家族でかきくけコンサート!

 家族が主役のコンサートをしよう!
 
まだほかのお仕事もしていて、生徒さんが少なかった頃…(10年くらい前になりますね…)1部は生徒さんのソロ、2部は生徒さんのご家族にも出ていただいて、家族での連弾やアンサンブル、という発表会をしたことがありました。会場も小さなところで飲食もできたので、最後に立食パーティーをして…。
 最近、その時に出ていただいたお母さんと話していて「今でもあの時のことはすごくいい思い出として残っている」とお聞きしました。その時の子どもさんはすでに大きくて仕事も忙しく、親子でアンサンブルをすることもきっとないと思うと余計に忘れられない、と。でも、また機会があったら嬉しい、ともおっしゃっていましたが。

 その後は常に30人ほどの生徒さんがいて、ご家族にまで出ていただいて、というと、長時間の発表となってしまうため、生徒の発表の場、ということを優先にしてきました。
 でも、私自身家族でのアンサンブルの様子はとっても素敵に感じたし、自分に家族が増えた今、家族、という存在を尊く思うようになりました。
 生徒さんの頑張りも家族あってのこと。生徒さんの頑張りが家族の励みになっていること。音楽の好きな家庭に、ピアノが弾けるようになった子どもが彩りを添えている様子。音楽とは無縁だった家庭が、子どもの音楽する姿に影響を受けている様子…。
 
 幸い、お父さんやお母さんが、出てもいい、と言って下さる家庭が多く、夏休みに親子で練習できるよう、夏休み明けの8月22日に計画し、場所も、ステージと客席にあまり差がない、飲食もできるところが取れました。
  「練習しなさい、と言うだけより、親も宿題をもらって練習する、というのも子どもにもいい影響を与えると思います」という声、レッスンや補講の希望もあったので、夏休みは、子どもだけ昼間に、親子で夕方に、とレッスンもできました。

 弾きたい曲を弾こう!
 年に1度の、大きなホールでの発表会では、ソロを1曲とアンサンブル、という組み合わせで選曲をしています。ソロは日頃の勉強の成果を出してほしいと、こちらからその生徒さんに合う曲、力を生かせる曲などを提示して決めています。希望も聞きますが、先に数曲チョイスしておいて、その中で気に入ったものを、というのがほとんどです。
 私がクラシック好きなので、クラシックでなにかソロを、と勧めてしまいますし、やはり普段のレッスンはクラシック中心なので、その流れもあります。
 生徒さんは、弾きたい曲もあるけれど、それでも先生が勧める曲だし…と、受け入れてくれ、練習するうちにその曲も大好きになってくれるものだけれど…たまには全面的に「コレを弾きたい!」という希望を聞いてあげたいと思っていました。

 今回のこのコンサート、そんな「全面的に希望を適えます」で曲を決めました。その生徒さんの力では無理なものも、家族で力をあわせ、連弾や2台ピアノ、2人で3人で、とアレンジし希望に沿うことを最優先して(アレンジは、演奏者の技術にあわせ、その家族の今回のためだけに楽譜を書いていますので、外へは出せません)。また逆に、その生徒さんにこの曲は簡単すぎる、と思われるようなものも、あえて「いいよ〜」と。
 年度の初めに、弾きたい曲を書いて提出してもらうので、それも参考にしたり、家族が弾きたがっているという曲も聞いてきてもらったり。

 その結果のプログラムと、本番の様子です!
 本番の順番は、当日集合してからくじ引きで。1人1枚ずつの原稿をくじ引き順にその場で綴じてプログラムにしました。またまた力作ぞろいでした。
 
 
G家 娘(小1)とお父さん
 ピアノのおけいこ−ハンガリー舞曲第5番(娘・akiyo連弾)
 ショパン〜ワルツ「子犬」・ワルツ嬰ハ短調(お父さんソロ)
*始めて2ヶ月。何を弾きたい?と聞いたら「ハンガリー舞曲!」。それを聞いたお母さんは「無理だと思うんですけど…」「…なんとか弾けるように考えますね」。
 使っている教本でちょうど弾いていた「ピアノのおけいこ」を「ねこふんじゃった」との連弾にし、そのまま転調して簡単にハンガリー舞曲の一部を連弾、ということに。初舞台、堂々と弾けました。
 お父さんはとっても上手な方なのです。本番も暗譜で。素敵でした。

S家 娘(小2)とお母さん
 リムスキー・コルサコフ〜小人の踊り(娘ソロ)
 ディアベリ〜トルコ行進曲(親子連弾)
*お母さんは未経験者なのですが、吹奏楽など音楽はやってらっしゃったので、さすが、という感じ。お互いに音を聴きあって合わせていました。
 ソロは元気よく、つかえても堂々とリカバリーでき、上出来でした。

O家 姉妹(小4・2)
 ギロック〜パリの大通りで(2台ピアノ)  
 WAになっておどろう(連弾)
*連弾も2台も完璧♪いっしょにレッスンに来ている積み重ねがモノを言う、お手本のような2人でした。
 妹のRちゃん、発表会では走って指がまわらなくなり、悲しい思いをしたのですが、今日は2人でテンポをあわせ、最後まで走ることなく落ち着いて弾けたので、自信につながったのではないかな。

