2012 北海道ツーリング 06/26〜07/02

北海道ツーリングを始めてから今年で25年目、一昨年以来モーターサイクルではまる2年振りになる。
その間はモーターサイクルみたいな4輪で訪れているから、北海道ツーリングが途絶えたと言う訳では無いけれど、モーターサイクリストとしては如何なものか内心忸怩たる思いがあったのも事実。

思い起こせば北海道はいつも友人達と走っていたのだが、今回は完全ソロツーリングで、相棒はキャブレタを新調したSRX。
それまでスロットルバルブの張り付きに悩まされていたSRXが、長距離長時間のワインディング走行で如何なる変貌を遂げているのかが今回の最大の関心事。

そんなこともあり、ハンドリングの悪化を極力避けるため、シートバッグも10年振りにコンパクトなものを新調し、荷物は最小限に止めた。

: 文中 R=国道 D=道道

2012/06/26

書き出しはいつも同じ(^^)
楽しいツーリングを控えていると興奮してなかなか眠れない。ウトウトしながら3:30には起床し旅支度を整え、4:15に新潟港を目指して出発。
高速は使わず下道を走る。柏崎から新潟までの海岸線はとても気持ちの良い道だから、快晴の空の下シールドを直撃する朝日が眩し過ぎるのも気にならないのが不思議(^^)、むしろ北海道へのプロローグには相応しいと思ってしまう。

SRXの調子はと言えば、面倒くさくなってきたこともあり、キャブのセッティングはほぼ決まったことにして出発したのだが、低開度域がもう少しなんとかなりそうだったSRXは、やはりノンスナッチが60→65Km/hに悪化していた。
気分良く回転上昇する速度は5速では70Km/h以上になるので、勢い4速を多用することになる。

いつものように途中合流する友や、フェリー乗り場で待つ友が居ないのは寂しい気もするが、20年前がそうだったように、今回はひたすら走り続けることだけが目的のツーリングになるのだろう。

コンビニで朝食を買ったり給油したりしてから、フェリー乗り場に到着したのは8:30だった。
案外短時間で到着出来たのは、昨年帰りのフェリーの中で話し相手をしてくれたおじさんが「海底トンネル」を使った市街地のバイパスルート教えてくれたからで、30分近くは短縮出来たと思う。

待っている間、飯能市から原付のスクーターで来た年配のご婦人と世間話をしながら時間を潰す。新潟までは二日掛りだったという彼女は、北海道を半月掛けて巡ると云っていた(・・;。

バイクスペースにMCは10台程度だったが、車と乗客はこれまでのどの北行きの時より多く、乗船出来たのは出航時刻をかなり過ぎてからだった。
そんなこともあり、今回の船室は奮発してツーリストS(従来はS寝台)。



快晴の空の下新潟フェリーターミナルにて。
久々のMCツーリングは、やはり特別な感情に支配される。


日本海に沈む夕日を観ながら北の大地に想いを馳せているのだろう。明日から北海道はしばらくの間良いお天気が続くらしい。


今日の走行距離230Km
GAS=7.3L 31.5Km/L

2012/06/26


車両甲板は車がビッシリ詰まっていて、下船にも時間が掛かる。

昨日乗船を待つ間、話し相手になってくれた原付スクータのご婦人。ご主人が作ってくれた荷台に衣装ケースを載せ、本格的なツーリング仕様になっていた。


漸く下船し、物凄いコントラストと乾いて冷えた空気の中を、5:20北に向かって走り出す。

=今日のルート=
小樽⇒R5⇒R337⇒R231⇒厚田⇒D11⇒D28⇒青山ダム⇒R451⇒滝川⇒R275⇒雨竜⇒D867⇒D459⇒R233⇒留萌⇒R232⇒小平⇒D126⇒小平ダム⇒D742⇒R239⇒霧立峠⇒添牛内⇒R275⇒朱鞠内湖⇒美深⇒D49⇒仁宇布⇒D126⇒天の川トンネル⇒歌登⇒中頓別⇒R275⇒D785⇒知駒峠⇒D785⇒D84⇒本流⇒D121⇒沼川⇒D138⇒猿払⇒R238⇒宗谷岬⇒宗谷丘陵⇒D889⇒D1077⇒D1119⇒R238⇒野寒布岬⇒D254⇒D106⇒オロロンライン⇒稚咲内⇒D444⇒サロベツ原野⇒豊富バイパス⇒幌延⇒D121⇒R232⇒手塩⇒羽幌泊(吉里吉里)。

沼田に到着したのは7:30AM。
此処で、個人的には「コンビニ界最強」の称号を与えたい”セイコーマート”で朝食を摂り、お腹を満たす。
同時に給油も済ませたかったのだが、斜向かいのGSは既に店員のお兄さんが居るものの、彼は8:00オープンなので給油は出来ないとのこと、15分もムダに時間を潰す訳にもいかず、沼田ダム経由達布⇒霧立の予定を変更。
一旦留萌に寄って給油し、小平から再び霧立国道を目指す。

快晴で太陽が眩しいから、そのうち暖かくなるだろうとの期待は裏切られ、とにかく寒い(><)!。この先も寒さが続けば、ゴアテックスの夏用ジャケットは失敗だったカモ?と、厚手のシャツを着ているにもかかわらず、ガタガタ震えながら走る。


小平ダム湖に掛かる橋の上で


D49とD120の交差点付近にあるトロッコ王国。
美深で給油後、ここで暫く休憩して、爬虫類じゃないけど体温の上昇を待つ(^^)

この、道北東部を北上する道道では、刈り倒されたばかりの牧草が放つ甘い香りが、一気に25年前の記憶を呼び覚まし、まるで香りの粒がはじける度に閉じ込められていた記憶の一つ一つ蘇るかのようだ。
牧草の甘い香りと過ぎた日々の甘酸っぱい香りの中にドップリと浸かりながら順調に北上を続ける。

キャブは相変わらず低開度域で濃い目の兆候を示しているものの、1/4〜全開ではパワーの出方に問題は無く、快適にライディングを楽しめている。


知駒峠に至るワインディング

いつも思うんだけど、愛別を基点として北上し宗谷岬に至る道道は、何時来ても何度走ってもひたすら愉しく、飽きることが無い。
この辺りに来て漸く寒さが和らいできた。


一旦通り過ぎ、思わずUターンしてマジマジと見入った猿払村役場(・・;。
走っていると虚を突いて立派な建物が出現するが、北海道ではこのような公共施設は珍しくない。



お約束の最北端宗谷岬
此処でも給油。タンク容量は14Lあり、内3Lがリザーブされているので、本来は11L使った時点でリザーブになる筈なのに、大抵9L使うとリザーブに切り替える必要がある。

家を出発してから平均30Km/L程度の勘定だから、タンクを使い切れば航続距離は400Km程度になるが、峠区間が多いと25Km/L程度に落ちるので、安全マージンを考慮してリザーブ切り替え後は正味3L分(全12L)しか使えないということにし、給油のタイミングは250Kmを上限とすることにした。



宗谷岬を後に、再び宗谷丘陵を南下し猿払方面に向かう。
最近開通したばかりのD1077に繋がるこのD889は、最北端を目指す場合は走っておくべき価値がある爽快ワインディングロード。
快適な道道を堪能した後稚内公園に上りノシャップ岬を周ってオロロンラインを南下する。


稚内公園
フェリーもそうだったけれど、自分も含めて観光客の大半が中高年(−−;


18年前娘を連れて来た時以来か?


