長野市西部の芋井地区に滝があります。芋井小中学校から北々西約1kmの道路沿い
にある「隠滝不動尊入口」の石碑で車をとめ、そこから急な坂道を下ったところです。
この滝は達橋(たっぱし)沢にかかる滝で、隠れ滝と呼ばれています。高さ約30mで、
かつては扇型の幅の広い滝でしたが、最近では大きく二つに分かれた滝となっています。
 大地が水によって削られ、沢や谷ができます。ところが、大地をつくる岩石や地層の
中に固い部分と柔らかい部分があると削れ具合に差ができ、滝ができていきます。多く
の滝はこうした地層の固さの違いによってできるのですが、この隠れ滝の場合はちょっ
と違っています。この滝はどうしてできたのでしょうか。
 隠れ滝をつくっている崖の地層を観察すると、青灰色をした砂混じりの粘土がかたま
った地層であることがわかります。時には、貝の化石が見られ、海にたまった地層であ
ることがわかります。周辺もあるいてみると、ほとんどがこうした砂や泥でできた地層
がみられます。この地層はたいへん弱く、滝のすぐ下流も崩落防止のための工事が施さ
れていて、地盤の悪い所であることがわかります。
 じつは、この隠れ滝は普通の滝とは違って、地滑りによってできたと考えられま
す。隠れ滝の北西に軍足(ぐんだり)の集落があり、そこには集落を取り囲むような形
で、大きな地滑りがあります。幅約800m、長さ1kmにも及ぶ大きな地滑りが動いて、
達橋沢へ押し出したために沢をせき止めました。その後、地滑りのブロックである泥の
地層の上を水が流れるようになって、泥岩はそのまま残ってこの滝をつくったと思われ
ます。
 隠れ滝から軍足の集落へ上ってみると田んぼや池が広がっており、周囲には見られな
い風景が見られます。この田んぼが隠れ滝をつくった地滑りの跡地なのです。
隠れ滝
大きな地滑りによってできた隠れ滝(長野市芋井)
地学団体研究会 長野支部 田辺智隆  戸隠村地質化石館学芸員 
長野市芋井、隠れ滝

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