2006 北海道夏至ツーリング
06/18〜06/24

北海道行きは昨年の21回目で一応の区切りにしようと思っていたのだが、昨年末早々にキヨさん(ミスターカワサキ)から参加表明があったものだから、22回目を計画した。

結局キヨさんが不参加になり、クマさんもシルクロードツーリングが控えていたり、同行予定者の参加が不透明だったりして、この計画は一旦白紙に戻したのだった。

ところが、例のホサカさんから突然の参加表明があり、続いて昨年不参加だったナベさんとウエノさんから相次いで参加表明があったものだから、俄然行く気モードになってしまって、この優柔不断意志薄弱MC中毒患者は再び鬼気嬉々としてツーリングプラン作成に着手したのだった・・・・バカツ(^^;。

参加者の紹介:
ナベさん:ガラスメーカーにお勤め(CBR1100XX)
ウエノさん:呉服屋の旦那さん(XR250モタード)
ホサカさん:公務員(ZRX1200)
私:(R1100S)

道内の走行ルート

1日目6/19
小樽(4:30出発)⇒石狩R232⇒厚田村#11⇒青山ダム#28⇒ R451新十津川町⇒ R275沼田⇒沼田ダム⇒小平ダム⇒R239霧立峠⇒朱鞠内湖⇒手塩町⇒サロベツ原野(オロロンライン)⇒稚内R238⇒ 宗谷岬⇒クッッチャロ湖⇒中頓別⇒歌登⇒雄武(おうむ)町 ホテル日の出岬泊。

2日目6/20
雄武町(8時出発)⇒西興部⇒滝上町⇒愛別町D61−101⇒層雲峡R39⇒ 糠平R273⇒上士幌町D88⇒ナイタイ高原⇒陸別⇒美幌⇒秘密の農道⇒小清水峠⇒神の子池(裏摩周)⇒摩周湖第三展望台⇒弟子屈⇒津別峠 ホテルフォレスター泊。

3日目6/21
ホテルフォレスター(9時出発)⇒津別峠⇒美幌峠⇒秘密の農道⇒小清水峠⇒斜里⇒ R244標津⇒R335羅臼/知床峠/ウトロ⇒斜里⇒網走⇒能取呂岬⇒網走湖⇒女満別⇒津別町⇒津別峠ホテルフォレスター泊。

4日目6/22
津別峠(9時出発)⇒弟子屈⇒阿寒湖⇒オンネトー⇒足寄⇒ R38浦幌町⇒R336豊似⇒十勝港⇒R236豊似⇒帯広市 北海道ホテル泊。

5日目6/23
帯広市(9時出発)R33⇒新得R33⇒狩勝峠⇒トマム⇒富良野⇒夕張⇒苫小牧東港⇒新日本海フェリー乗場。


6月18日
本当にいつものことながら、楽しい行事を控えていると前夜は興奮して眠れない。
2:30AMに起床、3:40AM出発。

新潟港までの日本海側の天気予報は雨だったし、昨夜からの降りで路面は濡れていたから予めレインウエアーを着て出発するつもりだったのだが、幸い雨は止んでいて東の空も心なしか明るいような気がしたから、レインウエアーは着ないまま出発した。

例によって糸魚川からはお気に入りの海岸線を北上し、怪しい雲を避けるように走ってホサカさんと8:00AMに待ち合わせた黒崎PAには7:30AMに到着した。ラッキーなことに雨には遭遇しなかった。

既にMCのパーキングスペースにはZRXが停まっており、ホサカさんとは無事合流できた。
ホサカさんは随分早い時間に到着してしまったらしく、朝食もマッタリと食べたみたいだった。
新潟港近くの交差点でCBRXXのナベさんが追いつき、3人でガスを補給してからターミナルに向かった。

諸手続きや雑談等の、乗船までの一連の時間は何度経験しても本当にワクワクする。
そうこうしている内にウエノさんが、250モタードの弾けるような爆音と共に到着して今回のツーリングメンバーが揃った。

「軽量化は命よりも大切」が信条のウエノさんXR250は、以前見た時に比べ、更に徹底的に改悪の手が入っていて、危険過ぎるのはもとより、ロングツーリングでの気象やそれに伴う路面状況を考慮したら、普通の神経ではとても乗れないシロモノになっていた。つまり命の軽量化も滞りなく行われていたという訳だ(^^;。
乗船までの時間、皆でウエノさんの改悪モタードを値踏みしているうちに、来年は「車検を行おう」という話になった(^^)。

=レギュレーション(MC&ライダー)=
1)重要保安部品にチタン製品やチタンボルトの使用禁止。
2)有効な泥除けを装備すること。
3)マフラーの騒音規制(89dB以下)。
4)チューブレスタイヤ装着のこと。
5)最高速度は160Km/h程度を余裕で得られること。
6)フェリー船内を裸足で歩き回らないこと。
7)フェリー車両甲板での喫煙禁止
8)ガソリンスタンドの禁煙区域での喫煙禁止

ウエノさんは憎めないし、とても良いキャラクターの持ち主だけに、ハード面で他のメンバーへの配慮に欠けているのが残念。そして予想していた通り、このツーリングのペースメーカーは結局ウエノさんだったのだ(笑)。



その直後「可能なら見送りに行きます」と仰っていたCB1100Rクラブのイノマタさんが、RC30でわざわざ東京から見送りに来てくれ、「来年は絶対行く!!」と羨ましがっていました。

今日の走行距離:229Km



左からナベさん、ウエノさん、私、ホサカさん。


4:44AM小樽港にて。
いよいよ22回目の北海道ツーリングが始まる。


前日までの天気予報とは違い、小樽から新十津川町までは霧雨模様。
シールドに張り付くガスは視界を遮って厄介だし、路面も一部ウエット状態だから、予報通りの快晴を信じて疑わなかっただけにどうしても「話が違うじゃん」という恨み節が出てしまう。

初参加の「走り屋ホサカ」さんにはプロローグのワインディング「青山ダム」付近を心置きなく満喫して頂こうと思っていたのに残念。
私が「走る温厚」と勝手に思っているホサカさんは、「これも自然」と言ってくれるから、少しは気が楽になる。
沼田ダムに架かる橋の上で写真を撮った後、「オロロンラインが青空の下でありますように」と祈る気持ちで北上を続ける。