K家 姉弟(小3・小1)お母さん
 大きな古時計(3人で6手連弾)
 ミッキー・マウス・マーチ(娘・akiyo連弾)
*弟とお母さんは来経験者。しっかりおうちでご指導があったようで、とっても上手でした。お母さん「お姉ちゃんに怒られた」とおっしゃっていました。お姉ちゃんのMちゃんは、かなり弾けるので、この2曲を希望の紙に書いて来た時にはちょっとびっくり。聞いてみると「お友達が弾いてて、聞いておぼえて弾けるようになったから…」と言い、弾いてくれたのです。ちょっと考えさせられました。その後、そのMちゃんが弾いてくれたのをもとに2人で編曲。満足気なMちゃんに「もっと難しい曲弾けるのに」と、曲を変えさせるようなことをしないでよかったと思いました…。
 弟も遅れず走らず、絶妙なタイミングで高音をきれいに響かせてくれ、感心でした。

S家 娘(小5)お母さん・弟と妹(園児)
 久石譲〜君を乗せて(親子連弾)
 アルゴリズム体操(親子連弾・弟と妹のうたと打楽器)
*お母さんは少しピアノ経験があったのですが、「昔ちょっとやっていた頃は練習がいやでいやで…でも今はすごく楽しくて」と、補講も希望されて頑張りました。その甲斐あって、発表前のレッスンでは成長著しく、私とお母さんとで感動の涙…。「聴いてあわせるって、よくわからなかったんですが、こういうことなんですね」とお母さん。Aちゃんも、「お母さんがあわん!」と言っていたのが、お互いにあわせあうことが必要、と思えたようです。本番も落ち着いて弾けました。
 弟妹もかわいく、テレながらもしっかり歌え、楽器も鳴らせていました。

H家 兄弟(小6・小4)お母さん
 木村 弓〜いつも何度でも(連弾と2台ピアノで)  
 井上陽水〜少年時代(弟うた akiyo伴奏)
*お兄ちゃんとお母さん、未経験者。この2人が「いつも何度でも」が好きで、弾きたいという希望を、生徒さん(弟のTくん)が伴奏して付き合う、という形で実現。お兄ちゃんとお母さん、ほんとによく頑張ったようです。レッスンにも何度も足を運んでくれました。
 「少年時代」は、Tくん、始めて人前で1人で歌いましたが、とってもきれいに歌えていました。歌いたいけど恥ずかしい〜、と言いつつ、どんどんその気になり(笑)。少年の夏の思い出にぴったりでした♪

K家 兄弟(中3・小6)
 ダカン〜かっこう(兄ピアノ 弟リコーダー)
 バッハ〜ミュゼット(兄弟で2台ピアノ)
 ドラえもん(弟とお母さん連弾 兄コンガ)
*お兄ちゃんが、吹奏楽のコンクールと塾で忙しく、間に合うか!?とはらはらでしたが、最後の踏ん張りで上手になっていてびっくり…で、期待の本番、くり返しを弟と打ち合わせ不足で、かっこう、こけました。残念。でも、ほかはバッチリ。レッスン中のように「おまえが○○だろ?」「えー!おにいちゃんが△じゃん!」と、本番のステージでも曲間で言い合っていました(笑)。
 お母さんのパート、経験者でも難しい編曲だったのですが、上手でした。

M家 姉弟(小6・小3)
 シューベルト〜楽興の時第3番(連弾と打楽器)
 姉自作曲〜ソナチネ“空を散歩しよっ!”(姉ソロ)
*弟は未経験者。弾き始めの音に付箋紙をはってました(笑)。
 自作曲は5ページにわたるなかなかの大曲。きれいに楽譜も清書し、どうどうと発表できました。なにより、自分の曲を弾く、という喜びに満ち溢れていて、その姿に感動させられました。作曲の発表に、ほかの生徒さんも影響を受けていましたようです。
 直前お母さんリタイヤ。でも終了後、次回は出たい!とおっしゃっていました。

K家 姉妹(中1・小6)弟(小4)
 久石譲〜もののけ姫(姉妹連弾・弟ベルなど)   
 ハイキング(3人で6手連弾)
*出演予定のご両親にそれぞれ予定が入り、1週間前、前日とどんどんアレンジがかわりましたが、前日のレッスンの後から当日の午前中に、猛練習をしたらしく、息ぴったり。対照的な2つの曲をそれぞれ、まったく雰囲気を変えて演奏できました。ご両親に聴かせてあげたかったなぁ。

K家 姉妹(中2・小4)お母さん
 ギロック〜小さなすずめ(3人で6手連弾)  
 つじあやの〜風になる(姉妹連弾)
*夏休み中、3回3人でレッスンに来てくれて、その都度ぐぐっと上達。ノリがよい演奏で、息もとってもあっていました。「風になる」は、妹のHちゃんたっての希望だったのに、本人が最後まで弾けるようにならず…リズムとメロディーを両方演奏するので難しいのですが…本番にはじめて弾けていて、びっくりしました(笑)。

