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北海道ツーリング’03

北海道は今年で16年18回目(モーターサイクルでは)。参加予定者は10名だったのだが、働き盛りの大人が7日間もの休暇を取るのは難しいこともあり、昨年より少なくなったものの今年も新しい仲間が増えて総勢7名のツーリングとなった。

参加者の紹介:
クマさん:かつてのホンダニ輪レース部門総帥(CBX)
クリさん:大手音響メーカーP社にお勤め(CBR600F)
マツダさん:今年で5回目。家電メーカーS社の自販機開発責任者(NR)
ナベさん:ガラスメーカーにお勤め(CBR1100XX)
イトーさん:ヘリコプターの整備士(モトマーチンCBX)
ウエノさん:呉服屋の旦那さん(RC30)
私:(R1100S)

道内の走行ルート

1日目
小樽(5時出発)⇒石狩R232⇒厚田村#11⇒青山ダム#28⇒R451新十津川町⇒ R275沼田⇒沼田ダム⇒小平ダム⇒R239霧立峠⇒添牛内⇒R239士別⇒#61岩尾内湖⇒滝上町⇒#137西興部⇒ 西興部村ホテルRIMU泊。

2日目
西興部村(9時出発)⇒#137滝上町⇒R273上川町⇒層雲峡R39⇒ナイタイ高原R273⇒上士幌町⇒R241足寄町⇒R242陸別町⇒#51津別町⇒R240美幌町⇒R243豊富⇒マル秘農道⇒山園⇒#102小清水峠⇒R391川湯温泉⇒#52サツテキナイ⇒R243エントコマップ⇒津別峠⇒ ホテルフォレスター泊。

3日目
津別峠(5時30分出発)⇒屈斜路湖⇒R243美幌峠⇒美幌町⇒農道能取湖⇒能取岬⇒R244小清水原生花園⇒R244斜里町⇒R244標津町⇒R244厚床⇒R44根室⇒#35納沙布岬⇒#35根室⇒ R44厚床⇒R244標津町⇒R335羅臼⇒知床峠⇒ウトロ⇒R334斜里町⇒神の子池⇒緑⇒R391川湯温泉⇒#52摩周湖⇒弟子屈⇒R243和琴⇒津別峠⇒ホテルフォレスター泊。

4日目
津別峠(9時出発)⇒弟子屈⇒#53鶴居村⇒#53釧路⇒R38浦幌町⇒R336豊似⇒襟裳岬⇒R336西幌別⇒R236豊似⇒虫類村⇒#15幕別⇒十勝幕別温泉ホテル緑館泊。

5日目
十勝幕別温泉(9時出発)⇒帯広R33⇒新得R33⇒狩勝峠⇒富良野⇒美瑛⇒富良野⇒夕張⇒苫小牧東港⇒新日本海フェリー乗場。

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6月21日
浜松からのクリさんは今年もアルピーヌに前泊。MCはトランポに積んで来た。クリさんと2人で新潟港に向け朝5時出発。
R148を糸魚川まで走り北陸道に乗る。柏崎ICで降りて海岸線を新潟に向けて北上し、新潟市内でR7のバイパスに乗り紫竹山ICから新日本海フェリー乗り場に向かう。

フェリー乗り場近くのコンビニで朝食を購入、ガソリンスタンドで給油して出発するのと入れ替わりにクマさんマツダさんが入って来た。フェリー乗り場にはすでにナベさん、イトーさん、ウエノさんが到着していた。

乗船手続きの後朝食を食べているとイトーさんがMCの脇にしゃがんで何かしている。早速トラブルが発生したみたいだ。リヤホイールとタイヤがオイルで濡れている。
フィルターカバーの合わせ面からオイルが漏れている。増し締めしても漏れは止まらない。9時30分乗船するものの先が思いやられる。船内で修理は出来ないので明朝小樽でカバーを外して調べることになった。イトーさんは心配で船旅を楽しめなかったのではないかと思う。

客室はグループだと貸切で使えるそうで、ナベさんが要領よく確保してくれたので他の乗客に気兼ねなく船旅を楽しめた。
フェリーの雰囲気が昨年とは又異なるので?と思ったが、フロントのお姉さんに訊ねると、なんと昨年同様マタマタ新造船で今年の5月に就航したばかりとのこと。全長約200m、2万トンの大型フェリーは綺麗なだけでなく、エンジンの音も静かだった。往復でMCと人間を含め2万円といったところで相変わらずリーズナブル。但しレストランの食事はとても割高。

イトーさんのオイル漏れの原因はカバーの合わせ面にゴミが噛んでいるのでは?という結論に達し、もしそうであるならこの人はヘリの整備士の風下に置いておかなくてはなるまい(^^)。

この一件を除き船内では昨年同様「試される大地」の走行ルートを確認したり、クマさんの毒舌を聞いたりしながらのんびりとした船旅を満喫する。

天気予報では明日からの北海道は晴れとのことなので、気分もおのずと明るくなる。いつものように「北の国」に思いを馳せ午後10時に就寝。

新潟フェリー乗り場にて
左からイトーさん、マツダさん、ナベさん、クマさん、ウエノさん、私、クリさん。
問題のモトマーチンは右端(R1100S)から2台目。

今日の走行距離228Km

6月22日
小樽港到着のアナウンスで目覚める。予報通り雨の心配は無さそうだ。下船準備をして車両甲板に向かう。
イトーさんのモトマーチンはエンジンを始動しないで船を降りた。
早速フィルターカバーを外している。
オイル漏れの原因は案の定ゴムパッキンに極小の砂が一粒付いていたことに因るもの。ヘリだったら墜落してるぜッ。
パッキンを裏返しにして再装着するとオイル漏れはピタリと止まった。下船前にゴミ箱を漁ってオイル受け用のカップヌードルの器を用意しているあたり、流石整備士だけになにからナニまで手際が良い。めでたしめでたし!

