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体験レポート

掲載の内容は体験レポートです。飼育管理、病気治療に際しては水産試験所・獣医師に相談して行って下さい。

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飼育情報

金魚愛好会



病気治療の基本は「塩」


Q. 「塩」は薬かい? 

A.

食塩水は病院のベットと同じ、体調をくずした魚は食塩水の中で絶食・安静にするのがよい薬。

生命の誕生は「海」、海で生まれた生物は次第に進化を遂げて川を上りそして陸地に上がったと言われています。人は母親の体内で塩分の含まれた羊水で育ち誕生するのもそうした経緯からだそうです。淡水魚は真水に適応して生きるため、体の表面に水が体内に浸入しないよう保護膜を作り、更に進入した水を体外に排出して生きる進化を遂げました。しかし病原菌や病原虫により体表面に傷が付くと、水が体内に浸入して魚体を弱らせる。この様な時、体に進入してくる水を最小限に止め、魚を衰弱させない為に塩は大変有効です。又塩は細菌の繁殖を押さえる効果が有る事も知られています。


Q. 塩はどのように使うのですか?

A.塩治療の基本は0.5%食塩水です。

「0.5%の食塩水は、傷ついた魚体を保護します」衰弱するのを押さえて、魚自身の持つ自己回復力を待つのです。2次感染を防ぎ早期回復を助けます。



Q. 「塩治療の具体的な方法」を教えて下さい。

A. 塩による「エラ病治療の基本的な方法」をお話しします。

  1. 50cmの洗面器に10リットルの水を張り50グラムの食塩を入れる。よく溶かしてから魚をその中に移します。
  2. 最初の2日間は、毎日食塩水を換えてやります。
  3. 3日目以降は水があまり汚れなくなるので、毎日換える必要は有りません。汚れ具合を見て必要な時に換えます。
  4. 当才魚1匹ならエアーは使っていません。
  5. 治療中の洗面器は池に浮かべておくと水温変化が少なくなります。
  6. 洗面器を家の中に持ち込むと治りが早いようです。
  7. 池に直接塩を入れる方法が有りますが洗面器治療に比べ効果が劣る。
  8. 0.5%食塩水は幾日もの長い日数魚を入れておいても害が無いようです。
  9. 品評会から持ち帰った魚、他所から来た魚は、見た目には判らないが傷ついています。2-3日は0.5%食塩水で養生してから池に戻します。

 

穴あき病

「穴アキ病」は20年ほどまえ、大変猛威を振るった病気で、その被害は金魚の養殖場だけでなく錦鯉、フナにまで及びました。幸い特効薬が輸入され現在見かける事はなくなりました。

しかし今年の5月と6月に「穴あき病」と思われる魚が2個所で見つかった。飼育者はどちらもベテランで、飼育環境も良好です。県外の品評会にもよく出かけて、魚の交流の多い人の池で発生したのです。幸い早期に治療をしたので今は穴もふさがり病気の跡がほとんど分からなくなりました。

症状

  1. 皮膚に穴があき肉が腐る
  2. 穴の中に綿状の物が付いている
  3. 穴は次第に大きくなり、魚も次第に弱り死ぬ。
  4. 初期症状は体表の一部が膨らんで、日に日に盛り上がってくる。盛り上がりが激しくなると鱗と鱗の間にすきまが出来る。盛り上がった部分の鱗がはがれて体表に穴があく。
  5. 病気は筋肉の多い部分に発生しやすいようです。

治療法

  1. 特効薬は「エルバージュ」国産化された薬で、よく魚の移動中スレ止めに使用する黄色い薬。ペットショップに行けばほとんどの店に有ります。水槽で使用するのであれば、5グラムの袋入りでよいでしょう。
  2. 使用上の注意として、薬の量を間違えると呼吸困難をおこし死ぬことが有るので十分注意が必要。
  3. 直射日光に当たると薬が変質してしまうので、池に直接投薬する時は、夕方行うようにしています。


冬の病気



Q. 冬にかかりやすい金魚の病気と注意事項を教えてください。

A.水温が低くなるとないなりやすい病気は次の通りです。

  1. 消化不良による機能障害・浮き袋機能障害
  2. 白雲病(キロドネラ感染)(繊毛虫類)
  3. 白雲病(コステア感染)(べん毛虫類):白雲病は二種類、原因がそれぞれ異なるので要注意。
  4. 白点病(イクチオフチリウス感染、白点虫とも言う)
  5. 体表の細菌感染(かぜひき)
  6. 松かさ病(立鱗病)



Q. 金魚が腹を上にして浮いているのですが病気ですか?

A.

浮き袋の調節機能障害です。逆立ち病と呼ばれるのは、お腹を上にして浮いていたり、頭を下に尾を上にして逆立ちしたような形から名前が付いたと思われます。




Q.原因と治療法を教えてください。

A.原因は運動不足による肥満と、胃腸障害です。

原因

  1. 金魚は「浮き袋」の空気の量を調整して浮いたり沈んだりする事が出来ます。
  2. 浮き袋は腸とつながっていて、浮き袋の空気は、腸から取り入れたり出したりしてその量を調整します。
  3. 糞詰まりをおこしたり、脂肪が付きすぎると空気の調節が出来なくなり、浮き袋に空気が溜まりすぎてお腹を上にして浮いてしまうのです。
  4. 水温が低いと、これらの障害のある魚は胃腸の働きが鈍く空気の調整が困難になるからです。
  5. 松かさ病も、水質環境の悪化と胃腸障害が一因と言われています。(治療法同じ)

治療法

  1. まず水温を上げて胃腸の働きをよくする事。水温が上がると金魚の動きも活発になり調節機能も次第に回復します。
  2. 胃腸障害が主な原因の場合は、水温を上げ胃腸薬を餌に混ぜて与える。(人間の飲む薬で良い)
  3. 原因は運動不足と餌のやり過ぎです。運動量を多くするためには、ろ過装置の働きで、きれいに見える水も早めに水替えする事。餌は水温が低下したら量を減らす事がポイント。
  4. 流金、オランダ、らんちゅうの様に丸い体型の魚がなり易い。
  5. 普段の管理が大切です。冬水温が下がるとなり易く、夏もひっくり返ります。