北海道夏至ツーリング’04
2004−06/19〜06/26
北海道は今年で20回目(モーターサイクルでは)。随分入り浸ってしまったものだ。
今回はRC30クラブが縁で17年来の友人ヒラモト氏が参加することになった。

クマさんは27日からのシルクロードツーリングが控えているにもかかわらず参加してくれた。還暦を過ぎていても相変わらず心身共にタフな方だ。

ナベさんは直前まで参加が危ぶまれたが、仕事の段取りがついて今年もご一緒できることになった。
ウエノさんは奥様がしっかりしているらしく1週間不在でも家業にはさして影響が無いのは私と同じか?(^^;
今年クリさんイトーさん、そしてマツダさんが不参加なのは寂しいかぎり。やはり働き盛りの大人が7日間もの休暇を取るのは難しいのだろう。

参加者の紹介:
クマさん:かつてのホンダニ輪レース部門総帥(CB900F)
ナベさん:ガラスメーカーにお勤め(CBR1100XX)
ウエノさん:呉服屋の旦那さん(XR250モタード)
ヒラモトさん:果樹園経営(トライアンフ アドベンチュラー)
私:(R1100S)

道内の走行ルート

1日目
小樽(4時半出発)⇒石狩R232⇒厚田村#11⇒青山ダム#28⇒R451新十津川町⇒ R275沼田⇒沼田ダム⇒小平ダム⇒R239霧立峠⇒添牛内⇒朱鞠内湖⇒美深町R40⇒手塩町⇒サロベツ原野(オロロンライン)⇒稚内R238⇒宗谷岬⇒ クッッチャロ湖⇒枝幸町⇒雄武町ホテル日の出岬泊。

2日目
日の出岬(8時半出発)⇒西興部⇒#137滝上町⇒R273上川町⇒層雲峡R39⇒R241足寄町⇒R242陸別町⇒#51津別町⇒R240美幌町⇒R243豊富⇒マル秘農道⇒山園⇒#102小清水峠⇒R391川湯温泉⇒摩周湖⇒弟子屈⇒津別峠⇒ ホテルフォレスター泊。

3日目
津別峠(5時30分出発)⇒屈斜路湖⇒R243美幌峠⇒美幌町⇒マル秘農道⇒山園⇒#102小清水峠⇒R391川湯温泉⇒R391緑⇒裏摩周⇒#140養老牛⇒開陽台⇒標津町⇒R244⇒根北峠⇒斜里町⇒緑⇒R391川湯温泉⇒小清水峠⇒山園⇒マル秘農道⇒豊富⇒美幌町⇒津別町⇒ホテルフォレスター泊。

4日目
津別峠(8時半出発)⇒弟子屈⇒R241阿寒湖⇒R240阿寒⇒釧路⇒R38白糠⇒本別⇒上士幌⇒ナイタイ高原⇒池田⇒幕別⇒十勝幕別温泉泊。

5日目
十勝幕別温泉(8時半出発)⇒帯広R33⇒新得R33⇒狩勝峠⇒トマム⇒占冠⇒日高⇒R274紅葉山⇒追分⇒R337千歳⇒支笏湖⇒R453札幌⇒R230定山渓⇒小樽⇒余市⇒古平町⇒トーマル峠⇒神恵内⇒国民宿舎もいわ荘泊。

6日目
茂岩発(9時半出発)⇒岩内⇒ニセコパノラマライン⇒真狩村⇒R230洞爺湖⇒虻田町⇒壮瞥町⇒#2オロフレ峠⇒登別⇒R36白老⇒登別⇒#2オロフレ峠⇒R230洞爺湖⇒昭和新山⇒虻田町⇒R37室蘭東日本フェリー乗り場。


6月19日
今年はフェリーダイヤが変わり、木曜発の新潟/直江津行きの便が無いので、道内は1日多くなって出入り8日間のロングツーリングだ。
毎回のことだが出発が早朝になるツーリング前日はよく眠れない。3時に掛けた目覚まし時計のお世話になることもなく目覚めた。
今回は20回目の節目だからRC30にしようか随分迷ったが、やはり積載性の関係でR1100Sで行くことにした。

BMWといえど(笑)6万キロを越えているとなると、リセールバリューはゴミ並みの評価しか得られなかった(販売店の下取り提示価格)ことからすると、信頼性も自ずと低下している可能性が高いので、Sは前々日から入念に点検整備した。

3時40分イグニッションスイッチを回すと、ナント!ヘッドランプが切れてしまった。
北海道の天気予報は先週までの好天から一転して下り坂だし、台風6号も接近しているし、前途が危ぶまれる。

H1の予備がある筈も無く、夜明け前の暗いR148をハイビームにして新潟に向け走り出す。対向車が来るとポジションランプだけになるので怖い。それにハイビームだけだとH4と違い、直前の路面状況が良く見えないこともわかった。

糸魚川辺りで夜が空け、いつものようにR402の日本海沿いを北上し、8時30分にはフェリー乗り場近くのGSに寄った・・・と同時にナベさんが入ってきた。いつも早いな〜。GSにはH4のみでH1は置いていなかった。

ターミナルに到着すると既にクマさんウエノさんヒラモトさんが到着していて、ナント!!RC30クラブの怪鳥ミヤザキ氏がフォーサイトの慣らしを兼ねて?わざわざ東京から見送りに来てくれていたのだ。それに来月北海道ツーリングを予定している新潟在住RC30クラブのエグチさんも。

新潟港フェリー乗り場にて:左からウエノさん、怪鳥、クマさん、私、ナベさん、ヒラモトさん

出航はダイヤ変更で昨年より30分遅く午前11時、到着は翌朝4時10分になっていた。9時集合は早過ぎたかもしれないが、乗船までのこの時間がなんとなく好きだし、又北の大地に思いを馳せていると時の過ぎるのも早い。

船はフェリーというより客船という感じで、他の乗客からも旅への期待からか、ワクワクした雰囲気が伝わってくる。
これは帰りの東日本フェリーの室蘭発直江津行きフェリーとは大違いだ。この差については最終回に。

船内では例によって大雑把なルート確認や、MCの話、クマさんの毒舌トークで楽しい時間が過ぎて行く。
ヒラモトさんとナベさんは、たまたま所有する4輪車が同じR32GTRということで大いに盛り上がっていたが、話の内容は私にはチンプンカンプンだった。

明日の北海道の天気予報は曇り時々雨、降水確率は50%。週間予報では23日一日だけが晴れ時々曇りで、あとは曇り傘マーク。
初日から雨の中を走るかと思うと気が重いが、一週間の間には何時か好天の時もあるだろうと諦めて眠りに就く。

