頭部MRI

観察 :梗塞、出血、嚢胞、水頭症、tumor、血管性病変ets
Positioning:仰臥位で咳、くしゃみ等我慢してもらう。
ルーチン &条件 検査においては頭部MRA、頚部MRA、T2axial とし、P・CEではplainはT2、T1axial、CEは T1axial、coronal、sagittalとする。尚sagittalのイメージングではRIGHTとLEFTの表示を入れる。
* フレアー法については、ヘビーT2でTI150の条件で4slices しか撮像できない為、頭部全体の場合はあらかじめT2axialなどを撮像後そのスライスプランを参照し5回撮像して下さい。

*SAS法については、頭頂部のT2axialとMRA(静脈)を撮像する。ここで気をつけなければならない事はT2とMRA のギャップの違いで、T2が0に対してMRAは−50%という事で、オーバーラップして撮像している為MRAを撮像後、 T2axiaのスライス厚が同じにな る様調整してあげなければならない。


眼窩MRI

観察 :視神経損傷、出血、炎症、tumor等
Positioning:仰臥位とし、眼球運動によりアーチファクトをひく恐れがあるので、しっかり眼を閉じてもらう。
原則 的にaxial,coronal,sagittalの三方向を撮像する。
*Sagittalにおいては視束管に対し平行し撮像する。
条件 :基本的にT1,T2のaxialは撮像する。 組織周辺に脂肪が多い為、fat-satを多用する事によりサポートし診断能を上げてやる。


椎体MRI

観察 :狭窄症、ヘルニア、椎間板症、tumor、骨折ets
Positioning :仰臥位で咳、くしゃみ等我慢してもらう。
ルーチン &条件 検査においてはT1,T2sagittal、T1axialとする。

* axialについては特にきまりはないが、特に病変が見当たら ない場合は椎体と椎間を交互に撮像し11スライスとする。 狭窄がある場合はその部分を中心に数スライス、連続で撮像し、その他の椎体は臨機応変に省く。 #リウマチ科の場合頸椎において絶対にaxial でC1,C2は落とさない 様にして下さい。


肩関節MRI

観察 :刺上筋、刺下筋、上方関節刺唇、上腕二頭筋長頭 腱が主に観察したい。
Positioning:できればが外旋位が好ましいが、長時間だと肩の 痛みが出る恐れがある為、以上を考慮して中間位 が良いと思われる。
* 内旋位だと刺上筋と刺下筋が重なる。 撮影方向はaxial,obliqu sagittal,obliqu coronal とする。

条件 :基本的にはT1、T2スター、PDが主流。 尚、当院ではDrサイドからの依頼によりT1、 T2をルーチンとする。

膝関節MRI

観察 :主に前十字靭帯、後十字靭帯、半月板などの損傷。
Positioning:撮影方向はsagittal,coronarlとしsagittal撮影に おいては、前十字靭帯に対して平行に撮影する。

条件:T1,T2スターで撮像する。
* イメージングは左右共に外側から内側に12分割にて撮影 して行く。その時にRIGHTとLEFTの表示も入れる。
* 両膝のオーダーについては、head coilなどを使用する事 によりcoronalが1シーケンスで撮像できるので、色々と 工夫して使ってみて下さい。ただし靭帯や半月板を見たい 時は左右分けて撮像した方が好ましい。
* 骨頭壊死などは、まれにT2スターよりT2やPDの方が 読影に適している場合があるので、追加撮影してあげると 診断能があがります。


MRIの撮像パラメーター、条件等のポイント

頭部領域はある程度ルーチン化されている。

条件は白質と灰白質が分離できるようにお願いします。MRAでは条件によっては小さな動脈瘤などがとんでしまう恐れがあるので、1度ウィンドウを上げたり下げたりして怪しい部分があったら、その部分が解るように条件を合わせてください。腫瘍性病変のMRIではmetaなどは頭頂部が好発部位になっているのでカルテなどを良く参照して、位置情報が解っているものに関しては欠けないように撮像する。現在はT2で21スライス撮影のためある程度頭頂部も入るはずです。主に問題となるものがフレアーやSASなどの特殊撮影ですので青いマニュアル本を参照してください。