オロロンラインには所々道路の両側にエゾカンゾウやエゾスカシユリが群生している。

稚咲内で左折し、エゾカンゾウが咲き乱れるサロベツ原野を素通りし、豊富バイパスに乗る。


手塩付近の牧草地

手塩からはR232を淡々と南下し、たまには公園でも見学してみようと「初山別みさき台公園」に寄る。
此処も北海道の例に漏れず、物凄く立派で至れり尽くせりの設備を備えていたから、キャンパーにとっては超快適に過ごすことが出来るだろう。

公園の凄さ=お金の掛け方(^^;に腰を抜かしそうになりながら、羽幌に辿り着く。
陽も高いし、未だ走り足りないとは思ったものの、ホクレンGSで給油を済ませてから5:30吉里吉里到着。

先客の二人とのディープな会話が途切れないまま、相変わらず美味しい夕食になだれ込む。

今日の前半は寒かったけれど、久々に雨の心配をしないで走れたのが何より。



今日の走行距離770Km
GAS=26L 29.6Km/L



2012/06/26

=今日のルート=
羽幌⇒R232⇒上平⇒R239⇒添牛内⇒R275⇒母子里⇒D688⇒名寄⇒R239⇒下川町⇒D101⇒岩尾内ダム⇒D61⇒上紋峠⇒D137⇒滝上⇒R273⇒浮島トンネル⇒R333⇒北見峠⇒白滝⇒丸瀬布⇒D305⇒金八峠(トンネル)⇒D137⇒通行止めUターン⇒D305⇒D553⇒R273⇒再び滝上⇒D137⇒西興部⇒D334⇒R238⇒紋別泊。


目覚めると小窓から射し込む陽の光にナナカマドの葉が揺れている。空は快晴。
吉里吉里はこれで8回目になるが、朝MCが濡れていなかったのは初めてのこと。それだけで今日が良い日になりそうな予感がする。


昨夜、思いがけずディープな話になってしまったR1200C氏と出発前のひと時。

夕食同様美味しい朝食を頂き、いつもの写真撮影を済ませ澄んだ空気の中を走り出す。
今日の宿泊地は紋別。
今回のツーリングは走るのが目的なのだがもう一つ、紋別で燻製工房を営んでいるスキーの友人を訪問すること。

昨日は一筆書きのようにして走れたのだが、今日は昨日走った空知国道の添牛内から母子里までが重複してしまった。
名寄から下川町までの区間はナント!初めて走る道。下川町でD101に入ると「万里の長城」なる構築物が目に入った。
面白そうなのでチョッと寄ってみたのだが、何故此処に?という疑問はあるものの、長さが2Kmに達するという石の塀はそれなりにきちんと出来ていた。
時間があれば歩いてみるのも悪くなさそうだ。

岩尾内ダムを過ぎる頃から気温は急上昇し、昨日とは打って変わって暑い!。薄手のジャケットに薄手のTシャツでも停車すれば汗が噴出す。
滝上のGSではたまらず休憩所に入って体温を下げる。

浮島トンネルを過ぎR333方面に左折。遠軽に続くこの道は途中の北見峠が愉しいのだが、旭川紋別自動車道が整備され交通量が皆無に近くなった為か、路肩には砂が堆積していて、車線にも砂が浮いているようで、なかなか思い切り愉しめるような状態でなかったのが残念。

停車して路面を観察すると、路肩には砂が溜まり、路面も砂っぽい感じ。以前R1100Sのリヤタイヤがロックしたのもこの峠付近。
それでも路面自体は痛んでいないので、そこそこのペースでは走れた。
ここで紋別のプロスキーヤ兼燻製職人の安倍さんに、本日長野のスキーヤ約一名が乱入する旨連絡を入れる。待ち合わせは4時。


旧白滝駅
このホームでは以前同行者がコーヒーを煎れてくれた、もう十数年も前のことだ。


丸瀬布で左折しD305に入ると砂利道だった金八峠は立派なトンネルに替わっていた。

途中でD137を滝上方面に向かうべく左折すると通行止めの標識が出ていた。
昨年の6月に4輪で走った時は出来たてのホヤホヤ、且つ全線北海道クオリティー(お金掛け放題という意味です^^)の快適ワインディングだったので、MCで来たら絶対に走ると決めていた道の一つ。
それが通行止めとは残念だったが時間には余裕があるし、行ける所まで行ってみようと、行き止まりまで往復することにした。



当然交通量皆無だから中高速コーナーの片道訳5Kmを心いくまで楽しむ。やはり来て良かった。

再びD305に戻り紋別方面に向かっていると、駅逓と書かれた趣のある建物を発見。
ちょっと気になる建物だったので、一旦は通り過ぎたものの、Uターンして見学することにした。正式には「上藻別駅逓」と云う。

駐車スペースにMCを停め、此処は「昔駅だったんだな」と勝手に解釈して、なかなかの雰囲気に浸っていると、建物の方からおじさんが現れ、軽いやり取りの後駅逓について説明を始めた。

駅逓はその昔、人馬の宿泊や荷物輸送、郵便の取り扱いをするための施設であり、鴻之舞金山が操業していた時代は人々で賑わっていたが、今はその面影も消えそうになっていると懐かしそうに話してくれた。今ならさしずめ「道の駅」か?。

オホーツク海沿岸部がゴールドラッシュに沸き、鴻之舞金山が佐渡金山に匹敵する量の金を産出した時代があったとは知らなかった。
薀蓄を聞き大いに勉強になったが、「やけに詳しくないかい?」と思ったら、帰り際に頂いた名刺によると、彼は池澤さんと云ってこの駅逓保存会の代表者だった(^^)。



