プロローグ
2008/06/13は念願だったライトウエイトスポーツカーを、漸く手に入れた記念すべき日。 =簡単な経緯= 36年前不動車だったホンダS600を入手再生し、数年楽しんだ後事情があって手放してからは、車好きの父親が乗っていたスカイラインGT(S54B)を使う機会が多くなったのだが、それはS600に比べあまりにも鈍重に感じ、以来モデルチェンジの度に大きく重くなる4輪(スカイライン)に失望して益々2輪に傾倒していった。 勿論当時もライトウエイトスポーツカーが無かった訳ではないが、とても現実的な価格ではなかったから、選択肢からは絶望的に外れていた。 しかしいつか再びS600やロータスエラン/ヨーロッパ、ディーノ206gt、アルピーヌルノーの様な1tを切る小型軽量なスポーツカーに乗りたいと思っていたから、現実的な価格で時々リリースされる2シーターモデルは、それぞれが魅力的ではあったものの、若き頃の刷り込み「車は小さく軽く程よいパワー」と照らし合わせた時、どれもが”帯に短し襷に長し”だった。 ホンダからS2000が発売された時は、ユーノスロードスターの時以上に本気で購入を考えた。 試乗では動力性能や運動性能、あるいは剛性感の高さや内装の質感等、その完成度には舌を巻いたものだ。 しかし36年前のS600と過ごした日々のあの楽しさは其処には無かった。 来年60歳を迎えるにあたり、この先2輪4輪車を含めモータースポーツと呼べる様な楽しみ方が出来るとしたら、もうそんなに残された時間は多くないと思うと、買い物/ゴミ捨て/お出掛け等々、1台体制で仕事と家族の要求を満たす為にも、又家計的にも封印してきた「4輪も好き」と言う感情の封をついに剥がす決意をした。 長い間甘んじてきた妥協に較べ、ロータスのなんと潔いことか。 エリーゼを購入したからといって2輪に乗らなくなる訳ではないが、昨年秋、常識的には立ちゴケなんかしたくても出来ないと思われるSRXで呆気ないほど簡単に立ゴケしてしまったのは、老いが現実であることを思い知らされた出来事でもあり、その時の心の傷がなかなか癒えないことも4輪車購入の背中を押したのかも知れない。 いずれにしても今日からエリーゼと過ごす日々が始まった |
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2008/05/30 =試乗車SCのインプレッション= 試乗車のSC 購入に際して試乗したELISEーSCは、スーパーチャージャー付きの220PS仕様だったから、長年憧れていたライトウエイトスポーツカーが持つ運動性能が一体どんなものか?より、4輪車がMC並みの加速力を持つという事実に驚いてしまって、本来の購入動機である軽量な車体と、由緒正しい前後ダブルウイッシュボーンサスが醸し出す特性云々はどうなのか?を危うく忘れそうになりながらも、自分なりに車の挙動を感じようとした。 =SC試乗で分かったこと= SCは自分の年齢と使い方では完全にオーバーパワー。 乗り心地は予想以上に良好。 乗り降りは非常に困難。特に降りる時が大変。 ドアが充分開けない時(駐車中隣にギリギリで駐車された時等)は乗り降り不可能。 シフトレバーのストロークが大きく節度も曖昧。S600の様な手首を返すだけで「カチカチ」と決まった剛性感の高いシフトタッチを期待していた自分としては少々不満。 ステアリングを握る手の動きに車体は文字通り間髪入れずに反応するから、自己主張せずに従順という点では自分の意思通りに操れるような気がする。 軽さと秀逸なサスペンションが成せる業か、リヤタイヤが鳴き出す位のコーナーリングでは明らかにヨー方向の動きが感じられ、これが長い間4輪車に求めていた感覚かもしれないし、非力でありながらS600が持っていた楽しさの一因かもしれない。 と言うことで自分の楽しみ方では、パワーより軽さが優先するので、迷わず136PS仕様のELISE−Sを注文!。 ちなみに購入資金は35年間の郵便貯金。 我ながら凄い買い物をしたと思うが、60歳を超えて守銭奴の道を歩まずに済んだのは幸運カモ?(^ー^; 家族がこの車を購入した神経を理解するのは困難だろうし、その意味を解説するのも無駄な努力だと思われるので、ここはバカオヤヂの暴挙に目をつぶってくれただけでも有り難いと思うことにした(^−^; 。 =ELISE−Sのインプレッション= 近所の山中からビーナスライン/精進湖周辺/富士山スカイライン/箱根周辺等を常識的な範囲で走ってみての感想 SCとの外観的な相違はホイールデザインとリヤウイングの有無。内装は同一。これで200万円以上の価格差。勿論Sの方が安いし軽い。 オプションはエアコンとカラーリングのみ。 2008/06/22〜07/30(走行距離4500Km) 短期間にしては良く走ったと思う。 先ず特筆したいのは燃費の良さ。 峠道も時々楽しみ、エアコン常時使用でエコラン意識無しの平均燃費は15.5Km/L。 