いいだ人形劇フェスタ2006

その2 人形劇の様子 8月3日(初日)

 
 8月3日 1時〜 飯田文化会館2F

阿南町から移動し、本部のある文化会館へ。以前から観たくて観たくて仕方がなかった、これ。

 人形芝居ひつじのカンパニー
 「キナコちゃんとダンス!!」   
(ワッペン・有料)

最初の登場から味があるジャガさん(北村さん)。「名前忘れられちゃったしね〜」なんて、最初の諸注意を言うお姉さんの失敗を拾い、ゆるゆるっとスタート。
以下はネタばれありなので、覚悟。これから観る方は読まない方がいいかも。

キナコちゃん誕生のプロローグ的なものがあり、第1部。
ジャガさん扮するお父さん(足しか動かない)、キナコちゃんの朝のお支度を見守るのですが・・・。
我が家唯一の女の子みづきは、こういうことはあまりなかったのですが、一緒に見ていた友人の、5歳児と3歳になりたての姉妹は、まさにキナコちゃん。現にその日も、指輪だのなんだの、いろいろで飾ってきていたし(笑)。
キナコちゃん、着飾るだけでなく、終いにはかぼちゃの馬車でお城へ、いや、保育園へ出かけていったのでした・・・。

  終演後セットの前で

そして第2部、キナコちゃんの給食風景。
大爆笑!!キナコちゃんの、給食を食べるためのでかい口にも!大好きなおかずのにおいをかいでうっとりしたり、お友達としゃべりながら楽しんで食べていたり、そして、先生に注意されて「はい!ごめんなさい」・・・の反省をすぐ忘れる様子にも!嫌いなものはなかなか進まないものの、想像力を駆使して頑張って食べているところも!
ここは人形はキナコちゃんだけ。でもちゃんと、見えないけれど、友達もいるし先生もいるのです。給食中のがやがやわいわい、先生が注意した時はお部屋がシーンとなり、でもまたがやがや、という風景が見え、聞こえてくるのです(あ、音、なにか出してたっけ?思い出せないのだけれど、幼稚園で子ども達と給食食べてる時と同じ音が聞こえて来た気がします)。

いよいよ第3部。寝かしつけです。
ここまでは、お母さんのいない子なのかな?なんて、ちょっと不憫に感じていたのですが、お母さんは一晩いないだけ、とわかり、ほっとしました・・・いや、なら、寝かしつけは余計に大変!!今日だけお父さんなんだもん。
案の定で、本(お姫様シリーズ)をすべて読んで、さらには手を変え品を変え、寝かそうと試みるのだけれど、だめ。地雷まで踏んでしまい、キナコちゃん、大泣き(って、ジャガさんが、「こうだよ。と、「びゃー」と泣き顔を見せてくれるんだけど)。
で、始まってしまうのです。お父さんの人形劇。
最初はおもちゃ箱の人形で、淡々と進めていくのですが、キナコちゃんが喜んでいるのを知るや、もう絶好調で、キナコちゃんの反応なんてどうでもよくなり、びゅんびゅんと話が進み、部屋はジャングルに!!飯田線に乗っていたら、途中で乗っている電車が新幹線になり、そのまま宇宙まで運ばれて行っちゃったようなスピード。
しかしそんな時キナコちゃん、パパ扮する闇の帝王にむかって、「パパ、馬鹿みたい」と、滅びの言葉を言ってしまい・・・闇の帝王が滅びるのでした。

不思議なことに、それまでは、キナコちゃんのお着替えを、親の立場で同情や共感を持って見守ったり、キナコちゃんの給食の様子をマジックミラー越しに見守ったり、夜の寝かしつけに奮闘するお父さんにエールを送りつつ見守ったり・・・だったこちらのスタンスが、ジャガさんの人形劇を楽しむ観客の立場と変わっている・・・いや、もともとそうだったはずなのですが、そうではなかったことに、終わって気づいたのでした。
人形劇自体は結構たくさん観ているけれど、人形劇の世界へ、何の心の準備もないままに、不思議に心地よく連れて行ってもらったのは、初めてかもしれません。なんて奥深くておもしろいのでしょう!

