幻夢氷



    
プロローグ
誰?
「………」
あ…。もしかして貴方は……。
「………」
 とめどなく涙があふれる。理由は分からなかった。ただ、悲しかった。そして、切なかった。
 彼方で、俺を呼ぶ声が聞こえた。

     

一・涙
「起・き・ろ・っ」
 ガタタッ
 突然の大声に、俺はベッドから転げ落ちてしまった。ちょうど頭上に瑛樹の冷ややかな顔がある。
俺はそれを睨みつけて言ってやった。
「ってーなっ。何すんだ、この野郎っ」
 人がせっかく、いい気分で寝てたって言うのに。
そりゃ、仕事中に居眠りしてたとか言うんなら、文句も言えねぇけど。
俺は、きちんとベッドで眠っていたんだぞ。ベッドで。
「陟が起床時間を三時間も過ぎても、まったく起きて来ないから、仕方なーく、起こしに来てやったんだよ。ありがたく思って欲しいね。ぁれ? 陟。どうかしたか?」
   不意に瑛樹が顔を近づけて来た。
「な、何だよ」
 言い返してから、気づく。俺、何故か涙流してたりしないか? それで慌てて拭ったのに、涙は次から次から溢れてきて……。
「おいおい、大丈夫か?」
 瑛樹の心配気な表情が、涙で歪む。
なんなんだ、一体っっ。
どうなってんだ? 
俺は涙を必死で拭いながら言った。
「瑛樹っ。 いっとくけど、別に悲しいとか、痛いとか、そういうんじゃないからな。変な誤解すんじゃねーぞ」
「そのくらい、見てりゃ分かる。何年おまえの側にいると思ってんだ。おまえはそんな泣き方はしないだろ。ほら、その目、見せてみな」
 俺は幾分驚きながら、瑛樹を見た。コイツ、いきなり妙に優しくないか? 
「俺の泣き方って……」
「陟は思いっきり重苦しいバックを背負いながら、暗ーく惨めな泣き方するんだよ。傍から見ていて、怖くて近寄れなくなる」
 なんとなくムカッとする。どうしてこう、瑛樹は……。
「おい陟。昨日、外で作業したとき、何かあったか?」
「いや、何も」
「……鈍感」
「なんだよっ」
「多分γ物質が目に浸透しちまったんだな」
 瑛樹がくるりと向きを変えて、ドアに向かって歩きだす。
「? γ物質って?」
「どうせ陟に説明しても理解できないだろ。いいか、おとなしく、目をつぶって、しっかり寝てろよ。僕が来るまで、起きるんじゃないぞ。別にその泣き顔を時菜にみられてもいいんなら、起きてたっていいけど」
 それだけ言うと、部屋を出て行く。
なんだ、なんだ? 一言よけいなんだよ。し、しかし。この際、瑛樹の言うことに従うしかないだろう。どう考えても、俺よりアイツの方が、事態を把握しているようだし。
 俺は、ベッドに潜り込んで目を閉じた。

 また俺か。
おっと、俺は陟(のぼる)。機械関係の天才児だ。
まーさか、俺のことを知らないという奴はいないだろうが、ひょっとして知らなかったりする奴のために、基本事項だけ説明してやろう。
 俺たちは、ミューニタストという、外見人間で真空や水中で生きられて、高度な知識と能力を備えた、素晴らしい生物だ。
ついでに今現在は、俺の作ったTATっていう宇宙船で、宇宙空間を旅してる。
 俺の仲間は、情報処理の天才、テレパシーもできる瑛樹(えいき)と、可愛い時菜(ときな)、総責任者の科学者、美麻(みま)さんに、透明の宇宙柔体生物、火香利(ひかり)の4人。
 ええい、あとは面倒だ。
今までの話を知りたけりゃ、前作(幻夢水・幻夢泡・幻夢雫・幻夢雲・幻夢霧)を読んでくれ。
数が多くて、とても説明しきれない。
と、いった所で、やっと本文に戻ろう。