見よ、この○ヌ○な△△を!!(^^)

オイルが減っていたのでフェリー降り場の正面にあったガソリンスタンドで補充するもナント2Lもはいってしまった。関越道と北陸道に2Lをばら撒いて走って来たことになる。
ガソリンスタンドの手際が悪く、小樽を出発したのは6時近くなってしまったが、銭函のコンビニで朝食を摂りいよいよ北に向けてツーリングが始まった。

石狩川を渡る頃には路面が濡れてきてガスが立ち込め、次第に天気予報とは違う怪しい雰囲気になってきた。ヘルメットのシールドも水滴が付いて視界が悪化し始めた。どうも霧雨が降っているみたいだ。

「おいおい話が違うじゃん!」

厚田村に入ったあたりで停車しレインウエアーを着る人、予報を信じて着ない人に別れ再び出発した。前回はこのままR231で北上を続けたのだが、今回は厚田村から#11で青山ダム方面に向かう。

右折して僅か走っただけで道路は乾き、霧も晴れ、青空が現れてきた。#11は北海道ツーリングのイントロにふさわしい快適なワインディングだ。レインウエアーを着なかった数人(私も)は大正解。R451との合流点で休憩の後、新十津川町に向けて走る。

沼田町を過ぎ、沼田ダムに向かう頃は快晴で暑いほどだ。沼田から達布までの33.5Kmはこれ又MCにとって堪えられないワインディングだ。急ぐ旅でもないのでここを一往復半した。

沼田ダムサイトでマツダさんがやむを得ない事情で引き返すことになり、一年間も待ち続けた北海道ツーリングが3時間しか楽しめなかったのは気の毒だった。

総勢6名となった我々は昨年も走った小平ダムを通り、霧立峠を越え添牛内から士別市に向かう。
昨年同様走行車両が皆無に近い超快適なワインディングは所々直線があるものの、沼田から士別市までナント100Km以上も続く。

ついつい幹線道路での速度からは相当上乗せした速度レンジになり、それぞれがそれぞれのペースで走っている。
MCに不安が無くなったイトーさんとナベさんと私の3人は絶好調でワインディングを楽しめたのだが、クマさんとクリさんはマイペース過ぎるウエノさんが心配で思うように楽しめなかったのではないかと思うと、終始まかせっきりにしてしまったことを深く反省している。でも頼れるシンガリが居てくれたお陰で私は気兼ね無く楽しめた。本当に感謝しています。

モトマーチンはCBXの空冷6発1000ccを積んでおり、オリジナルCBXより約50Kgも軽量とは云え、相当の年月を経過しているにもかかわらず、その走りっぷりは侮れないものがある。勿論イトーさんの技量に因るところが大なのは言うまでも無いが・・・・。

士別からは#61を滝上町に向かう。岩尾内ダムから滝上町までの約45Kmもこれまた快適なワインディング。西興部村までも所々直線はあるものの、緑と空の蒼との間に延びる一筋の道は清々しい空気感と相俟ってMCに乗れる幸せを満喫できる。

とは云っても危険な乗り物に変わりは無く、いろんな意味で安全マージンをたっぷり取った上で走っている。

昨年はサロベツ原野付近でハマナスとエゾカンゾウとエゾスカシユリの満開に囲まれて走ったのだが、今年は日程が約1週間遅くなったこともあり、ここまではルピナス以外の花はあまり見ることが出来なかった。

休憩をたっぷり摂って走ったこともあり、ホテルRIMUに到着したのは6時だった。
快適なお風呂に入り、美味しい食事を頂いて10時には寝てしまった。
今日は走行距離が少なかったり道内初日の宿泊にもかかわらず、もう幾日も北海道を走っていた様な不思議な気分になってしまった。

今日の走行距離435Km


6月23日
5時に目覚めると青空が広がっていた。これだけで今日が極上の一日になると予感させてくれる。
外に出てひんやりと乾いた空気を時々深呼吸しながら森に囲まれた静寂な村の中を歩いていると、鳥達のさえずりさえ耳に痛いほどだ。
MCのエキゾーストノートと風を切る音の中で一日の大半を過ごしていると、こうした穏やかな時間がとても貴重に感じる。

ホテルに戻りMCのチェックを済ませた後朝食。
今日クマさんとクリさんは深川市に所用があり別行動となる。
朝食の時クマさんの同僚?だったホンダの元役員ご夫妻が同席していた。こんな観光地でもないどちらかといえば知る人ぞ知る村のホテルで遭遇するとは、偶然とは言え他人事ではありながら世の中は狭いものだと思った。

ホテルRIMU前で。右端と3人目の方がトミタご夫妻

9時に出発。昨日と同じ道を滝上町まで引き返しガソリンを入れた後クマさんクリさんと別れ、我々はR273を上川町に向かう。この道も殆ど通行車両が無く、森林の間を快適に走れる。途中浮島峠の下を通る約3Kmのトンネルの寒かったこと、まるで冷凍庫に突入しかたと思った程だ。

上川町からR39で大雪ダムに向け層雲峡の断崖をキョロキョロ観ながらゆっくり走る。この部分は15年前に比べ大幅な改良工事が施され、道幅も広くなって快適に走ることが出来る。但し以前は走りながらでも観られた流星の滝や銀河の滝の部分は、トンネルで通過するようになってしまい、走りながらという訳にはいかなくなってしまった。

大雪ダムからのR273は緩いコーナーが続くこれ又交通量の少ない極上の山岳道路だ。三国峠を越え高速ワインディングを駆け下りて暫く走ると道は左右が白樺林の直線に変わる。北海道は方々走ったが、これ程白樺が群生している場所は他に知らない。

R273三股付近。ナベさんイトーさんとモトマーチンCBX。路肩の花はルピナス。

ここからもう少し降った所にルピナスが広範囲に群生している。自生とは思えないがとてもきれいだ。

糠平湖を過ぎ、上士幌町からナイタイ高原に向かう。牧場内のレストハウスまでの道は完全に観光を意識して造られているようでセンスの良さを感じる。ラグナセカのコークスクリュー(知らないけど)はこんな感じなのかな?と思わせる。