S家 姉(中3)弟(小5)
 久石譲〜いのちの名前(お父さんフルート・娘ピアノとうた)
 エルガー〜「威風堂々」より(姉弟とお母さんで6手連弾)
 中田 喜直〜夏の思い出(娘うた akiyo伴奏)
*お父さんが練習していない!と子ども達が心配していましたが、なんとか…。3人の連弾も、前日大笑いしながら「もう1回!」「もう1回!」とあわせ、「(母)ここは練習したから弾きたい」「(姉)お母さん心配だから、私がもらう」「(弟)あーあ、もう好きにしてよ」。そんな前日のレッスンがウソのように、落ち着いて堂々と弾いていました。
 お姉ちゃんの歌も、客席からため息が漏れるほどきれいでした。

K家 女性(大人になりたて)
 グリーグ〜ノルウェー舞曲    
 バッハ/春畑セロリ〜小さなメロディー
 大野雄二〜ルパン三世のテーマ(3曲ともakiyoと連弾)
*学生で松本に住んでいるMちゃん。夏休みで帰ってきて「せんせー、連弾つきあってください!!」とやってきたので、それなら、コンサートに出る??と。皆が、大きくなってもこのMちゃんのように、ピアノを、連弾を好きで、相手を求めて訪ねてくれるとうれしいな♪ 息は多分、ぴったりだったと思います。

K家 娘(小1)とお母さん
 ギロック〜パリの花売り少女(娘ソロ)    
 虹の彼方に(親子連弾とシロフォンなど)
*お母さん、昔習っていて、楽譜どおりに上手に弾けていたのですが、もっときれいに弾くには、と左右のバランスなども気にかけて練習してくれ、2人でとっても上手に弾けました。
 Rちゃん、2曲とも前の日に思うように弾けず、ぽろぽろと涙をこぼしていましたが、本番は上手でした。よかった〜。

O家 姉妹(小4・小1)とお母さん
久石譲〜さんぽ(連弾と2台ピアノ)
*2台ピアノとも4オクターブは使うのに、家で、1台のピアノで強引に3人で弾いていたようで、レッスンに来るといつも高さがわからずおろおろ…。家では、どちらかが歌ってあわせるくらいにして、ピアノは独占して弾いてね!と3人練習禁止令が出ました。本番は2つのピアノをしっかり使いこなしてくれました。いかにも楽しげに弾く姿が印象的でした。

H家 女の子(小5)
 久石譲〜ナウシカレクイエム(akiyoと連弾)  
 リチャード・クレイダーマン〜渚のアデリーヌ(ソロ)
*「渚のアデリーヌ」がちょうど仕上がったので、発表をしたいと。ついでに私と連弾。どちらも皆が憧れのまなざしで聴いていました。当日朝、何ヶ所もつまずき、えらく落ち込んでいたらしいのですが、本番はつまずきなしで、満足気な顔でした。

O家男の子(中3)
 ショパン〜雨だれのプレリュード(ソロ)
 ビゼー〜カルメンより「ハバネラ」(akiyoと連弾)
*同じく「雨だれ」が仕上がって、発表をしてキリにしようと。連弾は私が誘ったのですが「げー、せんせーと連弾ー」と言われてしまいました。ぷんぷん。でも、本番ハバネラを弾き終わって「決まったね」と言っていたので、満足していたのでしょう。
 雨だれは、会場を自分の世界に巻き込んでいました。でっかい男の子がこういうのをしっとりと弾く姿は、男の子の母達の羨望の的でした(笑)。


 Tea Time!
 今回のお楽しみはTea Time。1人1個アイスを用意することにし、あとは焼き菓子を募ったところ、シュークリーム、ガトーショコラ、ドーナツ、クッキー、パウンドケーキなどなど、6人の方が作ってくださり、食べきれず皆で分け合って持ち帰ったほどでした。それから、甘いもののあとにはお漬物がほしくなる(笑)と、お漬物も持ってきてくれた方も!
 間に30分のTea Timeをはさみ、後半は食べたり飲んだりしながら聴く、ということにしましたが、ちゃんと聴くことに集中でき、心配は無用でした。

山盛りお菓子の写真、撮り忘れた〜  持ち帰らせてもらったガトーショコラです

 家族の皆さんに、感謝!!
 お菓子を作ってきてくれた家庭ももちろん、隣の部屋からピアノをもう1台運んだり、椅子やテーブルセッティングをどんどん進めて下さったり、、私がほかのことをしている間にぱーっと最後の片付けなどもすませてくださっていたり…どんどん動いてくれた家族の皆さん。コンサートを主体的にとらえ、参加している気持ちを持ってくださっているからこそだと思いました。
 お手伝い、演奏、どちらも家族の手があってのコンサートでした。

 子どもの成長も晴れ舞台も、親としては楽しみですが、家族で1曲に取り組み、晴れ舞台を共有する、というのはまた、違った感動があるものだと思います。
 家族も今の形のままというのは数年のこと。その中で、家族で力をあわせて練習し、気持ちをあわせて演奏した、という体験は、いつまでも心に残る財産になってくれるのではないかな…なんて勝手に願っているのですが。

(04.8.24)

 home   close