 瑛樹が部屋を出て行ってから、かなり経った、と思う。
眠くもないのに目を閉じて寝ているってのは、退屈以外の何物でもない。
「ったく、さぁ、事ある毎に倒れてる貧弱な瑛樹じゃあるまいし、俺にただ寝てるなんて芸当、できるわけないじゃん」
 独り呟いて、ベッドから起き上がる。
とはいっても、目を開けば涙が出てくるんだから、たまったものじゃない。
「おい、誰が貧弱だって? おまけに寝てろって言ったのに、しっかり起きてるってのは、どういうことだ? 一時間ぐらい、静かに待てないのか、陟は」
 いきなりドアが開いて、水差しをもった瑛樹が現れた。俺は涙をボロボロこぼしながら(わざとじゃないぞ)反論する。
「普通、こんな状態の病人を、一時間もほったらかしにするかぁ?」
 瑛樹は一瞬顔をしかめ、それから俺の前に歩み寄った。
「自覚もないくせに、偉そうなこと言うんじゃないよ。……ほら、上向いて、目を開けて」
 先程とは打って変わった真面目な声に、俺はなんとなく従う。ところが、瑛樹はいきなり俺の真上で水差しを傾けた。
薄青紫色の液体が垂れてくる。
「わっ……ちょ…ちょっと、瑛樹、ストップ、ストップっっ」
「暴れるな。大丈夫だよ、衣服類は濡れないから。ば、馬鹿。下向いてどうすんだ」
「何だよ、その毒々しい液体はっ」
「薬に決まってるだろ、ほら、上向けっ」
 上から強引に額を押さえ付ける。く、首が……。
「絶対、目を閉じるなよ」
 確かに衣服類は濡れないが……この野郎、目に薄青紫色の液体が落ちてくる恐怖を、理解してないんじゃないか? これで、目を開いている俺って、すごいよな。
 ふっと、瑛樹の腕の力が抜ける。涙は見事に止まっていた。
「応急処置だから、そう長くはもたない筈だ。まず、進路変更しなきゃならない。メインルームへ行くぞ」
「は?」
「説明はあとでゆっくりしてやるから」
 それだけ言うと、さっさと部屋を出て行く。なんでこう、アイツは自己中心的なんだ。それとも、俺がアイツのペースについて行けないほど馬鹿なのか。
「あ……、おいっ、待てって」
 俺は慌てて、瑛樹の後を追った。

     

