平成7年における国勢調査の結果、男性の平均寿命78.4歳、女性の平均寿命83.7歳と、長野県の佐久市が男女ともに平均寿命の第1位を獲得しました。
有名な長寿県としては沖縄県があります。しかし、佐久市と沖縄では気候風土や食生活が大きく異なるのです。沖縄県の料理は豚肉をよく使い味付けも薄味なので、必要以上の塩分を採ることなく、良質のタンパク質を採ることができます。また気候も温暖で冬でも暖かいため、お年寄りが冬に運動不足になることも少ないのです。比べて佐久市は肉類の摂取量も特に多いわけではなく、漬物をよく食べるので塩分の摂取量も多くなりがちになります。また冬も寒いので家から出ないことも多いのです。
こうしてみると、佐久市での暮らしは長寿に向かないのではないかと思えます。しかし、長寿日本一の町になったからには、なにか佐久市なりの長寿の秘訣があるはずです。そこで佐久市の80歳以上の男女1,000人に対して、若い頃から現在にいたるまでの食習慣や生活習慣などの暮らしぶり全体について詳細な聞き取り調査が行なわれました(日本栄養士会佐久支部実施)。
佐久の伝統食のかけ菜 |
多彩な佐久の伝統食が築いた健康長寿
お年寄りにもう一度食べたい昔の味は何かと聞くと、多くの人が「かけ菜の粕汁」をあげました。「かけ菜」とは、秋の採り残しの青菜を竿にかけ凍結乾燥させた佐久の保存食です。冬の厳しい佐久では、このかけ菜を芋や他の野菜と煮たり、和えたりして、冬から春にかけて野菜を絶やさないようにしていました。これならば、野沢菜だけを食べるよりも、いろいろな野菜をより多く採ることができ、調理法の幅も広がります。
また不足しがちと思われていたタンパク質も、昔ながらの佐久の食事で充分に補われていたのです。佐久は有数の米どころで、昔から水田が開けていました。この水田で鯉や鮒を飼い、畦では大豆を栽培し、さらに水路や土手でゲンゴロウや地蜂、イナゴを採ることで、多彩なタンパク質を確保していたのです。
佐久の珍味マップ
今ではこれらの伝統食に新しい緑黄色野菜や肉が加わっており、栄養価的にみても立派に長寿を支える食生活になっています。長寿の秘訣は、こうした土地の風土と産物を活かした食生活にあったのです。
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