ガソリンはハイオク指定だが、レギュラーでもOK。但しスロットルを大きく開けた時はノッキングが発生する場合がある。 ガソリン高騰の時代だけに、ハイオク/レギュラーを交互に給油する手もありか?(^^)。 エンジンはTOYOTA製1ZZ VVT直4DOHC4バルブ1.8L。 136ps/6200rpmと、860Kgの車重には充分過ぎるパフォーマンス。 ちなみにパワーウエイトレシオは6.4Kg シンクロメッシュとは言え、なるべくミッションに負担を掛けない様にダブルクラッチを使おうとすると、スロットルがフライ(ドライブ?)バイワイヤになっているせいか、イマイチ違和感がある。 そして最近のエンジンはこんなにも回転落ちが遅いものなのか?と気になる。 ハンドリングは全てに於いて期待値を上回るものだったし、その多くが軽量から来ているのを疑う余地はない。 パーツの付け忘れかと思う程の簡素な内装(無い装^^)?は価格から想像し難いし、現代ではごく平凡なスペックを持つトヨタ製のエンジンだから、同価格なら「他に選択肢があるだろうに」と思うのが普通の感覚だろう。 しかしこのハンドリングだけでもそういう邪念を沈黙させるし、投資した金額に見合う説得力がある。つまり「軽さを買った」と言う意味では満足度は非常に高い。 簡素!構造物剥き出し。 エアコンはクーラーと呼ぶ方が正しい。効きは満足出来るレベルだがオンオフは手動。 オーディオも一応付いていて音色音量に問題は無いが、ラジオの感度がAM/FM共に悪過ぎるから外部アンテナは必要だろう。 またボリュームのワンステップの音量変化が大きく、小音量時の微妙な調整が出来ないのも難点。しかし付いているだけマシだと思えば何の問題にもならない。 雨天走行ではステアリングに水滴が落ちてきたり、床に浸水してきたりと、なかなかエキサイティング(^^)。 運転席側はディーラーで、助手席側は自分で埋めた。 床の浸水は接着剤の隙間からのようで、内側からシールすることで改善された。幌の内側にはコーションラベルがあり、内容はむしろエクスキューズか(^^)。 SCの時に感じた低中回転域でのピックアップの鈍さや、曖昧なシフトタッチは全く気にならないレベル。 むしろ法定速度前後(50〜110Km/h)程度の中低速域でのピックアップはSCより鋭いし、シフトストロークもSCより短く節度があって好感が持てる。 車体剛性はかつて試乗したことのあるホンダS2000のように、オープンカーとは思えない程硬い車体とは対照的で、「ギシギシ」と軋むものの、必要充分な剛性はむしろしなやかな走行性に寄与しているみたいで、コーナリング中のイン側タイヤの接地感の高さは、ダブルウイッシュボーンだけでは得られないだろうと思わせるもの。 但しハーシュネスだけは「ガツン」と酷い。 加速感は0−100Km6.1秒と仕様書にあるように、背中がシートバックに押さえつけられる感触を味わえる。 プラスチックに布を貼り付けただけのような薄いシートの座り心地は、覚悟していたせいかそれ程悪くは無く、むしろ快適に近いレベル。 長距離長時間のドライブでもお尻や背中が痛くなることは無かった。 ドライビングポジションの調整はシートスライドのみでリクライニング機構も無いが、仮にあったとしてもこの角度にするだろうと思う程シックリくるもの。 パセンジャーシートにスライド機構は無い。 前からの眺めはマンタ(オニイトマキエイ)がプランクトンを食べているような顔つきに見える。 左右の小さなスポイラはマンタの頭ビレのよう。 最高速は120Km/h位までしか試していないが、100Km/hを超える辺りから、ダウンフォースが発生してくるのが体感出来る。 それはまるでパセンジャーシートに人が座ったかのように車体が沈むのと同時にハンドルのしっとり感が高まり、乗り心地も接地感も向上してハーシュネスも気にならなくなることで分かる。 ロアーアームさえ見えない程完全フラットなボディー下面と、後部のディフューザーが効いているのかも? まだ走り始めたばかりで、秘めた(そう感じる^^)実力は殆ど解らないが、のんびり観察することにしよう。 |
給油口はレーシーで気に入っているが、ツメの部分がプラスチック製で壊れ易そう。MCレベルの信頼性が欲しい。 メーターはSTACK製か? 過回転域をレッドゾーンとしてメーター上に指定はされていないが、最大出力の6,200rpmを超え7,000rpm付近でLEDが点灯し始める。 3コあるうちの1コ目が点いたら間髪入れずシフトアップしないと一気に2コ目と3コ目が点灯してしまうので焦る。 パワーはスペック通り、やはり6,200rpmを超えると落ち込むが、一般道で他車を追い越す時に3速で丁度回り切る位で不足は無い。 しかしRやSCの此処から先にある1,600〜1,800rpmの伸びは、エクストラコストを支払ったオーナーだけがその満足感を味わうことになるのだろ(^^)。 |