ナイタイ高原牧場の道


ナベさん+CBR1100XX。爽快なダウンヒル(ナイタイ高原)

昨日に続いて今日も絶品の道ばかり楽しんでいる。クリさんに言わせれば私は「道しか見ていない」ということになるが、景色も少しは見ていますよ。

美しい風景はそれだけで感動的だが、道はさらにギャラリーとなる。コーナーを曲がる度に変わる微妙な光の表情でさえ見逃すまいと思う。
息を呑むほどの景色の中でMCを走らせていると、体の細胞一つ一つに風景が染み込んでくるようだ。

レストランで昼食の後1時15分ナイタイ高原を後にした。
発進の時うっかりレッドラインを超えて回してしまった。8000rpmを僅か超えた程度なのにエンジンは一瞬「ジャッ!」っと嫌な音をたてて力を失った。バルブサージングらしい(・・;

冷や汗が出た。
スローダウンしてエンジンの音に神経を集中する。アイドリングは安定している。異音も無い。スロットルをあおると回転の上昇もスムーズだ。煙も吐いてはいない。
バルブが突き上げたりコッターが外れたりしたら面倒なことになるが、正常に回っているところを見るとダメージは無かったみたいだ。ホッと胸を撫で下ろした。

瞬間ではあっても回し過ぎたことに変わりはないので、宿についたらクマさんの見解を伺おう。

ビッグボアの空冷2気筒にもかかわらず、6000rpmを越えてからのピックアップは鋭い。レブリミッターの有無は分からないが、それにしてもピークパワーを7500rpmで発生するエンジンの許容オーバーレブ領域がたったの500rpmしか無いとは知らなかったなー。つまりBMWのレッドゾーンは掛値無しということになる。全開状態では気をつけなければ。

上士幌からR242に乗り足寄で給油と休憩をして陸別から#51を津別、美幌方面に向かう。
チミケップ湖方面との交差点に廃校があった。大きな校舎の割りには付近に民家は少ない。広いグランドは雑草に覆われ、朽ちかけたブランコが物悲しい。かつてここの産業が何であったかは知る由もないが、大勢の子供たちが屈託無く遊んでいた時代を想像してしまった。
陸別はオーロラが観測されるほど寒い地域なので、生活もきっと過酷だったのだろうと思う。

津別を過ぎ、美幌町からR243を美幌峠に向けて右折する。まだ時間があるので屈斜路湖を北側から一望出来る小清水峠/藻琴峠に行くことにした。
豊富で左折して農道に入る。
山園までは畑と森が交互に現れる変化に富んだロケーションと、広くて路面状態も最良の回り込んだコーナーの連続でMCライディングを純粋に楽しめる。ここだけは殆ど道路しか見ていなかったと思う。

藻琴峠の展望駐車場でナベさんイトーさんと3人で屈斜路湖を眺めながら、たった今走ってきた農道の感想を語り合っていると、漸くウエノさんが爆音と共に到着した。

「チェーンが緩んだから道具を貸して欲しい」と言うので、調べるとタルミは正常だ。
「変な音がした」らしいのでホイール周辺を観察すると、ナント!リヤのブレーキディスクが外れているではないか。

純正のディスクでは絶対に考えられないトラブルだ。ウエノさんのRC30は昨年のレポートでも触れたように、「軽量化命」の危なっかしいMCになっている。至る所にチタンが使われていて、ボルト類は勿論アクスルシャフトまでもだ。

外れたのは非純正のベンチレーテッドディスクだ。これをアルミのインナーベルを介してフランジに固定していたチタニュームボルトの折損に因るもの。こんな所にもチタンを使うなんて信じられない。

以前からチタンは「使う場所によっては危険だ」と再三忠告していたにもかかわらず、イトーさんもその危険性を指摘した矢先それが現実になってしまった。転倒はしなかったものの、もし自分がリヤブレーキを引きずりながらコーナリングしていてこんなことが起こったらと想像しただけでもゾッとする。

イトーさんは人間が出来ている。黙ってステンレスワイヤーとワイヤーツイスター(こんなもの普通は持ってこない)を自分のモトマーチンから取り出して、外れたディスクをスポークに干渉しないようスイングアームに固定してしまった。
ヘリコプターの整備士とは云えとても鮮やかな手口(^^;でアッと言う間の出来事だ。

時間は5時近くなっている。宿には6時前には着きたいので摩周湖第三展望台から弟子屈ルートは諦めて、川湯から屈斜路湖畔の道を走って津別峠に向かった。交差点でウエノさんを待つ時間はさらに長くなったが、なんとか6時前にホテルフォレスターに到着した。
フロントブレーキが使えるとはいえリヤブレーキ無しのMCで峠を降るウエノさんの勇気はスゴイ!と思う。私ならフロントディスクのチタンボルトが折れる場面を想像してしまう。

クマさん、クリさんが待ちくたびれているのでは?と心配したが、我々4人のほうが早く、2人は直後に到着した。
いつもと変わらぬ快適な温泉の後、ウエノさんのトラブル解決方法をネタに美味しい食事とビールを頂きながら津別峠の夜は更けていくのだった(^^)
バルブサージングの件は動いているなら問題無いとのことで一安心。

明日は終日自由行動でそれぞれが思い思いの北海道を楽しむことになっている。

今日の走行距離437Km

6月24日

4時30分起床。天気は快晴。
ウエノさんのMCが直ることと、今日も仲間にとって無事で充実した一日になることを願って5時30分出発。勿論朝食は抜き。帰ってから皆さんの話を聞くのが楽しみだ。それぞれの北海道楽しんでください!

