01)長野の地勢と食生活
02)代表的な長野の伝統食
03)地域の伝統的な食生活を調べる
04)長寿県を支える食生活の秘密
05)地域別の食の特徴 北信
06)地域別の食の特徴 中信
07)地域別の食の特徴 東信
08)地域別の食の特徴 南信

地域別の食の特徴 南信 ine_head_right

 南信とは、岡谷市から根羽村までの地域で、諏訪盆地と伊那盆地を中心としています。地域の北端には諏訪湖があり、ここから天竜川が南アルプスと中央アルプスの狭間を縫うようにして南に流れています。南信はこの天竜川に沿って広がっているので、全体としては南北に細長い形になっています。  気候も南部の上伊那・下伊那地域と、内陸部の諏訪地域では、大きく異なります。
 上伊那・下伊那地域は太平洋型の気候で、長野県の中では比較的温暖です。年間降水量も多く、上伊那で1,500mm、下伊那では1,700mm、愛知県との境では2,200〜2,600mmにもなります。
 上伊那地域は古くからの米どころで、稲作を中心に果樹、酪農、加工用トマトやアスパラガスなど多様な農業が営まれています。下伊那地域は、なしやりんご、うめ、かきなど各種の果樹栽培が盛んです。また畜産では、大規模な酪農経営が多くなっています。
 対する諏訪地域は、寒暖の差が激しい内陸型で、雨の少ない地域です。長い日照時間と高冷地の特徴をいかした農業がおこなわれています。おかげで、セルリー、パセリなどの葉菜類の全国的な産地であり、カーネーションなどの切り花は県下でも屈指の産地となっています。


諏訪盆地 ─寒さと諏訪湖がもたらすめぐみ

寒天干し

寒天干し

 諏訪盆地は、長野の中でも寒さが厳しく乾燥した地域です。この気候をいかして、食品のフリーズドライ、つまり「凍らせて乾燥させる」加工がさかんにおこなわれてきました。
 とくに有名なのは、寒天づくりです。まだ流通もそれほど発達していなかった江戸時代末期ごろには、加工がすでに始まったとされています。テングサやオゴノリなどの海藻を伊豆や九州などから運び、厳冬期に加工していました。現在でも諏訪盆地は、全国の生産量の半分を占める日本一の寒天産地です。ほかにも凍りもちや凍み豆腐など、凍らせて加工するものは質がよいとされ、農家の冬の副業として昔からつくられてきました。
 また、諏訪湖でとれる淡水魚の豊富さも、この地域の食の特徴です。おもにコイやウナギ、フナなどが多く、その中でもワカサギは、冬の貴重な収入源であり栄養源でした。今なお、諏訪湖の味覚としてはもちろん、秋・冬の風物詩として、ワカサギ釣りは観光客を楽しませています。

伊那谷 ─いつの時代も変わらぬ五平もちの味

五平もちつくり

五平もちつくり

 伊那谷は気候が温暖でよい土壌に恵まれていたため農業がさかんで、また交通の要所にもなっていました。
 また養蚕や水引きをはじめとする副業が発達した地域でもありました。とくに養蚕は大正から昭和のはじめにかけて日本の製糸業を支え、河岸段丘の斜面を利用した桑畑は日本一の規模をほこっていました。現在ではその土地で果樹栽培がおこなわれています。
 農業の豊かさを反映して食文化は多彩ですが、なかでも五平もちは代表的な地域の味です。固めに炊いたごはんをつぶして小さな団子にし、竹串に刺して両面をこんがりと焼き、くるみ入りの味噌だれなどをつけます。ほかにも馬で荷物の運搬を請け負う中馬が街道沿いの物流を担っていたことから、馬肉や馬の内臓の料理も地域の味となっています。


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