志賀高原に続く国道292号線を走ると、湯田中・渋温泉などの温泉街には夜間瀬
川が流れています。志賀高原から流れ出した横湯川と角間川が温泉街で合流して夜間
瀬川になります。川より少し高いところに段丘が広がっています。この付近でボーリ
ング調査を行ったところ、厚さ200mを超える大量の土砂で埋め立てられていることが
分かりました。なぜこのような膨大な土砂がたまったのでしょうか。
 そのでき方は、次のように説明されています。はるか昔、この付近の深成岩類でで
きている山地を削り込んで、大きな谷がつくられました。この谷には数十万年前から
活動が活発になった、上流の志賀高原周辺の火山から膨大な土砂や土石流が流れ出し
ました。最近、三宅島で土石流が発生し、道路や住宅に被害がでていますが、それと
同じような光景だったことでしょう。火山活動が活発な所では、大雨が降ったりする
とすぐに土砂が流れ出します。夜間瀬川も志賀高原の火山活動に伴い、大量の土砂が
流れ出し、山地から平地に移り変わる付近に、土砂をためて扇状地をつくりました。
この様なくり返しによって厚さ200mを超えるような土砂で谷が埋め立てられていった
のです。
 その後、この付近が隆起し夜間瀬川は再び扇状地を削り込んでいったために、この
扇状地は段丘となりました。現在は、夜間瀬橋から下流に新しい扇状地が作られてい
ます。中野市の市街地は、この新しい扇状地の上に広がっています。
 扇状地が広がる中野市の北東部では、ハウス栽培でサクランボや巨峰の栽培が盛ん
です。河川が運んだ砂礫層がつくるこの地区は、水はけがよいので、水田よりはこう
した果樹栽培の方が適しています。河川は時として土石流を流したり、洪水を引きお
こしたりもしますが、それぞれの土地ごとに違った地質をもたらしているので、その
特性を生かすことによって、他にはない産業をおこす基盤ともなっています。大地を
知ることは、大切な町おこしの条件づくりだといえるでしょう。
川とともに・夜間瀬川
夜間瀬川の扇状地・・・膨大な量の土石を運び堆積
地学団体研究会長野支部 山本岩雄(木島平村中部小学校教諭)
夜間瀬川の段丘(中断)と低い扇状地(手前)

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