ちなみに、キナコちゃんのモデルである、現在は中学生のお嬢ちゃん。一緒に観劇するつもりで来てはいるのだけれど、父親の人形劇は見ない、と、この時はロビーで本を読んでたそうです。奥さん談。



 8月3日 3時〜 特別養護老人ホーム飯田荘

予定では、千代小学校にとんがらしさんを観るために速攻移動するつもりでしたが、キナコちゃんに酔いしれてなかなか立ち上がれず・・・。
1時間おいて、涼しく見られそうな近場で、と、ここに。

 人形芝居 燕屋
 腹話術「ハロー!カンクロー
」 肩掛け人形芝居「さんまいのおふだ」  
(ワッペン)

腹話術は、挨拶から入るありがちなスタート。これってお約束なのかなぁ。でもお約束だからこそ、演じ手の個性がそこに出るわけで、結構好きなんです。で、燕さんのはどうかというと・・・可もなく不可もなく、というところ。
ドレミの歌は上手!燕さんの大げさ具合も、自分に酔っているみたいでご愛嬌。牛乳を飲むのは、子どもにうけますね。

燕さんの肩掛け芝居は以前、「ねずみのすもう」を観たことがあります。
今回の「さんまい(4枚?)のおふだ」は、人形がちょい不気味で、味がありました。特に和尚さんの顔が、キモ怖くて。トータルに美術がよかったです。
そして中身、いわゆる「さんまいのおふだ」の、ほぼそのままのストーリーなのですが、4枚になったり、前列のお客さんを巻き込んでの芝居は肩掛け人形芝居という形態を生かしていました。
全体にちょっと引いた感じを感じるのですが、その前のジャガさんを見てしまっているからかなぁ・・・。
小さい子から大人、お年寄りまでにわかるように、と、丁寧な感じがしすぎて、意外性がないというか。その分安心感は強いのですが。

数日後ですが、「なんまいだ〜 なんまいだ〜 おふだはなんまいだ〜」と子ども達がよく言っているのを聞き、子ども達には深いところへ入っていたのだなぁ、と感心(私はすぐ忘れてしまうのです)。



 8月3日 夜6時〜 フェスタセントラルパーク

帰りの車で昼寝をさせたかったのですが、全然寝ない下2人。いったん帰り、汗を流して腹ごしらえ。そしてパークへ向かいました。

 猛烈トホホ団
 「シッチャカメッチャカ玉手箱」
  
(ワッペン)

暑いし、道中寝てしまったてんしょうを抱っこしてだし、で、大変といえば大変でしたが、パークは気楽。音も大きく、出入りも自由、席替えも自由なので、だんだんと観やすいイスに移動しながら楽しみました。
日は落ちてきたところでしたが、まだまだ昼間の熱気がこもるテント。SAYOさんココンさんは、滝のように流れる汗にもめげず、パワー全開でした。
ココンさんのすっころびも、まるで汗で滑ったかのように自然で。
人形劇としてどうか、と言うとコメントは難しいのですが、お二人がパワフルにどたばたとやってらっしゃる様子は純粋に楽しかったです。「たまてたまてたまてたまてたまて」「てたまてたまてたまてたまてたま」と必死に若返ろうと、生き返らせようと、呪文を唱えるSAYOさんが、とってもかわいかったし。
     

 8月3日 夜7時〜 飯田市公民館3F

てんしょうはまだ寝たまま。パークから道を挟んだ向かい側にある公民館へ移動します。
開場前から大勢の人人人・・・。この時間はほかにもいくつも公演はあるのですが、やはりここは涼しい会場で人が集中するのか?
ゆかりさんを発見。応援しに来たようです。いよいよ今フェスタのメイン「てなもんや」の人形劇を見る!ということで興奮気味ですが、まずはジョイント公演の地元アマチュア劇団の観劇から。

 東野人形劇あかね
 「どろぼう学校」
  
(ワッペン)

地元のおばちゃん劇団で、リーダーの方の声はよく出ていたけれど、ほかの方はマイクで拾っていたにもかかわらず、声が・・・。ただ、どろぼう学校の生徒らしさや個別の性格をあらわそうとしている努力は感じられたし、間も、誰か埋めようとして頑張ってらっしゃいました。
できる人の集まり、でなく、「仲間」が前提で、誰かが引っ張り上げようとしている様子(引っ張りきれてないけれど、だからと言って気にしなさそうな)を感じられました。
アマチュア劇団はあまり見ないので、ここでどう書いていいのかためらってしまいますが、もう少し人形を動かそうとしたり、場面転換の見せ方を工夫したり、と、学んでほしいところです。人形自体には独自の味があるのですが、足を動かそうとしている人、ぶらぶらでも平気な人と、差もあったりして落ち着けませんでした。

