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北海道夏至ツーリング2002




北海道は今年で15年17回になる。6月と9月に一年で2度訪れたこともあり、何度でも行きたいと思わせる。初めて家内と訪れた北海道の感激は次第に薄れてはきたものの、それでもなお新たな感動をその都度与えてくれる。子供が出来てしばらくはソロツーリングだったが、7年前にクマさんと知り合い以来毎年新しい仲間が増えて今年は総勢9名のツーリングとなった。

参加者の紹介:
クマさん:かつてフレディ・スペンサーと片山敬済を擁し、世界GP500ccクラスのタイトル奪取をもくろんでいたホンダニ輪レース部門の総帥。(NR)
キヨさん:ミスターカワサキ。マッハやZ1の開発ライダーであり、カワサキの契約ライダーとしてレースでの活躍は記憶から消えることは無い。(ZRX1200S)
オーニシさん:69歳最年長。もやしのエキスパート(R1150RT)
クリさん:大手音響メーカーP社の仕事の段取りが自由に出来る立場の人(CBR600F)
マツダさん:今年で4回目。家電メーカーS社の自販機開発責任者(NR)
ハヤミさん:茨城の鹿島でバイクショップを営んでいます(K100RS)
ナベさん:ガラスメーカーにお勤め(CBR1100XX)
ウエノさん:呉服屋の旦那さん(RC30)
私:(R1100S)

道内の走行ルート
1日目
小樽(5時出発)⇒石狩R232⇒留萌⇒小平町⇒霧立峠R239⇒朱鞠内湖⇒ 美深町R40⇒手塩町⇒サロベツ原野(オロロンライン)⇒稚内R238⇒宗谷岬⇒ クッッチャロ湖⇒枝幸町⇒下川町⇒西興部村泊。
2日目
西興部村(9時出発)⇒紋別市R238⇒サロマ湖⇒網走市R244⇒小清水原生花 園⇒裏摩周湖⇒屈斜路湖⇒藻琴山高原⇒美幌峠R243⇒津別峠泊。
3日目
津別峠(9時出発)⇒弟子屈⇒標津町R335⇒羅臼町R334⇒知床峠⇒ウトロ⇒ 斜里町⇒美幌町⇒陸別⇒足寄⇒十勝温泉泊。
4日目
十勝温泉(9時出発)⇒帯広市R274⇒日勝峠⇒日高町⇒夕張市⇒千歳市⇒支笏湖⇒札幌市R230⇒定山渓⇒小樽市R5⇒岩内温泉泊。
5日目
岩内温泉(4時30分ソロ)⇒神恵内村⇒当丸峠⇒古平⇒当丸峠⇒岩内温泉⇒(全員で9時出 発)⇒ニセコパノラマライン⇒ニセコ町R230⇒洞爺湖R37⇒室蘭⇒登別温泉⇒ オロフレ峠⇒支笏湖R276⇒苫小牧⇒苫小牧東港⇒新日本海フェリー乗船。

6月15日
神戸からのキヨさんと大西さん、浜松からのクリさんは直行で新潟までは大変なので前日アルピーヌに泊まり、埼玉からのクマさんと一緒に5人で新潟港に向けて朝5時出発。
雨上がりでウエットのR148を糸魚川まで走り、北陸道に乗る。路面のウエット状態は上越を過ぎるとドライに変わり順調に北上する。新潟西ICで北陸道を降り、R7紫竹山ICから新日本海フェリー乗り場に向かう。
明日の小樽港着は早朝の4時頃なので、日曜日ということもあり7時位までは道内でのガソリン補給が難しいのでフェリー乗り場近くのガソリンスタンドで給油していると、同行者のマツダさん、ハヤミさん、ナベさん、ウエノさんも合流して、諮らずも今回のメンバー全員が揃った。フェリーは10時30分出航なので9時集合だったのだが、この時はまだ8時を少し過ぎた位。

給油を済ませ、フェリー乗り場で乗船手続きの後9時30分乗船する。NRの二人は高価なMCということもあり、係員のタイダウンベルトによるMCの固定を心配そうに見ていた。私は客室確保のために先にMCを離れる。
フェリーの雰囲気が昨年とは異なるので?と思ったが、フロントのお姉さんに訊ねるとなんと新造船で今年の5月に就航したばかりとのこと。ドーリで綺麗な訳だ。全長約200m、2万トンの大型フェリーは綺麗なだけでなく、エンジンの音も静かだった。、割と空いていて定員12名の2等船室は私達で貸切状態となったこともあり、気兼ね無くクルージングを楽しめた。料金は昨年より多少高くなったものの、往復でMCと人間を含め2万円といったところで、相変わらずリーズナブル。但しレストランの食事はかなり割高な印象。


船内では「試される大地」の走行ルートを再確認したり、デッキで日光浴をしたりでのんびりとした船旅を満喫する。天気予報では明日の北海道は晴れとのことなので、気分もおのずと明るくなる。
「試される大地」に思いを馳せ午後10時に就寝。

今日の走行距離231Km 

6月16日
小樽港到着のアナウンスで目覚める。朝3時にはすでに起きている人もいてこれから始まるツーリングの準備に余念が無い。4時には着岸したのだが、MCの下船は最後なので結局降りたのは5時近くになってしまった。フェリーターミナルで写真を撮り、最北端に向けて出発する。