バッフル無しでも比較的静かだったR1100Sのステンチューンは、次第に大音量の爆音を発するようになり、おまけに燃調が狂っているらしく(理由はいずれ^^)パーシャルでは2ストに似た不整燃焼のパラついた音を発ているし、しかも時々グループCカーの様な炎がマフラーエンドから出ると指摘されたから、もうウエノさんのことは言えなくなるほど恥ずかしくなって、穴があったら入りたい位のものだった。

霧立峠を越え朱鞠内湖で小休止の後、音威子府にさしかかる頃は雲間から青空が見え隠れするようになり、手塩ではついに青空の占める割合が多くなった。
今日2度目の給油をして待望のオロロンラインに出ると、今まで快晴であってもなかなかお目に掛かれなかった利尻富士が目に飛び込んできた。

この時期はいつも満開のエゾスカシユリやハマナスは開花前、エゾカンゾウは少しだけ咲き始めた程度で、原生の花園は見られなかったが、その代りに日本海に浮かぶ端正な利尻富士を見られただけでもラッキーだった。

ホサカさんとナベさんの間に見えるのが利尻富士(利尻山)。
この後ナベさんはXXの本領発揮、ふわわKm/h以上でクルージングを楽しんだみたいだった。

この風景の中を走る為だけに北海道に来てもいいと思わせるオロロンライン。

稚内の入り口にあるいつものラーメン屋さんに寄ったものの運悪く休業だったので、市内で目に入った小奇麗なラーメン屋さんで食べた醤油ラーメンは、いろんな意味で「う〜ん?」(^^;という感じ。
本当は北海道の達人から「絶品」と聞いていた猿払村の帆立カレーを食べたかったのだが、時間の関係で今回は断念。


宗谷丘陵も観てよし走ってよしのツーリングルートとしては欠かせないポイント。

昼食の時のブリーフィングでは宗谷丘陵に登ることになっていたのに、この時先頭を走って行ったウエノさんは、その入り口をスルーしてしまったから、ここでもナベさんがXXの本領発揮^^してウエノさんを連れ戻しに行ってくれた・・・・感謝。

雲行きが怪しくなってきたものの、幸い雨にならずに済んでいるのがあり難い。一旦宗谷岬に降り、最北端の碑の前で記念写真を撮った後、早々に南下が始まった。

浜頓別から中頓別まではR275、そこからは道々120を歌登〜仁宇布と内陸部を行く。
歌登までの区間は、この大地に入り浸るようになってからはじめて走ったのだが、北海道の道には慣れっこになっていると思ったのに、超快適なワインディングが続いていて嬉しい驚きだった。

仁宇布で左折すると、道々49を今日の宿泊地日の出岬がある雄武に向かった。
ここまでは降りそうで降らない怪しいバランスの雲の下を、運良くドライ路面を愉しんで来れたのだが、上幌内越峠に差し掛かる頃、ついに路面はウエットに変わった。

直前まで降っていた様で、もしR238を素直に南下していたら、きっと雨に打たれながら変哲の無い海岸沿いの道で退屈な走行を強いられたことだろう。
「内陸部を走る」という判断は正しかった・・・・結果的に・・・・ということにしておこうv(^^;v


道々120脇の公園には、蒸気機関車や本物のF104が無造作に置いてあったりして、意図が不明なだけに笑える。
ギア格納庫?を覗いてみたら、何かに使えそうなホースやリンク類(ロッドエンド)の宝庫で、このまま朽ち果てるかと思ったら何となく「勿体無い」気分になって、計器類も含めてついつい有効活用を考えてしまった(^^;。



ホテルをスルーして日の出岬に来てみた。
写真の左側の建物は全面ガラス張りの展望塔。
ホテルもこの公園も立派な野外ステージも含め、コンセプトと言うかデザインが統一されているから、多分一人(一つ)のデザイナーなり設計者なりの手によるものだろう。

北海道の地町村には例外無く大規模で立派な公園や、それに伴う箱物が整備されていて、中には首を傾げたくなるものも少なくない中で、この公園はマトモな部類に入るだろう。
しかし、公共事業にかかわる仕事をしていて、特に建築物には造詣の深い公務員のホサカさんは、使われている材料や部品、あるいはデザインから見て、直感的にその税金の使いっぷりの凄さを感じ取ったようだ。

今晩はその公共施設「ホテル日の出岬」に宿泊する。


海の幸てんこ盛りの料理を前にして真剣な眼差しのホサカさんとウエノさん。

雄武は毛蟹の本場だから、夕食にも一匹ずつ付いていて単純に嬉しい(^^)。
海辺だけにしょっぱい温泉でマッタリ疲れを癒した後は、正味700Km強を無事走ったことを祝ってナマチューで乾杯!!。今日一日の感想を愉快に語り合えるのも、ソロでは味わえないこれまた至福の時間。

それにしても還暦を過ぎたウエノさんが見るからに尻の痛くなりそうなシートをかこつことなく、250のモタードで長距離をパリパリ粛々と走る様は、ある意味で尊敬に値するし、何よりマシントラブルが無くて本当に良かった。

自分のSは朝小樽を出発してから確実に音量が大きくなっていることを、改めてホサカさんやナベさんに指摘されたから、返す返すもバッフルを外してきたことが悔やまれる。
最初から分かっていたことだが、中低速域でのトルクは明らかに小さくなっているから、騒音を撒き散らす反社会的な行為はもとより、ムダにガソリンも消費していることだろう、本当に恥ずべきことだ。

燃費計算は帰宅してからにしようと思うが、給油の都度の感じでは例年より少し悪い気がする。
10〜20パーセント向上するというフレコミの燃料パイプに仕組んだマグネットは、眉唾物だと分かっていてもまるで役に立たないバラストだったことが証明されただけでも収穫か(θ_θ;。
早速外したら砂鉄のてんこ盛りになっていたのには驚いた。あんな高い位置まで砂が舞い上がっているのかと思ったら、余計なお世話ですがファンネルのみは想像しただけで恐ろしい。イノマタさん!RC30には何か付けた方がよろしいのでは?(^^;。

空模様からは完全に雨を覚悟していたものの降られずに済んだことや、思いがけず極上のワインディングを楽しめたことや、自分を含め、メンバーにトラブルが無かったことに感謝しつつ、猛烈な睡魔に襲われてあえなく爆睡。

今日の走行距離:659Km(R1100Sのトリップメーターは実距離より約8パーセント辛い)