池澤氏と駅逓

今回は走るだけだから気になるのは名勝(所)や旧跡では無く、GSの場所だけ。それなのに万里の長城をはじめ今日は随分「見学停車」が多い(^^)。
しかし、時間はまだたっぷりあるし、このまま紋別に行くのは勿体無いので、D305からD553経由してR273を滝上に戻ることにした。
滝上からはD137の札久留峠を越えて西興部に向かう。
西興部集落直前にある瀬戸牛峠は距離は短いものの、回り込んだワインディングが愉しいから、一旦集落側に降り、再び瀬戸牛峠を越えてD334をオホーツク海に向けて走る。R238に合流したらあとは紋別に向かうだけだ。

紋別港に到着したのは約束の4時を15分過ぎた頃だった。友人に電話を入れ迎えに来て頂く。
程なく仕事用の軽トラで現れた安倍氏は私をホテルまで案内してくれ、チェックインした後市内見学に連れて行ってくれた。


燻製職人安倍氏の素材を漁ってくる”克恵丸”の前で



紋別市街を一望できる大山スキー場の頂上で安倍氏と。

こじんまりとし、それだけに手入れが行き届いたこのスキー場で、氏は研鑽を続けている。
友人とは云っても、実はメールのやりとりだけで今日が初対面(^^)。歩きながらもスキーヤ同士話は尽きない。
その後工房に案内され、サバを燻製室に入れる作業を拝見させて頂いた。決して大きいとは云えない工房には、隅々まで職人の思い入れが詰まっている。これで美味しい燻製が出来ない訳が無い。


オホーツク燻製工房ヒューモアールの工房にて

その後奥様を巻き込んで食事処「一法亭」にて美味しい料理の数々を頂く。


紋別の飲み屋街?「はまなす通り」


恥かしながら、こういう高品質な和食料理屋さんで食事をした経験は殆ど無いので、そのどれもが「超」の付く美味しさに驚くばかり。

アルコールが入ったからでは無く、どんなニュアンスの部分でもディープな部分でも、スキーの話がごく当たり前に通じるから、まるで旧知の仲のように話が弾み、しかも最高に愉しい。

話は尽きないが、明日からのこともあるので8:30PMにはお店を後にし、3人で歩いてホテルに向かう。
突然の乱入にもかかわらず歓待して頂いたことはもとより、不案内な私の面倒を見て頂いたことに深謝し、名残惜しくも再会を約束してお別れする。

「今日は見学が多かったので走行距離は伸びなかったな〜」などと考えながら部屋に戻ると、普段は飲まないアルコールの酔いも手伝って、軽くシャワーを浴びただけで敢え無く爆睡。



今日の走行距離462Km
GAS=15.1L 30.5Km/L


2012/06/29

=今日のルート=
紋別⇒R238⇒サロマ湖⇒能取湖⇒D76⇒能取岬⇒網走⇒R244⇒小清水原生花園⇒斜里⇒標津⇒D1145⇒R335⇒羅臼⇒R334⇒知床峠⇒ウトロ⇒斜里⇒中斜里⇒D1115⇒緑⇒R391⇒川湯⇒D52⇒摩周湖第三展望台⇒弟子屈⇒R241⇒阿寒横断道路⇒足寄⇒上士幌⇒D806⇒ナイタイ高原⇒上士幌⇒D316⇒D134⇒士幌⇒士幌温泉泊


昨夜は早めに寝たせいか、4時40分には目覚める。
既に太陽は水平線からの距離を十分過ぎる程高く保っていたから、なんとなく焦ってしまう。
今日も快晴で暑い一日になりそうだ。

そそくさと荷物のパッキングをしチェックアウトすると、バイク置き場のSRXは、後から突っ込まれた4輪車に囲まれ、どう考えても出すことが出来ない。
後から駐車した運転者の知的レベルを疑ってしまう状況には、怒りと言うより朝っぱらから情けない気分になってしまう。
こんな人間は珍しいと思いたいが、なんとなく他人への配慮に欠けた自己中心的な日本人が増えているのでは?と感じる今日この頃、具体的事例を見た気がした。

結局駐車場に置かれた大型の鉄板で出来たゴミ箱?を移動し、その隙間から引っ張り出せたのだが、R1100Sだったら多分無理で、フロントに手間をとらせたことになっただろう。

そんなこともあり、出発は5:30を過ぎてしまった。
しかし早朝ということもあり、R238は快調に飛ばすトラックに引っ張られて楽チンクルーズ、能取湖には1時間少々で到着してしまった。ここからはもちろんお決まりの能取岬に向かう。

前方に見えるのが能取岬
数年前までは未舗装だったが、現在は北海道品質(^^)


能取岬
どうしてこの風景に惹かれるのか不明(^^;

たっぷり景色を深呼吸して、網走から斜里に向かう。
小清水原生花園付近には、エゾカンゾウやハマナスの花が沢山咲いていたが、車上から眺めるだけで先を急ぐ。
斜里で給油し、根北峠を越えて標津に向かう約40Kmの間、追い付いた車は皆無対向車は2台だけと、いくらなんでも交通量が少な過ぎないかい??と改めて驚いてしまう。

R244の途中で左折しD1145を薫別方面にショートカットする。
三度の飯より走っている方が好きだとは云っても、朝から何も食べていないのでさすがにお腹が空き、このまま横断道路に突入して折角のワインディングが楽しめないと困るので(^^)、羅臼で遅い朝食にする。
食事はもちろんセイコーマートのおにぎり2個(具のオカカたっぷり&コンブたっぷり)と500mlのお茶。300円でお釣りがくるこの組み合わせは、コンビに界最強と云わずして何と言うのだろう(^^;。

本当は食堂で食べたいのはやまやまなのだが、時間が勿体無いのがコンビニ利用の最大の理由。


これがコンビニ界最強・・・・と思っている・・・・”Seico mart”(^^)

おにぎりと500mlのお茶を一気に飲み干し、知床横断道路に向かう。
此処までも快適ワインディング走行は多かったのだが、大抵がSRXにとっては高速コーナーというべき道だったから、この峠道は久々にSRXで100%愉しめる速度域になる。

だからと言って安全第一のロングツーリングだから、スロットル開度全域をまんべんなく試すなんてことはしないが、それでもFCRの1/4〜1/2開度に関してはセッティングが決まっていることを確認出来た。


何時来ても愉しい峠だが、眼下の国後島を見ると複雑な気分になる。

ウトロへの単調なダウンヒルの後再び斜里を通り、中斜里からD1115を南下し、緑からR391に移動して摩周湖を目指す。
天気は相変わらず良好で気温も高く、走っていても汗ばむ位だから、道内初日の寒さは何だったのだろう(−−;。
それにしても、北海道広しといえど、なかなか一筆書きで走るのは難しい(^^)。

野上峠の降りは6個位回り込んだコーナーがあってなかなか愉しい。そのままの勢いでD52を摩周湖第三展望台に駆け上がる(^^;。このワインディングもSRXにとってはおあつらえのコーナーが続く。

