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ホンダ RC30
1987/11/19〜
走行距離 79820Km(2001/10/17現在)
平均燃費 19.0Km/L

レース経験の無い私がこのMCについて感想を述べることは憚れる。
ただの工業製品なのに私の人生に大きな影響を与え続けている宝物!

ホンダ CBR1000F(U型)
1993/04/06〜1993/10/28
走行距離 11291Km
平均燃費 17.2Km/L

 外装デザインの印象はフルカバードのカウルに因るのか、太った金魚に似ていると思った。しかしT型に較べ洗練されており、そのスタイルは今でも好きなバイクの一台。
 軽くブリッピングすると、「ドリュンッ」というドスのきいたエキゾーストノートで、いかにも「大排気量のエンジンを載せているぞ」といった感じ。
例えば、RC30はそれに較べると250CC小さいとはいえ750CCもあるのに、360度のV4の為か、「バイーン」といった軽く抜けるような音で、重低音の迫力は乏しい。
直4の音は回転の上昇にシンクロして音程が変化していくのが楽しいが、V4は高回転まで回しても音色にあまり変化は無い。

 3200〜4000rpmあたりでハンドルに小さいけれど気になる振動が出る。高速道路は丁度その回転域を使うことになり、長時間走ると指先が痺れ、数日痺れが残ることがあった。


 車体やサスはしなやかで、ハンドリングもブレーキ関係も癖の無い優れた特性。。
フレームが鉄製なのは信頼感があって好ましいが、スイングアームやチェーンアジャスターは安っぽい。せめてCBR250RR程度の質感が欲しかった。
 プラグ交換の容易さは出色!。4輪車のようにボンネットを開ける要領でタンクを持ち上げるだけでプラグのチェックが出来た。
 ゆったりとした気分で、快適にロングツーリングをこなせるし、峠道でもハンドリングに不満は無く、腰を移動したりしなくても素直にリーンするので、長時間のライディングでも疲れない。但し燃費は良好とは言えない。

手放すまでトラブル皆無。

カワサキ ZZR1100(D2)
1994/03/18〜1996/07/18
走行距離 20839Km
平均燃費 21.8Km/L

 購入動機は不純で、ある時CBR1000Fで米子自動車道の登り坂をソロで走行中、全開したにもかかわらずZZR1100に抜かれたからというもの。
 CBR1000Fは通常のツーリング用途では有り余るパワーをはじめ充分過ぎる性能だったし、普通の精神状態では出さない200Km/hオーバーもその気になれば軽々こなすことが出来たので、このMCには大変満足していた。
 にもかかわらず、そのバイクと過ごす時間の中で、滅多に使わない速度域(使ったとしてもほんの数回か、数万キロ走る内の数キロか数十キロ)でたった一度遅れをとっただけで、僅か6ヶ月一万キロしか走っていないCBRを手放し、ZZR1100購入に踏み切った当時の精神状態は今も解らない。

 メーター読みで300Km/hは出ると云われていたこのMCの最高速は、とてもじゃないけど確認することは出来なかったし、瞬間260Km/hを出せたのが精一杯、それも一度だけ。
 マシンより自分の精神的、技術的な限界の方がはるかに低いことを思い知らされ、結局6速147PSは宝の持ち腐れになった。私には使い切れない高性能MCだったが、それなりの技量を持った人であれば、きっと最高の時間を過ごせると思う。

 とは云っても、この選択が間違っていた訳ではなく、むしろCBRをバランス良く一ランク引き上げた感じでとても好感の持てるものであり、所有している間のMCライフはCBR同様トラブル皆無で楽しいものだった。

 車体は高剛性に見える太いアルミ製のフレームで出来ているが、必要以上に硬い感じはなく、しなやかでバランスのとれた良い設定だと思う。
 RC30の様に「動く部分はタイヤとサスだけ」みたいな、信頼感は絶大だけど、石に跨ったかと思うほど硬い ”カッチカチ” の車体とは好対照。
 タイヤ、サス、フレームがそれぞれストレスを効率良く分担している感じで、路面にうねりのある高速コーナーでも安心。ハンドリングもCBR1000Fをさらに素直にしたような乗りやすいもの。

 ZZR1100のいかにも速そうな迫力あるデザインは、しっくり収まるライディングポジションと相俟ってよく出来ているし、出力がたっぷりあって、必要な時に必要なだけの加速力が得られるのは、長距離のツーリング(1300Km/1日)でも疲労の減少に大いに貢献していたと思う。
 ブリッピングでのエキゾーストノートはCBR1000Fほどでは無いが、それでも大体同じ傾向で、抜けの良さそうな低音。この音が直4の魅力の一つでもある。

 CBR1000Fと同様3500rpm前後でハンドルに微振動が出たが、質の違いからか指先が痺れるようなことは無かったものの、やはり気にはなった。直4の低回転域におけるこの種の振動は皆同じなのだろうか。3000rpm付近でのトルクの谷も気になった。

