東信とは、長野県東部の佐久盆地と上田盆地を中心として、千曲川流域に広がる地域です。この地域の南部と東部は1,000m級の高原地帯になっています。
東信も中信と同じく、典型的な内陸型の気候です。平均年間降水量は約900mmと非常に少なく、気温も昼夜の寒暖の差が大きいのが特徴です。
佐久地域では、千曲川水系の豊かな水を利用した稲作が盛んです。昔から水田でコイを飼っており、「佐久の鯉」として全国的に有名でした。その後、農薬の普及により水田での養鯉は少しずつ衰退しましたが、最近では除草効果も兼ねて復活し、低農薬で安全な佐久の米づくりに一役買っています。
また日照時間が長く昼夜の温度差が大きい気候は果樹に向いており、りんご・もも・ぶどう・プルーンなどが栽培されています。
南部に広がる八ヶ岳連峰の高原地帯は、レタス・はくさい・キャベツなどの高原野菜の一大産地で、全国でも有数の生産量をほこっています。
ほかにも、きく・カーネーション・トルコギキョウなどの花き栽培が盛んなほか、朝鮮人参が東御市(旧北御牧村)、立科町、佐久市望月地区(旧望月町)を中心に、地域の特産物となっています。
佐久平 ─千曲川のめぐみでコイを養殖
コイ料理のいろいろ |
千曲川沿いに広がる佐久平は、南に位置する八ヶ岳から吹き降ろす風(八ヶ岳おろし)をまともに受けるため、積雪が少ないにもかかわらず寒さが厳しく、二毛作ができない地域でした。
そのため副業としておこなわれていたのが、養蚕と、コイやフナの養殖です。養蚕で絹糸をとったあとにでてきた蚕のさなぎをエサに、水田でコイを育て、そのフンが田を肥やすという、資源の循環が効率よくなされていました。今でも、鯉こくやあらい、フナの甘露煮などのさまざまな料理が食べられています。
またこの地域では、昆虫も食べられてきました。蚕のさなぎの佃煮は3個で卵1個分の栄養があるといわれ、これを食べて農作業の忙しい時期を乗り切りました。
今でも佐久平のコイは特産として有名で、流水池で養殖されています。また八ヶ岳山麓では大規模な高原野菜の栽培がおこなわれ、日本中に運ばれています。
上田盆地 ─養蚕と付け場漁が盛んな寡雨地域
アユ料理 |
緑豊かな1,000m級の山々に囲まれた上田盆地は、由緒ある神社仏閣が今も数多く残されています。かつては養蚕が盛んで、織られた紬は日本三大紬のひとつとして知られていました。
一年を通して晴天の日が多く、平均年間降水量はわずか900mmほど。全国でも屈指の寡雨地域です。そのため溜池やかんがいを利用した農業が発達し、米と麦の二毛作をおこなってきました。古くからおやつや主食として親しまれてきたのがこねつけ。米と小麦粉を混ぜてこね、醤油や味噌で味付けして油で揚げたり焼いたりして食べます。
上田盆地は春ともなれば、千曲川の河原で付け場漁がおこなわれます。これは江戸時代から続く漁法で、川に砂利を敷いて産卵所を人工的につくり、そこにやってきたウグイやハヤ、アユを、まやと呼ばれる投網で捕らえるものです。とれた魚は田楽、天ぷら、塩焼き、刺身などにします。
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