§ 本の値段 §

 

 私は大学のころ、地質学を専攻していた。

各地の地面の中がどうなっているのかを調べる研究である。2,3年生のころは主に地域の学習を、4年生と大学院では長野県の北部秋山郷というところの巨大地すべりを研究した。

私の教授であった赤羽先生は、そんな私たちに言った。

「地質図というのは、ある一定量をつくったら、もう再版はしないから、お金に余裕があるときには買っておかないとだめなんだ。」

それを聞いて、私たち研究室仲間は盛んに地図を購入した。

確かに絶版になっていた地質図も多く、どうしてもほしいものはコピーをした。まだカラーコピーがA4=400円と普及していない時代、白黒でコピーして色鉛筆で色をつけた。

 

 ところで教育書の最大出版元は明治図書である。そこの教育書の場合、初版で1500部くらいつくるらしい。これは聞いた話なので確かではないが、まあそんなところだろう。

 その本が好評ならば、次の第2版をつくるという。

 1500部というと多そうに聞こえるが、教育書というのは専門書だから売れないものはなかなか売れない。

 売れなければ、結局在庫として残り、出版社は赤字となる。

 そして、その本は最終的に絶版となる。

 

 先日、Yahooオークションで向山洋一先生の著書を探していたところ、次の本が目に付いた。

「教師修行6 学級集団形成の法則と実践」明治図書

この本は、1982年、向山洋一先生が調布大塚小学校の4年2組を担任されていた時の学級通信「アチャラ」を復刻したものだ。

 ただの学級通信などは、他人の家の家族新聞みたいなもので、見たって何の面白みも無いのだが、この学級通信は学級での出来事の描写が緻密で、向山先生の思想が見えるので学級経営をはじめ、教科研究を行ううえでも面白い。

 ところが、この著書がどこのネット書店で探しても、古本屋で調べても無いのである。絶版で手に入らないのだ。

 とそこへYahooのオークションにこの本が出品されたのだ。

 私は、元が1900円のこの本、3000円くらいまでなら出しても良いかと思っていた。

 オークション終了までの残りの日数を見ていたところ、4日をのこして5000円を大きく越えてきた。なにやらどうしてもほしい人がいるらしい。

 デットヒートが繰り広げられて、最終的についた値段に驚愕した。

 私はここまでするなら、図書館の書籍を検索する。

 最終的に31500円の値段がついたのだ。

 

 本はほしい時に買っておくに限る。

2003.8.13

 小倉敬教育実践研究ホームページ

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