USB−DACの製作  MJ誌2014年1月号の追試    <2014_0305_start>


パソコンの音源をアナログ出力するためのデバイスはいろいろなところから発売されていて、私もいくつか試してみました。CDの音質での出力は可能で、それなりに楽しんではしましたが、CDプレーヤがあると、同等ならばついCDプレーヤを使ってしまうことになってました。

MJ誌の2014年1月号にこのUSB−DACの製作記事が掲載されました。RATOCのREX-K2496Uという完成基盤を使います。この基盤、16/24ビット入力、ビットレートは44.1KHz・48KHz・88.2KHz・92kHzと切り替えられます。このことがきっかけになってこの基盤を使ってUSB−DACの製作の追試をしてみようと思いました。
追試なので、基本的にはMJ誌2014年1月号を参考にしていただけはいいのですが、実際に組んでみて記事にはふれられてないこともありましたので、参考までにアップすることにしました。


RATOCのREX-K2496Uという完成基盤は、東京ラジオデパートの東映無線ラジオデパート店から購入しました。12800円。このお店、計測器のお店の感じですが、ちゃんと常時在庫しているようです。併せて、三栄電波さんから音松の電源トランス+安定化電源のキットも購入しました。USB−Bのプラグ端子も三栄電波さんで調達しました。ケースはお金をかけたくないのと、自室のラインアンプと併用するつもりでしたので、エスエス無線さんからA−20という200*300*50mmの弁当箱のアルミシャーシに前面に3mm厚、背面に1.5mm厚のアルミ板を使ってケースを作りました。費用は総額で約2万円くらいです。


まず、RATOCのREX-K2496Uという完成基盤をチェックします。完成基盤ですので、このままUSBを接続するだけで使用可能です。RCAピンとヘッドホーン端子にそれぞれ接続することで同時に使用できます。付属のボリュームはRCAとヘッドホーンの両方の音量調節します。USBケーブル(USB2.0規格)をパソコンと接続してしばらくすると、自動で認識して使用できるようになります。ビットレートはパソコン側の再生ソフトで変更します。私の場合、WindowsMediaPlayerでしたので、プロパティから変更することで切り替えができ、それに応じてビットレートを表示するLEDが点灯します。デフォルトは44.1KHzです。そのうちフーバー2000も試してみたいですね。

            
        ケース内部の様子・・・緑色の基盤がREX-K2496U       USB(緑色)と96KHz動作(赤色)のLED表示

次に、アルミシャーシとアルミ板を利用してケースを作ります。200*300*50mmの弁当箱シャーシの大きさで、音松の電源USB−DAC基盤を組み込むには十分余裕がありますし、後述する出力ミュートの電源・リレーを組み込むことも可能でした。


さて、いよいよ配線開始です。
音松の電源トランス+安定化電源の配線は特に問題がありませんでした。
次に、USB-DACの基盤との接続です。

MJ誌の作例では、ヘッドホーン端子は使いませんので接続なしですし、USBと電源プラグは基盤にプラグで接続してそれを使って配線してあります。私の場合は、スペースの関係からUSBプラグは使えないと思いました。また、LEDとVRはリードを引き出すようにしてあるますが、VRは基盤の半田を吸い取って外しリードを基盤から直接引き出すようにしました。

電源プラグは、挿入することでUSBのバスパワーと切り替えになりますので、直接引き出すことはできないと判断し、プラグを使うようにしました。ところが、この電源プラグが手持ちのプラグでは適合しません。.いろいろ調べてみると<EIAJ電圧区分2>のプラグということがわかりました。最初からわかっていれば基盤といっしょに購入してきたのですが、手元にないので仕方なく千石通商の通販で改めて購入しました。

ヘッドホーン端子は欲張ってつけることにしました。最初、記事にあるように基盤からリード線を引き出してジャックに接続したのですが、音が出ません。もしかしたら、これもプラグを接続することで切り替わるタイプのジャックが使われているのかも知れません。仕方なく、手持ちのフォンプラグを挿してそこからフォンプラグに接続しました。

RCAへは、リード線を引き出して接続したのでしょうが、基盤をあまりいじりたくないことから手持ちのRCAピンジャックを挿してそこからRCAジャックへ接続しました。

いよいよ、USBの接続です。記事ではプラグを挿していますが、今回そのスペースがとれません。仕方なく基盤のUSBのピンを利用してリード線を使って引き出すことにしました。ピンの間隔が狭い上にピンに半田付けするので半田スペースもあまりありません。何とか半田付けをして引き出し、絶縁と補強をかねて熱収縮チューブをかけました。また、バインドバンドで結束し、力がかからないようにしました。
                 
                USBの引き出しとバズパワー電源のフィルターコンデンサー
                    水色のコンデンサーが海神無線特注の積層コンデンサー


いよいよ、USB−Bのジャックへ結線するのですが、ジャックのどこを見てもピン配列が書いてありません。いろいろ調べてみてもわかりません。仕方がないので、テスターで導通を調べて判定することにしました。結果は、プラグの背面から見て、左から順に 1・2・3・4番ピンということがわかりました。
RATOCのREX-K2496Uという完成基盤は、外部電源でも動きますが、それでもUSBのバズパワーも利用します。ですから、バズパワーのノイズ対策はあった方がいいと思います。ここは、MJ誌の記事を参考に、そのままコピーしました。使用するコンデンサーは千石通商と海神無線さんから購入してきました。特に、0.1μFの海神無線特注の積層コンデンサーは海神無線さんで購入してきました。


さて、ここからはオリジナルの部分ですがMJ誌の記事にあるように外部電源を使った場合電源オフの際にノイズが発生するようで、その対策を考えました。実際に動作させて見ると、電源オフ時に<ボツ>といったノイズが出ました。特にスピーカーにはよくないと思います。また、アンプなどに組み込んだ場合は、このノイズ対策が必要でしょう。

私のとった対策は次のようにしました。
まず、音松のトランスには2つ出力がありますので、電源に使ったあまりのもう一つからDC12Vを三端子レギュレータを使って作り出し、それを10000μFのコンデンサーに充電し、電源オフ時にこの電荷を使ってリレーを動かし、出力端子をミュート(グランドに接続)してしまおうという考えです。電荷が切れるとリレーがオフになりミュートは切り離されます(ミュート時間は約10秒ほど)。は実際に使ってみて、問題なく使えるようですが、これが本当にいいのかはわかりません。あくまでも参考程度に見てください。また、電子工学に詳しい方がおられれば問題点などご指摘いただければ幸いです。

                  
             三端子レギュレータ基盤(茶色の基盤)        RCAジャック付近に取り付けたリレー基盤

       
                       外付け電源ノイズ対策回路図 
   

とにもかくにも、何とか完成させて自室で楽しんでいます。今まで44.1KHzの音しか聴けなかったのですが、96KHzの音を聴いてみて音場が広くなったような気がしています。製作した甲斐があったと思っています。

         
               完成した本機                      自室のラインアンプに重ねて使用中


最後にMJ誌でふれてなかったことで、私が気がついたことをまとめると次のようなことかと思います。

    ○USBジャックのピン配列・・・・背面から見て左から順に<1・2・3・4ピン>の順
    ○ヘッドホーン端子は切り替え式ジャックかも
    ○電源プラグ・・・・EIAJ規格の電圧区分2のもの
    ○音量調整のVR・・・外してリード線を挿入して半田付けして対応
    ○外部電源使用時の電源オフ時のノイズ対策・・・・DC12V電源とリレーで対応


以上です。参考になりましたら幸いです。