15年前家内と二人で来た頃の狭くてドロだらけだったR5は大きく変わり、4車線の広く快適な道になった。コンビニで軽く朝食の後そのR5を銭函方面に左折し、R337からR231で石狩市を通り、4車線の空いて広い道を80〜90Km/hで走る。この辺りも15年前は北海道にしては狭くて荒れていたが、今ではとても快適に走れる。
石狩川を渡ると正に北海道を感じさせる雰囲気に突入し、海岸添いの「爽快」という言葉以外思い当たらないR231をひたすら北上する。厚田村、浜益村、増毛町を過ぎ、呆気無いほど短時間で留萌市に入る。ここまでで160Km。NR2台共非常に燃費が悪くリッター13Km程しか走らないので最初の給油をする。8時を過ぎていたのでスタンドは開いていて無事給油することが出来た。小樽を出発してから休憩を除くと正味の走行時間は約2時間ということになり、平均80Km/h。早朝ランということもあり、冷えた体にガソリンスタンドの温かいコーヒーサービスはとっても有難い。

留萌から約12Km北上した小平町から右折し、R239の霧立峠に向かっていよいよ待望のワインディングが始まる。海岸線の快適な道を淡々と走るのも良いが、やはりワインディングこそMCの楽しさを満喫できると思っている。
中高速コーナーが殆どの北海道のワインディングは、そのカーブが深く回り込んでいればいるほど長く深く寝かせていられるので本当に気持ちよく走れる。いきおい幹線道路での速度からは相当上乗せした速度レンジになる。
広く、見通しも良く、対向車も皆無に等しいこの道はかなりうねっているのが唯一の欠点だが、時々センタースタンドが接地するので逆に安全マージンをたっぷり取った上で楽しめる。
R239霧立峠、添牛内からR275朱鞠内湖を通り美深町までの120Kmのワインディングはそれこそアッと言う間だった。ここはキヨさんハヤミさん私の3人でテールツーノーズで走り、キヨさんのシュアーなライディングを背後で長時間見ることが出来、とても勉強になった。
幹線道路はまとまって、ワインディングではそれぞれ自分のペースで走るということにしておいたので気兼ね無く楽しめた。

R40美深の道の駅でプレ昼食のとうもろこし(冷凍)を食べ、出発。音威子府で2度目のガス補給。R40雄信内から天塩町へ向け道道855を走る。天塩からは超有名な道道106(以前は909)オロロンラインを北上する。昨年までは無かった風力発電機が天塩川の河口付近にズラッと並んでいた。

ここは毎年MCの調子を判断する道。約46000Km走ったR1100Sは今年も○25Km/h、8000rpmまでキッチリ回っていたのでまだまだ好調を保っている。以前R1100RSで来た時はここで両方のヘッドガスケットから景気良くオイルが噴出した。


今年も北海道は暖かいらしく、タンポポは終わり、ハマナスとエゾカンゾウ(白馬ではニッコウキスゲと呼ぶ)とエゾスカシユリが満開だった。15年前家内と訪れた時は全く同時期だったにもかかわらず、この道の両側は黄色いタンポポに埋め尽くされ、あまりの美しさにめまいがしそうになったことがあった。その景色を観る為にはもっと早い時期に訪れる必要がありそうだ。地球がどんどん暖かくなっていくのがこれだけでも実感できる。

稚内まで約65Kmのこの道はワインディングとは又一味違う北海道を満喫させてくれる。殆ど直線にもかかわらず、もっと続いていて欲しいと思わせる程飽きさせない。サロベツ原野の入り口稚咲内までは最高巡航速度付近を維持してMCの調子を確認し、その後は至福の時間が速く過ぎ去ってしまわないように、この景色を体にも心にも沁みこませるつもりで走る。
私の横をNRの2台が全開をカマせてカッ飛んで行った。フルパワー(クマさん)のNRは一体何キロに達したのだろう。

稚内で3度目の給油をし、R238を宗谷岬に向かう。岬の道路を隔てた反対側の宗谷丘陵に登り、大韓航空機墜落の慰霊塔の前の食堂で帆立ラーメンを食べる。以前ソロで来た時に食べたラーメンのスープは帆立のダシがコレデモカ!という位に出ていてとても美味かったのだが、今回はイマイチだった。私の前宣伝で皆さん期待していたのに、それに応えられず幹事としては下を向かざるを得なかった。


最北端の碑の前で写真を撮り、気を取り直してR238を南下する。海岸線から宗谷丘陵に登り又下る高速ワインディングをキヨさんと2人で楽しむ。昨年までは無かった中央分離帯が突然現れたりしてビックリさせられたりしながら、相変わらず快適な東浦までのR238を楽しむ。直線で80Km/h程度にスローダウンし、後続が追い着くのを待つ。この辺りの車速は道内の車で100Km/hを超えていると思われ、追い越されると怖い。