摩周湖に寄る時は不思議と晴れている。

相変わらず神秘的で独特な青色をしていて、他の湖でこんな色をしたものは見たことが無い。
以前一度だけガスが掛かっている時に登ってこの場所に立ったことがある。辺り一面霧が立ち込めていて全く何も見えないから、「霧の摩周湖」と聞けばなんとなく風情がありそうだが、勿論見えるのは霧だけなので、此処が摩周湖だろうとオロフレ峠だろうと、その違いは判らないから、我にながら「マヌケなことをしているナー(^^;」と思ったものだ。

摩周湖を後にし、弟子屈のホクレンで給油していると、地元らしきライダーがZ1(Z2?)で入ってきた。マフラーは集合官で、ブリッピングの様子からしてそれなりに手は入っていると思われた。

先に出て行ったZ1氏に続いてGSを後にする。一般的に走り屋のカワサキZ1乗りをイメージする時の身支度でビシッと決めた彼について行くと、すぐ先の交差点で「どうか阿寒横断道路に向かって欲しい」との願いが通じたのか(^^)、彼は右折し、空冷4発の「いじった音」に加え、集合官の快音を響かせて先導してくれる。

ぬわわをあわKm/h程上回る速度で従いていくと、数少ない対向車からのパッシング。Z1氏急ブレーキ、私急ブレーキ(^^;。
事無きを得た後は2桁の速度を維持してワインディングに向かう。

ソロの時は峠のワインディングでもコーナリングを愉しむだけだから、立ち上がりでも大きくスロットルを開けるような走り方はしないのだが、いよいよワインディングが始まると、本能がZ1氏に「従いていけ」と囁くものだから、いきおい開け方も大きくなる(^^)。

峠まで1/3を残す辺りまでは回り込んだコーナーが連続し、比較的ストレートが短いのでSRX向き(^^)と、ここまでは余裕をカマしていられたのだが、コーナーが浅くストレート部分が長くなるにつれて全開でも置いて行かれそうになる。
コーナーで追い付き立ち上がりで遅れる状況に、普段の、それもロングツーリングだったらまずやらない「ブレーキング勝負」に突入してしまった(^^;。

Z1氏のマフラーからは「コーーーーンッ」と鳴くキツネ空冷4発の痺れるようなエキゾーストノートと同時に、モチュール300V?が燃えるうっとりするような匂い。気分は最高だ。
もうマフラーも擦っているし、北海道行きの為に交換したばかりのパイロットロード3は、昨日まで健在だったビバンダム君も消えそうになっているから、これ以上は無理なのだが、淡々としたツーリングが続いていただけに、久々にエキサイティングで思いっ切り愉しい(^^)。


そんな訳で、FCRのセッティングが実戦(^^;でもそこそこいけることが判ったものの、残念ながら次第に離されて、Z1氏が双湖台のパーキングに入るまでには100m位の差がついてしまった。

クラクションを鳴らし会釈をして通り過ぎると、バックミラーの中でZ1氏も返してくれたのが見えた。
私が張り付いていたことは勿論知っていたのだと思うが、速いペースで先導し、取り締まりを回避し、峠で遊んでくれたことに感謝して次の目的地”ナイタイ高原”に向かった。

今日は宿泊地も宿も未定なのだが、大体の勘で一応「十勝川温泉辺り」と決めていた。大きな宿が多いから、平日だし一人位は何とかなるだろう。
阿寒湖は素通りし、淡々とR241を南下する。
このルートは何度も走っているが、その度に感じるのは、上士幌までがとても退屈なこと。こんな感じがするのは北海道では珍しいことだ。それに加えてとても暑い。

そうこうしているうちにナイタイ高原牧場に到着。ラグナセカの様な雰囲気がある牧場内のワインディングを堪能し、レストハウスでソフトクリームを食べる。

此処には何度も来ているが、ソフトクリームを食べたのは今回が初めて。そんな気分になったのは多分暑さのせいだと思う。
味は?と言えば「普通に美味しかった」と書かざるを得ないのは、帰る日に食べた某牧場のソレがハンパじゃなかったからだ(^^)。


ナイタイ高原牧場

時刻はまだ3時前だから、宿さえ決めていれば余裕で後100Km以上は走り回ることが出来るが、断られて宿探しが難航(^^)することも想定して、早めに十勝川温泉に向かうことにした。

上士幌からD316を南下していくと、”十勝川温泉”と”士幌温泉”の標識が出ていたので、急遽”士幌温泉”の様子を見てから、十勝川温泉に向かうことにした。

”士幌温泉”は道の駅に併設されていてなかなか良い雰囲気なので、空いていたら此処に宿泊することにした。
対応した係りの男性は「一人」ということに多少難色を示した様子だったが、OKとのことで宿泊決定。

4時を過ぎたばかりだったから、太陽は未だ十分上空にある。宿も決まったし、もうひとっ走りしてこようか?とも考えたのだが、たまには「マッタリと過ごすのも悪くないナ」と、勿体無い思いはあるものの、温泉に直行することにした。

荷物を降ろし、いつものように一通り各部を点検すると、チェーンに太目の糸の様なものが付いている。引っ張ると伸びるだけで取れない。ナンダ?コレは???。

シール切れだ!!(汗)。

交換してまだ1万キロ程度なのに、調べてみると同じような状態になっている部分が他にも数箇所見つかった。
いきなりテンションが下がる(−−;が、スプロケットやチェーン自体に問題は無さそうなのでヨシとしよう。幸い天気予報もフェリー乗船までは雨の心配は無いみたいだし。

食事まではまだ時間があるので、出発前夏至ツーリングを気遣ってくれた友人達に「道内3日間で1800Km走ったせいか、チェーンのシールが切れてしまった」とメールすると、本当は「エリで行ってるんぢゃねーのか?」(^^;と疑っている彼らから返信が・・・・

I氏:「ん〜、頭のシールも切れてますね(^ー^)」
Oさん:「チェーンってことはちゃんとバイクで行ったのですね(^ー^)」
I氏:「エスロクだったりして(^−^)」←この辺りは車に詳しくないと理解出来ないカモ。

・・・・と、全く信用の無い私(^^;。

しかし、流石に古いバイクとヴォケが始まったライダーの組み合わせは切れたシールに気をとられ、ゾッとする様な状態を見逃していて、その後無事だったのは「運が良かっただけ」とも思えるツーリングを続けたのだった(・・;・・・・!。

ゴロンと横になりテレビを見ていると、今日は北海道で最高気温を記録したらしい。途中で見た気温表示が33℃の所があったから、本州はさぞかし凄いことになっていると思ったら、北海道が一番暑かったとは!(^^;。