6/20
ホサカさんの歯軋りと寝言で目が覚める・・・・・・ウソ(^^)。

左からウエノさん、ナベさん、ホサカさん。ホサカさんは地図を見ながらこの体勢で眠りに落ちたみたいだ(^^)
疲労に加えナマ中2杯も飲んじゃって爆睡+熟睡でしっかり睡眠を摂ったから、爽やかな気分で4:00に床から這い出した。

昨日の天気予報から今日は雨を覚悟していたのだが、窓越しに見える空の様子は雲も薄くそれほど悪くは無さそうだ。
オホーツクの海を見ながら贅沢な気分で朝風呂に入り、美味しい朝食を頂き、8:00頃出発する。

西興部までのショートカットの入り口を2回も間違えて皆さんに迷惑を掛けてしまう(汗)が、日の出岬から西興部を経由して滝上までの道々は爽快なペースで走り抜けられる愉しいワインディングが続く。
出掛けの霧雨に多少濡れたものの、滝上のGSで給油する頃には空の様子は更に良好になっていて、もう雨の心配は無さそうだ。

滝上のホクレンGS。
昨年ヒラモトさんと訪れた時は後ろに見える山腹が芝桜に覆われていて見事だったが、今年は既に散っていた。
ここで地図が貰えるというスタンプカードを頂いて、以降の給油は”ホクレンGS”で行うことになった。つまり、マンマと囲い込みの策略に引っ掛かったと言う訳(^^)。


滝上を出発してR273を快調に南下していると、トラックが横転している現場に遭遇した。浮島トンネルの手前だ。
ボディーに載っている千切れた枝の様子からしてそう時間は経っていないと思ったから、停車するとすかさずホサカさんがUターンして様子を見に行ってくれた。
キャビンには既に人はおらず、然るべき処置が執られた後らしかった。緩いカーブでブレーキ痕も無かったから居眠りカモ?。
他人事とは思えないから自ずと身が引き締まる。

上川町に出るとホサカさんとナベさんが互いにMCを取替え、退屈なR39を他車に習ってマッタリと走る。
層雲峡も自然の造形が目を惹くと言えばその通りなのだが、北アルプスの麓に暮らす者からしたら、さしたる感動は覚えなかった。
大雪ダムを渡りR273を三国峠に向かうと、我々が1000ccクラスのスーパースポーツに乗る理由の正当性や、そしてそれをこのツーリングに選んだのは無駄では無かったのだと、心底納得出来る状況が展開していた。
ホサカさんやナベさんがどの位開けたか知る由も無いが、少なくともSはこの区間で平均燃費をかなり悪化させてしまったのは確かだ(^^;。

こうして心置きなく走れる状況こそ北海道の価値であり、そしてそれが愉しさの所以のひとつなのだが、一方でウエノさんが回し過ぎていつMCを壊すか?の心配が常につきまとうのも又事実。

三国峠駐車場で。
天候は予報に反して青空の占める割合が大きくなってきた。


三国峠を下った辺りの見事な白樺の林は、木の並び方からして整然と植林されたものだということが今回初めて分かった。
今までも此処を通り掛る度に見惚れていたし、それは自然の植生が成せる業だと思っていたのだが、人の手に因るものだと知って何故か感慨深い気分になった。


ここを通り掛る度に、タウシュベツ川に掛かる「タウシュベツ川橋梁」(上の写真)を見ようと思っていたのだが、時間の関係や天候や、この付近だとは知っていたものの、何よりそれが何処に存在し、その入り口が何処かも不明だったから、ついスルーしてしまっていた。

除雪ステーションで作業している職員の方にその場所を尋ねると、パンフレット(上)を持ってきてくれて親切にルートを説明してくれた。
其処までの道が約5Kmにわたってダートであることや入り口が分かり難いこと、例年の今頃ならアーチ橋はパンフレットの写真の様に見ることが出来るのだが、今年は降雪量が多く、したがって雪解けの水が糠平湖に流れ込む量も「ハンパでない^^」から、「一昨日見に行った時は橋の上が20cm位出ていたが、殆ど水没しているのではないか?」と言っていた。

そうと分かっていても一度は観ておきたかったから、同行の皆さんに了解を得て見学することにした。
はたして入り口は分かり難く、スーパースポーツには酷なダートが続き、やっと辿り着いた橋へのアプローチと思われる路肩の駐車スペースは、地面が軟らかくてうっかりするとサイドスタンドがめり込んでMCが倒れそうになるから慎重に停める。

既にその面影を失った泥んこの線路跡(この時はそれがそうだとは思わなかった)を湖に向かって歩いて行くと、はたして橋は影も形も無かった(泣)。


釣り人に所在を尋ねると「そこの色の変わっているところ(指差している先)」だと教えられ、苦笑してしまう。
これが幻の橋と言われる所以なのだろうが、やっぱり「あ〜見たかった!!」と言うのが本当のところ。

次回はこの橋が見られる時期に来ようと心に誓い、気を取り直して再び来た道を戻る。
次に向かったのは上士幌のナイタイ高原なのだが、今回はガスに覆われていて何も見えずそそくさと退散した。

足寄でガスを補給し、コンビニ弁当で昼食を済ませた後は美幌を目指してひたすら走る。
津別町の入り口にある本岐のトイレで小休止。
このトイレの小便器を真似てアルピーヌも新調したのだが、形は全く同じでも、ここのは CErA と言うフランス製だった。

初めてこのトイレを見た時は清潔でお洒落だったからとても印象深かったのだが、あれからそう年月が経ったとは思えないのに、トラップから漏水したりしていて随分汚くなっていた。一寸気を遣うだけで快適な状態を維持できるのにと思ったら、高価な便器が使われているだけに勿体無かった。

美幌からは今日のハイライト”秘密の農道”に向かう。
期待に違わず鈴鹿サーキット3周分を堪能して小清水峠を越え、藻琴山駐車場にMCを停めて屈斜路湖の絶景に浸る。

空模様は大分怪しくなってきたが、次はナベさんのリクエスト”神の子池”を目指す。
R391を野山峠を越えて小清水方面に向かい、途中緑方面に右折して裏摩周の手前で”神の子池”行きのダートに入る。
約2Km程で到着。

”神の子池”は相変わらず神々しい水を湛えていた・・・・と言うより湧き出していた。やはり見るだけの価値はある。

静寂な森の中の小さな池は、その透明度の高さだけでも充分過ぎるほど魅力的なのだが、その中の倒木が自分の知る限り、もう10年以上も同じ姿を留めているのも神秘さに拍車をかけている。


池の周りでは写真を趣味とするらしき中高年の人々が、同じ被写体に向かって真剣な面持ちで撮影していたが、その機材の凄さに思わずシャッターを押してしまったのがこの写真。