津別峠の降りで鹿の親子に遭遇した。お尻が白くてバンビのように可愛い顔をしている。この辺りはいつも鹿を見かけるので生息地なんだろう。屈斜路湖畔で左折し美幌峠に向かうとガスに覆われて湖は見えない。峠辺りはさらに濃くなり視程は10m程度で眺望は0。そのまま通過して少し降るとガスは消え、紺碧の空が広がっていた。

美幌町から網走湖の脇を抜け能取湖畔に出て網走公園線(#76)を能取岬に向けて走る。10年前ZZR1100で来た時と比べ、道路はとてもきれいに整備されている。今回も岬手前の僅かな部分にダートが残っていたが、当時は能取岬まで15Kmの大半がダートだったように記憶している。

この岬までのほんの1Km程度の景色が忘れられなく、自分にとってはここを訪れることが今回のツーリングの最大の目的になっていたような気がする。
この風景はつい最近まで自動車メーカーのコマーシャルにも使われていた。

以前感動した場所が再び訪れると失望してしまうことも珍しくはないが、ここはそうではなかった。
10年前に訪れた時の懐かしさではなく、もっとその前の子供の頃の様な不思議な時間が流れている感じがする。
マー感傷的な気分になるのは歳のせいなんだろうけど。

能取岬

ずっとここに居たい気持ちを振り切って走り出す。
網走からR244で東に向かう。途中小清水原生花園ではエゾカンゾウやハマナスが今が見頃の満開となっていた。
R244根北峠を越えると急に寒くなり、ガスに覆われてきた。半端な寒さではないので金山峡付近でレインウエアーを着て再び走り出す。いろいろ入っているリヤバッグは邪魔なので宿に置いてこようかと思ったのだが、積んできて正解。

標津までは勿論、更に風連湖の近く本別海辺りまで約60Kmに亘ってガスに覆われていたのには閉口した。雨と違いシールドを曇らすガスの粒を拭いながらの走行は疲れる。

厚床で左折し今日2番目の目的地納沙布岬を目指す。ここに来てようやくガスは消えたものの寒さは変わらない。
白鳥台センター道の駅で暖を摂ることにした。空冷対向2気筒の恩恵で足と脛の辺りの寒さは感じないが上体がこわばっている。

レストハウスの中には白鳥観察用の望遠鏡が並んでいたりして15年前訪れた時と比べ随分整備されている。こういう場所には珍しくこの望遠鏡は無料だった。

体が温まったところで再び走り出す。レインウエアーは着たままだ。根室市から反時計回りに根室半島を周ることにした。ガスっていて何も見えない納沙布岬で写真を撮り早々に出発する。
この辺りはいつも寒いせいか高い樹木は見られない。一面寒々とした丘陵が広がっている。最北端の宗谷丘陵よりさらに荒涼とした雰囲気だ。

オホーツク海側は太平洋側とうって変わって紺碧の空が広がっていた。トーサムポロ沼辺りの緑の丘陵地帯をアップダウンしながら走っていると、去年もR334の小清水町付近で感じた気分になってきた。On Any Sunday!。
あまりの痛快さにうっかり写真を撮るのを忘れてしまった。

根室駅前で花咲ガニの昼食。呼び込みのお兄さんに素直に従ってお勧めのカニを2杯食べた。同じ花咲ガニでも値段は10倍程違う。500円から5000円といったところ。茹で上がったばかりのカニはまだ暖かく、とても美味しかった。2杯でも朝食抜きのお腹が満杯になったのは言うまでも無い(^^)

再び来た時と同じR44を引き返し厚床からR243を北上する。時間は1時を過ぎていた。
ウエノさんのMCは直ったんだろうか、クマさんクリさんは北海道ならではの美味しい食事処を発見出来たのだろうか、ナベさんは知床横断道路を走ったのだろうか。
「日本最○端フェチ」を自称するイトーさんは今日納沙布岬を攻略すると言っていたけど、もう到達したんだろうか。
ってなことを考えながら車殆ど皆無のR234風連湖湿原地帯を走っていると、遠くにポツンとライトが現れた。

直感的に「あーイトーさんだな」と思った。
赤いカウルに黄色と黒のヘルメットはやはりそうだ。すれ違いざまに聴こえた空冷直6+集合マフラーのエキゾーストノートは官能的というより心地よいミュージックに近い。テル○○ョー○のうるさいだけの○品な音とは比較にならない。クマさんNRの音も良かったけどマジで6発が欲しくなってきたゾ。

現在1時30分。イトーさんの帰りは遅くなるだろう。
R244はガスも消えて気温も僅か上昇していたが、まだレインウエアーを脱ぐ気にはならない。標津から羅臼に向かう間も快晴なのに相変わらず気温は低い。いつ来てもこの辺りが暖かいと感じたことは無い。冬の白馬が寒いとはいってもせいぜい−17℃位のものなので、ここの真冬は想像出来ないな〜。

羅臼から知床峠まではやはり北海道に来た以上走っておくべきだと思う。羅臼岳を観ながら残雪がまばらに点在する緑に囲まれたワインディング走行は爽快な気分に浸れる。

知床横断道路と羅臼岳

峠の駐車場は車もまばら。今日は昨年ここが季節外れの吹雪に見舞われ、通行止めになった日だ。
ウトロに降りると気温は急に上昇した。ここで漸くレインウエアーを脱いだ。
オシンコシンの滝駐車場は観光バスで賑わっていた。当然パスしてR334を斜里に向かい、清里峠(裏摩周展望台入り口)手前で右折し、神の子池を目指す。
池までの約2Kmはダートだが締まっていて走り難いことはない。時間も遅かったせいか他に人っ子一人居なかったので静寂な森の中の小さいけれど神秘的な池をゆっくり堪能出来た。
この水の透明度は水道水より高いのでは?と思ってしまうほどだ。池の中に倒れている木も随分以前に訪れた時と全く変化していないように見えた。

来た道を緑まで引き返し、左折してJR釧網本線を渡りR391を川湯に向かう。
川湯までのR391は深い森の中を森林浴気分で走れるのだが、今日は対向車線に延々と牛か馬のウンチが落ちていて、梢で覆われた道は臭気が閉じ込められ、強烈な臭いが充満していた。フェトンチットどころではない(・・;