でも、例えば私の母が(そういう年代ですね)友達と人形劇をやってみよう、と思い立ち、見よう見まねで人形を作り、読みあわせをして・・・と、作っていく過程を想像すると、きっとこうなりそう(爆)。友達で声がでない人がいても、「あの人はもともと声が小さいで、あんなもんでいいら」、と全く気にしなかったりしそうです。
そんな、集まれば、練習よりもおしゃべりやお茶、漬物を楽しみながら、こうやって最終的に上演をしてしまうような飯田のおばちゃんの味、を、とにかく、感じたのでした。
原作があるものを原作通りに作ろうと思えば難しいもの。おばちゃん達が方言で、いつもしゃべっているような会話を、おばちゃんのミニチュア版で人形劇してくれるのが一番おもしろいんじゃないかなぁ、と思ったりして。
この「どろぼう学校」なら、「どろぼう学校・飯田分校」に入学した飯田のおばちゃん達が、「はあれまあ!」「なんちゅうことずらぁ〜」と生徒を演じたらそれはそれは、飯田ならではの、飯田にも飯田外の人にも楽しめる人形劇になりそうですが。


 パペットてなもんや
 「ゴキゲンな人形劇」
  
(ワッペン)

このフェスタでのメインイベント、「pontaさん達の『パペットてなもんや』を、飯田で、観る!」。
一昨年のフェスタの後からお付き合いが始まったpontaさん。昨年のフェスタで初対面。その時にはてなもんやのメンバーつっちゃんともご対面。
今年は、そのpontaさんにつっちゃん、さらにもう2人の4人で、再会、だけでなく、人形劇を見せてもらえることになったのです!
アマチュア劇団で、それぞれにほかのお仕事もされる中、人形劇をしっかり勉強され、楽しんで作ってらっしゃる様子に、「観ないでいられるかっ」という熱い思いを抑えきれなくなり、「観たい観たい〜」とさりげなく、さんざん、ねだりまして・・・ついに、念願が叶いました。

「なんちゅうソーラン」(てぶくろ人形)
「トコトコトコ」(ラオスから来たトコトコ人形)
「ばあちゃん騒動記2 オオカミくん気をつけて」(パクパク人形)の3本立て。

地元の劇団あかねさんの応援が多くを占めている中で、あかねさんの幕間中、準備しているのを、固唾を呑んで見守ります・・・。

1つ目「なんちゅうソーラン」は、生身つっちゃんの踊りからスタートし、登場したのが手袋人形。
竹箒でお掃除をしているおっちゃんのところへ、南中ソーランを会得しようとおさらいしながら登校する小学生の男の子が通りかかるのですが、彼の「1234・・・」と、拍を数え、それにフリをあわせるやり方では体がついていきません。
それを歯がゆく思い見ていたお掃除のおっちゃん、ついに正体を現すのです・・・!
さらにお友達の女の子も加わり、そこはソーラン節の舞台、北海道の荒海。
網の中のニシンを船にタモで掬いあげる動作が、そのまま踊りになったのがソーランだ、とおっちゃんが熱く語り、「ええかぁ?こうじゃい!!」と踊り出すのに、始めはおずおずしていた少年少女もつられて生き生きと踊り出します。その変化に客席も引きずられ、気分が高揚していくのがなんとも楽しい!
しかし、登校中だったことを思い出す2人。
「毎朝ここで練習してんのん?」とのすっとぼけな女の子の、おっちゃんへの質問で、その高揚感が、「いいもの観たなー」という満足感に変わったのでした。 そして、朝の1コマの出来事なのに、きっと学校では「すごいやん」と皆に驚かれ、またおっちゃんと練習し、その練習に参加する子がだんだんと増えて・・・と、その先までが勝手に想像されてしまう終わり方でした。

撮影不可だったのですが・・・ごめんなさいっ。この子ども達の後頭部と首がたまらないっ。
2つ目「トコトコトコ」はセリフのない人形劇。
1つ目のセリフのパワーが強かっただけに、この静が心地よく、人形に注目・・・人形の足の動きがかわいい!それがかわいいだけでなく、だんだん動きが大胆になり、積み木に顔が挟まったり、宙返りしたり・・・空へ押し合いしながら上って行ったり・・・すると、宙で押し合いする2人を操るpontaontaさんとつっちゃんの表情がこれまたよくて。それ以降は、2人の顔を人形の顔に重ねて観てしまいました。それほどいい顔でした。
好みで言ったら、一番好きな人形劇でした。

3つ目「ばあちゃん騒動記2 オオカミくん気をつけて」。
これはプロで通用するでしょう。人形もいいし、構成も発想も流れもいいし、キャラもそれぞれ立ってるし。もっと声が出れば、有料公演でもいいくらい♪
赤ずきんちゃんのパロディかと思ってみていたのですが、即興的にやってるうちに赤ずきんの話に近づいていったお話らしく、タイトルも、気をつけるのはオオカミの方、ということらしいです(笑)。確かに。
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