カメラもレンズもハンパじゃない。全て最高級の道具で揃えられているのは疑う余地は無いし、中でも圧巻は「新品の」と言っても過言ではない程のコンディションを保っているレンジファインダー式のブラックニコンSPをぶら下げた翁を見た時だ。
「スンゲーーッ」と口走ってしまったのは言うまでも無い(・・)。自分が40年近く後生大事に持っているニコンFなんかメじゃないのだ(泣)。
しかし殆ど同じ道具、同じ服装、同じ行動をとる中高年のグループに、ある種の不気味さを感じたのも又事実。

神の子池の後は裏摩周もと思ったのだが、既に4時を過ぎていて夕食のことを考えると断念せざるをえなかった。
来た道をそのまま引き返し、しぶとく(^^)摩周湖第三展望台に上るワインディングを愉しんでから弟子屈に下り、給油を済ませて今日の宿泊地、津別峠のホテルフォレスターに向かう。到着は5時40分頃だったと思う。


今日もタップリ走り、快適な露天風呂でマッタリと疲れを癒し、美味しい食事と愉しい話題で盛り上がることが出来るのも、メンバーにトラブルが無かったからだ。この後無事を祝ってナマチューで乾杯したのは言うまでも無い。
食後はロビーでMCやスキーをネタに再び盛り上がり、津別峠の夜は更けていくのであった(^^)。

今日の走行距離:524Km

6/21

空模様は曇り。
今日は此処にもう一泊するので、悪天候なら館内でウダウダと過ごしても構わないから気が楽。
周辺地域の予報は降水確率が40%前後だから、昨夜の雨が今は止んでいても降られる可能性は高い。

ウエノさんはRC30リヤブレーキディスク脱落事件以来、すっかり馴染みになったバイク屋さんでオイル交換をするとのことで今日は別行動。

雨の心配さえ無ければ当初の計画通り、霧多布/納沙布/知床/能取と、岬巡りをするつもりだったのだが、思わしくない予報を踏まえてあっさり計画変更(^^)。
相談の結果、ホサカさんが二十数年前学生の頃に自転車で訪れた野付半島に行ってみたいとのことで合意。朝食を済ませると天候の事もありそそくさと準備を整えて出発。

先ず始めに立ち寄ったのは津別峠の展望台。
宿に置いてあった写真集”津別峠からの展望”?に触発されて、「多分何も見えないだろう」と覚悟の上で登ってみたのだが、案の定そこからはガス以外何も見えなかった(^^)。なかなか写真集にあるような景色は拝めないもんです。

峠を下ると屈斜路湖畔に突き当たり、野付半島に直行するのであれば、ここを右折して弟子屈→中標津→標津と行くのが距離も時間も最短なのだが、路面が乾いているのにそんな勿体無いことは出来ない。

ここは躊躇無く左折した。霧に覆われてはいたものの美幌峠のワインディングを堪能し、昨日走った”秘密の農道”に再び向かったのだ(^^)。

秘密の農道を心置きなく走ってもらう為に”走り屋”ホサカさんに先に行ってもらう。文字通り「ドッピューンッ」と視界から消えてしまった(・・;。

どちらかと言えば自分はコーナーだけ楽しめれば良い方なのだが、それでもここの直線ではぬあわKm/h程度には達しているのに、遠くまで見渡せる部分に来てもその姿は全く見えなくなっていたから、もしかしたら「コースアウトしちゃったカモ?」と思った程だ。
道々102の道ワカサレで待っていてくれたホサカさんを見た時は思わずホッとした。

そこを右折して昨日と同じ藻琴山に上ってから道々587を小清水町に下り、中斜里からR224を標津に向かう。
根北峠までは何とか降られずに楽しめたのだが、峠を越えると案の定まとわり付くような霧の中に突入・・・・と同時に路面はウエットに変わって霧雨の様相を呈してきた。

パーキングスペースを見つけて停車し、小休止の間レインウエアーを着たりしながら3人で進退を検討する。
引き返せばドライ路面を走れるから、サロマ湖方面に向かうのも悪くは無いが、もう少し先に行って様子を見たいという私の案が採用されて”もう少しだけ^^”進むことにした。

ホサカさんとナベさんは完全武装で、もうどんなに降られてもOKなのだが、私はクシタニのKWPパンツと全天候ジャケットのままだから、一応防水とは言え強い降りになったら水の浸入は避けられないと思うと、霧雨が雨に変わらないことを祈るばかりだ。

霧雨は一向に止む気配が無く、このまま南下を続けても状況は益々悪化するだろうと判断し、古多糖方面に左折して羅臼を目指すことにした。ホサカさんの青春の想い出を辿る旅は残念ながらここで終了。

羅臼までは同じ様な状況が続いていたが、知床横断道路を登り始める頃になると幸い路面は乾きはじめていた。

峠への道は例年に比べて「多い」を通り越し、異常と思える程の残雪に囲まれていて、北海道も今年は大雪だったことを窺わせた。正面の部分なんかスキーには絶好の斜面だ。


根北峠の斜里側はまあまあの天候だったから峠を越えれば青空だろうとの楽観的な見通しも、頂上がこれじゃ期待薄の可能性が高い。

少し下ると果たしてガスの切れ目から羅臼岳と青空が顔を出したではないか!!。


視界不良の中を延々と走り続けてきたから、この青空は何物にも変え難いほど嬉しかった。
ウトロに降りた後はそのまま斜里まで行って、一昨年てんこ盛りで驚いた食堂に行くつもりだったのだが、お天気の良さにこのまま走り去るのも惜しくなって、一旦降りたウトロからUターンして知床五湖に行くことにした。

北海道に入り浸るようになってから、実は一度も訪れたことの無い知床五湖が如何なるものか興味津々だったのだが、それよりも驚いたのは、さほど・・・と言うか全く期待していなかったそこまでのアプローチ道路だった。


知床連山の絶景を右手に見ながら、適度なワインディングを楽しめる一度で二度美味しい路面状態最高の道が続いていたのだった。

終点?には有料駐車場があり、係りの方に湖までの時間を訊いたら、徒歩で片道30分位は掛かるそうなので今回は断念し、そのままUターンして今来た道を引き返した。


それにしても走っていて思わずにやけてしまう程の道とロケーションの良さは、北海道広しと言えど、そうそうお目に掛かれるものでは無い。距離は短かったけれど充分堪能して再びウトロに向かった。

