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中原邸_スキップフロア


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山間の村では昔から陽当たりのいい平地は貴重な農耕地として利用されたので、人々は山の斜面になんとか宅地を確保して暮らしてきました。

中原さんが新居を計画した敷地は、そんな山の斜面を切り開いて建てられている母家と山道(赤線)とに挟まれた、間口5間ばかりの急斜面でした。

(こんなところに建物が建てられるのだろうか…?)

しかし、敷地からの、谷に下る開けた景色の広がりがなんとも素晴らしかったので、この難儀な敷地にチャレンジする決意をしました。

そして、提案させていただいたのが、スキップフロアです。
>> 計画案



. 各階の床を半階ずつずらして空間をつないでいく構成を、スキップフロアといいます。
スキップフロアの住宅は、開放的なつくりとしながらも、段差によって各フロアを分割することで相互の独立性が確保できるので、必要なプライバシーを保ちながら、家全体に一体感のあるつくりができます。

上下に変化しながらつながる豊かな空間は実際の面積以上の広がりを感じ、狭い敷地や傾斜地には、打ってつけのつくりです。

. 中原邸は構造としては2階建てですが、5層の床のレベルがあります。

食卓のある吹き抜けの「レベル-3」が、この家の中心です。
ここから半階下りると浴室トイレなどの水廻り、半階上がると子供室、さらに半階上にロフト空間、この4つのフロアが連続してつながり、立体的に広がっています。

吹き抜けの居間の杉板の勾配天井が奥まで延びていきます。
階段の向こうは、中原さんがどーしても欲しかった六角形の出窓をアレンジしました。
裏山の斜面が目近に迫り、空間の変化に迫力を増します。

. 対面式の台所の天井裏はロフトです。
ロフトは鉄道模型を広げたりの、もっぱらホビースペースの予定です。
居間の吹き抜けから、取り外し式の梯子で登ります。

. 居間の向こうはバルコニー。
その先には、素晴らしい山里の風景が広がります。

. 台所から家全体の様子を感じることができます。

天井の仕上げは、空気清浄作用や脱臭効果の高い、ホタテの貝殻が原料の健康材料です。壁は珪藻土入りの左官仕上げで、台所はパインの腰板を張りました。

. 「家族はひとつ、壁で区切った個室は極力避けたい」と、中原さん。

子供部屋には天井がありません。吹き抜けの居間と一体につながっていますが、半階のズレが、ちょうど良い距離感を保ちます。

. 階段には、3層分を貫く大型のパネルヒーターが、手摺り壁の代わりに立ちます。
シースルーな構成が、フロアの連続感を一層たかめます。

コンパクトな空間を効率的に暖房するために、パネルヒーターによる全館暖房を採用しました。

. 居間から半階下がって水廻りです。
さらに半階下がった先が寝室。右手におれれば玄関です。

. 洗面所から浴室。

. 外壁は、こだわりの左官仕上げです。

周辺には、土地の土で外壁を塗った建物が数多く残っていて、なかなか雰囲気がありました。
そこで、早い段階から左官塗壁のイメージがありました。

この土地の土や珪砂などのいろいろな骨材を混入して、質感豊かに現代風に仕上げました。

. 工事前の敷地の様子。
手前の急斜面が敷地です。

. 基礎工事の様子。
斜面に合わせて基礎の高さや形状も変化していきます。
地盤調査では、たいへん良好な安定した地盤が確認されていましたが、実際の地盤の状況を見きわめながら根切りをして、基礎の形状を決定しました。

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中原さんからいただいたメッセージを紹介します。

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資金、土地、床面積等の制約の中にあって尾日向さんは考えに考え抜き、私の希望をさらに昇華させたプランを提案してくれました。
ひとつがスキップフロアの5層構造です。
ワンルームではあるが半階ずつずれているため、別々の空間とも感じられるこのアイディアに驚きました。

わずか31坪の小さな家ではありますが、そこには私たち夫婦の夢と希望や尾日向さんのアイディアと情熱が満載されていると自負しております。
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□施工・さみぞ工務店
□竣工・2003年5月
□場所・東筑摩郡四賀村(松本市)
□掲載・リビング信州2004

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