川湯から#52に入り摩周湖第三展望台までのワインディングを楽しむ。もうこの時間帯になると観光客も車もまばらだ。展望台からの摩周湖は何回か訪れた内のどれよりも鮮やかだった。夕方でコントラストが強調される時間帯とはいえ凄い色をしていた。

摩周湖第三展望台から

弟子屈でガスを補給し、後は宿に帰るだけ。エントコマップでR243を左折し、津別峠に上る。途中で朝と同様鹿の親子に遭遇。本当に可愛い顔をしている。上る途中木々の間から時々見える屈斜路湖もきれいだった。
宿到着は6時。

玄関ポーチにはイトーさんを除くメンバー全員とフジワラさんが居た。今日一日の出来事をMCを囲みながら語り合っていたのだろう。

フジワラさんは数年前の北海道ツーリングの折、ニセコパノラマラインの神仙沼パーキングで知り合って以来親しくさせて頂いている方で、今回も奥様とのタンデムツーリング。

同時期北海道を走っており、フジワラさんから「どうせなら何処かでご一緒できれば・・・」ということで事前に我々の日程をお知らせしておいたのだが、今日はそれに合わせて同宿されるとのこと。MCはR1150RT。
礼文島に渡られた筈なのだが、うっかりしてその話を聞くのを忘れた(^^)

気になっていたウエノさんのバイクは津別のバイク屋さんで修理され、その後開陽台周辺を走ってきたとのこと。
クマさんクリさんは美幌で美味しい食事にありつけたそうだし、ナベさんは「絶対行く」と決めていた知床横断道路や、昨日の”秘密の農道”を再び走りに行ったり、摩周湖はじめ美しい景色と道を堪能した様子だし、イトーさんは本土最東端を押さえたし、今日はメンバーにとって充実した一日になったようだ、勿論私も。

青空を見ながら温泉に浸かっていると一日の疲れが剥がれ落ちていく。昨日にも増して美味しい食事を頂きながら皆で一日を語り合う時間の楽しさこそマスツーリングの最たるものだろう。

食後はロビーでフジワラさんも含め、コーヒーを飲みながら愉快な話に花が咲いた。

今日の走行距離682Km

6月25日

昨日と同じ5時に目覚め、外を見ると今日も良い天気になりそうだ。貸切状態のお風呂に浸かりながら頭の中に地図を広げ、今日のルートを確認する。

7時からの朝食の後出発準備を整え、玄関前でフジワラさんご夫妻と一緒に記念撮影(^^)をする。


9時出発、津別峠を越える。
ここは結局2往復したことになる。この峠道の印象は狭くてタイトコーナーの連続と感じていたが、速度計は時折80Km/hを指しており、別段走り難いこともなくアベレージも60Km/hは下回らない。此処以外の道が広過ぎるのでそう感じてしまったのかもしれない。

屈斜路湖畔で右折し、弟子屈から#53を鶴居村を通って釧路に向かう。途中の釧路湿原展望台に寄り、往復約3キロの遊歩道を歩いて湿原を見学して来た。
遊歩道は木々の梢からぶらさがった無数の毛虫や尺取虫をかきわけて進まなければならず、枯れ枝で払いながら歩いても、頭にもウエアーにも尺取虫達がくっついてあまり良い気持ちでは無かった。

広大な湿原はここが日本とは思えない程だが、川が蛇行しているイメージがあっただけにその景色を見られなかったのは残念だった。次回はそれが見られる場所に行こう。

釧路で右折しR38を西に向かう。途中道の駅で昼食を摂ろうと入るものの、イマイチ(^^)の雰囲気だったので、もう少し先で食べることにした。
今日は帯広近くの幕別温泉に宿を取ってある。ここで白糠からR392を本別経由で行く人と、襟裳岬回りの人に分かれ、私とナベさん、イトーさんは迷わず襟裳岬を選択する。

時間が押しているので我々3人はそそくさと出発。
交通量の多いR38をじっと我慢の走行を続け、浦幌町から漸く空いたR336に入った。
少し前までこの道は十勝川に橋が架かっておらず、不便な道だったが現在は立派過ぎる程整備された道路が豊似まで52Kmも続く。

R38の遅れを取り戻すべく時折我々の速度計はぬゆわKm/hを指す。多少ウネリが気になるものの、勿論いろんな意味で安全ンマージンは取っているし、その気になればふわわKm/hオーバーでさえ安全だと思う程の道だ。雰囲気は違うけどオロロンラインにアップダウンとカーブを混ぜたような感じで見通しはすこぶる良い

私とナベさんのMCはマー最新の部類に入るので、この速度域でも信頼性という点で問題無いとは思うけれど、イトーさんのエンジンは今から25年以上も前の設計だし、生産されてからだって20年以上は経っている筈なのに、この走りっぷりには本当に舌を巻く。

空冷6ッ発は単なるハッタリなどでは無く、それなりの車体さえ与えてやれば現代のMCに引けをとるどころか、それを上回るスポーツライディングが楽しめるポテンシャルを秘めているのだと感じた。

モトマーチンの他にもハリスや、同じエンジンでは2台しか作らないフレームビルダー等、沢山あると思うけど、CBXのエンジンを使ったコンポラマシンをリーズナブルな価格でリリースして欲しいと思った。モトマーチンはあまりにも高価すぎる。

問題:同じエンジンでは2台しか作らないフレームビルダーの名前は?
答え:2コばっか(ニコバッカー)・・・・・(・・;

豊似で遅い昼食を摂りながら、宿の食事時間に間に合わせる為のアベレージをザッと計算してみる。
残された距離と時間は244Kmと4時間なので約60Km/hになるように走ればよい訳だ。ということは・・・(^^;

アベレージを維持できるだろうと思われる速度で黄金道路に向かうものの、黄色のセンターラインと指定速度40Km/hの道が続き、しかも前を行く車は50Km/h程度で走っている。
道路は打ち寄せる波しぶきで濡れた部分があったり、しぶきが霧状に海岸線を覆い霞ませていてシールドには塩気が付着して視界が悪化する。
莫大なお金を掛けて建設した道らしいが、そういった雰囲気は感じられない。MCが塩にまみれるのが嫌だな〜。