丁度昼食の時間でもあり、ウトロでホサカさんが目を付けた食堂に入った。
そのお店ではカニの直送もしていたので、ホサカさんもナベさんもお土産を送っていた。職場をまるまる一週間空けるとなると、いろいろ大変なのだろう、心中お察しします(^^)。

ところで、海鮮どんぶりは確かに新鮮で旨かったのだがコストパフォーマンスはかなり??。
お土産を買いもしないのに、試食のタラバ蟹の一番太い部分をお姉さんから貰って食べたってんで、二人からは「太いジジーだ!」と非難を浴びた位だから、マーよしとするか(^^)。

食後は殆どカラになっていたタンクにガソリンを満たし、今日最後の目的地”能取岬”を目指す。
斜里までのオホーツク海岸線を坦々と走るのは、変化に富んだ道を走った後だけに退屈なのだが、太平洋側の悪天候と寒さを思えば贅沢を言ったらバチが当たる位なもの。

途中の小清水原生花園に期待していたもののハマナスは言うに及ばず、カンゾウやスカシユリでさえ一輪も見られなかったから、今年は想像以上に寒い日が続いているのだと思った。


能取岬はやっぱいいワ。

何が良いのかと問われても答えに窮するし、牧草地があったりするから荒涼とした雰囲気と言う訳でもないが、出来ることならこの辺りにロッキングチェアーなんか置いて、終日海を見ていたいと思わせる。

空模様が怪しくなってきたので、もう少し居たい気持ちを振り切って津別峠に引き返す。
途中の女満別では、所謂北海道らしいビューポイントがあったので写真に収めることにした。

最終日は美瑛にも寄る予定なのだが、現時点で天気予報の降水確率は思わしくない数値が発表されているから、仮に美瑛を断念することになっても、そのかわりに雰囲気はここでしっかり味わっておこうと思った(^^)。
昨年もここで記念撮影しており、その時はパーキングスペースは未整備だったし、ましてや看板なんか無かったから「いい景色だな」と感じる場所は誰にとっても同じなのカモ。

本当は再び美幌峠/津別峠を超えてホテルに帰ろうと思っていたのだが、その方面の空は完全に雨を確信させるものだったから、なるべく雨を避ける為に怪しい雲の縁を反時計回りに周って津別から帰ることにした。
ところが、津別まで後わずかな所でいきなり大粒の雨が降り出したものだから、二人は再びレインウエアーを着用することになった。自分はそのまま。

走り出すと雨は直ぐに止んで、少し我慢すればレインウエアーを着るまでもなかったのだが、あのままの降りが続けば2分と経たずに中までびしょ濡れになっていた筈だからこれでいいのだ(^^)。

ちなみにKWPの超色褪せした”みすぼらしい”パンツとユーロジャケットは、連続した霧雨やにわか雨程度では全く快適な環境を提供してくれるから、レインウエアー脱着の面倒がないだけでも優れものと言えるだろう。

ウエノさんはオイル交換の後オンネトーを見に行ったりして、昨日までの走り詰めから一転してのんびりと過ごしたみたいだった。
今日も温泉で疲れを癒し、美味しい食事とナマチュー2杯と楽しい会話で至福の時間を過ごし、幸せな眠りにつくのであった(^^)。

今日の走行距離:416Km

6/22

覚悟していたとは言っても朝から雨模様。
それ程強い降りではないが、路面は濡れているからワインディングを楽しむという訳にはいかないだろう。

昨日までは予報の割に降られなかったから本当に幸運だった。そう思えば今日は新調したレインウエアーも使えるし、雨に濡れてのツーリングもおつなものだと思えてくる。

出発準備を整えていると団体バスの運転手さんが話し掛けてきて、お決まりの会話の後団体さんの話をしてくれた。
神の子池で遇ったグループとは別の写真同好会?みたいだったが、私がその機材の凄さに驚いた云々・・・・を話すと、運転手さんはお客様同士の会話から、大体300〜600万円もの機材を持ち歩いているらしいと言っていた。
にわかには信じられない話だが一昨日の神の子池といい、中にはそんな人も居るんだろうなと思った(・・)。年恰好は自分も仲間入りしている筈の中高年だ。

ホテルを後にして三度津別峠越えで弟子屈から阿寒湖に向かう。
雨でも津別から阿寒へショートカットなんかしないのだ(^^)。霧が立ち込め、降ったり止んだりを繰り返す阿寒横断道路のワインディングをヒヤヒヤしながら愉しんだ後は、阿寒湖をパスしてオンネトーに向かう。

雨模様、それに漣が立っているのにオンネトーの湖面は神秘的な色を見せてくれた。
19年前、家内と初めてMCで訪れた時はこんな立派なテラスは無かったし、国道からのアプローチ道路が”北海道基準”に整備されていたことを除けば、湖の周囲に殆ど変化が無かったのは嬉しい驚きでもあった。

着ているのはスクールの同僚(バイク乗り)が強力に推奨した上下”マーモット”の登山用レインウエアー。取りあえずこの時点で水の浸入は無いのだが・・・・・・(^^;。
インナーを調整すれば、これだけもライディングウエアーとして充分機能するから便利なのだが、言うまでも無く安全面では不安。

休憩で立ち寄った”ふるさと銀河線”の足寄駅はつい最近廃線になったらしく、道の駅に変わっていた。
線路の錆びがまだ新しかったから、否応無く一つの時代の節目を見せつけられたような気がしたし、又同時にこの旧国鉄池北線を”ふるさと銀河線”として残そうと努力した人々の無念さと時代の非情さを実感した次第。

後方が帯広方面、前方が陸別から北見方面。
そう言えば、昨年ヒラモトさんと走ったふるさと銀河線沿いのR242からは、まだ新しい廃墟が見えたっけ。


足寄駅駐車場。
雨対策万全でレインウエアが鬱陶しくても、路面が乾いてきただけでこの笑顔。バイク乗りってゆーのは実に単純ですね(^^)。

今日の宿泊地は帯広だし天気もイマイチだから、このままホテルに直行してもいいのだが、一応襟裳岬を目指して南下する。
本別で左折し、道々56を浦幌に向かうのはいつもの手口(^^)。

浦幌からは十勝沖地震で落下した十勝河口橋を渡り、R336をさらに南下して豊似で昼食にする。
以前一度立ち寄った食堂をナベさんが覚えていて、その記憶力の凄さもさることながら、定食のコストパフォーマンスには大満足だった。