本日の走行距離:211Km

*注* R1100Sの距離計は約7%程度辛いのですが、距離データーは補正無しで記載してあります。

6月20日
3時に目覚めるとまだ雨は降っていないみたいだ。
晴れなど望まない、せめて路面はドライであって欲しいと願うばかりだ。

フェリーは定刻小樽港に着岸した。
開いたゲートから見える空には怪しい雲が垂れ込めているが、雨は降っていないし幸運にも路面はドライだった。
駐車場で北海道第一歩の記念写真を撮ってから出発した。昨年はここでイトーさんのモトマーチンを修理したりしていたので、出発には少し時間が掛かったことを思い出した。

クマさんのCB900Fにはケルケルの集合マフラーが付いており、アイドリングでは「ボッ、ボッ、ボッ」とワルそうな音を発しているが、通常の回転域では外観に似合わず良い音を出す。

ウエノさんのXR250モタードは新車にもかかわらず、方々が「改悪(クマさん談^^)」されており、昨年までのRC30と同様、スーパートラップに似た構造のマフラーからは、アイドリングだけでもウルサイ下品な音が出ている。好みとは言ってもね〜(^^;

会話の時の大声は、爆音で耳が難聴になっていることもあるのだろう。プレートは5枚位減らしたほうがいいんじゃないのか?と余計な心配をしてしまうし、意味不明な空ぶかしにも参る。
これに較べれば他の3台は殆ど無音と言ってもよいほど静か(^^;

銭函のコンビニで早い朝食を摂っているとジャズに乗ってワルを気取った少年が話しかけてきた。アドベンチュラーを見て「カッケー」などと言っている。
クマさんが「北海道の未来は君達の双肩にかかっているから、東京には出て行かないヨーに」などと訓示を述べていた(^^)。
でもMCを介して40以上も年の差がある少年と会話が出来ると、それなりに愉快な気分になる。

食事を終えR231を一路北上する。

昨年は石狩川を渡る頃には霧雨で路面がウエットだったのだが、今年はドライだった。
天気予報とは違い、泣き出しそうな空からは辛うじて雨は落ちてこない。
昨年同様厚田村で右折し、青山までの快適ワインディングを楽しむ。
やはり#11は北海道ツーリングのイントロにふさわしい快適な道だ。R451を右折し、新十津川町に向けて走る。

沼田町、沼田ダム、達布、小平ダム、霧立峠、添牛内、朱鞠内湖、美深峠を越え美深町までは走行車両が皆無に近い超快適なワインディングが130Km以上も続く。勿論所々直線があるものの、それは一息入れるために絶妙なバランスで配置されているのでは?と思える位のものだ。

美深の道の駅で休憩し、変哲のないR40を北上する。中川町の佐久で遠別町に向けて左折する。
この遠別中川線は9年前にZZR1100で来た時に走ろうと入ってみたのだが、延々とダートが続き、途中で引き返した道だったので、未だ未整備かも?と思っていたら、完璧に整備されていて、しかも快適なワインディングロードだった。
東雄信内から天塩に抜ける道より距離的に若干短いし、何より幹線道路にに比べ交通量は皆無に等しい。

再び日本海に抜け、天塩から道道106に入り、風力発電の風車が整然と並んでいる場所で小休止。

空は相変わらず怪しい雰囲気。でも此処まで降られなかったのは幸運かもしれない。

この後例によってエンジンの調子を確認。全くパワーは衰えていなかったので一安心。
今年は暖かいせいか、道道106の両側を彩るエゾスカシユリの満開に遭遇できた。オレンジ色が草原を埋め尽くす様は圧巻。

稚内に近づくにつれ霧雨でシールドが濡れ始めたが、道路は相変わらずドライを保っている。以前クマさんの鋭い嗅覚で入った「赤蝦夷」というラーメン屋さんが美味しかったので今回もそこで昼食にした。
2度目に行くと味が落ちている食べ物屋が多い中で、この「赤蝦夷」は以前と変わらぬ味を保っていた。

宗谷岬に向けて走り出すと次第に青空が広がってきた。この分だと宗谷丘陵も綺麗に見られるだろう。

宗谷丘陵

快晴と言う訳にはいかないが、悪天候を覚悟していたからこの景色を眺めることが出来て充分過ぎる程満足した。
丘陵を降りて最北端の碑の前でお決まりの記念写真を撮り、今度はオホーツク海沿に南下する。R238は緩やかな丘陵を登り、再び海沿いを走る変化に富んだ快適な道だ。

浜頓別で風にめっぽう弱いウエノさんの到着を待ち、右折してR275を中頓別に向けて走る。中頓別からは#120を歌登町に向かったのだが、途中の兵安峠が崖崩れの為通行止めになっており、急遽上頓別から再びR275に出て、#12を歌登町に向かう。この道もとても快適なワインディングだった。

歌登町でガス補給の予定が日曜日の為かスタンドは休業していた。このまま#120を南下して雄武町に出る予定だったが、その間にスタンドがある可能性は低いので上徳志別で左折し乙忠部に向かった。国道に出れば営業しているGSはあるだろう。
結局雄武町のGSで補給したが、内陸を走っていたらガス欠は確実だったと思う。

そこから日の出岬までは10Km。
天気予報が外れ、レインウエアーのお世話になることも無く、無事初日のツーリングを終えることが出来た。
お風呂に入り、食事を済ませて部屋に戻る頃、外は雨が降り始めていた。

本日の走行距離:634Km

6月21日
5時に目覚めると東の海上雲の下からは朝日が射している。「ラッキー!!」
屋上や駐車場には水溜りがあったので夜はかなり降っていたのだろう。外に出ると水滴が時々落ちて来るが、道路は乾き始めている。

朝食を済ませ8時30分出発。
走り出してすぐR238から右折し、昨年宿泊した西興部方面に向かう。道路は完全ドライ。
R239に出て西興部から#137遠軽雄武線で滝上町、R273を上川町に向けて快走する。冷蔵庫の中かと思うほど寒い浮島トンネルを抜けると、そこまでは殆ど貸切状態の道とうって変わって、いきなり交通量が増えた。

上川町で左折、R39を層雲峡の断崖やそこから流れ落ちる滝を観ながらゆっくり走り、大雪ダムで右折し、再びR273に乗る。
ここから三国峠を越える辺りまでは超高速ワインディングが待っている。

「サーイクゼ!」と思ったら、ナント前方に赤色灯を回したパトカーが走っているではないか(;;)、その後ろにはワンボックス。
指定速度は50Km/h、そこをパトカーは60Km/h前後で走っている。
「このまま三国峠まで行くんでないかい?だとしたらたまんねーな〜」と思いながら後をついていたら、思わず前のワンボックスを追い越してパトカーの後ろについてしまった。

