日本の屋根といわれる長野県は、全国都道府県中第4位の広さがあります。この広い面積の地形は一様ではなく、山地が8割を占め、これらを源とする河川が北と南に流れ、その間に谷、湖沼、盆地、扇状地などを形成しています。
この多様な地形により、県内の気象は地域によって異なります。長野県は南北に長く、県の北端は裏日本式の豪雪地帯であり、最南は表日本式の気候で、茶畑ができるほど温暖です。また中心部は冬と夏の気温差が激しい内陸型の気候です。年間降水量も1,000mm以内のところもあれば、2,400mm以上のところもあります。
このような多様な地理的条件によって、地域ごとに生産される農産物は異なってきます。したがって、これら農産物をもとに営まれる食生活も、長野県においては地域ごとの違いが生じてくるのです。
たとえば、長野を代表する郷土食であるおやき・やきもち類は、地域によって趣を変えます。同じおやき・やきもち類でも、材料、呼称、あんや焼き方が変わるのです。
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安曇平の飯やきもち |
伊那谷の五平もち |
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丸なすのおやき |
善光寺の平おやき |
| 地域 | 名称 | 皮 | あん、作り方 |
| 飯山(北信濃) | 笹もち | 米 | ついたもちを笹の葉で挟んでおく。食べるときにはがしやすい。 |
善光寺平 西山 | おやき | 小麦粉 | あんは野菜や小豆。焼くかふかす。丸なすのおやきが有名。丸なすに油味噌を挟んだものを小麦粉の皮で包んで焼く。または蒸す。 |
| 上田盆地 | おやき、こねつけ | 小麦粉、米 | おやきは小麦粉、こねつけは米と小麦粉を混ぜてこねる。あんは野菜や小豆。 |
| 佐久平(佐久盆地) | 安倍川もち | 米 | 焼いたもちに黒豆から作ったきな粉をまぶす。 |
| 安曇平(松本盆地) | 飯やきもち | 米・小麦粉 | 米と小麦粉、炭酸を混ぜる。あんは味噌、黒砂糖。ゆでてから焼く。 |
| 木曽 | そばやきもち | そば粉 | いろりの灰の中に埋めて焼く。味噌からとったたまりをつけて食べる。 |
| 伊那谷 | 五平もち | 米 | もちを竹串に二個ずつさして焼く。くるみ入りの味噌だれをつけて食べる。 |
| 諏訪盆地 | -- | -- | ※凍みもち、しそもちなどが中心 |
| 伊那谷 | 五平もち | 米 | もちを竹串に2個ずつ刺して焼く。くるみ入りの味噌だれをつけて食べる。 |
各地域のおやき・やきもち類の材料と作り方
昨今、交通網の整備により、地域独自の食文化というものが薄れつつあります。
しかし、長野は高峻な山と深い谷にさえぎられ、「信濃の国」として独自な文化を形成してきました。
農産物を保存や加工したり、行事に伴う晴れ食などの食文化は、人々の暮らしの中で祖先から脈々と伝承・改良されてきた一つの文化です。これら伝統的な食生活を調べ学習の素材とすることは、地域の歴史や地勢を学ぶまたとない機会となることでしょう。
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