長野市と牟礼村との境に、髻山があります.。標高744.4m、面積が0.16キロ平方メ
ートルの小さな山ですが、れっきとした第四紀火山です。登山道が整備されており、
登山道の近くや石きり場には溶岩がみられます。安山岩という溶岩ですが、カリウム
・アルゴン法という放射年代を測定したところ18万から22万年前という値が得ら
れています。ここの溶岩は比較的加工がしやすいため、建設用の石材として利用され
てきました。髻山を岩石学的に有名にしているのは、この溶岩が噴出するときにとり
こまれた岩石(捕獲岩 ほかくがん といいます)のなかに,エジリン輝石を含んで
いることです。墨流しのように見えます.エジリン輝石とは,ふつうアルカリ(ナト
リウムやカリウム)にとむ岩石に普通にふくまれる鉱物で、九州や北海道などでは知
られていますが、長野県では髻山がはじめての発見でした。地下のマグマが石灰質な
岩石と溶け合い、その反応で出来たのではないかと考えられています。
 髻山は一等三角点本点がある山としても知られています。頂上にのぼるとりっぱな
三角点の標石をみることができます。標石は重さ90キログラムの柱石と45キログ
ラムの盤石より構成され、まわりには4つの防護石が設置されています。約45キロ
メートルごとに日本全国に設置された一等三角点本点は、日本の測量の原点です.大
切に扱いましょう。また、8角形のコンクリートの柱もわきに立っており、これは天
測点とよばれ、星を使って経緯度を決める天文測量をしたときの標柱の跡です。この
標柱は全国にも48点しかなく珍しいものです。頂上には髻山城跡もあり、案内板も設
置されています。山頂全体を本郭とした城で、川中島の合戦の際に上杉謙信方の城が
あったといわれていますが、定かではありません。春には登山道周辺のカタクリが満
開になり、多くの方々が訪れます。善光寺平らもみわたせる景勝の山です。豊かな自
然と歴史を兼ね備えた、さまざまに楽しめる里山といえるでしょう。
丘を行く・髻山(もとどりやま)
地学団体研究会長野支部 近藤洋一(野尻湖ナウマンゾウ博物館学芸員)
山頂の三角点(右)と天測点の標石

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