まさか国家権力まで追い越す訳にもいかず、無意識のうちに車間もとらずに、キープライト(^^)で走っていたから、後ろを走る仲間からは「煽っている」ように見えたみたいだ。

その気になられれば「車間距離不十分」とか「安全運転義務違反」でキップを切られても致し方ないところだから、ここは一旦停止して休憩するか迷っていると、パトカーは脇道に入って行った。MCライダーの気持ちを察した粋な計らいだと思いたい。

全開をカマし言語道断の速度で走れる上川国道を、樹海から発散されるフェトンチットを味わいながら北海道では常識的な速度を保って走る。勿論車は皆無。

三国峠で休憩した後糠平湖に向けて下っていくと、見事な白樺林の群生地帯が現れる。ここを通る度に自然界の植生の妙を感じる。

糠平湖温泉のいつものGSでガスを補給しようと思ったら、そこは廃業していた。去年まで愛想良く給油してくれていたおじさんは今何をしているのだろう。
時期にも因るのだろうけれど、あまりに少ない交通量と人気も活気も無い寂れた温泉地ではGSの維持は困難だったのだろう。
峠越えの立派過ぎる橋と道が、日に数十台しか通らないのでは?と思われる車達に必要なのかは私にはわからないが、北海道にはこんな道がシコタマある。

R273からR241に出て足寄湖の道の駅で昼食を摂る。
少ないメニューの中からチーズカレーを食べたのだが、これがなかなか美味しかった。
天気は次第に好転して暑いほどだ。進むべき東の方角は青空が覗いてい、反対側は黒い雨雲に覆われている。

足寄で給油し陸別から#51津別陸別線に入る。ここはかつて何度も走った道だ。今回は一旦脇道に逸れ、チミケップ湖を観ようと思ったのだが、途中からダートに変わったのであえなく断念。Uターンして一路美幌を目指す。
津別から右折すれば今日の宿泊地津別峠のホテルフォレスターはすぐなのだが、例の「秘密の農道」を走るべく美幌に向かうのだ(^^)。

「秘密の農道」は相変わらず抜群の路面状態を保っていた。例えるなら鈴鹿サーキットの1コーナーからS字、逆バンク、ダンロップからデグナー手前までを繰り返し走るようなものだ。
それなりに(^^;楽しんでから小清水峠、藻琴峠を越えて川湯から摩周湖に登る。この道だってチョー快適なワインディングだ。さっき走った「秘密の農道」に較べれば速度が遅いだけに安心感は大きい。

第三展望台にはガスがかかっていて湖面がようやく見える程度。霧の摩周湖の面目躍如だ。

左からナベさんクマさんヒラモトさんウエノさん

弟子屈への降りに差し掛かると漸く低く垂れ込めたガスから抜け出した。摩周湖ではもう夜に近いのでは?と思うほど暗かったのに、弟子屈はまだ昼間の明るさだった。

給油をし、エントコマップから津別峠に登る。この道は本州の峠道に似ていて懐かしい感じがする。今年も可愛いバンビが出迎えてくれた。
ホテル到着は5時30分?。今日も雨には降られなかったが、どのトンネルも例外なく路面が濡れていてMCが汚れてしまったので、軽く洗車してから軒下に格納した。

今日札幌方面はキャッツアンドドッグズだったらしい。
昨日も今日も路肩が濡れている部分が多かったから、我々は運良く雨の隙間を縫って走っていたみたいだ。天は我らに味方したか(^^)

快適な道を楽しみ、綺麗な景色と爽やかな空気を堪能し、気持ち良い温泉に浸かり、美味しい食事を頂き、愉快な話テンコモリの一夜。これ以上一体何を望むというのだろう(^^)←望んでませんがッ。

外は雨が降り始めていた。布団に入り、「明日は休養日か?」などと考えている内に爆睡してしまった。

本日の走行距離: 430Km

6月22日
5時起床。
案の定外は小暴風雨(^^)。台風6号が北海道で熱帯低気圧に変わったらしい。冷たい風と雨の中で露天風呂を楽しんでいると頭上の雲がけっこうな勢いで流れて行く。時々ちぎれた葉っぱが飛んで来る程だ。これは「ヒョッとするとヒョッとするかも?」
昨年同様今日は自由行動の日だから、雨でも走りに行きたい人は行けばいいのだが、朝食後全員ロビーのソファーから離れようとしない、勿論私も。

話に相槌を打ちながらも、視線は窓の外の様子を観察している。暗かった空が明るさを増し、時々青空が出るようになった。雨の勢いも次第に弱まり、駐車場に目をやるとアスファルトからは湯気が立ち上っている。玄関を出て空を見上げると大きく青空が広がっていた。「ヒョッと」が当たった瞬間は午前11時だった。

自由行動にも拘らず、今日は美幌峠、再び「秘密の農道」、裏摩周、開陽台を回ることで全員一致。
そうと決まれば早速走る準備に取り掛かり、12時丁度に宿を出発した。

津別峠のワインディングはまだ濡れており、強い風で折れた枝や枯葉?様の物が落ちていて少々走り難かったが、たいした距離でもないので慎重に下り、R243に出た。
左折して美幌峠に向かう道もまだ濡れてはいたが、もう雨は止んでいた。乾いていればそれなりに楽しめるワインディングも、ガスっていては思うにまかせない。

峠を下ると昨年ソロで能取岬に行った時と同様、いきなり紺碧の空が現れた。やはり湖は大量の水蒸気を発生しているのだと思った。
秘密の農道の終点で一息いれると、緑と青空と雲のコントラストが眩しい程だ。


山の向こう側が屈斜路湖。まだ水蒸気を吐き出している。この空を見る限りつい1時間前まで雨が降っていたとはとても思えない。

小清水峠を越え、川湯で左折し緑に向かう。R391の野上峠に登るワインディングもお気に入りの一つ。何故なら大きく回り込んだコーナーの連続だからだ。とにかくMCの寝ている時間が「これでもか〜ッ」っつー位長い。

北海道ツーリングが初めてのヒラモトさんはしきりに「RC30だったらな〜」とぼやいていたが、きっと非力なアドベンチュラーでも充分楽しめたのではないかと思う。

クマさんは相変わらず「余裕シャクシャクシャク(^^)」。
4月の浜名湖へのツーリングでも感じたのだが、還暦を過ぎたジジーとはとても思えないし、古いCB900Fにもかかわらず、時々見せるアグレッシブな走りっぷりには達人の凄味を感じる。

