「毛皮のマリー」は1967年、異色劇作家の寺山修司が美輪明宏(当時は丸山明宏)をイメージして、母と息子、虚と実を描いた物語です。同年に美輪主演で、寺山氏が主宰した劇団「天井桟敷」の第3回公演として初演されました。
この物語は寺山自身と母の物語でもあったようです。母の濃密な愛をうっとおしく思いながらも、その庇護の下から出ていきたくはない…。
そんな寺山の現実から、母マリーの真綿で首を絞めるような愛を受け、純粋培養で18歳になった美少年欣也というキャラが生まれたようです。
そんな美少年欣也をジョウくん自身が演じ、マリーは人形を操って、さらにそのほかの登場人物まですべて、ジョウくん1人で演じきってしまった…!!!けっして1人芝居では演じられる台本ではないはず。
蝶を追いながら舞台に現れた欣也になりきっているジョウくんが、テーブルの上で正座して、台本に書かれた登場人物を読みあげた時は、それだけをどうやって1人で?と驚愕しましたが、見事にすべての役を演じきったジョウくんは、頭の中、どうなっているのでしょう??
だって、欣也になりながら、手ではマリーさんを優雅に操り、まさに「中年の男娼マリー」の動きを生み出しているのですから。
個人的な感想を言えば、子どもといっしょに楽しめる作品の方が好きです。しかしこの、放送禁止用語も飛び出す大人向けの人形劇、ジョウくんの本当にやりたい人形劇なのかな。まだこなれていない部分も、きっと、これから数年かけて、深めていくのでしょう。
2004年11月20日 夜7時〜 引佐町多目的研修センター つつじホール
2回目ということで、展開が頭に入っていたこと、そして今回は場所もよく、少し離れた客席から全体を眺めていたこともあり、飯田の時よりも冷静に全体を楽しめました。
飯田で見たマリーよりも、こなれている感じがしました。そして、より気持ちが入り、丁寧にも感じました。このシーンはできあがっているのだろうか?といぶかしく感じた部分もしっかりしていたし。詩人のシーンは、飯田では、かまないかな?なんて心配するほど頼りなかった(爆)のですが、今回はよかったです。朗々と詩を吟じていました。
それと、「醜女のマリー」のシーンがありました。飯田ではなかったシーンです。バレエっぽいの。でもこのシーンは、ジョウくんが強くて、人形が生きているようには感じられないな〜。もう少し研究してほしいシーンでした。
マリーさんと欣也のシーンは、ますます迫力増。マリーさんの動きにもほれぼれ。