 安心して走れるから寝かせ過ぎるのか、バンク角が浅いのかは定かではないが、始めてステップが接地したのがこのバイク。その時は正直ビックリ、その後しばらくはいつ接地するかと思うと怖くてコーナーを気持ち良く楽しめなくなった。ステップに限らず、どんなに慣れても接地を覚悟で走っている時以外はあまり気分の良いものではない。

 大排気量高出力のZZRは、加速も低いギヤだと目がかすみそうになる程強烈。一瞬でとんでもない速度に達してしまうこのバイクは、私のような中年の眼鏡使用者が使い続けるには凄すぎ、このままでは免許も命も危ないと本気で思うようになったのが2年と2万キロ走ってから。

 でもその加速力に助けられたことが一度あった。北海道ツーリングの折り、夕暮れの山道で左の路肩に鹿を発見。速度を落とし右によって通過しようとした時に飛び出され、体当たりされそうになった。充分注意していたこともあり、瞬間アクセルを開けて加速。鹿はリヤフェンダー辺りに接触したものの、速いレスポンスと強力な加速力のおかげで事無きを得た。パワーの無いバイクだったらきっと転倒していたと思う。この後しばらく足の震えが止まらなかった。

 御し切れない程のパワーとどう付き合うかと、リヤサイドカウルの膨らみを除けば、驚異的な燃費の良さと扱い易さで、誰が乗っても満足の一台。昨年の北海道ツーリングの折り、同行のZZR1100は何と平均25Km/L以上走り、私のCBR250RRと殆ど変わらなかった。

手放すまでトラブル皆無。

BMW R1100RS
1996/09/31〜1998/06/27
走行距離 27387
平均燃費 18.8Km/L

 ZZR1100はとても気にいっていたものの、そのパフォーマンスがあまりにも強烈なので、パワーも程々でもっとユッタリと走れるバイクを物色していたところ、空冷ツインも良いかな?と思った次第。
 BMWはとても高価だったけれど、エンジンや駆動系の機能美やサスペンションシステムに惹かれて購入。但しカマキリを連想させる車体デザインは好きにはなれなかった。車種が異なっても基本的に同じエンジンやパワートレインでバリエーションを増やしているのだから、本当はもっと安く出来ると思うのに、BMWの価格設定は高すぎる。

 価格相応かどうかは別にしてそれなりの長所も勿論ある。
まず最大の長所はウインドプロテクション。小さ目のカウルとスクリーンなのに、最高速まで伏せずに行けたのはこのMCが始めて。風はヘルメットにも体にもけっこう受けているのに、不快さや苦痛は無い。空気の流れに対するマネージメントが秀逸ということか?これはR1100Sでも同じ。
 RC30もCBRもZZRもすべて160Km/h以上ともなると、伏せずにはいられなかったことからすると驚きでもある。

 テレレバーのフロントサスペンションも、ABSと共に下り坂や荒れた路面では安心感を増すし、何と云ってもいわゆるステアリングヘッドのメインテナンスが不要というのも魅力。ピロボール支持のそれは理論的にもガタの発生が少ないということは、長期間ハンドリングに不具合が発生し難いということになる。
シャフトドライブは時々オイルを交換するだけで、チェーンのメンテナンスを考えると楽チン。

 エンジン縦置き、シャフトドライブのMCなのでちょとした癖もあることはあるが、ハンドリングに違和感は無く全て慣れで解決できるレベル。
ただZZR以上に早々とセンタースタンドが接地するのは、ステップの接地より怖い。特にウネリのあるコーナーで一気に「ガツン」と突き上げられると、とても恐ろしくてやはり気分が萎えてしまう。乗り方が悪いのだろうけれど、ステップのバンクセンサー(後付け)より先に接地してしまうのは如何なものだろうか?。Sもサスが硬くなって多少バンク角が増えたみたいだけれど同じ現象が現れている。

 故障皆無の国産車に慣れた私には、故障続出のRSに、腹が立つのを通り越して呆れた。それがBMW独創の売りの部分ならともかく、バイクの基本に関わる部分であっただけになおさらだ。BMWに乗っている友人は「ハズレだね」の一言。今時当たり外れなんてあるのだろうかと唖然とした。幸い現在乗っているSはマ当たりの部類だったらしく、方々のボルトが緩んで抜けそうになったり、リヤサスのダンピングアジャスターが壊れたり、早々とテールランプが切れたりした程度で今のところ深刻なトラブルは無い。