ナベさんは相変わらずスティディーナベ(^^)。シラッと速い。その気になれば私など一瞬で置き去りに出来るのに、終始自制の効いた精神状態を保っている。

ウエノさんは・・・・・・・RC30の時より「乗れてる」みたいだ。

こんな道をクマツーメンバーS水の○○オヤヂに走らせたりでもしたら、FZSなんかあっと言う間に足の乗せ場無くなるんだろうな・・・・オソロシー(^^;

緑から裏摩周に上り、湖面に流れ落ちる霧の滝を観ることが出来たのはラッキーだった。僅かでもタイミングがズレればこの不思議な光景を目にすることは出来なかっただろう。見とれていてうっかり写真を撮るのを忘れてしまったのが悔やまれる。
屈斜路湖は湖面から水蒸気を噴出し、摩周湖は外輪山から霧が流れ落ちる。
やはり自然は偉大な芸術家なんだと思う。

裏摩周を後にし、開陽台に向かう。
途中にあるモアン山は小さな丘のような形なのだが、何故か不思議な存在感があってついつい見惚れてしまう。

開陽台の展望台に上がると、謳い文句の「360°地球が円く見える」訳ではないが200°位は円く見えるから、北海道の雄大さを確かに実感できる。

西の空は黒い雨雲が垂れ込め、東の空は所々青空が出ている。これなら念願の知床横断道路を走れるかも?という私の提案は「時間的に無理」という理由であえなく却下(;;)。

以前寄ったレストラン「開陽館」で遅い昼食を摂るべく向かったのだが休業していた。気を取り直して知床半島の付け根を横断するR244を斜里に向けて走る。
この道では約40Kmの間対向車に遇った記憶が無いし、根北峠付近のワインディングも充分楽しめるものだった。

斜里町に入り、R334との交差点付近のレストランで昼食にした。午後3時を過ぎていたので夕食のことも考慮し、メニューの中でも最も軽そうなカツサンドを注文したのだが、出てきたブツを見て、思わず「マジッスカ〜」と口走ってしまった。
馬にでも食わせるのか?←大袈裟か(^^;と思うほど凄いボリュームだったのだ。
食べたらこれがまた美味しくて結局全部平らげてしまった。

他の仲間が注文したメニューはさらに凄くて、ウエノさんのピッツアなんか3〜4人分はあろうかというシロモノ。勿論美味しいと言っていた。
オーナー?に異常なボリュームの理由を尋ねると「北海道の人は食べますからね」だって。このレストランの名前は失念。

後は宿に向けて帰るだけ、道順はクマさんもナベさんも熟知しているので先に行ってもらい、食事前にガス補給していなかったヒラモトさんと私は交差点の出光で給油し、遅れて出発。

川湯から屈斜路湖を右回りに走れば最短距離なのだが、又もやムラムラとワインディングを走りたくなって、三度秘密の農道に向かってしまった。もうビョーキだね。

藻琴峠や小清水峠は屈斜路湖から立ち上る濃いガスで視程10m程度だったが、下りに掛かると紺碧の空が現れた。
秘密の農道はヒラモトさんに先行してもらう。
うっかり西に向かって走ることを忘れていた為、折角気ままにカッ飛んで行ってもらおうと思ったのに強烈な夕日がシールドを直撃し、しかも日なたと日陰とのコントラストが強く、昼と夜程の差があるので道路が良く見えず、ヒラモトさんはさぞ走り難かったことだろう。

美幌から津別へ抜けフォレスター到着は6時30分頃だった。
ホテルに着くと昨年同様フジワラさん夫妻が待っていた。

お風呂の後の食事はさっき食べたばかりということを差し引いても、これを平らげるのは至難の業と思える程の量で、昨晩の夕食とは随分違うな〜と驚いてしまった。サスガにごはんは食べられなかったが、どれも美味しく頂いた。

食後はフジワラさんを交え、11時まで楽しいひと時を過ごした。

本日の走行距離: 335Km

6月23日
5時起床。
カーテンを開けると青空が広がっていた。誰も居ない露天風呂で贅沢な朝風呂を楽しみながら今日のルートを確認する。何度来ていてもあまりにも長い行程であり、同じ様な景色が繰り返し現れるのでつい交差点を間違えてしまったりするからだ。

朝食後、今日は旭岳に登山するというフジワラさんご夫妻を見送った後、我々も出発した。
クマさんはシルクロードツーリングの為に、今日苫小牧から大洗行きのフェリーに乗る。見送られるのが嫌なのか、1Km先の津別峠入り口まで一緒に走り、そこで別れた。

「今日一日が、そしてシルクロードツーリングが良い旅になりますように」左の肩越しから走り去るクマさんを見送った。

「グッドラック!!」

総勢4名となった我々は弟子屈で右折し阿寒湖方面に向かう。双岳台に向かうワインディングを走るのは10年ぶり位だろうか?観光地や都市部はなるべく避けていたから、ここは随分久し振りだ。
双湖台で休憩し、阿寒湖手前で左折、暑いほどの好天の下、R240を釧路に向けて南下する。釧路空港の脇をショートカットしてR38に出ると、快晴にもかかわらず気温は一気に急降下した。いつ来てもこの辺りは寒い。

白糠で右折し、R392/274を本別町に向かう。
本別までの66Kmは浅いワインディングの連続で、緊張を強いられること無くMCライディングの爽快感を味わえるから、いつ走っても66Kmの距離は実感できない。

本別の小汚い(^^)ラーメン屋さんで昼食を摂る。人気があるらしく地元の人達で賑わっていたし、勿論美味しかった。何よりおばさんの愛想がコンビニや公共の宿のようなしらじらしい「マニュアル接客」でないのが嬉しい。

足寄をパスし、活込からR241に出て上士幌町からナイタイ高原に向かう。
高原のレストハウスまでの道は来る度に感動する。やっぱりここはラグナセカだ、否マン島か?・・・・・知らないけど(^^;。

ナイタイ高原往路。


ナイタイ高原帰路。

レストハウスでソフトクリームを食べようと思ったのだが、売り場までは観光バス2台から降りた乗客全員?が長蛇の列を作っていたので止めた。中高年は皆と同じ物を食べないと安心出来ないらしい。缶コーヒーを飲んで出発した。

このまま幕別のホテル直行だと早すぎるので一昨日走ったR273を糠平湖まで逆走し、然別湖を観てからにすることにした。
糠平から然別湖までは超タイトなワインディングで平均車速40Km/h程度。

湖畔はガードレールも無く狭隘で、僅かに残った路肩を外れると即湖直行という感じだし、湖は路肩直下から深く落ち込んでいるようで、頻繁に見える濃紺の湖面は気味が悪い。実際何箇所か軟弱な路肩が陥没していた。
「ここにMCを落としたら引き揚げるのは無理だろうな〜」などと考えている内に遊覧船乗り場に辿りついた。

