FE-108Sol バックロードホーンの製作      

【はじめに】

MJ誌に小澤さんのスピーカーの製作記事が連載されている。ここのところFE103Solを使った記事が多かった。

そのうちにFE-108Solが限定販売されていることを知った。小澤さんは、このFE-108Solを使ってバックロードホーン・QWT、そして
バスレフト製作例と、それぞれの音の違いを紹介されていた。それを読んで、自分だったらバックロードホーンかなぁと思ってはい
た。しかし、FE-108Sol、高いのだ。1本19000円税込みで20520円もする、2本なら軽く4万円を超える・・・

年金暮らしの身にはこれは痛い。限定販売なのでそのうちに売り切れてゲットすることも出来なくなるだろうとほぼあきらめていた。
ところが、ふと見たクレジットカードのポイントがアマゾンのギフト券に変換出来ることが判明した。今まで、利用することなく貯めて
きたが、これでFE-108Solがもしかしたらゲットできる?! おそるおそる山の神にそのことを申し出ると、以外とあっさりとOKがもら
えた。やった!!

ポイントをギフト券に変換して早速アマゾンから品物をゲット、申し込みから2日ほどでゲットできた。

他の、スピーカークラフトで書き込んだように、バックロードホーン・バスレフ・密閉、QWTと様々な形式のスピーカー形式を自作して
きたが、音的にはスワンに代表されるバックロードホーンが気に入っている、が、その工作の複雑さから一次はQWTに傾倒してい
た時期もあった。が、ここはバックロードホーンだと思った。それはその能率の高さだ。シングルアンプのように小出力でも鳴らしき
るのはやはりバックロードだ。しばらくバックロードホーンを作っていなかったのでその工作の複雑さもなりを潜めていたこともあっ
たのかもしれない。


さて、バックロードホーンでいくことに決定したが簡単な方法は、小澤さんのデッドコピーだ。あるいはFostexや他から発売されてい
るのを参考にするという手もある。

いろいろ考えているうちに、どうしても開口部を前面にしたかった。小澤さんの作例では開口部は後面開放なので小澤さんの作例
を元に前面開放に帰るように考えてみたが、どうもうまくいかない。いろいろ試行錯誤していくうちに、ならば自分で設計してみるの
も一つかもしれないと思うようになった。バックロードホーン設計は定石がない。作ってみるまではいいのか悪いのかわからない。
このことは故長岡さんに製作記事にもたびたび紹介されている。かてて加えてバックロードホーンの製作の煩雑さがネックになって
いることが大きな障害であることも、事実だ。

「なきゃ、作る!!」の精神だ。幸い、ずくと時間、そして根性はある!! それにFE-108Solのユニットはゲット済みだ。

【設計図を書く】

まず、設計をするために今までに持ち合わせの書籍類をひっくり返す。また、ネットでホーンの広がりの計算をエクセルで簡単にで
きる紹介のサイトも見つけることが出来た。

設計のための基本をまとめてみた。

   初期開放面積       40.2㎠  <これは小澤さんの作例からもらった>
   ホーン長          2m程度 <これまでの作例からを参考にして決めた>
   ホーンの広がり係数   0.8   <これは、エクセルで計算したカーブを見ての直感>
                          ・・・ちなみに後でわかったのだが、長岡さんが推奨している係数がちょうどこれになる

後は、前面開放になるように設計すればいいだけだ。

エクセルで計算したデータを元に、横方向に折り曲げたり、縦方向に折り曲げたりとにかく試行錯誤でエクセルで設計図を書いて
みた。一週間くらいかかっただろうか・・・、とにかくこれだと思う設計図ができあがった。最終的には直感の世界だ。果たして成功
するのかは、作ってみないとわからない。やってみるだけ!!

出来上がった設計図

           クリックで大きな図になります・・・ 戻るにはブラウザで

  ※今回は設計図のみ 板取図はありません。ほぼ定尺3枚が必要です。また、エクセルで書いていますのでイメージとして
   見てください。さらに、たぶん間違いがあると思います(スイマセン)。

今回、製作に当たっていくつかポイントを決めた。

  ○側板はウレタン塗装済みの合板を使用する・・・音道のなめらかさを狙ったもの
      ※使ってみて、そりがほとんどないことに気づいた、通常のコンパネだとそりが大きいが結構そりがない状態であること 
        が、わかったのは一つ収穫だった。
  ○仕上げは、ウレタン塗装合板の反対面が結構粗いことから最終的にはシナ板ベニアで突き板仕上げとする
       これは、補強の意味を兼ねることにもなると思う
  ○仕上げは、チーク調の染色とクリアラッカー
       これは最終的には断念。染色してみると意外ときれいに仕上がらない。もしかしたらシナ板ベニアに直接クリアラッカー
       仕上げの方がきれいに仕上がったのかもしれないが染色してしまったので戻せない。最終的にはいつものつや消しブ
       ラック仕上げとなった。

【製作のようす】

      
    パーツの切り出し                 ユニットの組み立て               ユニットの塗装

      
     側板へ組み立て            底板のホーン                   デットスペースのコンクリート充填

      
     仮組み(前面)              空気室の吸音材          入力端子用ざぐり

      
      シナ板ベニアの接着          シナ板ベニア接着完了          シナ板ベニアへの染色・・・失敗だった

           
    開口部の穴開け                   ユニット取り付け用穴開け            背面・・・入力端子

         
              仮組みでのエージング中

 

【とりあえず完成・・・音だし】

最終的に黒のつや消し塗装で仕上げようとしたが、乾燥したと思った下地のクリアラッカーを研磨しようとするとうまく出来ない。どう
やら感想が不十分のようだ。そこで、完成はしばらくし乾燥を待ってからにした。

見てくれは、よくないが設計がうまくいったのか知りたかったし、OKならば仕上げにも元気が出る。とりあえず荒仕上としてユニット
を取り付けて音出しをしてみた。


まだ、乾燥は不十分なのはわかっていたがとりあえず音出しをしてみたが、OKのようだ。コーン紙がほとんど動かないのでバック
ロードはかかっているようだ。ちょっと音量を上げると床から低音の響きが伝わってくる。開口部に耳を当ててもその音の出方も確
認できた。どうやら、成功のようだ!!

【これから】

空気室の吸音材は小澤さん推奨の濾過マットを2枚入れた。これでバックロード特有の「ボーボー感」はほとんどなくなった。最終的
にはもう少しエージングをしてみて決定しようと思う。いずれにしても、夏頃まで下地の塗装の乾燥を待って最終仕上げとしたい。
それまでに、気がついたことがあったら補修をしてみようと思う。


久しぶりのバックロードホーンの製作であった。苦労はしたが、それなりに報いのあるスピーカークラフトだと思う。
最終仕上げをして、リスニングルームで音を確かめたいと思う。
決して長岡教信者ではないが、やっぱりバックロードホーンの音が好きなのだと思う。

   ・・・ 自分で設計したが、スワンを超えたか!?

確かめたいところである。


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