猿払村、クッチャロ湖、枝幸町を過ぎ、淡々と走り続けたR238と幌内で別れ、下川町に向かう道道60に入る。この道は牧場や原生林の間を縫って走るアップダウンの少ないワインディング。見通しの悪さは否めないけれど、森林浴の気分を味わえるので下川町までの約60Kmはとても清々しい気持ちになった。
下川町で左折しR239を天北峠を越え、道内一泊目の西興部向かう。村民の厚生施設の一部であるホテルRIMには5時に到着した。朝3時に起き、5時から走り始めて12時間、713Kmの走行距離は北海道と言えども初参加の人には大変だったかもしれない。休憩、食事、給油の時間も含め、平均速度は60Km/hということになる。
村営の宿とはいえ清潔で快適な施設と必要充分な食事はリーズナブルな料金と共に長期の旅行者にはとっても有難いが、反面同業者である私の立場からすると、イニシャルコスト掛け放題、ランニングコスト殆ど無視の補助金で運営していると思われるこうしたホテルには全くタチウチ出来ないことを考えると、とても落ち込んでしまう。

広くて気持ちの良いお風呂の後、いつもは飲まないビールで無事を祝って乾杯。食事の時に今日の反省としてキヨさんから私にアドバイスがあった。「マルさんはコーナー進入も先がどうなっているか判らないコーナーも速過ぎる。もっとしっかり減速して進入し、立ち上がりでスロットルを大きく開けていける状態を作らないといけない。走りにメリハリが無い」ということだった。それと「マスツーリングでは同行者にも配慮して無理をさせないペースで走るべきで、事故があったらそれはマルさんの責任になるんだよ」というようなことを言われた。全くその通りだったので深く反省すると同時に、もしキヨさんのアドバイスが無かったら、今までは「もっと速く、もっと深くバンクしたい」とばかり思っていたので、行き着く先はきっと悲惨なことになったと思う。本当に感謝!。
明日からは忠告の実践に努めようと心に誓う。疲れもあり10時には寝てしまった。

今日の走行距離713Km

6月17日
5時に目覚める。外は雨降り(;;)。でも西の空は明るくなりつつあるので出発する頃には止むことだろう。7時30分朝食を摂り、玄関前で記念撮影する頃に雨は止んでいた。


9時出発。R239と平行して走る道道334を興部方面に向かう。国道を使わなかったのは雨上がりでウエットということもあり、北海道の道は牧場や畑から出入りする作業車や、工事のトラック等の影響で想像以上に汚れているからだ。一見綺麗に見える路面もウエットだと一瞬でMCはドロンコになる。牛の糞尿も混じった泥は空冷エンジンのフィンにこびり付くと落とすのが大変。国道よりマシな道道を走ってR238に出、紋別、湧別と南下し、サロマ湖の有名な「船長の家」でカニずくしの昼食を食べる。ここは以前2回宿泊しているが、内容は宿泊の夕食の方が良かった。カニの密輸問題が影響しているのかもしれない。


昼食の後能取湖、網走湖の脇を通り網走市で刑務所を見学。すぐに小清水原生花園に向かう。左側の砂丘?にはハマナスやエゾカンゾウが咲き、丁度見頃といったところ。
今日は知床横断道路を斜里から標津に出て反時計回りに回る予定だったが、時間がないので今日の宿泊地屈斜路湖の近くの津別峠に行くことにした。R244からR391に入り、小清水町から屈斜路湖方面に向かう。途中で道道1115に入り裏摩周展望台から摩周湖を見学することにした。登るにつれ路面はウエットになってきて、この時の先導キヨさんのペースはとてもユックリになった。それまではコーナー立ち上がりのストレートで○40位は出しており、条件が悪くなるとしっかり速度を落として安全マージンを大きく取るメリハリのあるものだ。
何度か摩周湖を訪れたことがあり、いつも快晴に恵まれていたが、今日は雲が低く垂れ込め小雨が降っていた。それでも霧に覆われていなかったので美しい湖面を見ることが出来た。


反対側の展望台の喧騒と違い、ここはとても静かでゆっくりと雰囲気に浸ることが出来る。
暫く休憩の後、今来た道を引き返す。緑という所から再びR391に戻り、野上峠を越え屈斜路湖畔の手前で右折し道道102を藻琴山に向かう。ここでもキヨさんに先導してもらい、走り方を勉強する。
藻琴山展望台で屈斜路湖を眺めた後小清水峠を越え、広栄から道道995をR243に向かって走る。この道道995は距離が約12Kmと短いものの北海道の数あるワインディングの中でもピカイチだと思っている。今日のワインディングはウエットが多かったので慎重だったキヨさんも、ここに来て漸く60%本気?モードの走りを見せてくれた。あまりの速さに置いていかれそうになり、深く回り込んだ高速コーナーの連続ではセンタースタンドが接地してこれ以上MCを寝かせられない。僅かに現れる直線で速度を落としてくれるので何とかついて行けたが、テストライダーとGPライダーとして培ったクレーバーなライディングを目近に見ることが出来て改めて幸せな気分になった。走り終わって後続を待つ間のキヨさんの感想は「サーキットやでー!」
この時一緒だったハヤミさんによると、書くのがはばかれる程の速度だったらしい。しかし北海道上陸以来のべつ景色を楽しめない程の速度で走っていた訳ではなく、アドレナリンの分泌する時間はごく僅かだったのは言うまでもない。

