WWWというのはworld wide webの略のことで世界中に広がったクモの巣のようなinternetの主な情報網のことである.今までの情報システムと違うところは,その構造にある.過去のシステムは何か中心になる機構があって,そこから順次に階層構造で下位の機構へと下がっていくのである.このタイプのシステムは分かりやすいという利点があるが,情報が画一的ですぐに陳腐化してくる欠点がある.現在考えられて構築されているWWWのinternet systemは中心のないまさにクモの巣状態で,日々新たなクモの糸が張られていく.今日中心的に見えたものもしばらくたつともう閉められていたりする.こういう時こそ,ある人もしくはある集団が,ある目的で自分たちのwebを構成してみせるのが必要となってくる.現在流行しているホームページ作りなどもこの基本的な流れに沿ったものといえる.今私は数学学習のwebを考えている.
http://xahlee.org/SpecialPlaneCurves_dir/specialPlaneCurves.html
さて,yahoo USAでinternet explorerすると,数学siteは1000を超えることがすぐ分かる.1000と言えばたいしたことがないようだが,実際にその中に入り込んだ人は分かると思うが,実に壮大なものがある.国家プロジェクトとして作られたような,膨大なencyclopediaもしくはreference,dictionaryといったsiteがいくつもあるのだ.例えば,私がすきでよく利用しているもののひとつに,色々な曲線を集めた
というsiteがある.自分の目で見てみるのが一番だと思うが,少しだけ紹介すると,この中には50を超える一般的な曲線が収録されていて,その歴史や定義,概形やその曲線の現れる(例えば包絡線として)色々な場合のグラフが実に豊富に載っている.グラフはカラーで印刷しても見るにたえる.また,アニメーションもすぐに見える形で多く収納されている.見ていて飽きないものし役に立つ.
自分の専門というか好きな分野をさらにexplorerしてみるのもおもしろいと思う.例えば代数ならalgebra,さらにそのなかのfinite groupとか…………….
私ならorthogonal polynomialを今少し勉強しているので,
http://www.2dcurves.com/polynomial/polynomialo.html
といったsiteに入っていく.また暇なときには
http://archives.math.utk.edu/topics/
などもみたりする.そうすると,中を読んでいくとそこに書いてあることはもちろんのこと(役に立つということ)として,色々なlinkが用意されている.Link先にどんどん飛んでいくと面白くなって,最初に何を目指していたのかわからなくなってしまうことなど度々である.特にこの http://archives.math.utk.edu/topics/はよくできていて高校生から,学部生,院生,研究者まで使える幅の広さと奥行きを持っている.基本的なトピックスならば歴史,定義,応用,今後の展開,練習問題までついている.これからは,こうしたお気に入りの(役に立つ)siteをいくつか持っているというのが強みとなってくるのである.
情報のレベルも色々である.学会のスケジュールから現在話題になっているトップクラスのこと,高校生の質問コーナーまで様々なものがある.グラフを描くといった単純なことでも,様々なアプローチがある.これは何か目的を持ってinternetを使い出すと,直ぐに勘が働くようになって色々なsite(景色)が眺められるようになる..今まで述べてきたのは英語の中の話だが,量は圧倒的に少ないけれど日本語の中にも数学関連のsiteはある.受験関係が多いのだが,私のよく見るのは
http://bach.seg.kobe-u.ac.jp/mma/
http://www-groups.dcs.st-and.ac.uk/
などがある.私の所属する長野県数学会でも
http://www.shiojiri.ne.jp/~kensuu/
というホームページをだしている.
受験勉強にせよ一般的な数学の勉強にせよ,うまく使いこなせばものすごいパワーを引き出せるのがinternetである.本と違うのはまずinteractiveという点だと思う.次には検索機能である.最後に情報量である.個人の持っている何処に入っているかわからない僅かな情報と比較すると以上の3点で個人使用としてはinternetの利用というのがベストといえる.これらの点に価値を見出して使うというのがポイントだろう.