眼科領域はある程度放射線科に任せられている。

眼球運動を抑制し、SNの良い画像を撮像する。基本的にT1,T2のaxial 3mm Slicesは必ず撮像する。その他にflash2dなどのグラジェンドエコー系thim slices(2mm)のsag,corのシーケンスを併用する。詳しくは放射線科医師に確認。

耳鼻科領域は内耳道で聴神経腫瘍を疑う場合と耳下腺や顎下腺などの腫瘍を疑う場合、及び上咽頭〜下咽頭の腫瘍を疑う場合がある。

内耳道:T1,T2 trans (Plain)  T1trans , coronal (CE)
耳・顎下腺:T1,T2 trans , T2sag or cor(Plain)  T1 3方向 (CE)
咽頭 :T1,T2 trans , T2sag or cor(Plain)  T1 3方向 (CE)
*ある程度、放射線科にお任せ。詳しくは放射線科医師に確認。
*耳下腺はHead coil、顎下腺はNeck coilが良好。ただ腫瘍の位置などにより変わる場合もある。

整形外科領域

脊椎はT1,T2 sagittal T1transを基本的ルーチンとし、transは疾患部位を中心にする。尚、全脊柱の場合sagittalは仙椎をいれ位置の同定がしやすいようにする。

肩は上腕骨頭から数スライス分外側まで入るようにする。基本的にoblique coronal oblique sagittalのT1、T2を撮像しtransが必要な場合はオーダー表示がある。

膝はルーチンで撮像し、大きい人はFOVを少し上げたりし、病巣部が欠けないようにする。(tumorなどの場合は医師に確認を)

四肢についてはルーチンが無いのでFlex coilを工夫して使用してください。撮像方向は、必ず疾患部に対して2方向以上は撮像してください。T1,T2は特に問いません。


上腹部に対しては放射線科としてルーチンをある程度設定しました。
T1 , T2 ,のtrans及び必要に応じてT1fs, T2fs , PDfsを撮像します。CEがある場合はT1 , T1fsを2方向以上撮像します。また病変に対して必要に応じてDynamic MRIを撮像します。詳しくは放射線科医師に確認。

婦人科領域はルーチンで撮像してください。条件は疾患により変わる場合があるので病変がある場合何を見たいのかを判断してください。例えば腫瘍がある場合その腫瘍の中が充実性なものなのか、水か脂肪なのか。また腫瘍の辺縁や周囲組織との兼ね合いなどが焦点となります。詳しい内容等は“MRI検査の実践”を参照してください。


全体を通してある程度技師に任せられている部分が多いので、出きるだけ異常陰影を探しながら撮像するようにお願いします。病変がある場合はあまりルーチンにこだわらずに、病変に合わせた条件が望ましい。ただ周辺組織との関係も見たいので、あまりウィンドウを上げすぎたり下げすぎたりしないようにしてください。また金属等の質問が他科から問い合わせがよくきます。メーカーサイドからも金属である限り伝導体ではあるので、絶対影響が無いということは言い切れないそうです。金属の安全性については、第50回MR研究会記念誌“磁”のP173〜180にある程度まとめたものが載っているので参考にしてください。SNに関しては時間との兼ね合いもあるので、およそ1シーケンス6分以内で条件を設定しているため、中にはかなり悪いものもあります(膝など)。Chenge画面のSN表示はあくまで指標に過ぎないので、AC(重ね合わせ)を変える場合は撮像した画像を自分の目で判断し出してください。基画像の良し悪しにもよりますが10%ダウン位であれば、メーカーによれば視覚的には解りづらいとの事です。