R243をこれもまた有名な美幌峠に向けて走る。天候は次第に回復しており、峠からは屈斜路湖の美しい湖面が一望出来た。


美幌峠から屈斜路湖を望む:ハヤミさんとキヨさん
写真後ろに見えるR243を湖方面に下り、湖畔から津別峠に向けて又登る。この道は狭く、ヘアピンコーナーの連続で原生林のトンネルになっている。路面が小雨に濡れていることもあり、ゆっくりと今日一日のクールダウンをしながら走る。ここで昨年も一昨年も何頭かの鹿に遭遇したが、今年は見つけることが出来なかった。
峠を降りてホテルに到着、チェックインを済ませてすぐに洗車と点検をする。オイルの確認窓以下にオイルレベルが下がっており、自宅からここまで1297Kmしか走ってない割にはちょっと消費量が多いような気がする。これでは途中で補充する必要があるなーと思っていると、マツダさん(NR)が自分用に持参したオイルを「NRは減らないことが判ったからよかったら使って」と言ってくれた。これだけでも「良い人だなー」と思う。でもオイルクーラーか何処かに隠れている可能性もあるので、明日様子を見てからにする。
このホテルもRIMUと同様、津別町の厚生施設の一部。人気(ひとけ)の無い原生林の中に一軒だけの整備された広大な庭(というより芝生が敷きつめられたリクレーション設備)を持つ閑静で近代的で清潔なホテルだ。ここを見つけてからは毎年利用している。気持ちの良い温泉で温まった後に””研修室””と呼ばれるお座敷で夕食を頂く。今日の見所や印象に残る道の話で盛り上がり、明日は今日行けなかった知床を回ることで合意する。

今日の走行距離353Km

6月18日
5時、目覚めるとウエノさんはまだ寝ている。窓の外に目をやると空は快晴で朝露に濡れた芝の緑がまぶしい。露天風呂に入ってからポーチに行くとマツダさんとナベさんが洗車していた。7時の朝食の時間が近いのでキヨさんとオーニシさんを呼びに行くと、二人はまだ熟睡していた。年の割には「良く寝るナー」と感心してしまう。


ホテルフォレスター前で
ハヤミさんは仕事の関係で今日中(明日の朝まで?)に鹿島まで帰らなければならず、今朝早朝に出発した。後で聞いたら青函フェリーの他は自走で1200Km走ったと言っていた。
パイロットレースを履いているウエノさんには、帰るまでにタイヤが持たないことを理由に十勝温泉に直行して頂き、昨日行けなかった知床峠に向かって出発する。津別峠を再び下っていくと林の中に鹿を発見。スローダウンしてよく見ると{バンビ」のようでとても可愛い顔をしている。屈斜路湖畔に出、R243を弟子屈から虹別方面に向かい、萩野で左折し北25号線で開陽台を目指す。道北は勿論、この辺りの景色は今回のルートには入っていない美瑛周辺と同様、まさに「ザ・ホッカイドー」と言える程大好きなエリアだ。家内と初めて訪れた時の感動は次第に薄れてきたとはいえ、ここを走る時だけは懐かしい想い出と共にあの頃の感動が蘇る(イロイロあったからなー)。
かつては小さな土産屋の他に何も無かった開陽台に、今では立派な展望台が出来ている。”地球が丸く見える”範囲は240°位だろうか、眼下に広がる広大な緑の絨毯の上を、千切れ雲の影がゆっくりと移動していく。


開陽台のマツダさん
絵に描いたような景色に包まれると、もっとずっとここに居たい気持ちになるが、それを抑えて知床峠に向かう。標津で給油をし、中標津からオホーツクの海岸線を走るR335に入ると、ついさっきまでの汗ばむ程の温かさから、それこそ一気に20℃以上も気温が低下してとても寒い。温かい陸地に海からの冷たい風が流れてくるので、気温の低下と共に道路は濃い霧に覆われ、視界が悪化する。この分だと知床の天候が心配だ。でも以前来た時も快晴の知床峠から羅臼まで下ると霧に覆われていたことがあったので、きっと大丈夫だろう。

羅臼でキヨさんと先導を交代してもらい、後に続く。この頃になるとすでに霧も消え、路面もドライで快適なワインディング走行となる。私達に気遣いながら次第にペース上げていくキヨさんの後ろを、なるべくラインを外さないようについて行くと、とても大きな安心感に包まれながら一つ一つのコーナーを楽しむことが出来る。一人ではこんなに速くは走れないだろうなーと思っているうちに峠に到着。
峠からは緑と残雪のコントラストが美しい羅臼岳と、国後がすぐそこに見える。


知床峠、後ろに見えるのが国後。左からオーニシ、ナベ、マツダ、クリ、キヨ、クマ、マルのノーテンキ7人組。
我々の帰った後6月24日、ここは季節外れの降雪にみまわれ通行止めになった。その様子をテレビで見たが、まるでブリザードが吹き荒れる厳冬そのものだった(・・;。地球の気候はいったいドーなってしまうのか。

