家を建てるなら、こんな家にしたいーと、いくつか希望がありました。しかし、建築予定地は斜面であり、赤線もからんでいて、大きな建物は無理と予想されました。そんな悪条件を逆手にとって、この土地ならではの夢の溢れる住まいが実現しました。

私が望んだこと
1.雨の日を楽しめるリビングが欲しい
2.家族はひとつ、したがって壁で区切った個室は極力避けたい
3.階段を上れば広がりのあるスペースが欲しい、映画タイタニックの一等大階段のイメージ
4.からくり屋敷によく見られる隠し扉があれば遊び心もあって楽しい
5.六角形の出窓があると外からの見栄えも良いし家の中も変化ができておもしろいのではないか
他にも細かい点はいろいろありましたが大きくいえば上の5点です。

資金、土地、床面積等の制約の中にあって尾日向さんは考えに考え抜き、私の要望をさらに昇華したプランを提出してくださいました。
その最大のものがスキップフロアの5層構造です。ワンフロアであるのに半階ずつずれているため、別のフロア・空間とも感じられるこのアイデアに先ず驚きました。このスキップフロアのプランをベースにしてプランを練り、工夫を重ねて最終案にたどり着いた訳です。
リビングを2階にしたため眺めも良く、大きな窓の外にはバルコニー。このため、雨の日も晴れの日も景色を楽しめるリビングになりました。
北側1階2階のホールには六角形の出窓があり、ホールの広がり感と変化に花を添えてくれています。
また、○○○の×××はまさに隠し扉です。本当は誰にも申し上げたくない部分です。公表すれば隠し扉の意味がありませんので(笑)。
そしてリビングの上にはロフトがあります。実用性はもちろん「秘密の部屋」「秘密のスペース」的なイメージも手伝って、わくわくする場所です。ロフトから続く幅40センチ、長さ4.2メートルの渡り廊下のような頭上の棚と申しましょうか、小さな狭いロフトとも言えなくもない部分を上手に説明できませんが、私はこの部分を「天空の回廊」と命名しました。
一部障子を使った部屋があります。壁で区切りたくない私にとって正解といえる選択です。しかし和風にしたくない。私はある映画に登場した韓国の寺院の五重塔内部の障子を再現し、ほぼ正方形の格子にしました。障子のよさを見直すと共に尾日向さんのお奨めでもありました。
その他にもこだわりや希望が生かされております。逆になんとなくとか無難とか一般的だからといったこだわりのない部分はほとんどありません。
わずか31坪の小さな家ではありますが、そこには私たち夫婦のゆめと希望、尾日向さんのアイデアと情熱が満載されてると自負しております。

2003年5月