二・結晶体
「VEO179270.05485。UITQ7.50987323。SLF.YUV.ADP.5,8,3,0。IIW.FFG.MQZ.0,2,4,6」
「やけに複雑だな……」
 そう言いながら瑛樹の声をTATの回路に組み込み、座標箇所にむけて発進させる。
「分かりもしないくせに」
 瑛樹の大きめの独り言が、俺の耳に届いた。
「悪かったな、計算能力が低くて」
「いや、意味も分からないくせに、よくぞ複雑だと分かったなぁ。と、非常に素直に感心しただけだよ」
 今の言葉が? とてもそうは思えなかったぞ。
「瑛樹はひねくれ者だなぁ」
「陟はワンパターンだなぁ。他に何か言えないわけ?」
「俺はいつでも自分の感情をストレートに表すの。どっかの誰かみたいに、回りくどく嫌みを言って遊ぶような趣味はないんだよ」
「僕は、なるべく当たり障りのない言葉を選んで、的確な話をしているだけなんだけどね」
 どこが当たり障りのない言葉なんだか。
それから俺は複雑に文字の移り変わるパネル(次元転換でもしているのだろうか)を何げなく眺めながら、ふと、時菜と美麻さんの姿と火香利の気配がないことに気づいた。
瑛樹に尋ねると、鈍いと言わんばかりの表情で、話し出す。 「γ物質ってのは、一度浸透してしまうと、取り除くのが結構大変なんだよ。しかも、なるべく早めに取り除いてやらないと、犯された器官が使いものにならなくなる。つまり、陟の場合は失明してしまうというわけだ。これを聞いて、はじめて驚いたりするなよ。一応、このことは、教習所の抗議で詳しい説明があったんだからな。まあ、陟は僕の隣でぐっすり眠っていたから、覚えてないだろうけど」
「…………(反論の余地がない)…」
「で、取り除く方法は幾つかある。その中で一番成功率が高いのは、ζЭξ物質とЩΠ物質とЮ物質を《3.65:5.77:0.429》の割合で化合させた液体を接種するという方法だ。僕がわずか30分でおよそ二千の資料を読み取って、自分の記憶に有る限りの情報と兼ね合わせて処理した結果、どの物質も手にはいることが分かった。まず、ζЭξ物質は火香利に頼んだ。重力が想像を絶するほど強い所にあるからね。ЩΠ物質は1光年ほど先の小惑星にある。小型機でも、2時間もあれば行けるだろう? 時菜と美麻さんは、それを取りに行った。そして、最後のЮ物質なんだが、およそ7光年先だ。TATの最高速度で行けば、7時間。けれど、巧みに次元の間を縫って進めば、半分くらいの時間で行けるだろ。以上が、時菜と美麻さんと火香利のいない理由、γ物質の説明、その他だ。わかったか?」
 ここでわからないなんて言ったら、今以上に馬鹿にされる気がする。
「つまり、実は俺ってば非常に危険な状態で、皆は俺のために出掛けている、と?」
「要約すれば、そうなる。それからあの薄青紫の液体は、γ物質の原子を一時的に取り込んで、働きを制限するものだよ。効くのは一度きりだけどね」
 そうだったのか。
しかし、どうして瑛樹はこんなに知識が豊富なんだろう。記憶力がいいからって言っても……。いや、やめておこう。俺が空しくなるだけだ。
 それから一時間ほどして、TATの微かな振動が、止まった。目的地に着いたのだ。
「ほら、行くぞ」
 瑛樹はさっさとメインルームから出て行く。
「お、おい。」
 俺は慌てて、その後を追った。
事もあろうに、瑛樹の野郎はそのまま宇宙空間へ出て行く。ま、小型機は時菜と美麻さんが乗って行ったらしいし、当然…と言われればそれまでのことなんだが。
「瑛樹は鈍感だもんな……」
「誰が鈍感だって? 僕は適応能力が優れているの。γ物質が体内に入ッたのも気づかずに一晩過ごす陟の方が、よっぽど鈍感だよ」
「なっ……」
「ほら、入り口で突っ立っていないで、出てくれば?」
 平然と真空中に立つ瑛樹が言った。俺は仕方なくTATを降りて外へ出る。
瞬間、重力調整装置の影響がなくなって、浮遊感。
次に激しい嘔吐感。
突き刺さるような寒さ。
関節という関節が、きりきりと締め付けられる。
どうして瑛樹はこんな中で元気なんだか。コイツの場合、宇宙空間の方が元気よくなるって言うんだからなぁ。つくづく、妙な能力持ってる奴だと思うね、俺は。
「行くぞ」
 瑛樹が小さな桃色の光に向かって、進み始める。
「? おい、瑛樹。何だ、あれは? かなり遠そうな光だけど……」
「Ю物質の結晶体さ。こうやって見ると、遠くにありそうだけど、実際、距離にすれば、それほどないはずだよ。もともと、小さなものだからね」
「なんで光っているんだ?」
 自慢じゃないが、化学分野は記憶にない。
「宇宙空間にある微粒子と反応してるからだよ。そのくらい、知らなくても推測しろよ」
 そんな会話をしているうちに、直系50センチほどの結晶体ってヤツにたどりついた。

     