漸く黄色線が白に変わり走行速度も上がったところで庶野でR336と別れ、#34を襟裳岬に向かう。百人浜の辺りは昔樹木の伐採により砂漠化してコンブ漁に悪影響影響を与えていたが、NHKのプロジェクトXでも取り上げられた植林により、現在は回復しているそうだ。この植林地帯は感動的で、これを成し遂げた人々には畏敬の念さえ抱く。

襟裳岬

それ比べ、岬の土産屋の拡声器から聴こえる絶え間ない客寄せのガナリ声や、犬の散歩のふりをした宿の客引き○○アには、吹きつける風以上に参った。
一枚写真を撮って早々に岬を後にする。今度来る時は百人浜で休憩して岬はパスだな。

歌別でR336に合流するも右折して再び同じ道を引き返した方が幕別にはかなり近い。一瞬迷うものの、塩の煙幕の中に再突入するのは嫌なので左折した。

えりも町で給油し、西幌別からR236天馬街道に入ると左右は競走馬の牧場だ。サラブレッドが併走してくれる場面もあったりして楽しかった。馬は知っているつもりだったけどサラブレッド(アラブ?)をこんな近くで見るのは生まれて初めてだったので感激した。やはり速そうな格好をしている。

ここから広尾町までの62Kmも全線快適な高速ワインディングが続き、景色もあまり変わらないので次第に純粋な走りの世界に入ってしまう。

コーナーの手前でブレーキングが必要になるほどの速度で走っている訳ではなく、スロットルを戻すだけでテンポ良く安全に楽しめ、且つアベレージを保てる速度で走れるので実に気持ちが良い。時々表示されている帯広までの距離と残り時間を大雑把に計算しながら速度を調整する。

持ち点4とそれを失った時の2ヶ月を考えると自ずと必要以上の速度は慎むことになる。
ナベさんやイトーさんは「もっと速く走れ!」と思っていたかも知れないが、こういう事情でした(^^;

豊似で左折してR236を北上する。
大樹町のなんだか訳の分からない道の駅で休憩した後以前利用した忠類村のホテル「ナウマン温泉アルコ236」を通過して#15に入る。
宿までは後55Kmだが時刻は6時を過ぎている。7時までには到着したい。

雲行きが怪しくなったことと、北海道の日暮れが早いこともあり辺りが薄暗くなった頃幕別に辿り着いた。駅付近の交差点に停車した軽のボンバンのお姉さんに幕別温泉の場所を尋ねると「緑館ですか?」と聞かれ、今日のホテルはこの辺では知名度が高いんだと思った。
親切に教えて頂き、北海道の好感度がいきなり上昇する。イトーさんの鼻の下が数ミリ伸びたのを見逃さなかったゾ。

小高い丘の上の緑館に到着したのは7時15分前だった。随分前にに到着していてお腹も空いていただろうクマさんに、食事の前にお風呂を薦められたのは嬉しかった。

15分で入ってくる約束で早速温泉に直行。褐色の温泉は肌がしっとりして若返ったようだ・・・マジで(^^;
十勝平野の丘陵に建つ ホテルは高台にあるので、露天風呂から眺める札内の夜景はとても素晴らしい。雲が低く垂れ込めていたので晴れていれば帯広市街の夜景もきっときれいなのだろう。人気があるせいかバスツアーの団体客でお風呂は満杯。シャワーが空くのを待ってアタフタと部屋に戻った。

夕食はバイキングだが、種類も豊富でステーキはもとよりカニまでテンコ盛りだ。美味しく頂いたのはいうまでもない。食事の後13階のバーに行って札内の夜景を観ながら各自好みのカクテルを注文して談笑する。私はアルコールは食事の時のビールで限界なのでコーヒーにしたが、北海道最後の夜は贅沢で楽しいひと時になった。

今日の走行距離479Km

6月26日
359日待ち続けた北海道も今日でお別れだと思うと、いつものことだけど気持ちが沈む。MCを駐輪場からポーチに移動し荷物を積んでいるとセレブそうなオバサマ3人に声を掛けられ、ハゲにもかかわらず「若いわねー」なんて言われると悪い気はしない。お決まりの受け答えの後シャッターを押して頂いた。

ホテル緑館

9時、帯広市内を通ってR38を富良野から美瑛に向かって走り出す。
芽室でガスチャージ。清水町で左折すると昨年通った日勝峠越えで日高方面に行くのだが、トラックの交通量が多いのと峠付近が工事渋滞で散々な目に遭ったことを思い出した。

R38を直進し、狩勝峠にさし掛かるとRの大きなコーナーが始まり、道に「もっとスロットルを開けろ!」と言われている様な気分にさせられる。マー程ほどには開けさせて頂きましたが、峠の頂上近くは濃い霧に覆われていたので、危険な誘惑は短時間で終了。

峠で休憩した後下りに掛かり、霧が晴れると”わ”ナンバーのビッツが元気良く我々を追い越して行った。思わず「ご無事で」と呟いた。

南富良野で左折し、金山湖畔を通ってR237から富良野に向かう。
金山湖畔はキャンプ場周辺も含め、とても良く整備されていて気持ちが良い。結構長く、面白いワインディングだったのだが、黄色線でもあり、前を走るトラックを抜けずに勿体無い思いをした。

再びR38に合流し、富良野市街をパスする農道「東九線」で美瑛に向かう。直線部分が12Km以上もあると、ここは北海道なんだと改めて納得する。もう一本市街寄りの道は16Km。

美瑛の駅近くのコンビニに到着したのは12時頃。クマさんの嗅覚で美味しそうな食事処を見つけて頂こうと思ったのだが、クマさんは迷わずコンビニ突入。

これが結果的に大正解。各自思い思いのMCによる美瑛散策の後、此処に集合することにしたからだ。その意味でコンビニは超分かりやすい。

苫小牧港には6時迄には到着したいので集合時間は1時30分。
メンバーは美瑛の美しい丘を目指して・・・とは言ってもここから5分圏内だけど・・・散っていった。
お気に入りの風景にめぐり合えると良いのだが・・・。