時刻は既に2時を過ぎていたから襟裳岬は断念して、取りあえず十勝港を見学してから帯広に向かうことにした。

十勝港に何か見るべきものがある訳では無かったし、実際変哲の無い港だったから記念撮影をしてそそくさと後にした。
ただ、港の入り口ではネズミを待ち構えて隠れているネコを発見していて、帰りにそのネコがまんまとネズミを銜えているのを見てとてもいやな気分になった。交通事故を減らしたいのならもっとフェアな方法もあるだろうに。

退屈なR236を北上し、虫類村からは道々15を幕別に向かう。
途中でゆっくり走るパトカーに追いついてしまったから、迷わず小休止。

この3人が何をしようとしているのかは知らないが、冷えていて、しかもレインウエアーを着た状態から○○○を引っ張り出そうとしているのであれば辛いものがあるだろう(^^;

帯広の手前でホテルに電話し、場所を訊いてから向かったのだが、イマイチ不安でモタモタしていると、ホサカさんが目敏く看板を発見してくれた。ここからはホサカさんの後に続く。

今回のツーリングではじめて利用する民間の宿 ”北海道ホテル” は流石にハイソな感じ。
到着するやいなや、愛想の良いベルボーイがMCを然るべき場所に案内してくれただけで、もう気分はゼッコーチョー。

玄関を入ると正面はこの意匠。
奥に見えるのがチャペル。大きなガラス窓の外側には緑の斜面に十字架が配されていて、結婚を夢見る女性には泣かせる演出と言えるだろう。
北海道産に拘ったと言う建物の造りは館内に使われているレンガも同様で、57歳のジジーだって女の子に負けず、「カッワイイ〜ッ^^」ってなもんだ。

このホテルを推奨してくれたのはアルピーヌのお客様で、しかもあろうことか(^^)バイク乗り二人。良い宿知ってますね(驚)。
レンガ色のモール温泉に入り例によってマッタリとした後は、北海道産の食材に拘ったと言うフランス料理を味わうのだ〜(^^)。


本格的なサービスを受けながら頂くディナーの雰囲気は、公共の宿と一味も二味も三味も(^^)違うのは当然としても、その味はとても上品で美味しかった。

身のこなしや機転の利かせ方をはじめ、何から何まで「テキパキ」と音が聴こえてきそうな位だったから、この女性は多分レストランのキャプテンだろう。目が合う度に見せる笑顔もなかなか真似の出来ないものだ。

サービスをしてくれた他のスタッフも、ハイソなホテルに相応しい好印象の人達で、気分が良いから自ずとビールもすすむと言うもの(^^)。

たっぷり2時間以上を掛けて頂いた美味しい料理の後は、趣のあるロビーでくつろぐことにした。
ところが、タラコだかジャガイモクラブだか失念したが、このホテルで地元お坊ちゃま達の寄り合いかなんかががあったらしく、ロビーの受付周辺は「なんか勘違いしてる」という特徴的な雰囲気に占領されていて、今日は彼らの貸切りかい?と思ったほどだ。

それが原因かどうかは定かではないが、後で他の客と小競り合いがあったという話を聞いた時は笑えた。
ハイソな気分にイマイチ浸り切れなかったという点では残念だったが、そう言う自分も彼らの目からしたら充分場違いなジジーだったと思う(笑)。

しかし何時かは家族で、それも”キチン”とした身なり(^^)で再び訪れたいと思ったのも事実。久々に宿屋のオヤジは喝を入れられた気がしたのだった(^^)。

今日の走行距離:352Km

6/23
北海道最後の朝は今にも降りそうな空模様なのに、辛うじて堪えていると言った感じ。
今日は全道降水確率70%前後の予報だから、そのうち必ず降るだろう。

格調高い北海道ホテル前で。

夕食同様品の良い美味しい朝食を済ませ、身支度を雨用に整え、身も心も満たされたホテルを後にして、「北海道のお土産はこれを置いて他に無いだろう(^^)」と勝手に思っている”バターサンド”を購入する為に帯広駅近くの六花亭本店に向かった。

これまた格調高い六花亭本店。
お目当てのバターサンドを送った後は、いよいよ北海道最後のツーリングが始まった。
着ているベストの様なものはユーロジャケットから取り外したインナー。いくらしっかりしているマーモットとは言え、レインウエアだけでは寒すぎる。

狩勝峠に向けて走り出すと同時に、本格的な降りが始まった。帯広市内は信号も多く、それなりに混雑していたからすり抜けを敢行したのだが、路肩はドロが堆積しているらしく、ちょこっとスロットルを開けただけで「ズルッ」と尻を振ってしまった。
路肩が滑りやすいのは分かっていても、改めてMCが耐転倒性に関しては極めて脆弱な乗り物だということを思い知らされた。
以降は超用心深く走ったものだから、ホサカさんには「丸山さんは雨だと超遅いですね慎重ですね」と、ズシリと抑制の効いたコメントを頂く始末・・・・確蟹(^^;ゞ。

一向に勢いの衰えない雨も狩勝峠付近のガスも、国道を坦々と流すだけのツーリングに心地よい緊張感を与えてくれると思えば粋な気分にもなろうと言うもの・・・・ウソ。

狩勝峠を下った落合でトマム方面に左折して道々136を往くことにする。
悪天候の為美瑛行きは中止したから、富良野までは少し遠回りしたい気持ちもあったのだが、森林の中を通るこの道は何となく趣があって、数あるお気に入りの道の一つだからだ。

ところが、貸切状態だと思っていた道々136は2〜3年前走った時とは違い、ダンプカーが目立つようになって路面は汚れていた。
何かの工事があるのだろうと漠然と走っていたら、道路左脇の森林が広範囲かつ無残に切り倒されていて、鬱蒼とした雰囲気から一転して間の抜けた空間が延々と続いているではないか!。新しい道路建設だろうことは疑う余地は無いにしても、「一体何の為に?」と、北海道の道路事情を知っている者なら誰しも思う筈だ。

人気の全く無い森林地帯に4本のタワーがそびえるアルファリゾートトマムといい、その脇を通る立派な道路に加えて新たな建設用?の道路と脇に伸びる広大な伐採ベルト。これだけでも動植物は勿論水関係にだって甚大な影響を与えているのは明白。
快適な走行環境を享受している身ではあっても、モノには程度があること位は知っているつもり。

