1985(昭和60)年7月26日午後、長野市地附山の戸隠有料道路(通称バードライン)付近で、
大規模な地滑りが発生しました。
 その土砂は、ふもとの湯谷団地、老人ホーム松寿荘、望岳台団地に押し寄せ、死者26人、住
宅の全半壊64戸という大災害になりました。
 地滑りの兆候は、その数年前からあったのです。道路への亀裂や段差、石積みの亀裂などが
広がり、復旧工事などが行われていました。
 この年の梅雨は平年の2倍に当たる500+黷烽フ雨が降り、これがきっかけで動きが活発化。
バードラインは通行できなくなり、ふもとの湯谷団地では自主避難を始めていた中で、大規模
な地滑りが起きました。
 地滑りは予想を上回る規模に拡大し、避難が遅れた松寿荘では、多くの方が尊い命を奪われ
る結果となりました。
 地附山は、裾花凝灰(ぎょうかい)岩と呼ばれる比較的硬い地層から成っています。地滑り
後の詳細な地質調査の結果、断層が発達していて、複雑な地質構造であることが分かりました。
 また、裾花凝灰岩の中に泥岩の地層が挟まれていて、地下水の流れを止める形になっていま
した。このため裾花凝灰岩が変質して、モンモリロナイトと称する粘土鉱物ができて、地滑り
が起きやすくなっていました。
 さらに、古い崩壊の跡も確認され、過去に何度も崩壊があった場所のようです。
 このような地質的な弱点を持っていたところに、多量の降雨が加わったために、大変な事態
につながったのです。
 長野県は複雑な地質をしており、大地の変動が大きい地域でもあります。地形も複雑で、そ
こに生活する生物も多様になっています。
 信州の豊かな自然を求めて、多くの人々が訪れていますが、一方で、複雑な地質はさまざま
な自然災害を引き起こします。
 常日ごろから、自分たちの住む地域の生い立ちと癖(特徴)を知り、どのようなリスクを負
っているのかも理解しておくことが大切でしょう。

 ◇「みどころ100選」で紹介できなかったテーマや、読者の方の疑問に応える内容を
  4回にわたり掲載します。

               地学団体研究会 長野支部 花岡邦明(長野ろう学校教諭)
番外編1  地附山地滑り
断層発達 複雑な構造
硬い裾花凝灰岩が変質
大災害を招いた地滑り現場(85年7月27日)

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