トイレ休憩の後今日の宿に向けて出発する。然別湖からの下りは先ほどまでの登りとはうってかわって、帯広の広大な平野が一望できる超快適なワインディングだった。
鹿追から士幌までは16Kmの直線。以前はこんな直線に出会うたびに感動したものだ。
例年に比べ今年はやけに屋根にレーダーを載せたパンダを目にする。この道の途中でも地元のトラックが捕まっていた。「かわいそうに」。


夕暮れがせまるこんなひと時が好きだ。

幕別市内でホテルの案内板を見落としたりしてウロウロしてしまったが、雨にも降られず今日も無事一日が終わった。

幕別の丘の上に一軒だけそびえている大型の温泉ホテルは確かに温泉は良いし、眺望も良い。バイキングであっても食事も満足出来るレベルだ。しかし大量のパック旅行を相手にしているだけあって、少人数の我々など眼中に無いかのようだ。特にフロントマンの態度は不愉快。

自分の近所にある同業者の中には、格安パック旅行のお客様のことを「一山いくら」と言って憚らない女将も居る位だから、この宿も同じなのだろう。
一山とはつまりバス1台のことだ。一山にならない我々はゴミという訳だ。

布団を敷くのも片付けるのも、自分達の都合が優先し、我々の都合などお構いなしだったのには唖然としたし、「一山いくら」に慣れ、客を客とも思わないふてぶてしい態度の従業員にはマジギレしそうになった。昨年利用した時はもっとマシだったような気がする。

新設された公共の宿の多くは設備が行き届いていて、対応は慇懃でもどこかそっけない感じがするのは仕方ないのかもしれないが、自分達の生活が一体誰によって支えられているかを考えれば、自ずとお客様1人一人に接する気持ちも違ってくるはずなのに、民間の宿がこんなでは情けない。

便利でリーズナブルだったから使った公共の宿も、団体専門の大型旅館も卒業だな。必要な機能さえ備えていればそれで「よし」とするには北海道は遠すぎる。

しかし「激安、食べ放題」のパック旅行は他人と同じことをし、他人より得をしたと思いたい人々によって、これからも益々盛んになるんだろうな。そう言えば今日も「一山いくら」のバスが沢山走っていた。

本日の走行距離: 378Km

6月24日
起床は5時。年のせいか目覚める時間は安定している(^^;
いつものように外の様子を見ると怪しい雲が低く垂れ込めていて、まだ降ってはいないが今日こそ雨を覚悟しなければならないと思った。

朝食の時食堂の向かいに「幻の巨大魚イトー」の水族館?があるのをヒラモトさんが見つけ、出かける前に見てみたいと言ったので、自分も行ってみようと思ったのだが、食堂のお姉さんの話ではそこにいるのは「巨大魚の稚魚(爆笑)」だそうだ。
入園料を払って入った人にしてみればサギに遭ったようなものだろう。

これと同じ経験は十数年前九州からの帰りに山陰を走っていて「関の五本松」という名所があるのを思い出し、ちょっと脇道に逸れるだけだからと寄ってみたことがある。
海を見渡せそうな小高い丘の上までリフトが掛かっており、土産屋もあったりしてここが観光名所であることを伺わせた。

さぞ立派で枝ぶりの良い松が生えていることだろうと期待に胸を膨らませて行ったところ、そんなものは何処にも見あたらなかった。良く見ると小さな松とその脇に立て札が立っていて、それには「3代目関の五本松」と書かれていた。
これには怒りというより「美保関観光協会もやるねー!イヤーまいったまいった」と、思わず大笑いしたのを想い出した。

で・・・・結局イトーは見に行かないことにした。

出発の準備を済ませ外に出ると案の定雨が降り始めていた。パンツだけレインウエアーを穿き、上は着ない。このツーリングの為に新調したGW「ユーロ」の性能テストだ(^^;

ウエノさんのXR250モタードがなかなか始動しない。聴いているとセルモーターの回り方が次第に弱々しくなっている。
ウエノさんに「オレがやるよ」と声を掛けた。そのままだと早晩バッテリーがあがって押しガケをカマスはめになる。当然出発も遅れ、スケジュールに影響するからだ。

新車からボアアップし、CRキャブを付けることにどんな意味があるのかは知らないが、少なくとも強制開閉式キャブが始動不良に陥った時の対応位は知っていて欲しいと思った。
マフラーからは未燃焼ガスの匂いがしていたのでチョークを戻し、全開にしてセルボタンを押すと一発で始動した。

降りは強くないが北海道で初めてのウエットコンディションだ。
帯広市内を抜け清水町に付近にさしかかる頃には既に雨も止み、路面は乾きはじめていた。
狩勝峠を下り富良野方面の空を見ると明らかに雨が降っている様子だ。
わざわざ雨の中に突入し濡れたワインディングを走ることもないので、美唄富良野線でR452に合流し夕張に向かう予定だったルートを急遽変更し、落合で左折して占冠村に向かった。

このルート選択は正解で、多少霧雨程度の降りには遭遇したが結局日高から紅葉山までは雨上がり直後を走った形になり、これまでと同様、運良く雨の隙間を縫って走っていたことになる。

紅葉山から追分、千歳間は青空が出て暑いほどの陽気になった。支笏湖畔で休憩し、札幌に向かう。

支笏湖

このR453はさすがに大都市に近いだけあって交通量は多いものの、なかなか楽しめるワインディングだった。
いつも感じるのだけれど、富良野から南西は北海道らしさが薄れ、いよいよこのツーリングも終盤に入ったことを実感する。やっぱり北海道は道北と道東が好きだ。

札幌の手前で左折しR230を定山渓に向かい、そこから小樽に抜ける#1に乗る。
定山渓ダムの手前にパンダを確認すると同時に屋根の赤色灯が回り、けたたましいサイレンの音が鳴った。いつ聴いても嫌な音だな。
自分の前に走行車両は無い。「シマッタ!」と思った瞬間・・・というより若干の葛藤の後、右手は本能に従って動いた。

右にカーブした見通しの良い橋の上から後続車を見ると、3台ともペースを上げるどころか反って速度を落としたようにも見え、「私達は善良なライダーです、先に行ったバカとは無関係で〜す」・・・・・と、妙に分別臭い走り方に変ったのを見逃さなかったゾ。臭い芝居をするより、せめて1台位は付き合って欲しかったな〜。

朝里までの約35Kmは、ダム湖を観ながら快適に走れる直線や緩いカーブが続いた後、札幌国際スキー場手前から朝里峠にかけてのワインディングが楽しい。でなければわざわざこの道を今日のコースに組んだりしない。