曇り空の美瑛の丘は鮮やかとは言えないが、それでもここを訪れた甲斐のある風景が広がっていた。
全くの自然のままでは変哲の無い森だっただろう丘陵地帯に、人の手が加えられたことによっていつしか当事者でさえ意図しなかった美しい風景が出来上がったのだと思う。

ケンメリの木と十勝岳

集合時間が近ずいたのでコンビニに向かうと、すでにイトーさんが居た。続いてナベさんクマさんクリさんが帰って来た。約束の時間が過ぎてもウエノさんは来ない。
暫く待っていたのだが、シオリも渡してあることだし単独でも苫小牧には辿り着ける筈だからと、出発しようと思った時に聞き覚えのある騒音が聴こえた。
ヤレヤレと安堵したのも束の間、我々の前をわき目も振らず爆音と共に通過して行ったのだ・・・・!

一同アゼン(・o・;

走り去った方向が富良野方面なのが救いだ。我々も後を追う(^^)
暫く走ると漸く変だと思ったらしいウエノさんが対向車線を走ってきた。交通量も多く、ゆっくり走っているので彼がUターンして追いつくまで停車して待つほどのことは無いだろうと思い、そのまま走りつづける。

富良野でガスチャージのときに「どーした?」のか聞いたのだが、コンビニも我々の存在も分からなかったらしい。見たくなくても目に入るコンビニの看板でさえきづかないとは???
昨年も常識的には間違う訳がないと思われる三叉路で反対方向に行ってしまったり、藻琴峠のパーキングでも同様のことがあって「アゼン」とさせられたことを思い出した。その都度探しに行ってくれたハヤミさんには今でも感謝している。

給油しているとポツリポツリと雨が降り出した。楽しみにしていた夕張までの北海道最後となる快適なワインディングがウエットかと思うと気が滅入る。

桂沢湖迄は小粒の雨が降っていたものの幸い路面を濡らす程では無く、なんとか乾いた道を走ることができたが、これから向かう南の空を見ると完全に雨を覚悟しなければならない雲行きだ。R452と#116との三叉路で諦めてレインウエアーを着る。

走り出すと直ぐに路面はウエットに変わった。直前まで強く降っていた感じだ。苫小牧東港まではこの後ずっと雨天走行だった。
ウエットとは云え富良野から苫小牧迄たったの150Kmを4時間も掛かったワケは・・・・パイロットレースの責任にしたらタイヤが怒るだろうな〜(^^)

途中黒煙を吐き出して走行する某社のワンボクスを追い掛けて行った時のクマさんのジェスチャーは大笑いだった。ヘルメットの中で思わず「ワッハッハ」と声に出してしまった。少しブルーだっただけに、この一件は気分転換にはもってこいだった。クマさんのヤングアットハートな一面を垣間見た気がする。

6時にフェリーターミナル到着。

レインウエアーも着用せずに冷たい雨の中、日高自動車道厚真IC出口でPレース氏を待ちつづけ、そしてフラレたイトーさんご苦労様でした。それでもなお「Pレース氏もいい隠し味だった」と言えるイトーさんの寛大な心を少しでも学ばなければと思った次第。
クマさんも先を急ぐ私のことを「マーマー(^^)」となだめてくれたっけ。
クリさんにはより安全なマシンコントロールの秘密を教えて頂いたり、ナベさんの無駄の無い常に沈着冷静なライディングは、どちらかと言えば雑な走り方になってしまう私にはとても勉強になった。

いろいろあったけど楽しく充実した北海道だったことに間違いは無いし、兎に角無事ツーリングを終了出来たのが何よりだった。参加メンバー全員に感謝したい。

フェリーは又ナベさんの機転により貸しきり部屋をゲットすることが出来た。
昨年は乗船するなり爆睡してしまったが、今年は楽しい話で盛りあがったのは勿論、地図を広げて来年のルートを検討したりして過ごした。もうビョーキだな〜。

今日の走行距離390Km

6月27日

船室やラウンジでは、昨年同様メンバーそれぞれがこの旅が心に残してくれたものを反芻していたように思う。
その意味でフェリーの中で過ごすゆったりとした時間は、けっこうハードだった北海道ツーリングのエピローグはもってこいだ。

フェリーは定刻に接岸し、4時には下船して帰路につく。いつも紫竹山ICの入り方が判らず、通り過ぎてしまうのだが、GSの人によく訊いたので今回は大丈夫だろう。
ナベさんは茨城なのでそのまま磐越自動車道に向かい、我々はクマさんが先導してくれたこともあり、今度は間違えずにR7のバイパスに合流することが出来た。

北陸自動車道に乗り黒埼PAで最後のお別れをする。クリさんは白馬にトランポを置いてあるので私と一緒。

長岡JCでクマさん、イトーさん、ウエノさんと別れてからは皆さんの無事帰宅を祈りながら、又自分自身も気を引き締めて走る。
白馬到着は7時頃だった。

クリさんは手際よくMCをトランポに積み9時頃浜松に帰って行った。まだ先が長いので心配なのと同時に、テールランプが見えなくなると「アー今年も終わったんだなー」と一抹の寂しさに襲われた。

今年も仲間がが和気藹々と過ごしていたように感じたことと、昨年同様6人の個性が終始抑制の効いたものであったことが楽しい旅になったのだと思う。その意味でこのツーリングはやはり「大人のツーリング」と呼ぶに相応しかった。

皆さんありがとうございました。来年も楽しみにしています!