三・採取
「おい……、こんなでかい物、どうやって持って行くんだ?」
「陟は馬鹿だなぁ。こんな大きな物、TATに乗せられるワケないだろ」
 だから、俺がどうやって持って行くのかと聞いたんじゃないか。コイツ、絶対、俺の話聞いてない。
「人の言ったことぐらい、聞いてろよな……」
「聞いていたよ。陟がこのまま持って行くような誤解をしているから、訂正してあげたんじゃないか。まあ、ここで陟と不毛な言い争いしていても、時間の無駄だろうし、早速採集活動始めるか」
 俺が言い返す隙がない……。
瑛樹は何処に隠し持ってたんだか知らないが、セラミック製のカナヅチという非常にレトロな物を取り出して、結晶体に向かって、とんてんかんとんてんかんとんてんかんとんてんかん………。
「瑛樹……何やってんだ?」
「陟は見てわかんないの? 必要な分だけ、割って持って行くんだよ」
 そりゃそうなんだが。
しかし、俺、今触ってみて気づいたんだが、これって撫でるだけでボロボロ剥がれ落ちる。
なんで瑛樹はこんなややこしいことしているんだ?
「触るなよ。この結晶体は宇宙空間の微粒子に触れると、すぐに化学反応おこして、使い物にならなくなるんだぞ。ただでさえ、触れただけで崩れていっちゃうのを、一生懸命大きな破片のまま取ろうと苦労しているのに」
 ……そういうことは、始めに言えよな。
「これをそのまま持っていけばいいんじゃないのか?」
「この場所から動かすことは、違法行為なんだ。犯罪者になるの、嫌だろ?」
 きっと、場所がきまっているから、こう簡単に取りにこれたんだよな。
そうか、勝手に全部持っていくのはだめなのか。
 俺が傍観者と化している間、瑛樹はひたすら結晶体を砕き続け、30分後ほどだろうか。両手で抱えるほどの結晶体の塊を、採取した。
「陟。急いで戻るぞ」
 瑛樹は桃色に輝く結晶体を抱えると、すぃーとTATに向かって進み出す。
俺はヤツの後に続いて、ふと思ったことを聞いてみた。
「なぁ、一つ聞きたいんだが」
「何?」
「俺って、何のためにここまで来たの?」
「さぁ……。僕の邪魔するためじゃない? 陟って、知らなすぎるんだよね。よくぞ あの 教習所を出られたものだと、感心しちゃうね。まあ、強いて言えば、TATの操縦しか陟の使い道が思い浮かばなかったんだよ」
 なんなんだ……。

     

