施主の父が大工として作っていた青い屋根の記憶を継承したいという思いがこの住宅の外観を作り出している。昔ながらの土間や座敷(広間)などの農家や商家の記憶がこの家のあちこちに感じられる。家の中心には広間があり、そこから回り込むように階段とスロープで2階につながる。2階は1階から高くなりすぎないように計算され、常に大屋根のつながりが見えるように空間が構成されている。おおらかな空間と適度にさりげなく空間をささえるディテールなど気持ちのよい住宅に仕上がっている。

(東理恵/建築家・東環境・建築研究所)