今日の走行距離225Km

全走行距離  2876Km
ガソリン消費量 136.8L
平均燃費  21.0Km/L
OIL消費量(約) 0.25L
タイヤ磨耗量(センター) 前0.7mm、後1.4mm

昨年と殆ど同じ走行距離になった。燃費とオイル消費量は僅かに改善。
タイヤの磨耗量は全く同じ

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  ツーリング後記
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北海道ツーリングはこれで18回目になるのは冒頭にも書いた通りです。
うち2回は道内1泊でしたが、後は全て4泊です。これは出入りで丁度一週間と区切りが良いのと、いくらなんでもそうそう遊んでいられないということもあります。

アクセスは全て新潟⇔小樽(苫小牧)のフェリーで、以前は帰りだけ岩内(室蘭)→直江津というのを使ったこともありました。
この航路は北海道に早朝着き、帰りの出航が夜なのでフェリーで2泊(寝ている間に運んでくれる)、道内4泊でも効率の良いツーリングが出来ます。マルマル5日間は走れるということです。

以前RC30で小樽から宗谷岬を周って道内一泊ツーリングした折、帰りのフェリーが運休なのを知り、旭川から自走で帰ったことがありました。
この時は折角だからと江差、松前経由の函館行きルートをとったのですが、青函フェリーで4時位間休んだものの、殆ど走りっぱなしで、帰宅したのは結局フェリーを使った時と同時刻でした。

東北道は使ったものの、磐越道はまだ全く出来ていなかった頃ですので、福島からは国道を走って帰ってきましたが、途中かつて経験したことの無い強烈な睡魔と疲労に襲われ、只見町の山中でついにヘルメットを被ったまま寝てしまう(30分位)ということがありました。
自走は金銭的な負担の増大は勿論、何よりリスクのことを考えると決して賢い選択では無いことを、この時身に沁みて感じました。

長野県から北海道にアクセスするのに、費用も含めてフェリー以上に効率的な移動は飛行機でも無理だと思いますし、道北道東をメインにしていることもあり、その意味で小樽着のフェリーはとても便利です。

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北海道ツーリング通の方からは、「最初は走り回るだけでも良いが、2〜3回目以降はガツガツ走らず、キャンプをしたり地元の方や他のライダーとの交流、又は一通り走ってみるとお気に入りの場所が見つかるはずだから、そういう所や食べ物をじっくり時間を掛けて楽しむのがツーだ」とよく言われます。

確かにその通りだと思いますし、できればそうしたいのはヤマヤマですが、それより「ひたすら走りたい」気持ちの方がはるかに大きく、今年も又「走りっぱなし」状態でした(^^)

16年の歳月は当然とは言え、北海道を大きく変えました。その殆どがオンロードライダーにとっては好ましい方向(道路の整備)ですし、昨年のレポートでも書いたように、公共の宿の充実度はその内容と共に歓迎されるべきものと思います。
それらの施設と、云ってみれば敵対関係にある宿を生業としている私からしても、残念ながらお勧めせざるをえません(;;)
しかし一方で、やりすぎて後の保守が疎かになっているインフラも多々見受けられました。

又使途不明のダム(ムダ)の多さにも驚かされます。大抵作るのが目的で、理由は後から付いてくるのだとは思いますが、それにしても・・・と思ってしまいます。

かつては直線の多さとその長さが印象の大部分を占めていましたが、道路の整備が山の中にまで及ぶと、今や北海道はワインディングの宝庫になりつつあるように感じます。
ただし寒い土地柄、整備されてから数年で路面はウネリを伴って悪化してくる(土中の水分の凍結膨張によるものだと思う)ので昨年は絶好調で走れた道が、今年は車体の一部やブーツが接地してしまい、楽しさがそがれるということが往々にしてあったのも又事実でした。

北海道には有名観光地や温泉や見所が沢山ありますが、それらの殆どが俗化(^^)しており、団体客の喧噪の中にわざわざMCを乗り入れる気分にはなれません。

貴重な観光資源である景観を生かせず、住民自ら壊している意識の○○さは北海道のみならず、白馬はもとより全国的に同じだとは思いますが、それにしても美瑛のセブンスターの木の丘に出来たプレハブの土産屋や駐車場を筆頭として、納沙布岬や襟裳岬の食堂等の景観はナニオカイワンヤと言うところです。
商売の是非ではなく、そういう場所から一歩引いて建てるだけで印象は随分違ったものになっていたはずです。

個人的に北海道は所謂「カンコーチ」以外が観光地だとの印象が強く、その意味でMCで移動中に移り変わる風景の全てが貴重に思えます。
オシンコシンの滝駐車場でバスから降りてきた人の中には明らかにアルコールがまわっていて、車内での大宴会を想像させました。旅行ですから何をして楽しもうとヨケーなお世話ですが、もし風景を見ていないとしたら勿体ないかぎりです。

今年もお天気に恵まれ、道内の一日平均走行距離が480Km程度になりましたが、まだ走り足りない位で、少なくとも後120Kmは走りたい(^^)し、来年は今年行けなかったオロロンラインや宗谷丘陵が楽しみだし、もっと多くの友人達も交えて楽しいツーリングが出来ればイーナーと思っています。

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その他気が付いたこと
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北海道でいつも感心するのは、5日間で2500Km近く走ってもジャケットが全く汚れないこと・・・と言うか、本当は多少汚れるているのだとは思いますが、むしろ本州で付いたパティキュレートが走っている内に落ちてしまうのでは?と思うほどです。

但しシールドに張り付く虫の量はすごく、特に牧場の近くを通過するときなどは一気に視界を悪化させます。
こういう時はシールドに「パチッ」と虫の当たる音がしたらスクリーンに伏せて通過すると被害が少ないことも勉強しました。が、いずれにしても虫が視界を遮ることに変わりはないので、走っていてもすぐ取り出せる場所に濡れたタオルを用意しておいた方が気持ち良く走れます。
休憩の時、折角きれいにしたシールドに走り出した直後虫が張り付いたりしたらずーっと気持ち悪いですから。

それ程気にすることも無いのでしょうが、オイルクーラーやラジエターに張り付く虫の量もバカにならないので、時々取り除いた方がエンジンのためには良いと思います。

フロントフォークのインナーチューブの虫も休憩の都度拭き取っておいた方が良いかと・・・。幸いR1100Sは虫の直撃を受けない位置にあるので大丈夫なのですが(^^)


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