峠の頂上付近はトンネルになっていて、かつてのタイトコーナーが連続する走り甲斐のあるワインディングとは違っていた。
トンネルをぬけると濃霧に突入。視程5m程度・・・・殆ど何も見えないのと同じだ。速度は10〜20Km/hと言ったところ。
こういう時ってとってもソワソワするね〜(^^;

ここの下りも回り込んだコーナーが連続していて楽しいのだが、今回は霧と「タイムを詰める?(^^;」という目的があったので楽しめなかった。
朝里ダム手前まで下ると漸く霧を抜け出せた・・・・のは良いが、ご丁寧な出迎えの可能性もあるかと思うと、小心者の私はR5への合流を待たず、ループ橋を下った辺りで左折したのだ。

住宅街の中、何処をどうやって通ったのか分からないまま、それでも右手に海を確認しながら走っているうち、「そろそろR5に出ないと善良なライダー3人組に追い越されるカモ・・・・」ということで海と思われる方向に走っていたら、余市の手前でR5に出た。

「まだ追い越されてはいないだろう」と思いつつも一抹の不安を感じながら酒屋兼雑貨屋さんの前で待っていると、10分程で「善良なライダー3人組」が現れた。

待つ間一通りMCのチェックをしていた。久々にマジメに走ったからだ。
センタースタンドはストッパーのゴムが捩れ、トルクロッドに接触しているし、ブーツもソールの横が削れている。
いつもはサラッとしているPロードなのに、このタイヤも「やっぱ融けるんだ」と思った。

回すとオイルが滲みやすいシリンダーヘッドのガスケットは問題なかったので一安心。
それと毎日チェックしているものの、今回のように短時間ではあっても高回転を保って走ったり、交換して既に2000Kmを越えているわりには、オイル消費がとても少ない。
7万キロ近くなって漸く馴染んだのか、アジップの100%化学合成油のせいか分からないが、兎に角オイルが減らないのは安心だ。
かつてはクマさんとホームセンターでオイルを買っては分け合って注ぎ足していたっけ。

「善良ライダー3人組」のナベさんとヒラモトさんは途中のコンビニでウエノさんの到着を待っていたらしいのだが、案の定今回も手を振る二人が目に入らず、爆音と共に通過してしまったらしい。結局正面しか見えていないんだと思う。
一度二度だったら笑い話にもなるが、同じことを何度も繰り返されると付き合う方も精神的に参る。ナベさんヒラモトさん心中お察しします。

余市を過ぎ古平町に近づくと、それまでの霧雨がはっきりと雨に変った。民家の軒下を借りてレインウエアのパンツだけ穿くと、いよいよ今日最後のワインディングであるトーマル峠に向かう。

峠に近づくと雨は止み、霧は掛かっているものの道路はセミウエットになってきた。諦めていたワインディングをそこそこ楽しめたのは普段の行いが良いからだろう(^^)
しかし下りに掛かると超濃霧になり、朝里付近と同様視程5mといったところ。でもさっきとは違いソワソワしないだけマシだ。

神恵内村の国民宿舎もいわ荘到着は6時位。
数年前出来たばかりに利用した時は食事、接客共にとても良い印象があったのだが、今回は随分雰囲気が変っていた。
玄関脇に水道とホースがあったので、汚れたMCの塩気だけでも軽く落としておこうと思ったのだが、操作する係りが居ないという理由で使わせてもらえなかった。
翌朝サルでも使えるということがわかったが、お上の宿なんか所詮こんなもんよ(笑)

本日の走行距離: 406Km

6月25日
5時起床、茂岩?の回りを軽く散策してから朝風呂に入る。
いよいよ今日で北海道のツーリングが終わるかと思うと、折角の好天なのに気持ちも沈みがちになる。

北海道最終日の朝

帰りのフェリーは今回「善良ライダー3人組」が苫小牧発大洗行きの太平洋航路を使うということで、私だけが一人従来の航路で帰ることになった。
関東信越地方の天気予報は26日が雨ということもあり、関東方面に住んでいる「善良ライダー3人組」にとってこの選択は無理からぬことだろう。私だって雨の関越を300Km以上走りたくはない・・・・・しかし・・・・・?

フェリーの出航が夜なのと、港までの距離が短いので、ゆっくりしていて出発は10時頃になってしまった。
岩内からニセコに抜けるニセコパノラマラインはいつ走っても大満足のワインディングだ。今回は知床横断道路を走れなかったのだが、この道はそれに匹敵すると思う。

北海道の公共事業の凄さは改めて書くまでもないが、ニセコ町も真狩村も2年前とは全く様子が変わっていて、カッコイイ町並に変身しつつある。スキー産業も経済の一翼を担っている筈だから、今後この付近がどのように変るのか楽しみだ。
とにかくゼーキンの力は凄い!

留寿都からR230で洞爺湖に向かい、湖畔を左回りに走って有珠山の噴火場所に向かう。
一昨年ナベさんとマツダさんと来た時には噴火や隆起で寸断されていたR230が、「やりすぎ!」と思われる程の超立派な道になっていた。もっとも北海道は全てこんな感じだけどね。

そんなことより何より再び自然の驚異を目の当たりにして、「人間とは何とちっぽけな生き物なんだろう」と改めて教えられた気がした。自然の前ではやはり謙虚になってしまう。
以前有料だった駐車場は無料になっていたし、怪しげな店も増えておらず、そこそこの環境を保っていた。

旧R230。以前は虻田町に向かって下り坂だったのだが、向こう側が隆起して水溜りが出来ている。

洞爺湖温泉街で土産屋に併設された食堂で昼食にした。ありふれたお店なのに、ここの味噌ラーメンは美味しかった。

壮瞥町から#2洞爺湖登別線に乗りオロフレ峠に向かう。
ここは名峠の一つだと思っているし、実際快適なコーナーの連続で、これが北海道最後のワインディングかと思うとついついペースも上がるというものだ。

しかし、頂上付近から下りにかけては濃霧に見舞われてしまい、路面もウエットで今回も下りを楽しめなかった・・・というのは一昨年も全く同様だったからだ(泣)

道ワカサレで待っていると、眼鏡使用でジェットヘルのヒラモトさんは霧がシールドの内側に回り込んだらしく、盲目状態で走って来た。
同じ眼鏡使用者として白濁した(曇ったなどという生易しいレベルではない)眼鏡で走り続けた彼の行為が信じられなかったし、決して大袈裟では無く、殆ど心眼だったのではないかと思った程だ。

自分は左手にウエスを持ち、ワイパー状態で拭き続けていた。それにしてもここの霧は特別製かと思える程しつこくシールドにまとわりつく。
登別に下る頃には霧も薄れ、路面も乾いてきた。R36に合流し、左折して苫小牧方面に向かう。