羅臼側とは変わってウトロ側は大きなコーナーと直線で構成されており、どんどん高度が下がり、それにつれて気温も上昇して行く。ウトロ港から斜里方面に向けて走り出すと、クマさんが先頭に出た。追い越される時に聴こえたオーバルピストン4発32バルブのエキゾーストノートは乾いて官能的な音だ。これだけでも大食いのNRに乗る価値はあると思う。大食いと言えばクマさんが先に出る時は決まって腹が減った時なので食事所を物色するつもりらしい。案の定知布泊に一軒だけあったこじんまりとしたレストランに入った。ここで海を見下ろしながら食べたカニ定食が”大当り!”で焼肉定食の人も大満足の様子だった。クマさんの美味しいお店を探す嗅覚の良さには以前から感心しており、今回もその能力が発揮された。

今日の見所、走り所は終わり、後は十勝川温泉を目指すだけ。斜里からR334を美幌町に向けて走り、そこからR240で南下する。
R334の南斜里から小清水までの15Km以上の直線は、その殆ど全てがアップダウンの連続で飽きることがない。オンロードでも気分は”On Any Sunday”といったところ。北海道と言えどもこういう道は珍しいと思った。

津別から道道273で陸別、R242で足寄。ここから昨年行ったナイタイ高原に向かう予定は今回時間がないので断念。ここに通じる農道はラグナセカのコークスクリュー(行ったことはない)に似ていて面白いと勝手に思っている。

本別と通り、池田町で右折して無事十勝川温泉に到着した。足寄のガソリンスタンドで給油した時に、丁度テレビでワールドカップ日本VSトルコの試合をやっていた。先制された時間帯だったので僅かな希望を抱いてホテルに向かったのだが、結果は決勝トーナメント一回戦敗退ということだった。でも良くやってくれたと思う。

昨日までの宿と違い、今日は民間の大型観光ホテルだ。年配の団体客の多さに圧倒され、その人々の動きからか、とてもゆったりと落ち着ける雰囲気ではない。でも設備は整っており、従業員も気持ちの良い応対をしてくれるので不満は無い。十勝川の向こうに沈む夕日を眺めながら露天風呂浸かっていると、今日一日の疲れが皮膚から剥がれ落ちていく感じがする。
食事はパーテーションで仕切られた広い殺風景な部屋で頂いた。大型観光ホテル共通の変哲の無いもので、何百食と準備しなければならないことを考えると自ずとその内容には限界があると思う。
不満は無いが、豪華に見えても業務用レトルトでの満足は難しい。
団体客がメインの大型ホテルでありながらMCのガレージも用意してくれてあったり、小グループの我々にも行き届いた心配りはうれしかった。
気になっていたオイルレベルの低下は、やはりその一部がどこかに隠れていたらしく、今はサイトの真ん中あたりにある。

今日の走行距離447Km。

<<ここで北海道でのR1100Sの調子等を少々>>
昨年と違うところはサスが前後オーリンズでタイヤがパイロットロード(昨年はパイロットスポーツ)。
殆ど同じ道、同じ時間、同じペースで走っているので、いくらシロートの私でも違いは判った。「違うかなー?」というレベルの違いではないので念の為(^−^)
先ずピッチングが気にならなくなった。これはサスの影響だと思うが、これだけで快適度は飛躍的に向上した。次に乗り心地と接地感(直線でも)の向上。これはサスとタイヤのどちらが主なのかは解らないが多分両方だと思う。
コーナーでもパイロットスポーツ+ノーマルサスをはるかに凌ぐ接地感があり、特にウエット路面での安心感はバツグン。これは単にタイヤのグリップが良いというだけでは無く、完全にニュートラルなハンドリングに拠る所が大きいと思う。パイロットスポーツ+ノーマルサスの時は倒し込みはクイックでも、寝かすに従いハンドルに僅かに入力してバンク角を維持する必要があったり、マカダム100X+オーリンズサスの時は逆にゴロンと切れ込みそうになるので、これもまたハンドルに入力して誤魔化す必要があった。いずれにしてもウエットだとこういうのはとてもいやなものだ。
ところが今回のパイロットロード+オーリンズサスは「無味無臭」のハンドリングとでも言おうか、どんなバンク角でも全くニュートラルを維持するので、道路が濡れていても怖いと思ったことは無かった。濡れたセンターラインに乗って滑ることがあっても、別にとうということもなく「ああ滑ったなー」という程度で別に慌てることもなかった。純粋にハードが良好に機能していることによるものだと思う。

シラッと速いR1100Sは長距離、長期間のツーリング用MCとすれば良く出来ていると思うけど、RC30で走る時のような心地よい緊張感に包まれ、操る実感に満ちた充実した時間を過ごせるのとは大分違う。
BMWは公道に限って言えば誰が乗ってもそこそこ速く走れるし、又その速さゆえに増大するリスクを低減する仕掛けによって一寸したミスはカバーしてくれるが、それだけにマシンコントロールがいい加減になりやすい傾向がある。
デリケートなコントロールが要求される場面で機械が辻褄をあわせてくれたのを、あたかも自分の技量が向上したかのように錯覚していると痛い目を見ることになると思う。
特徴や特性を理解してさえいれば、ツーリング中に遭遇する様々な状況をより安全にこなすことが出来るR1100Sは、やはり心強い旅の相棒ということになる。