十勝川温泉と同じ泉質のモール温泉「プラザ緑風」は設備も快適で食事も満足出来るものだったが、やはり宿は予約しておく方が安心できる。


今日の走行距離580Km
GAS=19.7L 29.4Km/L



2012/06/30

=今日のルート=
士幌⇒D134⇒R274⇒瓜幕⇒D85⇒然別湖⇒糠平湖⇒R273⇒三国峠⇒大雪ダム⇒R39⇒層雲峡⇒上川⇒愛別⇒D140⇒D37⇒R237⇒美瑛の丘⇒⇒D966⇒青い池⇒十勝岳温泉⇒D291⇒D298⇒富良野⇒R38⇒D135⇒R452⇒夕張国道⇒桂沢湖⇒R452⇒紅葉山⇒R274⇒川端⇒D462⇒追分⇒R337⇒千歳⇒D16⇒支笏湖⇒R453/276⇒D86⇒白老⇒R36⇒虎杖浜温泉⇒民宿500マイル泊

今日は登別温泉に近い虎杖浜にある民宿500マイルを予約してあるので、宿の心配をしながら走らなくても良いから気が楽。
朝風呂に浸かり、早めに朝食を済ませて8:00には出発した。今日も暑くなりそうだ。


上士幌が一望出来る扇が原展望台からは、眼下で自衛隊が実弾演習をしいて、着弾地点に砂煙が立つのが見えた。


本州のワインディングを走っているような気分になる然別湖畔を抜け、糠平湖を過ぎ、タウシュベツ橋梁を見学しようと立ち寄ったら既に水没していた。

糠平国道を北上すると、廃線となった士幌線の十勝三股駅跡周辺はルピナスの花盛り。
この道は過去に何回も走っていて、白樺やルピナスが見事な所との認識はあったのだが、一度この場所に一軒だけある三股山荘で食事をした時に、店主から「かつて林業が盛んだった頃は200戸以上2000人位が生活していた」という話を伺ってびっくりしたことがあった。

現在ではそんな痕跡はこれっぱっちも無いので、国道沿いの見事な白樺林はてっきり自然林だと思っていたら、廃屋を撤去した跡地に植えられたものだそうだ。
やけに整然と並んでいる白樺林と、こんな人里遠く離れた場所に一軒だけある山荘の存在が不思議だったのだが、お洒落なログハウスの三股山荘は以前から住んでいた最後の住人だと聞いて二度びっくり。聞いてみないとわからないものだ。

道内を走っていると、寂れた様子の集落は沢山あるが、僅かばかりの廃屋があったにしても、此処のように殆ど痕跡を残さずに消滅してしまった集落は珍しいのではないかと思う。

店主が「白樺は荒れた土地に生え、他の木が生長するとその木に取って代わられる運命にある」と云っていたことを思い出し、某村にある某スキー場の住民の行く末を暗示しているようで、なんだかブルーな気分になってしまったが、これが現実というものなのだろう(−−;。


十勝三俣駅周辺

三国峠を越え、層雲峡では25年振りに「銀河の滝」を見学する。
団体のツアーでは定番の観光スポットだけに、確かに見応えはある(^^)。

銀河の滝

チラッと観れば十分なので早々に出発。
ヘルメットが汗で濡れていて、被る時の気持ち悪さと言ったら・・・・(−−;。その後も汗を噴出しながら旭川を抜け美瑛に向かう。
セブンスターの木はかつて来た時に比べ、随分大きくなったものだと思う。


セブンスターの木


本当はこの丘と、その頂にある一本の木(セブンスターの木)の佇まいが、「北海道らしい」と感じられるのだが、右側の白樺は仕方ないにしても、その間にある産直の小屋と自動販売機2台が、この丘の風景的価値を大きく損なっている。
個人的にはセブンスターの木それ自体に価値はないと思うからだ。


セブンスターの木、自動販売機、産直小屋

この直後、丘に完備された駐車場に大型バスが2台入ってくると、辺りは一瞬にして某国の団体客で騒然となってしまった(^^;
此処も早々に引き上げ、白金温泉から十勝岳温泉を巡るワインディングに向かった。

途中で、雨降りの時に一度寄った「青い池」を、もう一度見学することにした。
以前は人気皆無だったのに、今回は土曜日ということもあってか、広くなった駐車場には車も人も溢れていた。
舗装はされていないので、勢い良く出て行く車が巻き上げる凄い砂埃に閉口しながら、なるべく埃の掛からない場所を選んで駐車する。


「青い池」がどうして青く見えるのか(^^;不思議ということもあるが、文字通り青く見えるから「青い池」(−−;は、やはり観ておく価値はあると思う(^^)。

白金から十勝岳温泉に至るワインディングは、景色もコーナーのレイアウトも最高で楽しめた。しかし、十勝岳の山肌からは水蒸気が盛んに立ち昇り、以前走った時とは何か違う感じがして、それが少し気になったから余程写真に収めようとも思ったのだが、快調なワインディングランを中断するほどの事でも無いと先を急いだ。

富良野から夕張までのR452は何度も走っていて、いつも車が少なくとても愉しめる道だと思っていたら、今回初めて桂沢湖までの渋滞を経験した。
青い池といい、北海道と言えど、やはり土曜日はどこも混むんだな〜と、妙に感心した次第。

桂沢湖から渋滞の列は岩見沢方面のD116に向かい、R452は再び快適に走れるようになった。
路面状態も良く、三夕トンネル手前に数箇所ある凹状のウネリさえ気をつければ、気持ちの良いワインディングランがシュウパロ湖まで楽しめる。


昨年?までは工事中だった富士見からシュウパロ湖までの道は、立派に付け替えられていた。

北海道は道が良いから走りに来たくなるので、道路が快適なのは良いのだが、それにしてもこの部分に関しては全く金に糸目をつけずに使ったとしか思えない・・・・むしろ交通量が無いに等しい道路に「どうやったら大量にお金を使えるか?」がテーマの工事にさえ思えた。

増税止む無しの私にしても、借金1000兆円、財政再建、社会保障云々で国民に負担を強いるなら、いくらなんでもこれはやりすぎだろうと思った。
欄干の隙間から見える道が旧道なのだが、それでも長野県ではR18に匹敵する位の道だから、必要ならそれを整備したらどれだけ安上がりに済むことか。

こうした公共事業がセフティーネットの一端を担っているとすれば仕方ないのかもしれないが、それにしても空恐ろしい工事費が掛かっているだろうことはシロートでも判る。
インフラを整備するのはEとしても、北海道を他国に乗っ取られない様にして欲しいものだ。