白老町で6時頃発の大洗行きフェリーに乗る為苫小牧に向かう3人と別れ、自分は8時頃のフェリーなのでまだ時間もたっぷりあることだし、#96白老大滝線のワインディングを走り、大滝村から支笏湖を回って苫小牧東港に行こうと思っていたのだが、瓦斯山方向を見ると雨は確実と思われる怪しい雲が垂れ込めているので断念。

白老のコンビニでお茶をして1週間一緒だった仲間との別れを惜しむ。
これでマシンのトラブルも無く、無事北海道のツーリングが終わったかと思ったら、やっぱり最後にきてやってくれました・・・・勿論ウエノさんが(^^;

XR250のリヤタイヤがパンクしているのを発見したのはナベさんだったかヒラモトさんだったか?いずれにしても本人でないことは確か。
教えられたウエノさんは「そういえばグリップが良くなった気がしてた」だって(・・;・・・・オイオイ。

本人は例によって誰かが何とかしてくれると思っていて信じられないほどのん気だ。
早くしないと空気が抜け切って走れなくなるから、こういう場合一刻を争うものだ。ましてやチューブ仕様だからGSで簡単に修理する訳にはいかない。

近所にバイク屋さんがあれば良いのだが、それらしきものは無かった気がする。
直前にタイヤ屋さんがあったのを確認していたヒラモトさんが気転をきかせ、「ひょっとしたらそこで直せるカモ?」とすかさず交渉に行ってくれた。
そのお店はチューブ式の修理はやったことが無いらしかったが、とり合えずヒラモトさんアレンジのお店で見てもらうために、既にプヨプヨになったタイヤでウエノさんはコンビニを出て行った。
ヒラモトさんの走行中の観察力や、不測の事態に対応する素早い段取り等々には敬服した。

自分はというと、直後2人に別れを告げ、再び登別からオロフレ峠に向かってしまった。
後で聞いたのだが、パンクは修理出来たということだった。

登別からオロフレ峠までは来る時と同様濃い霧に覆われていて勿論路面もウエット。
峠のトンネルを抜けると漸く霧が薄れ、一部青空が見えるようになった。



壮瞥町に下り、昭和新山を観た後、再び虻田町で有珠山噴火に因る被災の様子を見ることにした。
それにもう3人は居ないのだから何も苫小牧まで行って新潟行きのフェリーに乗る必要は無くなった訳だ。
予定を変更し室蘭発直江津行きで帰ることにした。これなら出航時間は深夜になるからゆっくり観光できる。


昭和新山:ここは初めてクマさんとご一緒した時に寄った所。ナカムラ君が先に帰ってしまい、クマさんと二人だけになっちゃったから、えらくキンチョーしていたのを想い出した(^^)。ちなみにMCはRC30だった。


溶岩?に直撃された建物らしい。


ある日突然庭が隆起し、噴火を始めたら一体どんな心理状態になるのだろうか。傾いた住宅の脇には噴火口が開いていたし、さらに左上の斜面では噴煙が上がっていた。
当事者でもないのに呆然と見入ってしまった。

虻田町から室蘭までのR37は交通量が多く、今回のツーリングで一番カッタルイ部分だった。
室蘭港を右回りに一周して再び白鳥大橋を戻り、岬巡りをした後駅前で寿司を食べた。漁港があるにしては??だったが、地元の人が沢山来ていたからきっと人気なのだろう。

白鳥大橋


白鳥大橋から望む内浦噴火湾の夕暮れ:低く垂れ込めた雲の隙間から射す夕日を見ていると、旅の終わりに一人ぼっちになったこともあり、年甲斐もなくとても感傷的になる。
それにしても苫小牧といい室蘭といい、都市部を走る車は高級車が目に付くし、運転はとても乱暴で怖い。

船の出港は深夜0時5分前だからまだタップリ時間がある。
暇つぶしに近所を徘徊する前にフェリーターミナルを確認し、乗船券を購入する。

この船は全席指定寝台だったのにはまいった。狭い船室は息が詰まる。船内は新日本海フェリーの豪華客船の雰囲気とは正反対で、旅客定員も少なく、どちらかといえばトラック専用運搬船についでに乗せて貰っているという感じ。
この航路はきっと物流が殆どを占めているのだろう。

レストランも無く、無機的で全てが味気無い。乗客もトラックドライバーが多く、観光客らしき人は僅かだった。
これから始まる旅への期待に気分が高揚した人々や、楽しかった旅の思い出を語り合うといった華やいだ雰囲気は皆無だったし、皆ただじっと時の経つのを待っているかのような、何故か重苦しい空気に満たされていた。


室蘭発直江津行きフェリー

カーテンで仕切られた船室に入り、地図を広げて走ったルートを辿っているうちに寝てしまった。

本日の走行距離: 324Km

6月26日
目覚めると7時を過ぎていた。けっこう熟睡したみたいだ。
同室の2人はお互いに人を避けているみたいで会話は一切無かったし、下船までカーテンが開くのを見なかった。勿論自分が寝ている間に某かの行動はしていたと思う(^^)。

朝食も昼食も自販機だから、これだけでも気分が滅入る。しか〜し!唯一の救いは昼食に食べた「カルビうどん」がやけに美味しかったことだ。メーカーを確認したら「カトキチ」という会社だった。

昨夜から他人との会話は無く、一言もしゃべっていなかったから、思わず「ウマイ」と口走ってしまった自分が妙に哀れに思えて悲しかった。冷凍食品侮り難し(笑)。

結局夕方船が直江津に着く迄、そして帰宅までの間、発した言葉はボソッと呟いた「ウマイ」だけだった。
往復の船の中でのそれぞれ18時間は、行きはプロローグ帰りはエピローグ、旅への期待に胸を膨らませ、そして旅を締めくくる貴重なひと時だ。
ソロツーリングでは心構えが違うから何とも思わないが、今回はどうも最後が尻切れになった物語のようでイマイチピンとこない。仲間と過ごした愉快な7日間が懐かしい。

直江津港は水溜りが出来ていて、ついさっきまで降っていたことを覗わせた。国道にも水溜りがあって、雨の隙間だったのか、とにかく自宅までは降られずにたどり着いた。
天気が不安だったこのツーリングも、終わってみれば短時間パンツは穿いたにしても本格的にレインウエアーのお世話になるようなことは無かった。
家内の話では一日中降ったり止んだりを繰り返していたらしい。帰宅直後再び強い雨が降り始めたから何という幸運だろう。

一足先に帰宅したフジワラさんから電話があり、帰りの敦賀行きフェリーで一緒になったライダーの話では、我々とほぼ同じ日程で北海道を周ったにもかかわらず、殆ど降られていたと言う。