6月19日
早朝の露天風呂を楽しんだ後朝食を頂き、積丹半島の付け根岩内温泉に向けて9時に出発する。


団体バスが出発する時は従業員のおねえさん方がズラッと並んで見送っていた。我々の時は・・・・。
今日は最近有名になった”車より熊の方が多い”と言われている”道東道”を清水町まで走ってR274から日高町に向かおうと思っていたのだが、ホテルの人に聞くと帯広市内を通ってでも「R38の方が速いし、地元の人はバカバカしくて利用しない」と言われたので、忠告に従いR38を行くことにした。
北海道ではできるなら避けて通りたい交通量と信号機の多い大きな町は今日が初めてになる。やはり8台のMCがスムーズに通過するのは難しい。でも暗黙のうちにシンガリを引き受けてくれている頼れるクリさん(CBR600F)のおかげで後をそれほど心配せずに走れるので有難い。

サーキット走行ではアグレッシブな走りのクリさんも、公道ではあくまで自制の効いた大人のライディングに徹している。これはクマさんも同様。数年前クマさんがCBXの六発で来た時にペンションの食事時間に間に合わせるために美瑛から富良野に向かうワインディングで一度だけ本気?のライディングを見せてくれたことがある。後から見ていてコーナーで車体がウネウネと捩れるのが判るほどの走りだった。古いMCなのによくそこまで使えるものだと、自分では怖くてとても出来ないと思ったものだ。

マツダさんは私と同い年。以前からNRで北海道を走るのが夢で、去年まではCX500ターボで参加しており、今年念願のNRを手に入れて長年の夢が叶った。CXターボの時からもそうだったけれど、温厚で物静かな印象からは想像出来ない位走りっぷりは熱く、速い。CXターボより断然乗りやすいと言っていたNRに馴染むと、益々MCライディングが楽しくなるんでしょう。うらやましいなーっ。
シラッと速いナベさん(CBR1100XX)はステディーナベとでも言える程危なげないライディングでやはり大人を感じさせる。

最年長69歳のオーニシさん(R1150RT)は歩く姿を見ている限り、無礼を承知で言えば年配者共通の雰囲気を感じさせるが、一旦MCに跨ると、”こち亀”のホンダ巡査を連想してしまう。何しろ「バカッパヤイ」のだ。まわりの”オトナ達”はハラハラしていても、本人はいたって平気で楽しんでいる様子。キヨさんの話だと暇さえあれは六甲で練習しているとのこと。今まで30台以上のスポーツバイクを乗り継いで来たと言っていたので、この走りっぷりもうなずけない事は無いのだが・・・・(・o・;

ウエノさんは唯我独尊というか全くマイペースに北海道を楽しんでいる。軽量化+ハイグリップタイヤ命で、RC30はカウルをはじめいたる所が原型を留めないほど改造されている。「乗れ」と言われても「ごめんなさい」というしかない位危なっかしい箇所が目に付く。昨年はリヤホイールが外れかけたという前科もあるし(><;。同じRC30に乗る者として正直30が可哀そうになる。
ウエノさんのマイペースぶりはというと、藻琴山のパーキングで待っていると、我々の存在に気付かずに轟音と共に通過してしまったこと。これには皆呆気に取られてしまった。この時ハヤミさんが後を追いかけて連れ戻してくれたのだが、お店主催のツーリングではこういうのはよくあることなんだろう「オレが行ってくるよ」とクルッとUターンして猛然と走り出した時は、百戦錬磨のバイクショップのご主人とはいえ、MCを操る身のこなしはカッコ良かったなー。このことをはじめ、ハヤミさんにもいろんな面で助けてもらった。

・・・・というようなメンバーは清水町からR274を日勝峠を越え日高に向かう。R274は交通量も多く、その殆どがトラックでおまけに工事中の箇所がけっこうあって、このルートを選んだのは失敗だった。こんなことならR38をそのまま走り、狩勝峠を越え、トマムを通って占冠に抜けた方がよっぽど早かったし、道も面白かったのにと後悔しきり。
R274を紅葉山を過ぎて追分から千歳方面に向かう。この辺りの道は初めてだったのでテキトーに走っているうちに千歳に出た。道道37で支笏湖に向かい、R453で湖畔を通り、札幌に向かう。
帯広から札幌までの道は景色も北海道らしさが薄れ(本州に近い)、交通量も渋滞箇所も多く、特に支笏湖から札幌までのワインディングはビッシリ渋滞していて、とても勿体無い思いでノロノロと走らざるを得なかった(;;)


追分にてマツダさんのNRと
札幌の手前で給油をし、R230で定山渓、そこを右折して道道3を小樽に向かう。この道はそこそこ楽しめるワインディングで、以前走った時の朝里峠の面白いコーナー部分を楽しみにしていたのに、残念ながら、今はトンネルと大半径の新しくて広い道に変わっていた。ここもキヨさんの後をついて走った。
朝里ダムサイトで学生時代を小樽で過ごしたクリさんに先導を変わってもらう。混雑する小樽市内と余市を避けて岩内に向かう為だ。R5と平行して走るフルーツラインを普通のツーリストが探すのは困難だろう。この道の途中でクマさん希望の”とうもろこし”が売っていたので暫く休憩する。クリさんのおかげで岩内温泉には案外早く到着することが出来た。
昨日から8台になったものの、分かれ道でMrマイペースを待つ時間や休憩、食事、ガス補給、トイレとなると、8台の準備が出来るまでは時間が掛かる。今日はR229の古平町から当丸峠を通り、神恵内、泊、岩内と向かう予定だったが、やはり時間が足りなく割愛。