・・・・ってなことを考えながら、夕張からは増え始めた車の列に従い、紅葉山、追分、千歳と”移動”する。
千歳で給油し、D16で支笏湖、R276で三階滝公園に向かう。
途中の道の駅フォーレスト276には、以前大理石で出来たトイレの入り口に自動演奏のピアノが置いてあったが、「今はどうなっているのだろう」とか思いつつ通過。

三階滝公園からD86に入り、これまた絶好のワインディングが楽しめるホロホロ峠に向かう。
走行車両皆無の峠は、全く今日の締め括りに相応しいものだった(^^)。出来れば往復したい位だったが、民宿500マイルのおかみさんからは「6時夕食」と釘を刺されていたから、白老でR36に合流し、虎杖浜の宿に直行する。

到着は5:30。迎えてくれたおかみさんは「丁度いい時間だったね」・・・・私もそう思う(^^)。

部屋に通されると、以前利用した時と同じで、お茶受けに毛蟹一匹が待っていた。
北海道ツーリングで夕食に毛蟹が出ることは珍しく無いし、かつて何匹も食べたその味は大体同じだったから、「毛蟹とはそういうものだ」と思っていたのだが、前回もそうだったように、500マイルで出される毛蟹はそのどれとも違っていた。
勿論美味しいと言う意味でなのだが、何気なく食べていたら一匹分なのに毛蟹だけでお腹が満たされてしまう程大きかったことに気付く。

掃除は行き届いているが、この雰囲気は好みが分かれるところだろう↑↓(^^)
民宿だからと言って宿泊料金がそれ程安い訳では無いが、この宿のホスピタリティーは是非白馬の同業者にも経験して欲しいと思った。

カレンダーと蝿叩きとワイヤーハンガーが、どこか懐かしく、それでいて必要十分な機能空間を演出している(^^)。


国道沿いの500マイル


太平洋を一望出来る掛け流しの温泉に浸る贅沢。

何の気兼ねも無く貸切の温泉に浸かっていると、今日も又500Km以上走ってしまった一日の疲れが一気に剥がれていく感じがする。「アルピーヌも貸切で使えるようにするか?」(^^)。

緑と青のコントラストが織り成す景色は絵画のようだし、そこを縫って走るワインディングロードは、まるでギャラリーのようだ。
暑かったけれど澄んだ空気の中、風景画の連続を満喫し、美味しい食事を頂き、温泉で疲れを癒す。こんな一日を至福と言わずして何と言うのだろう?。

心のこもった夕食の後、もう一度温泉に浸かってから眠りに就く。


今日の走行距離529Km
GAS=千歳まで14.1L


2012/07/01

=今日のルート=
民宿500マイル⇒登別⇒D2⇒オロフレ峠⇒R453⇒洞爺湖⇒D132⇒R230⇒留寿都⇒D66⇒真狩⇒ニセコパノラマライン⇒岩内⇒R229⇒野塚⇒D913⇒婦美⇒R229⇒古平⇒D569⇒トーマル峠往復⇒余市⇒D36⇒冷水峠⇒R393⇒山中牧場毛無峠⇒小樽⇒朝里⇒小樽市内徘徊⇒フェリー乗り場

4:30起床。
浜辺でも散歩しようと、降り場を探しながらR36沿いに歩いていみたのだが、いい加減距離を歩いたのに、路肩には廃屋があったり雑草が生い茂ったりで降りる道が見つからないので、諦めて宿に引き返した。

朝食は8:00からと遅いので、いつもの始業点検に取り掛かった。
先ず最初は・・・ってことはいくつかあるってこと(−−;・・・フロントブレーキのパッドピンに刺さっている筈の抜け止め用βーピンが無いのだっ!!(><;

ブレンボのレーシングキャリパは、パッドピンを抜くだけで簡単にパッド交換が出来るようになっていて、ピンには抜け止めのβピンが刺さっている。
βピンが無ければチョッと走っただけでパッドピンが抜け、パッドが落ち、ブレーキが効かなくなるのは容易に想像できる。
そのβピンが無かったのだ!!(><;;;「ひえ〜〜〜〜」

ツーリングが主な用途なので、ブレーキのフィーリングが多少悪化しても、パッドが遊ばないようにパッド押さえを付けていたのだが、それがピンを押さえていて抜けなかったらしい。
こんな状態で昨日まで走っていたのかと思ったら、お尻の辺りが「ジ〜〜〜ンッ」としてしまった。
タンクバッグに車検の時使ったクリップがあったのを思い出し、それでピンを固定する。

帰宅後撮影


次はリヤウインカーが折れてぶら下がっていたこと。

多分昨日は普段回さない回転域を多様したから、振動もハンパじゃ無かったのだと思う。
いくらバランサー付とは云え、ビッグボアのシングルを7000rpm付近まで回せば、経年劣化しているプラスチック製品は堪えられなかったのだろう。
左側も折れる寸前だったから、両方ガムテープで補修。


帰宅後の写真

次はスピードメーターケーブルから、グリス状になったオイルが染み出していたこと。
これも経年劣化でケーブルの被覆にクラックが入った為。念の為にチェックしたタコメータケーブルも同様。

その次は、虫の直撃を受けていたフロントフォークのインナチューブにオイル滲み発生。
オイルシールは6年前に交換しているので劣化ではなく、こびり付いた虫に因るものだと思う。その都度落としていたのだが、あまりにも大量なので滲んでしまったのだろう。
問題はメーターケーブルに触れると汚れる位で、取り合えずその他は大丈夫そうだ。

そんな感じで慎重にチェックしていたら、朝食の時間が近づいてきた。
朝風呂にはいり、夕食同様心のこもった食事を頂き、会計の時おかみさんから、「バイクのお客さんには缶コーヒーサービスしてるから、横にある自販機で買ってね」と、小銭(50円玉2枚と10円玉2枚)を渡された。
有難く缶コーヒーを頂いて8:40には500マイルを後にした。

登別からオロフレ峠に向かう。
朝っぱらから超快適なワインディングランだ(^^)。本当に堪えられないとはこのことを言うんだな〜〜〜と、走行車両皆無の峠道を満喫していたら、それこそ「アッ」と云う間に峠到着。
昨日は千歳以降給油していないのでタンクが軽く、小さなシートバッグに少量の荷物の効果は大きいと再認識した次第。


旧オロフレ峠はもう少し先にある

峠を下り、洞爺湖を半時計回りに走り、留寿都で給油。
真狩から右手に羊蹄山を観ながら淡々と走り、久し振りのパノラマラインを愉しんで神仙沼でトイレ休憩。
今日は日曜日とあってか、地元?のライダーが多い・・・・と云うか長野県に比べて北海道はライダーが圧倒的に多いような気がする。
此処だって優に数十台はいたし、登って来るまでだって数え切れない程すれ違ったからだ。