北海道といい帰路といい、今度のツーリングは雨の隙間を走っていたことになる。

ヒラモトさんからの電話では、雨の予報だった関東も快晴だったらしいから、ヤッパリ我々5人は普段の行いが良かったのだ(^^)

本日の走行距離: 91Km

全走行距離: 2809Km
燃料消費量: 139.2L
平均燃費: 20.17Km/L
オイル消費量: 約200cc

今回は出入り8日間だったので3000Kmは越えると思ったのだが、半日走られなかったことと帰りのフェリーが直江津行きだったこともあり、大台を達成出来なかった。

***ツーリング後記***

家業が宿屋ということもあり、MCでの旅を楽しむのと同時に、同業者を視察するという姿勢になるのは仕方ないのかもしれないが、今回は特に観光に従事する者として考えさせられる場面が多かった気がする。

余談: 例えば・・・・議員さん達が公費で「旅行」することを「視察」と呼ぶのはよくあることだが、公の立場でない人が「旅行」する場合も、見聞を広め、刺激を受け、感動し、些細なことであっても旅行中に起きる様々な問題を解決し、物事を考える等々・・・・と言う意味において、結局自分を高める為の「視察」なのではないかと思う。
そう考えると、視察名目だったら公費、旅行だったら自費というのも変な話だと思えてくる。

いろいろ感じることがあって、一度は書いてみたものの、例によって(^^)自分のことを棚に上げる悪い癖が思いっきり出てしまったので削除しました。
しかし、ある民間の宿でスリッパに画鋲が刺さっていて痛い思いをしたのですが、このコンプレインついて宿側からは何のリアクションも無かったのには驚きました。・・・・・ということだけは書いておきます。

今回残念ながら満室で宿泊出来なかった岩内温泉の「高島旅館」のこと・・・・・・。

ここは過去2回利用しましたが、小規模ながら抜群にくつろげる心のこもったもてなしをします。
一見質素でありながら、細部にまでこだわった館内の造りは機能とセンスの良さを感じさせますし、スタッフ一人一人の爽やかな風のような存在と相俟って極上の時間を過ごせます。
この宿の居心地の良さは「’03北海道ツーリング」と「’03U」でもふれた通り。

今回予約が取れなかったことからして、良い宿は人気が出るのは当然としても、又いつか訪れた時に変質していないことを祈るばかりです。

次回からは小規模の民間の宿にお世話になろうと思っています。


BMWR1100Sは初期に発生した些細なトラブルや、5回にものぼるリコールが、自分の中ではブランドイメージとは程遠い粗悪品をつかまされたという思いが常にあったのだが、気がつけば既に今年で6年7万キロに達しようとしている。

詳細はいずれ7万キロを越えた時点で書くとして、振り返ってみればこれまで大きなトラブルも無く、ツーリングバイクとして充分過ぎる程良く走ってくれたものだと思う。
今回も含め、R1100Sでは北海道に都合7回も行ったことになり、そのどれもが思い出深い旅の演出に貢献してくれていたのだと思うと、素直に「ありがとう」と言いたくなる。

カウルの塗装の良さは「6万キロを超えて」でも触れたように、全く光沢を失わずヤレてはいないものの、さすがにクランクケース前面やステアリングのロアーブラケット辺りの塗装は飛び石によって剥がされ、所々腐食しつつある。しかしこれも使い込んだ道具の持つ味のようなものだと思えば愛着がわくというもの。

たまたま今年ディーラーから「ボクサーカップレプリカに買い換えないか」との誘いがあっのだが、下取り価格は125ccクラスのスクーター程度の評価でしかなかった。
BMWといえど、「こんなものか」と思ったら少々ショックだったが、この評価は逆にBMWに接する気持ちを楽にしてくれたように思う。気持ちが軽くなったと同時に、MCも軽くなったような気がするから不思議だ。

高価なMCという意識がこの時まで常にあったのだろう、恐る恐る乗っていた時と違い、「フッキレタ」とでも言おうか、今本当に自分の道具になったような気がする。
軽々と走るようになったのはこうした気分のせいばかりではなく、実際距離を走ってエンジンはもとより駆動系が軽く回るようになったのかもしれない。

しかし全く問題が無い訳ではない。前回ほどひどいものではないが、再びリヤアクスルからガタが発生してしまったし、インプットシャフトからのオイル漏れも気になっている。
さしあたって走行に不都合がある訳ではないので、もっと酷くなった時に考えることにしよう。

新しいGSはこうした問題をクリアする為か、貫通式のアクスルシャフトでベアリングスパンが長くなったような気がする。

’03でも書いたように、、「最初は走り回るだけでも良いが、2〜3回目以降はハイキングをしたり、草花を観賞したり、キャンプをしたり、地元の方や他のライダーとの交流、お気に入りの場所でボーと過ごしたり、美味しい食べ物屋さんを探したりして楽しむのがツーだ」というのは分かるのだが、やはり北海道は走る為だけに行っている。

「ただひたすら走る」そして快適に休める宿があれば他に望むものは無いと思う程、北海道に上陸したら一日中走っていたいし、朝飯や昼飯なんかどっちでもいいとまで思っている。
マグロが泳ぎ続けないと死んでしまうのに似ているカモ。

だからといって景色を楽しめない訳では無いし、むしろ北海道は広大な風景画の美術館という印象さえあるから、延々と続く絵画を観ながらだと距離も時間も忘れそうになる。
それにしては道内の平均走行距離が今回420Km/1日と少なかったのは物足りない。少なくとも500Km、できれば600Kmは走りたかった。

こうした走り方は本州ではとても出来る筈が無いから、つい欲張ってしまうのだろう。こんなイカレたバカおやじに懲りもせずお付き合いしてくれる友人には感謝しているし、心から「有難う」と言いたい。

毎回話題を提供する(^^)ウエノさんの憎めない性格は、先を急ぐあまり時にはイライラする私に「忍耐と寛容」を教えてくれたし、このツーリングには欠かせないキャラクターになったように思う。

クマさんの帰った後はワサビ抜きの刺身とか寿司を食べているような味気なさがあって寂しかったが、長年お互いの走り方を熟知しているヒラモトさんとのワインディングランがこのツーリングを充実したものにしてくれた。そしてナベさんの寡黙で冷静な行動は、「大人のツーリング」と呼ぶにふさわしい節度ある雰囲気をこのグループにもたらしていたと思う。

いずれにしても20回目の北海道夏至ツーリングは無事に終わりました。又来年・・・・・・。

切れていたH1のランプは北海道2日目に美幌町のホームセンターで購入交換しました。