岩内温泉の高島旅館は、旅館というネーミングが似つかわしくない程センスの良い宿で、外観は変哲の無いものなのに内部はヨーロッパのアールベルグ地方のペンションを思わせる作りだ。
木をふんだんに使っており、それだけで何故かホッとする。良く見ると木製の窓という窓はオーストリアからの輸入物のようだ。シンプルでいて家具は勿論細部の小物に至るまで細かい神経が行き届いた空間は、ロビー前のベランダから岩内の夜景が眼下に望めるロケーションと相俟って、とてもリラックス出来る環境を提供してくれる。
スタッフも全員ニコニコと元気いっぱいだし、細かい気配りにも感心する。又それがとても自然なのでこちらまで元気にさせられる。”料理旅館”とサブネームがついているが、ここのオーナーはきっと只者ではないと思う。

掛け流しの温泉に浸かった後の食事はこれも又”只者ではない”内容だった。
タタミのお座敷に用意された料理は、岩内港で水揚げされた海のものだ。大きなヒラメのお造り(骨と頭だけのヒラメは食事終了近くまで生きていた)、3種類の殻に入ったままのウニ、エビ、蛤、大きなツブ貝をはじめ高級食材のオンパレードだ。圧巻は生きているあわびが刺身、焼き物、煮物とナント3個も出たことだ。あわびが一体どの位高価か知らない(高いという先入観から私には無縁だった)私には、とにかく「スゴイ!」ことだけは理解出来た。新鮮・・・というよりその殆どが生きていることも、山国の私には大感激だった。
雰囲気といい、接客といい、同業者としてはとても真似は出来そうにないが、それでも「自分も元気を出して頑張ろう」と勇気を与えられた気がする。
道東と道北が好きなので、ここに宿泊するのはスケジュール上困難だが、来年も是非利用させて頂きたいと思う。ここでの写真は無しにして、興味のある方は行ってからのお楽しみということにしておこう。

今日の走行距離420Km。

6月20日
4時起床、昨日行けなかった当丸峠を走りに行く。同室のクリさんを起こさないように注意してソーっと歩いて準備をしていても、板張りの床は大きな音がするのでこれには参った。MCを宿から離れた道路まで出してから下り坂を降りる。宿からかなり離れたと思われる所でエンジンを掛けたつもりだったのに、すでに目覚めていたマツダさんには聴こえたみたいだ。


当丸峠頂上付近
天気も良く、ひさしぶりの当丸峠は頂上付近がスノーシェードに覆われしまっていたのは残念。でもやはりとても楽しめるワインディングだ。走りに来た甲斐がある。古平でUターンして又神恵内から岩内に帰る。往復で約120Km。4時40分頃出発してまだ6時30分。こんなに早いのなら神威岬を周ればよかった。
ガソリンスタンドが開くのを待って宿に帰る。今日は道内最終日、苫小牧に行くだけなので朝食は8時と遅めだ。
キヨさんとオーニシさんは小樽発の敦賀(舞鶴?)行きフェリーに乗るのでここでお別れ。忙しいスケジュールをやりくりして長期のツーリングにお付き合いしてくれたキヨさんには本当に感謝。
ウイリーやシートの上に立つ(・o・;というパフォーマンスは控えめ?だったけれど、キヨさんの思いやりのあるとても優しい人柄に触れることが出来て幸せだった。
クマさんとクリさんは小樽に立ち寄りたいとのことで、キヨさん達と一緒に行動することになった。宿を出発して岩内市内で別れ、我々はニセコパノラマラインに向かう。スキー場や温泉が有名なニセコアンヌプリを横断するこの道も、又とても爽快なワインディングランを楽しめる。峠付近では山菜取りの車が路肩駐車しているので注意が必要だったが、それでも北海道最後を締めくくるにふさわしい大満足の走りが楽しめた。
ニセコ町を過ぎ、真狩村から留寿都村へ抜け、ここからR230で洞爺湖温泉街に向かう。洞爺湖では新しい噴火口への入り口の看板があったので、興味もあり見学することにした。



マツダさんの背後の道はかつてはずっと下り坂だったのだが、頭の部分の地盤が広範囲に隆起して水溜りが出来ている。真ん中上辺りの煙は新しい火口からのもの。写真向かって手前道路を隔てて左側は虻田町の運営する有料駐車場、右側には民間の駐車場がある。被災者の皆さんの損害や苦労は計り知れないが、この災害の状況を観光資源にして”災い転じて福となす”ことが出来れば良いとは思う。
しかしマツダさんが食べているソフトクリーム屋や、??と思う土産屋が増えてあまりに商魂逞しくなると、隆起した地面のように欲が膨らんで、いずれは噴火するのではないかと心配になる。余計なお世話かも知れないが、この自然の驚異をセンス良くスマートに見学出来る環境を整えて欲しいと思う。
ここに来ていきなり「こっちこっち」と駐車場に呼び込まれてMCで100円取られてしまった。これも災害復興の足しになればと自分を納得させた。
ソフトクリーム屋の前に留めれば「タダだったのに」と後から知ったマツダさんは浮かない顔(^^)。