軽く会釈を交わした右側の二人組みとは、後ほど再会することになる(^^)


神仙沼パーキングにはバイクが沢山いたが、こんな車も来ていた。元はランボルギーニのディアブロみたいだけど、これで公道走ってEんですか?って位いじってあった。

岩内に降り、かつて直江津行きフェリーがあった頃のフェリーターミナルに行ってみた。ソロツーリングしていた頃何度も利用した想い出深い港だ。
岸壁は当時のままだったが、乗船用ゲートやターミナルビルは取り壊され、別の建物に替わっていた。


この岸壁にフェリーは接岸していた。
そう云えば室蘭からも直江津行きの航路があったことを思い出して、何につけても存続するのは大変なことなんだと、とても他人事とは思えなかった。

積丹半島を海沿いに走っていると、神恵内村の漁港は凄い数の車とバイクと人々で溢れていた。都市部以外でこんなに賑わっている光景を見たのは始めてだったからビックリ。きっと何かのお祭りなのだろう。

正午に近かったのでウニ丼でも食べようと思っていたのだが、ウニ丼の看板を掲げる食堂の駐車場は車で満杯状態。これじゃ順番が来るのはいつになるのか分からないのでそのまま走り続けた。

北海道の魅力に嵌って入り浸るようになった当初、R229はまだ開通していなかったが、現在では”超”のつくほど立派な道路になっていた。

カムイ岬を過ぎると又ウニ丼屋が並んでいて、やはりここもバイクや車で満杯(・・;
ウニ丼は諦めて地元ライダーの集団に従って先に進むと、後ろもバイクの集団。まるでこの先に何か集会でもあるのか?と思ってしまう位バイクが多い。なんだか1980年代にタイムスリップしたかのようだ。

野塚からR229方面に向かう集団と別れ、そのまま積丹岬方面に直進すると、マッカ岬を過ぎた辺りでスキーリフトの原動小屋を発見。
こんな所にスキー場があったのか?と思ったら、一旦通り過ぎたものの妙に好奇心が沸いてUターン。

遠目からは錆びた銘板に辛うじて「日本ケーブル」の文字が読み取れるものの製造年月日は判読不能。それが判れば何時開業したか位は知ることが出来るのに。
ワイヤーは健在だったから山頂の滑車もそのままなのだろう。しかしそれを除けば、此処がスキー場だった頃の痕跡は完全に失われ、かつて人々の喚声で賑わっていただろうこの場所は静かな森に還りつつあった。やがてこの原動小屋も朽ち果てる時が来るのだろう。



少々センチメンタルでブルージーな気分になりつつR229の交差点に差し掛かると、大型のバイクが路肩で寝ていた。
バイクのくせにのんびり道路で昼寝なんかしている場合ぢゃ無いだろうと横を見ると、持ち主がうなだれて座っている。
怪我の有無を確認したら大丈夫そうだったが、レッカーを呼んだとのことだからバイクのダメージは大きかったのだろう。もう一度彼の様子を確認してからその場を後にした。

古平からD569をトーマル峠に向かう。久々に走るトーマル峠は、楽しさの点でやはり道内10指に入る名峠だと思った。
スノーシェードの途中にある展望台に寄ると、どこかで見たような二人連れのライダーが・・・・?

「神仙沼のパーキングでお会いしませんでしたか?」と訊ねると、「会ってます」とのお返事。写真の方は所謂「走り屋」で、お友達の方は普通のバイク好き(^^)に見えた。
今日は小樽発7:30出航のフェリーに乗るので、小樽方面まで良い道があったら教えて欲しいとお訊ねしたら、自分達も朝里経由で札幌に帰るから、これから一緒に走ろうという話になった。
願っても無い展開に「ヤッター」って位なもの(^^)。

「どこの食堂も混んでいてウニ丼が食べられなかった」とこぼしたら、彼らも食べられなかったと言っていたが、ずーっと並んでいて結局売り切れの憂き目にあった人もいたそうだから、待たなくて正解だった。

彼らはトーマル峠を神恵内方面から登ってきたとのこと、私が半島を周ってきたと聞いて「走りますね〜^^」。私「ハイ」。

此処からはR1のネイキッドタイプに従いて行くだけだから気が楽だ、しかも地元のライダーとくればいろんな意味で願ったり叶ったり。
余市からは冷水峠の新しいトンネルを迂回して、旧道・・・・と言っても路面状態最高・・・・のワインディングに連れて行ってくれたり、R393では山中牧場のソフトクリームを食べさせてくれたり。

地図とにらめっこのツーリングから、いきなりガイド付ツーリングになったみたいで、最後に来て緊張感から開放されたライディングを楽しむことが出来た。
特に初めての峠道では道を熟知した先導車がいるといないでは大違いだから、冷水峠では「年寄りの冷水」にならなくてよかった(^^)


山中牧場駐車場も沢山のバイクが集まっていた。
ここのソフトクリームの味は一口目の衝撃が凄い(・・!。今まで牛乳やソフトクリームは単なる”食品”のひとつでしかなかったから、こんなに”牛”を身近に感じたのは初めてだった。勿論美味しいと言う意味でなのだが。
二口目からは次第に衝撃は薄らいでいった。冷た過ぎて舌が麻痺したからだと思う(^^)。


毛無峠からは小樽と朝里市街を一望出来る。多分夜景は最高なのだろう。

”年寄りの”冷水峠から毛無山、小樽に下る最後のつづら折れは、道内最後を締めくくる年寄りライダーにはまったく相応しいコースレイアウトだった(^^)。素敵なルートを案内して頂いた彼らとは此処でお別れ。本当に愉しい時間を有難うございました。

小樽からフェリーに乗るのは20年振り。ウニ丼を食いそびれたお腹を満たすべく、昔家内と訪れて建物も内装も料理も強く印象に残っていた”フィッシャーマンズワーフ”で夕食にすることにした。

お店は運河から高島岬に向かう途中の海辺にあって、水色の倉庫のような外観だったから良く覚えてるつもりだったが、高島岬⇔運河を3往復しても見つからず、諦めて寿司屋を物色している内に、なんと朝里のループ橋まで来てしまった(^^;。

ここからもう少し行くと面白いワインディングがあるのだが、お腹が空き過ぎてそんな気にはなれない。
朝里にも”回転寿司”はあったのだがつい最近閉店したようで、Uターンして再び小樽市内を徘徊する。


運河沿いは観光客でごったがえしていた。やはり日曜日は凄い。

漸く見つけた回転寿司屋に入ってみる。外れならすぐに退散すればいいからだ。
一皿食べたら期待していなかっただけに満足度は高く、夕食は此処に決定(^^)。数皿食べるうちに店内には順番待ちの列が出来ていた。15皿位(^^;食べてお腹が満杯になったところでそそくさ店を出ると、駐車場にも入店待ちの車の列。鵡川の威勢のいい大将が握る大豊寿司に比べるのは酷だが、このお店はきっと人気の寿司店なんだろう。

