■御神渡り■

(1998年2月撮影)
こんな遠くからの分かりにくい写真しかなくて・・・。

■神さまの渡る道■

諏訪大社の建御名方命と妃の八坂刀売命は仲良く暮らしていました。しかしある日大喧嘩をします。怒った八坂刀売命は大社を出て下諏訪に行ってしまいます。別居状態になった建御名方命ですが、寂しくなり夜こっそりと湖を渡って妃に会いに行くようになりました。
真冬、諏訪湖が全面結氷しさらに厳寒の日が続いた夜、湖からゴトゴトという音が響きます。明けて朝、湖面には何かが付けたように亀裂が走り氷がせり上がっています。諏訪の人々は、諏訪大社上社の神様が下社の女神に逢いに行ったのだと信じ、その亀裂を神の渡る道、御神渡りと呼びました。
諏訪に伝わる伝説です。

御神渡りのしくみは、
@諏訪地方に氷点下の日が続き、そして氷点下10度前後の日が何日にもわたる。
A諏訪湖が全面結氷。
Bさらにそれが数日続くと、夜間の冷え込みで氷が収縮して表面に裂け目ができる。
C裂け目に湖の水が上がってきて新しい氷となり。
D翌日気温が上昇すると収縮していた氷が膨張して、その圧力が、薄くて弱い新しい氷の両側にかかり氷が破壊され、前にできた氷の上にせり上がる。
この現象が繰り返されると一本の道筋となるというわけです。

現代では科学的に説明できる現象も、古の人々にとっては、自然に湖に亀裂が入るという不思議な現象。
御神渡りは上社側から下社側(南から北方向)へ走る亀裂2本、と佐久渡りと呼ばれる東から西への亀裂1本、計3本が確認されて、初めて認定されその年の吉凶を占う神事も行われています。
亀占の湖バージョン。今は上空から飛行機でどんな風にできているか見ることもできますが、昔は歩いて確認したのですから、大変な占いです。(現在も御神渡りの認定は、歩いて確認しているようです)
この現象が起きると氷の上に乗っても安全、ということで漁を行ったり、冬期湖を渡る人の道しるべになりました。
神様の微笑ましい伝説が生まれるほど、諏訪湖は今も昔も摩訶不思議であり、身近な存在でもあるのです。

《参考》

大国主命・・・因幡の白兎でも有名な出雲の神様。

奴奈川姫・・・古事記で大国主命とのトレンディドラマ、ちがった(汗)相聞が有名な越の国の翡翠の女神。

建御名方命・・・こちらも古事記に登場する神様。天孫に追われて諏訪にやってきて、土着の神洩矢神と戦い勝って諏訪を治めた。

興波岐命・・・建御名方命の子。佐久地方臼田町の新海三社神社に祭られている。御神渡りの折はわざわざ佐久からやってきて湖の上で親子が出会う。これが佐久渡りという説あり。

八坂刀売命は海の近くの暖かい所からやってきた神様なので、諏訪の厳しい寒さに耐えられず冬の間だけ日当たりの良い下諏訪へ行っていてそこへ建御名方命が渡って行くという、御神渡りについて別の言い伝えもあります。

                          □主な参考資料□
                          『神渡り』 小林 富彦(草原社)
                          『信州休日の社寺巡り』 北沢 房子(信濃毎日新聞社)
                          『神道の本』 (学習研究社)

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