ここからR453で久保内まで行き、道道5でオロフレ峠を越え、登別温泉に向かう。峠の頂上までは快晴で、ニセコ同様快適なワインディングランが楽しめた。下りにかかると一転して濃いガスに覆われ、路面もウエットになり、小雨もパラついてきた。登別温泉でラーメンを食べ、地獄谷と太陽沼、それに倶多楽湖を見学しながら登別に出る。R36を白老町に向かう頃は完全に雨を覚悟しなければならない怪しい雲行きになってきた。このまま苫小牧に向かえば雨に降られる前にフェリーターミナルに到着出来るのだろうが、8時45分発に乗るのには早過ぎる。

ガソリンスタンドで給油をし、出発する頃には又小雨がパラついて来た。やはりレインウエアーを着ることにする。白老で左折し、道道86を大滝村に向かう。この道も一昨年通った時に良い印象があったので今回もここを走ることにしたのだが、山に向かって走り始めると本格的な雨降りになってしまた。改良工事が終わったばかりの快適なワインディングだったので,晴れていればと、とても残念。

頂上の瓦斯山を過ぎると又青空が広がっていた。大滝村を過ぎ、R276を支笏湖に向けて走る。途中”フォーレスト276”という道の駅に立ち寄った。ここのトイレの豪華さには呆れる。男女の入り口の間にちょっとしたステージがあり、その上でグランドピアノが自動演奏しているのだ。御影石?だけで出来たこのトイレは確かに快適だが、一体どういうお金で造り、維持しているのか不思議だ。スゴイというより度を越していると個人的には感じてしまう。

30年程前車で訪れた時には都市部を除いて殆どが未舗装であったり未整備だったりした道も、15年前にMCで訪れた時には走るところ全てが素晴らしく、感動した。だからこそ毎年惹かれて来ているのだが、年々整備が進み、殆ど車の通らない道に「これでもか」と過剰な程のお金を掛けて果たして良いものだろうか?とタックスペイヤーとしては次第に疑問に感じるようになっていた。しかし日本の政治システムがそうなっている以上私にはどうしようも出来ない訳で、それなら折角造ってくれた”ドリームランド”を前向きに楽しんでしまおうと考えるようになったのだ。
数年前からは市町村でも公園を含む住民用のりっぱな厚生施設が整備されているので、ここを利用するととてもリーズナブルに北海道を楽しめる。ただし宿をやっている身としては複雑な心境。

支笏湖から苫小牧に入り日高道(無料)で苫小牧東港フェリー乗り場に到着したのは5時30分頃。結局レインウエアーは着たままだったが、支笏湖の手前で降られたので寒いこともあり正解だった。
エンジンを止めると、「アー今年も終わってしまった」と妙に感傷的な気分になる。小樽に上陸してオロロンラインを走ったことが遠い昔の出来事の様だ。
パーキングにはすでにNRとCBRが留めてあり、待合室に登るとクマさん、クリさんも無事に到着していた

乗船すると、いつもは走って来た道を地図でトレースしながら旅の想い出を語り合ったり、来年のルートを検討したりしていたのに、今回の私は船室に入るや否や朝まで爆睡してしまった。

今日の走行距離402Km。

6月21日
5時ごろ一旦目が覚めて又寝てしまった。朝食も食べず、起きたのは9時を過ぎていた。こんなに寝たのは何年ぶりだろう、12時間近く寝たことになる。
船室やラウンジでは、メンバーそれぞれがこの旅が心に残してくれたものを反芻していたように思う。もちろん私も。

フェリーは定刻の30分前に接岸し、3時30分には下船して帰路につく。いつものことながら紫竹山ICの入り方が判らず、通り過ぎてしまう。ナベさんは福島なのでそのまま磐越自動車道に向かい、我々はUターンし北陸自動車道に乗る。黒埼PAで最後のお別れをする。ウエノさんはマイペースで帰るとのこと、クマさんはスモークシールドなので暗くならないうちに帰宅したいとのことで、マツダさんと共に早々に出発。クリさんは浜松まで帰らなければならず、まだ先が長いのでとても心配になる。最短は上信越道、中央道を使うことになるので、上越JCまで一緒に走る。別れてからはメンバーの無事帰宅を祈りながら、又自分自身も気を引き締めて走る。帰宅は6時30分だった。夜キヨさんから無事帰宅の連絡を頂く。最年長オーニシさんのことが特に心配だったので一安心。

一週間事故が無かったのは本当に良かったのは勿論、何よりホッとしたのは参加メンバーが和気藹々と過ごしていたように感じたこと。「試される大地」を走る上で、個々にはそれぞれ希望や期待や注文はあったはずだ。しかし9(8)人の個性が終始抑制の効いたものであったことが楽しい旅になったのだと思う。その意味でこのツーリングは「大人のツーリング」と呼ぶに相応しかった。

皆さんありがとうございました

今日の走行距離232Km

全走行距離  2798Km
ガソリン消費量 141.3L
平均燃費  19.8Km/L
OIL消費量(約)  0.3L
タイヤ磨耗量(センター) 前0.7mm、後1.4mm


6月15日 フェリーでの夕食

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