 購入してからの凡その走行距離と、主なトラブルを列記すると
1500Km:クランクケースとギヤハウジング合わせ目からのオイル滲み(結局治らず、出所不明とディーラーの弁)
2500Km:フロントアクスルベアリング右側破損(突然「パチパッチゴリゴリ」と大きな音。ハンドリングが異常になると同時にブレーキの効きが悪くなりビックリ)
3500Km:クラッチアジャストボルト脱落。(ノークラ)
9000Km:左右ヘッドガスケットからオイル漏れ(2〜3分の全開走行後)
15000Km:フロントアクスルベアリング右側破損 (同じ個所が2度目)
23000Km:フロントマスターシリンダーからのオイル漏れ(BMWは皆この程度の距離で漏れるのが普通だと聞いて、「冗談でしょ〜」)

 信奉者によるとBMWは信頼性と耐久性が高いということだが、少なくとも私の購入したR1100RSにはあてはまらないことになる。
MCを構成しているパーツの材質や精度が例えどんなに高品位でも、それを組む人の技量に問題があれば、出来あがったMCはお粗末なしろものになると思う。緩んで抜けそうになったボルトを規定トルクで締めたら、以後緩まなくなったことからしても、トルク管理さえちゃんと出来ていないことが覗える。
 オイル漏れの話はけっこう多いけれど、パーツに問題があるのは少なく、シールが斜めに組みつけられていたりするのではないかと思う。フロントアクスルベアリングの破損もベアリングのインナーレースがカラーにきちんと接触するまで圧入されていなかったからで、一体BMW製品の品質管理体制はどうなっているの?と思ってしまう。


ホンダ CBR250R 
1988/04〜1992/04 
走行距離 8300Km
平均燃費 26Km/L


ホンダ CBR250RR
1992/04/06〜     
走行距離 10200Km(2001/04/13現在)
平均燃費 27Km/L


 家内と初めて北海道ツーリングを計画した時にRC30にタンデムは出来ないため、家内用のMCが必要となり、候補をCBR250に絞る。
Rを購入する時に、出来ればフルカバードのハリケーンにしたかったのだが、在庫は既に無く、Rは初心者にも扱いやすいという理由で購入。

 バイク少年だった頃に憧れたCB72はとても大きなバイクだと思ったのに、すでにRC30に慣れていた私には250は超軽量なお手軽バイクに感じてしまった。比較するMCがRC30しか無かったのでいきおい評価は辛くならざるを得ないが、両車共にレーサーレプリカタイプという似た構成でありながら、排気量と価格差以上にコストの掛け方が全く違う。
 RC30は例え限定車であるにせよ良くここまで高コストのパーツを使い、機能を凝縮出来たと感心するほどカッチリまとまったスキの無い印象なのに対し、CBR250Rはコスト削減って「ここまでやる?」と感心するほど徹底していた。
 作ってはみたもののあまりにコストを掛けすぎたハリケーンから早く移行しようと焦っていたのか、車体デザインや構成等全てに詰めが甘く、一見レプリカスタイルでカッコは良かったけれど、乗り込む程にハンドリングや操作感に終始安っぽさがつきまとうようになった。
 カムギヤトレーンを採用した高回転高出力のエンジンが出色なだけに、余計にも車体とのアンバランスが気になり、このエンジンにはもっとふさわしい車体があるだろうと思っていたところにRRが出た。

 RRはフロントがダブルディスクに戻ったり、「今度はじっくり考えたな」と思わせるカッコイイLCGフレーム。アルミ引き抜き+削りのチェーンアジャスター付きで補強まで入ったガルウイングタイプのスイングアーム。ステップと同軸のリヤブレーキとチェンジペダル。RC30と同タイプのスイッチ類。ラジアルタイヤ。アッパーブラケット下に取り付けられたクリップオンハンドル。整備性の向上等々。お手軽バイクの良さを残しつつ、4スト250でも完成度を追求すれば「ここまでやるぜ!」といった意気込みが感じられる。
 外観の印象通り、ハンドリングも私にはRとは段違いに良くなったと感じられ、これこそレブリミット19000rpmの高性能エンジンにふさわしい車体構成だと思った。

 Rでは簡単に走れるものの、走ることの充実感が得られず、たった1日のツーリングでもすぐに嫌気がさしたのに、RRでは何日もの北海道ツーリングでも、大排気量MCに混じってただ一台の250だったにも拘らず、どんな道でも終始楽しく走ることが出来た。
 峠道でもコーナーの連続するシチュエーションでは、大排気量MCをリード出来るし、ストレートでは怖さを感じることなく、180Km/hをマークする。
 例え速目でも常識的なツーリングペースであれば、大排気量MCについて行けないなどということは全く無い。唯一太刀打ち出来ないのはコーナーストレート、コーナーストレートといった状況が続く場合のみ。

 こうしてCBR250RRに乗ってツーリングしていると、高額な重量車を神経を遣いながら乗るより、立ちゴケなど起こり様が無い軽いMCでストレスなくツーリングした方がよっぽど楽しいと思えるようになってきた。
 大排気量MCでのツーリングが快適なのを承知で、且つ所有しているにも拘らず、ロングツーリングにあえてCBR250RRで行こうと思わせるこのMCの魅力は、とても文章だけでは表現できない。

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