乗船までには時間があるので、もう一度念の為に”フィッシャーマンズワーフ”を探すことにした。
覚束ない記憶ではあっても、位置的に見てどうやらそのお店は大型の商業施設に取って代わってしまったらしい。

年月が経ち、時代が変われば記憶の証が失われていくのは仕方ないにしても、JRの廃線は云うに及ばず、至るところでそんな光景を目にし、何事も継続するのは大変なことなんだと、今回はソロだっただけにつくづく考えさせられしまった。

一方、「熊しか通らない」などと一時期揶揄された高速道路工事は、政治家の言葉とはまったく無関係且つ順調に(ーー)進行していたし、「いったい一日に何台通るのだろう?」・・・・・だから快適なのだが(^^;・・・・・と思うこれまた高速道路並みに整備が進む道道。

そう云えば、某政権政党のキャッチフレーズは「コンクリートから人へ」だったな〜〜(^^)。
北海道を走っていると、彼ら政治家が放つ言葉の軽さが現実の重さの前で一段と際立ち、この国は彼らの言葉とは無関係に動いているのではないかと錯覚してしまう程だ。

北海道に限らず、ツーリング中こういう状況は日本各地で目にする訳で、以前ツーレポに書いたように、足るを知らない開発はいつか自然からしっぺ返しを喰らうのでは?と危惧していたことが現実に起こりつつあるようだ。
勿論日本だけでどうにかなる問題では無いにしても、「異常気象は来年には収まるだろう」との淡い期待は毎年裏切られ、益々その度合いはエスカレートしている気がする。

しかし自分にしてからが、楽しみの為だけにその快適なインフラを享受し、CO2やパティキュレートマターを吐き出していることを考えると、モーターサイクルライディングは禅問答のようでもあり、哲学的な行為でもあるように思えてくるのだ??・・・・なんのこっちゃ(^^;。

哲学的と云えば・・・・。
初日に吉里吉里で会った埼玉県から来たと云うR1200C氏は、吉里吉里に泊まり苫小牧発仙台行きフェリーに乗るのが目的だから、道内一泊のみと言っていた。

「実に哲学的ですね〜〜^^」、出来れば「絞ったばかりの夕日の赤が水平線から漏れてくる状況で、知り合ったジーサンからサイコロを貰い、拾ったテープでも投げてくれたら最高ですね」と言ったら、「吉田拓郎好きですか」と訊かれたので、「好きもナニも・・・・拓郎のアルバムなら大体持ってます」・・・・・意気投合(^^)。続いて道内初日のレポートにも書いたとおり、ディープな話に突入。

私は「苫小牧発新潟行きフェリーがリーズナブルですよ」と勧めたのだが、それには耳を貸さず、今回は「落陽」の世界を体験する為だけに来たのだと仰る(^^)。これを哲学的と云わずして何と言う?(^^;。


これから乗船する新日本海フェリー”らいらっく”

小樽市街を右往左往し、乗船までの時間を潰す。
バイク置き場では新潟フェリー乗り場で一緒だったGSXR1000氏とR1200RT氏に声を掛けられ、乗船までのひと時をお互いの体験談で過ごす。



今日の走行距離401Km


2012/07/02

新潟港⇒柏崎⇒糸魚川⇒白馬

7月から割り増しになったフェリー料金は、750cc未満でもツーリストS(S寝台)だと4輪のツーリストJ利用(2等和室)よりかなり割高。

何しろ帰りも混んでいて、ツーリストJは中年の夫婦連れグループが部屋の真ん中に陣取って宴会を始めていたりしていて・・・・入るものを拒む雰囲気作り(つまり、空気読めよ的な^^)・・・、他の船室も大同小異なので、一人旅にツーリストSは有難い。

そんな訳で、狭いけれど居心地が良い船室でウダウダと過ごしているうちに新潟港到着。

帰りは来た時と同じ海底トンネルを使ったので、市内通過に比べると優に30分以上は時間が短縮できたと思う。
日本海夕日ラインを快調に南下していくと、下船してから柏崎まではそれこそ「アッ」と言う間だ(^^)。
そんな訳で、糸魚川まで後僅かになっても、初日のR1200C氏が体験しただろう「絞ったばかりの夕日の赤が水平線から漏れてくる状況」にはまだ大分時間があるので、夕日が沈むのを観るのは諦めて自宅を目指す。

能生付近の海岸

久し振りの完全ソロツーリングは、改めて自分と向き合うことが出来た時間だった。
バイクに乗り続けることの意味を特別意識したことは無いけれど、阿寒横断道路での年齢はもとより風貌性別すら判らないライダーと過ごしたサイドバイサイドの時間は、言葉の無い濃密なコミニュケーションだったし、積丹半島での地元ライダーとの会話やその後のショートツーリングは、マイペースで走り続けるだけのツーリングスタイルにも幾らかの変化があったし、Uターンしてまで上藻別駅逓に寄り、そこで池澤さんのお話を伺う余裕が出来たのも、「食べたり観たりしている時間があったら走っている方がマシ^^」との狭視野角的価値観?(^^;から漸く脱皮が始まって、いくらか視野が広がりつつあるのかもしれない。

「600ccもあるのに、いくらなんでも非力過ぎやしませんか?」と感じたSRXが、ヨシムラミクニTM(MJN)キャブレタに換装することでとても元気の良いエンジンに生まれ変わり、グッドハンドリングの車体が本来備えるべきパワーとのバランスが取れたのは良いのだが、スロットルバルブ張り付きの問題からFCRに換装することになり、パワーは多少控えめになったものの、キャブセッティングが決まったスポーツシングルでのツイスティなワインディングランは、心の底からモーターサイクルライディングの醍醐味を満喫出来たツーリングだった。

特に道北の愛別から宗谷岬にかけて内陸部を北上する道道は、一部市街地を除けば約300Km続くワインディングであり、大排気量マルチのように、リスキーな速度域(動物飛び出しも含む)に突入することなく楽しめるSRXにはうってつけのツーリングコース。

全日程晴のツーリングは今回が初めて。雨予報が外れて快晴になったのも行いが良かったのだと思う(^^)。帰宅後北海道の天気は雨マークが増え始めた。

今日の走行距離225Km
ガソリン 7.4L
燃費 30.4Km/L


総走行距離3207Km
ガソリン 106.7L
燃費 30Km/L

今回のツーリングで何よりの収穫であり嬉しかったことは、ライフワークであるスキーの理解者に逢うことが出来たこと。