QWT FE166Enの製作記録      
                <2012_0224一部加筆・修正>

初めに

SPEDというスピーカシステムの設計用フリーソフトがあります。これを使って3本ほどのダブルバスレフユニットを作りました。
そのうちの1本にFostexのFE164を使ったものがありましたが、よく見ると4Ω仕様でした。私のオーディオシステムは8Ωが基本
ですので、FE166Enを入手して入れ替えてみました。鳴らしてみると、それまで心地よくなっていたダブルバスレフが低域のない高
域にシフトしたシステムになってしまいました。後で、FE166Enはバックロードホーンシステム用ということで低域は何とかしない
といけないユニットというこだったということがわかりました。

どうしようかと思案しました。バックロードホーンシステムを作ろうか、それにしても大がかりになるし、何よりもバックロードホ
ーンシステムはもう一台作ってあるし・・・。そうこうしているうちに、そのままにして時間が過ぎていました。

あるとき、何気にMJ誌(2012年8月号No.1074)をみていたら、小澤さんのQWTというSPシステムの記事が目にとまりました。
MJ誌2013年1月号の小澤さんの記事も参考になります。
    ※QWT(1/4波長共鳴管)・・・詳しくは他のHPや記事を参考にしてください。


バックロードホーンシステムと同じように低域の補強が可能、しかもバックロードホーンシステムより工作が簡単。これだ!!と思
いました。しかも、記事にあるシステムは18th真空管オーディオフェアで実際の音を聴いています。

記事は20cmのユニット用でしたが、QWTシステムのポイントは3つほど、これを押さえればいいということなので、早速FE166En
用に設計をしてみました。QWTシステムの押さえるポイントは


 1)音道の面積はSPユニットの有効震動面積の1〜3倍程度<実際的には1.5〜2倍程度>・・・赤字の分2013/02/24加筆・修正
 2)音道の長さは 85/基本周波数(m)    85は音速の1/4ということかな?
   基本周波数は、300Hz〜600Hzの音圧から10dBほど下がったところが目安
 3)吸音材の入れ方

と、いう簡単なものです。

私なりにこだわった点は

 1)スワンの経験から、点音源を目指してバッフル板は可能な限り小さくする(幅を狭くする)
 2)音道は塗装をする・・・あまり意味がないのかも知れません、おまじないです。
 3)音道の直角屈折をなくすため、三角のコーナーを入れる・・・これもおまじないです。
 4)デッドスペースは小砂利ではなくコンクリート詰めとする。←これは失敗かな?!・・・後述します
 5)音道開口部はスリット型とする。←これは失敗でした!!
   小澤さんの記事にあるように、QWTの開口部は音的に円形出そうです。でも、切り出しが終わった段階までいって
    気づきました。もう、どうしようもないのでこのままいくことにしました。ただ、おまじない程度に開口部の四隅に
    三角コーナーを入れて少しは長方形から楕円に近づけることにしました。
 6)SPユニットの結線にはキャブタイヤ、SPターミナルにはバナナプラグ仕様
   キャブタイヤは長岡流です。バナナプラグ仕様は結構結線を入れ替えますので、その利便性を考えてのことです。

以上の事を考慮して、カタログを元にして計算し、設計図を書いてみました。(音道面積はSPの実効振動面積の1.6倍)


           ←図面をクリックすると大きな図面になります。ブラウザの戻るで戻ってください
            組み立て図            板取図

※急いで作りました。たぶん大丈夫ですが、追試等される場合は数法等をご確認ください。 定尺合板(12mm厚)側板1枚、その他で2枚 都合3枚必要です。
 EXCELで作りましたので、実際とは違います、イメージとしてとらえてください。


製作のようす

      
          板取した部材                        仮組みして部材の確認

製作開始
       
   デッドスペースの組み立て           側板に組み上げ                 こだわり3 音道のコーナー・・・音道の直角は避ける


     
こだわり4 デッドスペースにコンクリ           こだわり2 音道の塗装          音道の修正・・・正確にするために補助材(スケール下の平材)


     
  こだわり5・・・音道出口の直角の回避      こだわり6 キャブタイヤ使用         ユニットの仮付け


 ※音道の出口は円形が基本!! このことは後でわかりました。(早く言ってよぉ・・・) もっとも、
  小澤さんの記事は音道出口が円形だったのに、かっこよさを求めて長方形にした私がわるいんです。
  せめてもの気休めに音道の出口に三角コーナーを入れてで、直線構成の楕円形にした。(こだわり5)

   (おまじない、おまじない!!)