雨宿りで立ち寄った占冠の雑貨屋さんの話では、この工事は帯広に繋がる高速道路建設ということだった。「ヤッパリ」。
以前「熊しか通らない道」に税金の無駄遣いをしているというようなことで話題になったから、凍結されたとばかり思っていたのだが、そんなことにはお構い無しに計画は粛々と実行に移されていたんだな。

既に立派過ぎる道が整備されていて、それさえ交通量がまばらなのに、その上更に広大な自然を破壊して高速道路を作ったところで、一体一日に何台の利用車があると言うのだろう、開通してもとても採算が取れるとは思えない。

雑貨屋さんは森林の伐採が既にこの地域に悪い影響を与え始めていると言うような趣旨のことを言っていたから、「土地代も入るし働き場所も出来て良いじゃないですか、それにお店の物も売れるし」と水を向けたら、人も物資も全て外部から持ち込まれるから、地元に恩恵は無いと言っていた。

虚しすぎるぞ北海道・・・・・日本か?(泣)。


富良野に入ると雨は小降りになってきた。
ホサカさんが路肩に停まっているタクシードライバーにお勧めのラーメン屋さんを尋ねると、丁度斜向かいの一見小汚い店を教えてくれた。

中に入ると、外観からはある程度覚悟していたものの、これが食事を提供する場所か??と思わず!!!符が3本は立ちそうな超々小汚い店内に呆然としてしまった。
「覚悟が足りなかったぞ」と思わせるほど汚く雑然としていても、立派に保健所の”食品営業許可指令書”が発行されているところを見ると、富良野は治外法権か?と錯覚しそうだった(笑)。

「マイッタナ〜」というレベルをはるかに通り越した調理場の様子を見るまでも無く、自分の中では提供される食品の危険度は98%に達しているのでは?と思わざるを得ない状態であり、退避勧告が出る始末(^^)。

正直そのままUターンして外に出たくなったが、同行者はあまりの衝撃にボーゼンとして判断力を失っている様子だったし、折角雨宿りの場所も確保出来た訳だし、何よりお腹が空いていたので命懸けで食べることにした。

ふくよかで不器用そうなおばさんに勧められたのは味噌。気分は既に充分ブルーだったから皆無口になっていたし、勿論期待なんかしないで待っていた。

「お待たせしました」と出されたラーメンの迫力は言葉ではとても表せない。その一つが大きなドンブリにスープが表面張力まで動員して満たされていたのだった。
思わず異口同音に「おお〜ッ」と喚声が漏れたのは言うまでもない(^^)

その味はもとより、具に込められた無言のホスピタリティーは、かつて自分が食べたラーメンの中では最上位にランクされて然るべきものだった。
如何に満足の逸品だったかは、一瞬「完食は無理」と思ったにもかかわらず、表面張力状態からすっかりカラになってしまったドンブリからも明らかで、単に空腹だったという理由だけでは説明が付かない。

雨対策でカメラを仕舞い込んでいたから写真が無いのは残念だが、次回富良野を訪れる時は絶対にこの食堂で昼食を摂るんだと心に誓ったのだった(^^)。

店を出る頃には雨は小降りになっていて、R452は所々乾いていたからわりと走り易かったが、ウエット路面で遅いトラックの後を延々と走り続けた区間もあったから、同行者(特にホサカさん^^)には「モタモタしてないで早く抜けよ!」と”追い越せテレパシー”の連射を浴びせられていたのは背中が妙にムズムズしたことで分かってはいた。

しかし、今日は「フェリー乗り場に無事辿り着く」というのが一番の目的だし、出航時刻にまではタップリ余裕があるのだから、自分はもとより同行者のリスクを増大させてまで追い越すことはしなかった。これが正しい大人の判断というもの(^^)。

今回は美瑛行きをキャンセルしているから時間には余裕がある。そこで何度も通っていながら一度も寄ったことの無い夕張駅まで行ってみることにした。夕張市が財政再建団体になったこともあって、その様子も見ておきたかったからだ。

大都市を除き駅周辺でも殆ど無人の町並みは、北海道を旅しているとさほど珍しい光景では無いし、夕張も例外ではなかった・・・・・ンガッ・・・・!。
他と違っていたのはそんな町に似つかわしいとはとても思えない・・・・デザイン的な必然性と言うか感性と言うか極めてトホホで都会的前衛的(^^)というか・・・・大型のホテルが夕張駅前に鎮座していたことだった。
周辺には何の施設で誰が利用するのかも不明な、多分公共施設と思われる立派な建物が立っていたし、公園も整備されていた。

報道で取り沙汰されている遊園地やメロン城を見るまでも無く、これらの開発が地元に根付いた住民(市長や議員含む)から積極的に提案されたアイデアで無いだろうことはシロート目からも明白。

炭鉱が閉山した後、夕張は高級メロンでそのブランドイメージを定着させることに成功したと思っていたが、もう一方で観光にこれ程まで大きくシフトしていたとは知らなかった。

見るからに巨費を投じたと思われる事業が、実はどこにもある既存のイメージをアレンジしただけの陳腐な箱物の寄せ集めでしかなかったことが、財政に致命的な結果をもたらすことになった原因の一つでもあるのだろう。

何故なら、はじめて訪れた自分でさえ、このチグハグで不可解な構成が、観光地として成立するとはとても思えなかったからだ。
勿論部外者の自分が言うまでも無く、多くの心ある市民は気付いていた筈だ。
きっと僅かな鼻薬を嗅がされて、いかがわしいコンサルタント会社の口車に乗せられてしまったのだろうが、余計なお世話だけど不憫に思えた。

しかし、現実問題として白馬村だって明日は我が身というところまで来ているのだから、本当はのん気に他人の心配なんかしていられる立場じゃないのだ(汗)。

苫小牧東港に着いたのは5時頃だった。

無事到着してホッとしているの図。このショットに限らず、ウエノさんが居ないのは彼が特別に自由人だから(^^)。そしてホッとしているのは、未だにお腹が痛くならないこともある。

船は自衛隊員の輸送船と化していて、22回の北海道ツーリングの中では一番の混雑振りだったし、船室も来る時のように貸切と言う訳にはいかなかったが、それなりに不自由無く過ごせた。但し風呂は想像しただけで入る気が失せたからパス(^^)。
船内ではいつものように、愉しかった北海道ツーリングの反省会が執り行われたのは言うまでも無い。

