歌番号

4139 

作者

大伴家持(おおとものやかもち) 

ひらがな

はるのその くれないにほふ もものはな したでるみちに いでたつおとめ 

万葉歌

春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つをとめ 

原文

春苑 紅二保布 桃花 下照道ニ 出立オト嬬

大伴家持越中での代表作。その作風はのびやかで、家持青年期の作品と推測される。春のうららかな園、そこには桃の花が満開に咲いている。桃の花が辺りにたちこめ、そんな中で、乙女たちが集まっていろいろな話に興じているのだろう。まさに青春のエネルギーがはち切れんばかり瑞々しさがあり、若さが感じられる。しかし、この情景は、今日的に解釈すれば、プリクラで友達と談笑している女子高校生と言ったところだろう。時代は変わっても、乙女のエネルギーは健在なりと言ったところか。

晩年の家持の歌は、大伴家の没落を憂う暗い歌が多いが、その分この歌の明るさが、かえって痛ましく思われて仕方ない。         98/04/06