、大きく役割が異なる、スサノオ。
荒れ狂う海辺から、日の巫女が統べる国へ攻め上り、
追放されて八つの頭が統べる大地を制圧し、新たな国を築いたスサノオ。
しかし、その新たな国はいつしか日の巫女のものとなり、彼は死者の国へ辿り着く。
風の神とは名ばかりの、太陽と月の兄弟。

日の巫女の国が、天皇の統べる国であったとしたら、
スサノオの築いた新しい国、八雲八重垣のイズモは、誰の統べる国であったのだろう。
そして、月の巫子の国、夜と食のオスクニは、どうなったのだろう。
史書編纂の権力者が消しきれなかったイズモの物語。
名前以外は削除されてしまったオスクニの物語。

残された古事記・日本書紀において、「月読命」の血を引く者は一切登場しない。



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