今日の走行距離:326Km


6/24
目覚めてはまた眠りにつくといういつものパターンを何度か繰り返して、所在無げな時間を楽しんでいるうちに、これもまたいつものパターンで、拓郎じゃないけど祭りの後の寂しさみたいなものに気分が支配される。
自分にとってこのツーリングは待ちに待った年に一度の最大の行事だし、それが終ったのだから当然なのだろうが、しかし原因はどうやらそれだけじゃないような気がした。
加齢による体力や気力の低下を差し引いても、数年前から薄々感じていた「何かおかしい」という変化が、やはり北海道には起きているような気がしたからかもしれない。

案内所前のラウンジはあらかた自衛隊員に占拠(^^)されていたので、旅の余韻はフォワードサロンや後部デッキで楽しむことにした。

秋田港にて。一昨年東北ツーリングで利用した”ホテルルートイン秋田”をバックに張本人のホサカさんと。


後部デッキでマッタリとくつろぐホサカさんナベさん。まさに至福の時間。



新潟港着は3:30PMだった。
4輪車が先なのでオートバイ4台(ナント!我々のだけ)は一番最後の下船になった。
数えていなかったものの、何だかんだで約100台位は自衛隊の車両が続いたと思う。なかでも平べったい割りには車高が高くて妙にカッコE ”ハマー” がゾロゾロ通り過ぎる様は圧巻で、そのことをホサカさんに言ったら、「あれは ”ハマー” では無くて国産の”ナントカ”(忘れた^^;)」だと教えてくれた。高価らしい。

自衛隊の装備は戦闘機や艦船をはじめ、通常兵器では凄いものがあるみたいだから、それらに比べれば”ハマー”なんか取るに足らない装備なのかもしれないが、どんなに武装していても隣国から飛び道具カマされちゃった日にゃ、そのどれもが役に立たないんじゃタックスペイヤーとしては虚しくもなるってもの。

マッタリと船旅を楽しんではいたものの、今回は自衛隊員と同船していただけに攻撃を受ける可能性も高く(^^;心の隅にはそんな不安もあった。しかしこの若者達が自分達日本国民を守ってくれているのだ思うと頼もしく感じたのも事実。

下船の段取りとしては、ライダーに延々20分以上も有害排気ガスを吸わせるのでは無くて、先にサッサと下船させたほうが親切だと思うのですが(^^)。

ナベさんは磐越道、ウエノさんは北陸道、お互いの無事帰宅を誓って解散した後は、本当は北陸道で山梨直行のつもりのホサカさんを誘って、いつものように”日本海夕日ライン”を南下することにした。


例えばこのR402(岩室村付近)の絶景に沈む夕日を想像しただけで、ホサカさんならずともMCを停めて写真の一枚でも撮りたくなるというもの。
適度なワインディングと海辺の趣のある風景の中を流していると、別世界の北海道から徐々に日常のフィールドに順応してくるのが分かる。

米山で北陸道に乗るホサカさんと別れた後は、ペースは更に内地(^^)に馴染んでいく。
残念ながら海上の雲は次第にその厚みを増していったから夕日を見ることが出来なかったが、雨を覚悟していただけに、降られずに帰宅出来たのは幸運だった。実際帰宅と同時に待っていたかのように降りだしたのには運の良さに驚いた位だ。

とにかく今年も全員無事で夏至ツーリングを終えることが出来てホッとしている。皆さん有難うございました。又来年!??(^^)。

今日の走行距離:216Km
総走行距離:2722Km
ガソリン:141L
燃費:19.3Km/L

=感想=

反省点としては、何をおいてもマフラーのバッフルを外して出掛けたことに尽きる。
音がうるさくて同行者はもとより他人に多大な迷惑を掛けてしまった。それに中低速のトルクがハッキリ低下して扱いにくくなったし当然燃費も悪化した。そして不可解なことに北海道では常用域のぬわわKm/hを超えた程度でも盛大な振動を発生したから、とても快適とは言えなかった。
帰ってすぐにバッフルを装着したのは勿論だが、その静けさといい走り易さといい振動の少なさといい、自分が如何にアフォな行為をしでかしたか深く々反省したのだった。

ツーリングの間中、心の片隅には「何かおかしいゾ」と言う澱のようなものの存在を常に感じていた。
それは北海道民の生活を支える重要な産業とも言える公共事業が、相変わらず大規模に行われているにもかかわらず、貧富の差が益々広がったのではないか?と、客観的に理解できる具体例をいくつも目にし続けたからかもしれない。つまり日本が今勝ち組と負け組みに区分けされつつある現実が否応無く視界に入ってきたということだ。

勿論北海道に限らず、「理想の国家とはいかなるものですか?」との問いに対し、与野党問わず政治家達が戦後62年を費やした挙句に出してきたのは、「物質主義と個人主義の徹底」という、犯罪者も取り締まる側も教師も医者もその他モロモロも、”バレなきゃ嘘つきホーダイ”のアンフェアなルールに基づく「正直者は馬鹿を見てろ」とでも言いたげな、恐ろしくバランスを欠いた回答なのかも知れない。

その結果が、例えばふるさと銀河線の廃止や沿線の廃屋、財政再建団体の夕張、人気の無い市町村、これだけでも6年前とは随分変ったと思う一方で、ハイソなホテルに於けるお坊ちゃまクラブの寄り合いを見るにつけ、彼らがそうした寄り合いを持てるのも、社会的コストパフォーマンス無視の道路建設等々に投入される膨大な税金と、それとシンクロするかのような環境破壊とはあながち無縁では無いのカモ。

夕張市を例に挙げるまでも無く、税金の使われ方を従来どおりに放置しておけば、映画じゃないけど日本は沈没(破綻)して、生き残るのはノーパ○シャブシャブの接待を受けて処分されたにもかかわらず、ちゃっかり○銀の総裁におさまって、国民には0金利を強いる一方、自分は投資に余念が無い人物や、環境を破壊し続けることに鈍感になってしまった政治家や、人間としての良心を失った詐欺師達(範疇は広いぞ^^)だけだったりして。
その意味において、北海道での諸々は日本が歴史的転換期に立ったことを明確且つ具体的に訴えているような気がしたのだった。

森林の伐採、削り取られた山肌、トンネルの掘削、視界を遮る盛土等々を見るにつけ、税金がドブに捨てられているようでやりきれない気分になったし、セコイ話で申し訳ないが、少なくともこれらを野放しにしたままの消費税値上げなんて、お願いだからカンベンして欲しいと切実に思ったものだ・・・・アウアウ(^^;。

最後になって暗い話になりましたが、愉しかったことに変りは無く、今回の北海道ツーリングはいろんな意味で本当に勉強になりました。