四・治療
 元の位置に戻ってくると、美麻さんと時菜は戻って来ていた。
「はい。瑛樹くんの指定したものよ」
 美麻さんが、深緑色の砂のようなものが詰まった小型の瓶を瑛樹に渡す。
「それが、Шナントカ物質ってヤツ?」
「ШΠ物質。陟はどうしてそんなに記憶力が悪いんだ」
「うるさい。 記憶だけ が取り柄の瑛樹に言われたくないね」
 時菜がくすくす笑ってる。美麻さんは、呆れたように俺たちを見ているし。
「火香利?」
 急に瑛樹が空間に向かって言った。
「え?」
 時菜が不思議そうに辺りを見回す。アイツが近くにいる時は必ずある、意味の分からないもの。気配。それが今、俺たちの回りにはない。きょろきょろと周辺に目をやる時菜と美麻さんを見て、俺は瑛樹に目を向けた。
「…瑛……」
 目の焦点が合っていない。瑛樹が見ているのは、
どこか……もっと遠い所。
           テレパシー
 この状態は、多分…会話。
 瑛樹は何も言わない。ただ真剣に一点を見つめている。昔は、数分やっただけで意識失って倒れたりしてたけど、近ごろは長続きするらしく、5分までは大丈夫らしい。
「うわっ」
 俺の瞳に激痛が走った。止まっていたはずの涙が、再び流れ出す。
「陟くんっ。目を閉じなさい。γ物質の侵食速度が緩くなる筈だから」
 美麻さんが言った。
俺はすぐ、堅く目を閉じる。
しばらくして、瑛樹のため息が聞こえた。どうやら、会話が終わったらしい。
「瑛樹、火香利がどうかしたのか?」
「いや、もう大丈夫だ。すぐ来るよ。ちょっと僕たちの位置が分からなくて、迷ってただけさ」
 時菜の声がした。
「え? 今、瑛樹は火香利と話していたの? 一体、どうやって……」
 そうか。時菜は瑛樹の能力のこと、知らないんだっけな。
「その説明は、いつか、二人だけの時にね」
 瑛樹の答え。何も隠すことはないと思うんだが……いや、俺には関係ないことだ。
「あれ? 陟。どうして目閉じているんだ?」
「例の効きめが切れたんだよ」
「そっか。結構長持ちしたなぁ」
 おいおい、そりゃ、どういうことだ。
 俺が瑛樹に食ってかかろうとしたら、火香利の気配がすぐ後ろでした。
「エイキ、イワレタモノ、モッテキタゾ」
 背筋に、言いようのない悪寒が走る。
「うわわわっ。火香利の馬鹿野郎っ 俺の背中へ回るなと、何度言ったらわかるんだっ」
 俺は、以前ケガしてからというもの、どうも背後から火香利に声をかけられるのだけは我慢できないんだよな。
「火香利、ご苦労さん」
 瑛樹はそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、俺をしっかり無視して、火香利から何かを受け取ったようだった。
「陟。寝室へ行って、しっかり眠ってろ。15分以内に治療薬作って行ってやる。わかったな」
 しぶしぶ頷くと、瑛樹は満足そうに資料室の方へ歩いて行った。
それからきっかり15分後、俺の妙な涙は、しっかり止まったのである。

     

エピローグ
 その夜。俺は夢を見た。
 俺はまだボイスロックさえ作れないようなガキで、俺の回りには、必ず一人の女性がいた。
それが誰なのか思い出せなくて、俺は必死になって女性に尋ねるのだが、相手の声は俺に届かない。
 ふと、一つの後ろ姿を思い出した。
『あ…。もしかして……』
 相手の声は聞こえない。
どういう訳か、とめどなく涙があふれる。
理由は分からなかった。ただ、悲しかった。そして、切なかった。
 彼方で、俺を呼ぶ声が聞こえ、俺は目を覚ました。
「大丈夫か? 陟」
「……瑛樹?」
 いつの間にか、俺は涙を流していた。必死で拭う。
「大丈夫だよ、陟。γ物質は取り除いたんだから。……悲しい夢、見たんだろ? ちょっとした副作用だ。3日もすれば、見なくなるよ」
 ああ、なるほど。それで……。
え? 今、瑛樹の野郎、変なこと言わなかったか?
「副作用って?」
「馬鹿。美麻さん達は眠っているんだぞ。大きな声出すなよ。薬に副作用はつきものだろ。大丈夫。記憶力抜群の僕ならともかく、陟なら、大した影響はないよ。薬で、過去に味わった悲しさや切なさといったものが、刺激されるだけだ。夢を見たくないなら、3日間眠らずにいればいい。ともかく、泣くほどの夢を見たって事は、薬がしっかり効いた証拠だからな。これでやっと、僕も安心して眠れるよ。それじゃ、おやすみ」
 何が安心だ。俺の悲しい記憶といったら、一つしか、姉さんのことしかないんだぞ。
あんな思いするのは、もう絶対やだからな。
「俺、眠らないっ」
「……ふぅん」
 すぐに、瑛樹は眠ってしまった。

ちなみに後で知ったことだが、この時、僕が徹夜したお陰で、瑛樹はゆっくり眠れたのだという。
訴えるような思考を『聞いて』しまうという優れた能力も、考え物だよな。

 旅はまだ続く。

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