アンサンブル 頑固店主の

接客日記 

あなたは平成9年10月8日から 人目の御来場者です。

 

  毎日店頭に立っていると、時々とんでもないことを言ってくる人や、ものすごい発想をするお客さんがいて、飽きる事が有りません。
  このコラムは、珍事件(?)のいくつかを皆さんにご紹介するものです。
(中古音楽ソフトの店・アンサンブル店主 六角堂波岩斎)

 

 接客日記T・第1週  接客日記T・第2週 接客日記T・第3週 接客日記T・最終週 

 接客日記U・第1週
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 接客日記V・第1週    接客日記V・第2週   接客日記V・第3週(現在連載中・このページを下にスクロールしてご覧下さい) 

  

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接客日記・V 最新版

22日(金)

 当店では、許される限り自動的に配達証明が取れて比較的安いトラック便で発送するようにしていて、お客様にもそれをお願いしているのは皆さんご存知だろう。
 普通郵便でもめったに事故は無いのだが、極端な話、お客さんに不着を主張されただけでも、たちまち困ってしまうのだから、とうてい安心して利用できるものではない。
 また、悪いことに、Eメールと同じで、ほとんど全部は着くのだが、着かないものも有るのだ。
 不着率がどのくらいかというと、当店では毎日10個以上発送し続け、年に1個は出ない、つまり、3650分の1以下という低率である。
 不着と言っても、実際には着いた後、郵便受けから抜かれることが多いようだ。お客さんからアパートのゴミ捨て場に包装紙だけが残っていた、などの報告を受けている。

 ところで、2003年4月1日から、郵便局は郵政公社となって、新しいスタートを切った。
 途端に異変は起こった。
 最初の4日間に発送したもののうち、なんと4件の不着事故が発生したのだから、これは高率でしょう。
 おまけに、この頃になると新聞等で郵便局の引き落としやら振込みやらでのミスが続出していることが報道され、不安はいや増す。

 幸い、3件までが遅れて到着し、お客さんから連絡がきたのでひと安心したのだが、それにしたって10日もかかってはいけません。
 「いったい何をしていたんでしょうね?」とはお客さんのEメールだが、公社に移行するというのはそこまで大混乱を招くような事なのだろうか。
 いや、大変は大変だろうが、先週急に決まった事柄でもないし、すべて事前にわかりきっていた事でしょうが?

 お蔭で、このところ、各種連絡に大忙し。
 そんなさなかに、すでに前日発送済みの客の1人が、「先に帯の有無を知らせろよ。」と言ってきた。(またしても住所は塩尻市だ!)
 これも順序が違う。
 条件があるのなら注文出す前に言えよ。
 そもそも帯とは日本盤の新品時に(だけ)付いている物。中古を買うときに帯を強情に要求する権利は付いていない。ましてや凡盤に。
 だから、こうして声高に帯を要求する奴にまともな人物は居た例がない。データとして確立しきっている。
 本日の教訓;帯は恐縮しながら要求すべし。

 迷惑かけてまで帯にこだわるのなら、一生新品だけ買いなさい。
 いったい、超高額盤以外、帯になど紙屑ほども価値は無いし、その様な物にこだわる場合は人に迷惑をかけてはならない事は高級ファンならば全員ご存知。
 従って、当然、人迷惑に気がついていないこの客は低級ファンだが、こんな奴に限って、「かなりいい加減な店だ!」などと安っぽく熱くなって吹聴しまくるのもお決まり。
 
 ヘンなこだわりは捨て、純粋に良い音楽、聴いて欲しいものだ。
 


21日(木)

 「中古盤店へ誰それの何々を買いに行く。」
 この発想を、ごく普通、ないしは自然なものと思いますか?

 質問の意味がわからない方も若干は居られよう。
 「どこかヘンですか?」と訝る人が多いようだ。
 「いるいる、そういう人。」と、ニヤッとする方は通、理解力の豊かな方々だが、少数。

 戻って、冒頭の発想・行動について申し上げれば、それは実は非常識な行動なのです。
 もう少し優しく言えば、それは罪こそないにせよ無教養・無経験のなせる発想。

 何処が非常識・無教養か。
 順序が違う。
 中古盤店に入る前に買う盤を自分勝手に決め付けたって、無意味だからだ。
 それより先に、その日、盤店に『何が並んでいるか』の方が問題なのだ。
 どんなにリキんだって、中古盤店の棚に並んでいない限り、買うことは出来ない。
 店の人はボブ・サップに脅かされたって無い品は出せない。
 (私なら、"Give Me Your Signature!" とボブ・サップに色紙を差し出すだろうが、それは全くの余談。)

 正しい発想は
 『何が並んでいるか、中古盤店へ見に行く。』
 でなければならない。

 愛盤家とは、自分の欲しくなったものを探す人ではなく、現実に並んでいた中から良さそうなものを発見する人の事を指す。


 だいぶ前から懸命に何かを探しているアベックがいる。
 と言っても、探しているのは男の方だけで、最初のうち棚を見ていた女の方は今やすっかり飽き飽きしている様子。
 「ねえ、まだぁ?」
 「あ、すぐ、すぐ、探してるのがなかなか無くてさあ、もうちょっとだから!」
 待ちくたびれて右足の踵を軸に、だらけたターンを左右に繰り返しながら、恨めしそうに彼の方を見やるのだが、彼、盤に夢中。
 少しほっぺたが膨れてきているような気がするが…。
 「ねえ、まだぁ?」
 「う、うん、すぐ、すぐ、もうほんのちょっとだから!」
 入ってきた時には結構可愛い顔に見えたのだが、それが今ではもう十分怖い顔に変化していることに気が付いているのは私だけらしい。
 女、何やら決意した感じ。危険信号。
 「ねえってば!」
 「わかったわかった、すぐすぐ、ほんとにすぐ。」
  
 どうなってもオラ知らねーぞぉ。この彼はつらいパターンを繰り返しそうだなァ。
 
 
 そこへ会釈しながら入ってきた別のアベックは、特に彼氏の方がなかなかのコレクターである。
 ややあってから彼女の方が小声で叫んだ。 
「あっ! ずっと欲しかったリンダ・ロンシュタットが入ってる! わーい!」
 うん、順調々々。彼氏、教育もなかなかに上手なようだ。

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