吸音材の入れ方の検討


 この後、吸音材を入れて、もう片方の側板を仮付けして、吸音材の量や入れる場所を検討する
 ※吸音材は、魚の飼育機の濾過フィルターを使います。
最初は折りたたんで入れた。出てきた音はあれていたが、
  エージングが進むにつれて「オ!オォ−−−!!!」でした。

  気をよくして、音道の形に吸音材をカットして、びっしり詰めて音出ししたら・・・モゴモゴの音。吸音材が効き過ぎてしまったようです。
  そこで、いろいろ試して、調整したところ、折りたたんで入れたような音(最初のオ!オォ〜〜〜!の音)になりました。


         
 吸音材の量と入れ場所が確定したら          最終的な吸音材                     粗仕上げのQWTFE166En
  ボンドで固定していく 

※吸音材を音道の形にカットして詰めたら、詰めすぎになった。SPユニットの後ろと最後の吸音材はそのまましっかり
 と詰めて、中央の吸音材をふんわり詰めるようにして調整して完了とした。



今までの経験から、組み上げて半年位してから本仕上げや塗装をした方がいいと思います。狂いや木材の浮き沈みができて
きれいに仕上がりません。半年くらいエージングをかねてこのまま粗仕上げとします。夏になったら本仕上げをしようと思
います。



ところで、出てきた音ですが最初は何ともザラザラした音です。心配した低域は確保しているようで、一安心。エージングで
良くなることを期待して、しばらく鳴らすことにしました。

結果、2.3日で見違えるような音になりました。艶っぽくて音域も確保されて今までのSPクラフトで一番のできです。

折しも、真空管アンプの製作記事にある4連VRの配線の修正と6CA7(T)PPアンプの完成があり、このシステムにつ
ないで鳴らしてみると、びっくり!! 今までのSPシステムでは聴いてない音が出てきました。

MJ誌2013年1月号の付録のオーディオチェックCDを聴いてみると、SPの外にも音場が広がり、テレサ・テンの口が中央に
あります。(当たり前かぁ・・・でも、私のシステムでは今まで無かったことです。)太鼓の音も、おなかにずんずんと響きま
す。後面解放なので、セッティングで壁との距離も考えた方が良さそうです。

これから、スワンとこのシステムがわたしのリファレンスSPとなりそうです。

夏になって本仕上げが楽しみになりました。

失敗というか・・・


 SPユニットの高さを耳の高さにということにこだわって、デッドスペースが大きくなってしましました。そこへコンクリ
詰めです。片方に思いの外入っています。小砂利20kg、それに砂10kgでコンクリ詰め・・・つまり30kg超ということです。
 作っているときは床にべた置きだったので気づきませんでしたが、起こしてみてその重さにびっくり!!! 決して持ち上
げらない重さではありませんせんが、覚悟して持ち上げないと、腰がやられそうです。
 ただ、このおかげなのか、SPユニット自体の安定性はいいですし、音も安定しているようです。
 (SPシステムに鉛はよくありましたよね)
 幸い、設置する予定のリスニングルームの床は大丈夫だと思いますので、完成したら覚悟して運び入れます。


2016年 08.30 追記

バックロードホーン MyD-55設置に伴い設置場所が確保できないことからQWTF200Aとともにリスニングルームから搬出。
それはそれでよかったのだが、この浮いたエンクロージャはどうしよう?!・
・・結構大型で重い(QWTF200Aより重い!!)だけに苦慮する。